エルフとデビルがダベるだけ~デビル:「ハンカチ持ってる?」エルフ:「家にある」~   作:ジョン5

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クッキー作りすぎてさ・視力がね

 

・クッキー作りすぎてさ

 

「渡したいものがあるので、あとで家に寄ってくれんかえ?」

 

角のとがったデビルの少女が言った。

 

「いやです」

 

耳のとがったエルフの少女が言った。

 

港町の喫茶店に二人の姿はあった。

 

「ストレートだな。キャッチャーミットがこう、ズバーンって轟音を立てたよ」

 

「ああそう。近所迷惑だからボリュームは下げてね」

 

「何だよボリュームって、そこを調節するつまみなんざねぇだろうによ」

 

「ふーん。そうですか」

 

「そうだ。じゃなくて、なんで寄ってくれんのだ。お主は?」

 

「え? それはめんどくさ……ああ、この後に予定あるから」

 

「遅い遅い。修正が遅い、間に合ってない。本音が漏れてるから。水の110番だから」

 

「不思議ね。あんたを前にすると本音を隠せない。心の内をさらけ出したくてしょうがなくなるの」

 

「そなた露出狂であったか。やはり110番だな」

 

「待ちなんし。話を聞いてちょうだい」

 

「変態と話す口は持たんよ、アタシは」

 

「変態が何か言ってる」

 

「ひどいお言葉。アタシじゃなきゃ泣いてるぞ」

 

「渇いた大地に恵みの雨を」

 

「それで間に合えば世話ないさ。じゃなくてだな」

 

「だからなんで私があんたの家に寄らなきゃならないのよ」

 

「クッキーを作りすぎたから」

 

「先にそれをいいなさいな。とっとと行くわよ」

 

「やれやれ、現金な奴だ」

 

二人は喫茶店をあとにした。

 

 

 

・視力がね

 

「最近どうも見にくくてさ」

 

角のとがったデビルの少女が言った。

 

「自分の容姿が?」

 

耳のとがったエルフの少女が言った。

 

港町の喫茶店に二人の姿はあった。

 

「いや、そっちの醜いじゃなくてさ」

 

「うん」

 

「ん? ってひどくないか。今の発言」

 

「すごい時間差。気づくの遅いわよ」

 

「まったくだ。危うく聞き逃すところであったわ」

 

「聞き逃した方が幸せだったかもね」

 

「それもまったくだ。知らぬが仏。不都合なことは知らぬままホトケになりたいものだ」

 

「うーん、流石にちょっと言いすぎたわ。謝罪するわね」

 

「そうか。では、1000ゴールドで手を打とう」

 

「守銭奴が。前言撤回よ、あんたは心も醜いわ」

 

「当然だ。アタシをなんだと思っているのだ?」

 

「暇人」

 

「っー……今のすげぇな、たった二文字なのにかなり効いたよ」

 

「え? ホントに暇人なの?」

 

「カマかけおったな、この女狐めが」

 

「狐? まあ、確かに耳はそれっぽいわね」

 

「何の話だ。というかこんな暇人に付き合うようなお前も、立派な暇人だろ」

 

「そうよ」

 

「ぬぬ、鋼メンタルめ」

 

「鉄は打たれれば打たれるほどに強くなるのよ」

 

「このマゾヒストが。お前のような奴は鉄粉に帰しても平然としてそうだな」

 

「誉め言葉として受け取っておくわ。で、何の話だったかしら?」

 

「醜い。否、見にくいという話だ。最近どうも視力が落ちたようでな」

 

「メガネ買えば」

 

「ああ……まあそうだな」

 

二人は喫茶店をあとにした。

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