エルフとデビルがダベるだけ~デビル:「ハンカチ持ってる?」エルフ:「家にある」~ 作:ジョン5
・冷えてきたな
「うーっ! さぶっ! 近頃は冷えてきたな」
角のとがったデビルの少女が言った。
「ホント? 死期が近いんじゃない?」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「……まさか開口一番に余命宣告とは。こんな返しかたするの、世界中でお前ぐらいだろ」
「やった、ナンバーワン!」
「イエス! ナンバーワン!」
「え? 何言ってるの? 頭大丈夫?」
「うん、お前よりは大丈夫かな」
「まったくもうしっかりしなさいよ。こんな寒さでへばってんじゃないわよ……っーさぶ!」
「説得力よ。説得力が皆無だよ、姉貴」
「しょうがないでしょうよ。寒いものは寒いんだから」
「そこはお前あれだよ。心頭滅却すればさ」
「ああそうね。心頭を滅却しちゃえば」
「そうそう、滅却するんだよ。こう……真心を込めてさ」
「寒い! 今のボケ寒い!」
「うるせぇうるせぇ! じゃあなんて言えばよかったんだよ?」
「憎しみを込めて……的な?」
「心頭に何の恨みがあるんだよ。つかお前のも寒いわ」
「もうあれね、寒さで頭が回らないってことで」
「寒さのせいにすんなよ。というか室内だからそんなにじゃないだろ」
「それはあんたは角が生えてるから、暖かいでしょうよ」
「関係なくね? 角の表面積そんなねぇよ」
「そう。でもまあ、あれね」
「何だよ?」
「どんなに寒い場所でも、あんたがいれば生きていけるわね」
「ちょ、お前……」
「いざとなったら、炎吐けるし」
「何だよその理由! つか吐けねぇよ!」
二人は喫茶店をあとにした。
・愛おしいな
「いやぁ、愛おしいなぁ。実に愛おしいなぁ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「ナルシスト?」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「いや、何で第一候補が私自身なんだよ。おかしいだろ」
「おかしいのは、こんな突拍子もない話の切り出し方をするあんたの方よ」
「え? そんな変だったか?」
「ええ。あたしの耳の形くらい」
「いや、なんでそこで自虐を挟むのだ。何か嫌なことでもあったのか?」
「別に。こういうのが趣味なのよ」
「マゾヒスト兼、サディストか。心底めんどくさいハイブリッドだな」
「このハイブリッドが新時代を切り開くのよ」
「そんなものに切り開かれる程に新時代はやわじゃないぞ」
「あんたは新時代の何を知っているのよ?」
「え? ……嫌いな食べ物とか?」
「何言ってんの?」
「こっちの台詞だ。話を進展させろ」
「どうぞ」
「どうも。えー……愛おしいというのは、アタシのペットのチビドラゴンのことだよ」
「あーあのアホ面の」
「うぉい! アタシの悪口はともかく、ペットの悪口は許さんぞ!」
「この……バカデビル!」
「いや、ともかくとは言ったけど、その矢先にアタシの悪口言わなくてもいいじゃないの」
「そうね。ごめんなさい」
「構わんさ」
「アホデビル」
「だからわざわざ言わんでええわ。ペットの話をさせろ」
「いいわよ、別に……興味ないから」
「何でお前のさじ加減?」
二人は喫茶店をあとにした。