エルフとデビルがダベるだけ~デビル:「ハンカチ持ってる?」エルフ:「家にある」~ 作:ジョン5
・あれ見たかよ?
「おい、昨日のあれ見たかよ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「失礼、あれの詳細の説明を所望します」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「あれはお前、あれだよ……なんだっけ?」
「知らないわよ。あんたが言い出したんでしょうが。あんたが分からなければこの話題は迷宮入りよ」
「諦めが早すぎるぞ名探偵、いや迷探偵」
「勝手に他人を探偵扱いしないでちょうだい。記憶喪失さん」
「記憶喪失ではないさ。ちょっとしたど忘れだよ」
「ならとっとと思い出しなさいな。一度言い出した以上、あれがなんなのか気になって、夜しか眠れないじゃないのよ」
「しっかりと睡眠をとれてるではないか。健康なことで何よりだな」
「どうも。って、そんなことはどうでもいいのよ。あんたが見たというあれが何なのかを教えなさいよ」
「構わんさ。出すものを出してくれればな」
「ウザ」
「うそうそ、タダでいいよ。出血大サービスだ」
「この程度で出血してたら、あんたは年がら年中貧血で大変ね」
「まったくだ。朝礼の校長先生の話が長すぎるせいだな」
「何の話よ?」
「さぁな」
「しらをきるんじゃないわよ。いいからあれの正体を明かしなさいな」
「こだわるね。まあ、大した話じゃないよ」
「なんなのよ」
「昨日の……隕石見た? っていう話」
「……大したことなくないんだけど」
二人は喫茶店をあとにした。
・肩が重くてな
「最近どうも肩が重くてな」
角のとがったデビルの少女が言った。
「それ絶対、悪霊憑いてるでしょ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「はぁ? なんで悪霊? しかもかなり言いきった感じだし」
「いやだって、それしかないじゃないもう……そういう奴はその……あれだからさ」
「フワフワしすぎだろ! 無重力かよ! お前の方が悪霊より浮いてるぞ」
「悪霊のことを悪く言うんじゃないわよ。確かに回りとくらべたらちょっと変わった奴だけど、意外と気さくでいい奴よ?」
「そっちの浮いてるじゃねぇよ! お前は悪霊の何なんだよ?」
「幼なじみ」
「恋の予感」
「飛躍し過ぎでしょ。恋愛小説の読みすぎよ」
「読んでねぇよ。なんだよ幼なじみって、意味わからんわ」
「悪霊憑いてるあんたに言われたくないわよ」
「悪霊憑いてるは関係ないだろ。ていうか憑いてねぇから」
「何でそんな事分かるのよ?」
「非科学的だから」
「オカルトは君の日常を覆す!」
「何のキャッチコピー? 覆さねぇよ、させねぇよ」
「あら、強気なのね」
「気だけは強く持とうと思っている」
「それはそれで軟弱ね」
「うるせぇよ。とにかく、アタシにそんなものは憑いてないぞ」
「そう。まあ、私には憑いているけどね」
「え? マジで?」
「いや嘘だけど」
「何なんだよ! 悪霊よりタチ悪いわ!」
二人は喫茶店をあとにした。