絶対に笑ってはいけないアビドス高校24時   作:ケイゾーイビ

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2話

取り敢えず、先生が待っているバス停まで戻ると…

「みんな、本当に申し訳ない」

…何故か先生は初手土下座した。

 

!?

 

戻った5人は混乱した。

「ちょっと先生!?急にどうしたの!?」

「え?中々帰って来ないから、私に呆れてみんな帰っちゃったのかと…」

「そんな薄情じゃないから!?」

「それで1人残された、惨めな私を嘲笑いに戻ってきたんでしょ…?」

疲れからか支離滅裂なことを言う先生、ノノミの怒りボルテージが上がった。

 

「これは…重症ですね」

 

急におまたがヒュンってなった、何だこのプレッシャーは…?

私は悪寒を感じ顔を上げる。

「…え?ノノミなんか怒ってない?」

「別に怒ってませんよ?」

いや顔めっちゃ怖いけど!?

おかしい、なんか怒られることしたか…?

取り敢えず立ち上がって説明を…

 

「ん、先生はそのままの姿勢で」

「シロコ…?」

そんな中シロコだけは、私の土下座に対して引っかかる点があった様子だ。

鋭いな、アビドスのジャック・ナイフめ…

 

正座する私の周りを、ぐるぐる回り始めるシロコ。

ナニコレ?ドユコト?

「ん、先生」

「はい、先生です」

「これは…何の土下座?」

「え?それは勿論…」

「これから私達に起こること、その前借りの土下座とか…?」

「…え?」

 

 

何だって…?

 

シロコの言葉を聞いた4人は、取り出した武器と残弾をチェックし始めていた。

セリカは真顔でマガジンを手に取り中を覗き、自分の頭でマガジンをコンコン叩いた。

 

「いやいや、一体何を言って…」

「ん、これはウソを付いてる先生」

「何を根拠に!?」

「…ユウカさんから聞いた」

 

あの太ももオバケ、余計なことしやがって…

 

ヌッ

ノノミ近っ!

 

「…ダメですよ先生、ユウカさんを太ももオバケなんて言ったら」

「言ってない!言ってない!冤罪です!」

気が付いたら、なんか5人に囲まれてる。

いつの間に!?

「先生〜隠しごとは良くないよぉ〜」

「分かった、話すから自然な流れで寄ってたかって銃を突き付けるの止めようね」

「うーんちょっとモーターを温めた方が…」

「温めは無しで大丈夫です、説明するので立ち上がってもいいですか?」

スゲー時間かかったけど、やっと説明出来そうです。

本当に前途多難だな…

 

「今日集まってもらったのは、皆に特別なアビドス高校を体験してもらおうと思い企画しました」

 

特別なアビドス高校…?

 

「そう、なんか他校の生徒にも集まってもらうことになってさぁ」

 

それは多分、先生リフレッシュ作戦のタスクフォースだろう。

恐らく先生本人は、リフレッシュ作戦のことを知らない可能性がある。

「ここからアビドス高校まで、バスで移動して交流とか色々やるみたい」

「学園交流会ですか…?」

「いや、武器は一切使わないから学園交流会ではないね」

 

「ん、なら早く移動を…」

シロコが移動を始めようとしたが…

「あーちょっと待って、移動する前に先ずはここで準備して欲しい」

…最初からスルーされ続けたが、いよいよ満を持して注目を浴びたよく分からないBOX。

 

「そもそも、これなんですか…?」

「これは…外置き更衣室だね」

 

外置き更衣室…?

 

「ここで着替えるってことですか?」

「各自名前が書いてあるカーテンを開けて、中で着替えて下さい」

 

BOXの正体は、更衣室だった。

 

「勿論防犯対策もバッチリで、中から鍵をかけられるから安心してね」

先生が歯をキラリと見せて、親指を立ててグッドポーズを取る。

ぶっちゃけ心配なのは、そこでは無い…

「じゃあ中に入って、準備お願いしま〜す」

 

〜着替え始めること数分〜

 

「いや〜この外置き更衣室、凄いよね〜」

着替え中、暇なので先生の話を聞いた。

「当番の生徒に土木・建築工事のプロがいてさ、プリン大量に用意するよ〜って言ったら快く引き受けてくれて助かったよ」

「それ、対価が安すぎるのでは…?」

アヤネが困惑する…

「…ぶっちゃけ私もそう思う」

思いの外、とんでもない話だった。

 

「着替え終わったかな?」

はーい、と更衣室から声が聞こえた。

「じゃあ名前を呼ぶから、一人ずつ出て来てね」

私は一人ずつ名前を呼び始めた。

 

「先ずはセリカ、どうぞ〜」

「…はい」

シャッとカーテンが開きセリカが出て来た。

 

アビドスポイント

セリカはいつもの制服。

 

「これ、アビドス高校の制服なの…?」

「うーん、見た目に変化は無いね?」

「どうやって用意したの…?」

「ごめん、それは私も知らない」

「本当かしら…?」

 

「じゃあ次アヤネ、どうぞ〜」

「は、はい!」

シャッとカーテンが開きアヤネが出て来た。

 

アビドスポイント

アヤネもいつもの制服。

 

「アヤネちゃんもアビドス高校の制服ね…」

「…サイズもピッタリです」

「え?サイズも合ってるの?スゴイね?」

セリカとアヤネに超睨まれてるけど、巻きなんで無視する。

 

「じゃあ次シロコ、どうぞ〜」

「…ん」

シャッとカーテンが開きシロコが出て来た。

 

アビドスポイント

何故かシロコは夏服っぽい制服。

 

「…へ?」

「…え?」

「…ん?2人は夏服じゃないの?」

当然の疑問に3人の視線が私をロックオン。

 

 

「…あれ?おかしいな?あーごめん!これ誤発注だなぁ〜」

 

誤発注…?

 

「それとも、衣装さんが間違えたのかも」

 

衣装さん…?

 

「とにかくシロコはちょっと待ってて、すぐ新しい制服を用意するから」

「ん、分かった」

今気が付いたけど、アビドスって砂漠だし夏服なんてあるのか…?

私はタブレットで衣装さんと、誤発注発生と報告し対策を求めたフリをした。

 

「じゃあ次ノノミ、どうぞ〜」

「は〜い」

シャッとカーテンが開きノノミが出て来た。

 

!?

 

アビドスポイント

何故かノノミはハイランダー鉄道学園の制服。

 

ゴゴゴゴゴ…

 

私は迸るプレッシャーに、恐怖へ震え上がりながらも演技を続けたが…

「せ〜んせ?」

「ななななんですか?ノノノノミさん?」

 

「ちょっとグーパンチで殴っていいですか?」

 

「ごめ〜ん!これも誤発注〜!誤発注だから落ち着いて〜!?」

…笑顔の早歩きで迫ってくるノノミから、外置き更衣室の周りをぐるぐる回りながら難を逃れた。

着替え終わった3人は助けてくれなかった…残当である。

勿論、抵抗虚しく捕まったよ?

 

「これは本当に他意は無いから、誤発注だから許して…」

「む〜先生は本当に…」

「ノノミにも新しい制服を用意するから、待っててね?」

「…分かりました」

何とか誤解が解けた様だ、なんか今日のノノミ怖いんだけどなんで…?

 

「お待たせ、じゃあ最後ホシノどうぞ〜」

「うへ〜」

シャッとカーテンが開きホシノが出て来た。

 

!?

 

アビドスポイント

何故かホシノは全身エビフライスーツ。

 

 

「フフッ…(笑)」

ノノミはその場に笑い崩れた。

「…ん?」

シロコは宇宙シロコ状態になった。

「ちょっと!?いくら何でもこれはおかしいでしょ!?」

私はセリカに肩を掴まれブンブンされた。

「みんな見て見て〜おじさんがサクサクになっちゃったよ〜」

「なんでホシノ先輩はノリノリなんですか…?」

「アヤネちゃん?ノリノリじゃないよ?サクサクだよ?」

「フフッ…(笑)」

アヤネは撃墜された。

 

「これも誤発注だね…?」

「何で疑問形なのよ!」

私はセリカに、ほっぺたを引っ張られた。

「いでででで!誤発注!誤発注だよ…きっと?」

気持ちは分かるけど、痛いからやめて…

 

ブーン!

 

そんな音が聞こえたと思ったら、空から荷物を積んだドローンが3機降りてきた。

「あーホラホラ!多分これが新しい制服だよ!今度は間違え無い様に確認するから!」

そうして荷物を確認し、細心の注意を払い再度外置き更衣室で着替えを始めた。

 

〜再び着替え始めること数分〜

 

シロコとノノミの着替えは、特にこれといった問題は無くアビドス高校の制服に着替え終わった。

 

しかしホシノは…

 

アビドスポイント

何故かホシノの頭にエビフライの被り物(横)。

 

「あの〜ホシノ?別にそれ被らなくてもいいんだけど…?」

「うへ〜おじさんこれ気に入ったから、もうちょっと被ってるね〜」

「…いつでも外していいからね?」

「は〜い」

ホシノはエビフライの被り物が気入ったらしく、しばらく装備することになった。

 

ついに全員の準備が完了し、バスへ移動を始めたアビドス高校の一行と先生。

「あ、あのバスだね」

専用バスが待ってると聞いていたが、そこには区営バスが停まっていた。

「ん、じゃあ早速バスへ…」

「待ってシロコ」

「…ん?」

 

「バスに乗る前に、どうしても言わなきゃならないことがあるんだ」

 

 

「言わなきゃならないこと…?」

「…なんですか?」

「このバスに乗って、私との活動が終わるまでの間…」

 

 

「絶対に笑ってはいけない、というルールを追加します」

 

…?

 

「…それだけですか?」

「う〜んそれだけなんだけど、もし笑ってしまったら…」

 

 

「キツイお仕置きが実行されるから、絶対に笑わないでね?」

 

!?

 

「はぁ!?キツイお仕置き!?」

「一体何が…?」

「先生…まだ隠しごとしてたんですか?」

「いや!別に隠してた訳じゃないよ!?」

 

「ん、ホシノ先輩…」

「…シロコちゃんも気が付いた?」

「これは他校からの破壊工作かも…」

「…警戒しながら行動しよっか」

「ん、了解」

 

ざわ…ざわ…

 

「じゃあ移動するから、バスに乗って」

 

ついに始まる。

様々な学校の思惑渦巻く。

先生との活動。

 

絶対に笑ってはいけない。

アビドス高校24時。

今スタート!

 

特に決まった順番は無く、次々とバスに乗り込んで行く。

 

セリカ。

アヤネ。

ノノミ。

シロコ。

 

最後にホシノが、バスへ乗ろうとしたその時だった。

 

台本には無い、アクシデントが…

 

ホシノがバス入口の階段に足を出し、バスの中へ入ろうとしたが…

 

ガリッ!

 

「あれ?」

 

…後ろへバランスを崩した。

 

何故なら…

 

…エビフライの被り物が、バスの入口に引っかかったからである。

 

そして…

 

スポッ!

 

エビフライの被り物が、ホシノの頭から取れてしまった。

 

!?

 

既にバスの座席に座っていた4人は、ホシノのアクシデントに反応が送れた。

 

しかし…

 

「おぉっ!?」

 

ホシノの後ろにはまだ先生がいた!

 

先生はホシノをキャッチし、受け身を取った。

 

ユウカのお仕置き、柔道で鍛えられて受け身のレベルアップが功を奏した。

 

カポッ!

 

そして受け止めたのは、ホシノの体だけでは無く…

 

「ごめん!先生!大丈…」

ホシノは慌てて後ろを向く。

「私は大丈夫だよホシノ、ホシノはケガしてないかい?」

 

…エビフライの被り物が、先生の頭にパイルダーオンしていた。

 

アビドスポイント

今度は先生がサクサクに。

 

 

「フフッ…(笑)」

これには耐えられず全員轟沈した。

 

デデーン!!

シロコ・ノノミ・アヤネ・セリカ・アウト!!

 

!?

 

「え!?何!?何このアナウンス!?」

名前を呼ばれたセリカは、目を白黒させた。

 

その時…

 

バスの外から、1人の生徒が歩み寄って来た。

 

「…え?」

 

ホシノはその姿に、見覚えがあった。

 

髪はピンク色のポニーテール。

武器は白いショットガン。

服は制服にボディーアーマー。

背中には折りたたまれたバリスティックシールド。

顔は目出し帽を被っていて分からなかった。

その生徒は先生とホシノの横を素通りし、バスの中に入って来た。

 

「はい!名前を呼ばれてアウトと言われた生徒は、後ろを向いて下さ〜い」

 

先生はこの状況を知っていた…?

 

「何!?何!?」

 

訳も分からず、取り敢えず後ろを向く4人。

 

次の瞬間…

 

バン!「ん"っ!」

シロコがお尻を撃たれた。

 

!?

 

バン!「痛っ!」

バン!「あぅっ!」

ノノミとアヤネもお尻を撃たれた。

 

最後にセリカなのだが…

 

ボン!「アッツゥッ!」

 

!?

 

…ショットガンから竜の息吹みたいな、火花が飛び出した。

 

「…」

 

お仕置きを済ませた生徒は黙ってバスの前席に座り、次なるお仕置きの機会を待った。

 

「いったぁ…」

「ちょっと先生!なんなのよこれ!」

「セリカ、多分これが笑ってしまった時のお仕置きだよ…」

想像以上に冷静な先生に、一同は肩透かしされた。

「ん、先生はこのこと知ってた?」

「いや、全然知らなかったです」

「…ウソは付いてない」

「ごめん、そのウソ発見器みたいなのやめてくれないかな?」

先生の言うことをスルーしたシロコ、このお仕置きは他校の破壊工作だと認識した。

 

ところで…

「ちょっと待ちなさいよ!ホシノ先輩も笑ってたのに、なんでお仕置き無かったの!?」

…セリカが気が付いた。

「あ〜多分まだバスに乗って無かったから、じゃないかな?」

エビフライの被り物を外し、ホシノと一緒にバスに乗った。

そして座席へ座った私は、セリカに仮説を立てた。

「そんな…じゃあ私のお仕置きで火花出たけど、あれは何なの!?」

 

ブーッ!ブーッ!ブーッ!

 

なんだ!?なんか震えた!?

「待って待って…今私のタブレットに情報が来た」

私はタブレットを見て情報を確認した。

 

「えーと…お仕置きの際は暴徒鎮圧用のゴム弾が使われて、低確率でドラゴンブレス弾か出るかもしれない〜だって」

 

!?

 

アビドスポイント

低確率でドラゴンブレス弾が出る。

 

「ドラゴンブレス弾!?」

「座席の下…?何だこれ?」

先生は座席の下から何かを取り出した。

「なんですか?それ…?」

「これは…冷却スプレーだね」

 

冷却スプレー?

 

「ドラゴンブレス弾で熱くなりすぎたら、これを使って下さい〜だって」

 

アビドスポイント

ささやかなエール。

 

「こんな親切、いらないわよ!」

 

更に疑問は募る…

「ちょっと待って下さい、そもそもあの人は誰なんですか…?」

…お仕置きでお尻を撃った生徒の正体だ。

 

「情報によると、あの生徒の名前はケツバンアーミーさんだね」

 

…ケツバンアーミーさん!?

 

アビドスポイント

笑ってしまった場合、ケツバンアーミーさんからお尻を撃たれる。

 

「いやいや!あれはどう見てもホ…」

「セリカ、これはキヴォトスではよくあることだよ…」

「はぁ!?」

「私は普通の制服と体操着とパジャマの3人まで見たことある、これはキヴォトスではよくあることだから…」

 

アビドスポイント

キヴォトスではよくあること。

 

「そんな訳無いでしょ!?」

 

痛みからアドレナリンがサージしていたが、何とか落ち着きを取り戻した。

「みんなどうする?プランBやっちゃう?」

そう提案したのはホシノ。

「ん、それは出来ない相談」

「え!?どうしてですか!?」

 

「今ここで企画を潰したら、アビドスが逃げたと思われる…」

 

 

「…そしてこの席が空いたら、必ず空いた席に誰かが座る」

 

!!!

 

先生を1番癒してあげられる生徒、この言葉はアビドス高校の生徒達を釣り上げる為の撒き餌だったのだろう。

そしてアビドスは、見事に釣られてしまったのだ。

 

「ん、何の問題も無い」

 

…?

 

「ここから私達は、一切笑わなければいい」

 

!!!

 

シロコの言う事は正しい、笑わなければお仕置きを受けることも無いし先生と活動する時間も増える。

 

「私達はまだ負けて無い、戦いはまだ始まったばかり」

 

 

「うへ〜シロコちゃん、悪い顔してる〜」

「ん、ホシノ先輩程ではありません」

「このやり取り2回目だね〜」

 

これは他校から売られたケンカだ。

 

「みんな、いい…?」

「…仕方ないわね!」

「…やりましょう!」

「目に物見せてやりましょう〜!」

 

このまま黙って引き下がれる程、アビドス高校の生徒達はいい子ちゃんでは無い。

 

「話は済んだのかな…?」

私置いてけぼりで、盛り上がる5人にちょっと嫉妬した。

「待たせたね〜先生〜」

「…では運転手さん、発車オーライ!」

 

ファ~ン!

 

こうしてバスは、アビドス高校に向けて発車した。

 

その先には、一体何が待っているのか…

 

誰にも分からない。

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