死にたがり戦士の異世界無双   作:紫 和春

25 / 66
第25話 なんか来た

 クランクで一晩明かした草薙たち。ミーナの調子も良さそうである。

 

「それじゃあ、今日もよろしく頼むよ。ミーナさん」

「はい。お任せください」

 

 そういって草薙たちは再び草原へと向かう。

 

 その道中、草薙はミーナに話しかける。

 

「ミーナさん、その、一人に負担をかけるようで申し訳ないです」

「タケルさんが謝ることじゃないですよ。私にしかできないことですし、私がやりたくてやっていることですから」

 

 ミーナの優しさが、草薙の良心にグサリと刺さる。

 

「それに、私が活躍することで誰かが幸せになれるなら、それ以上の喜びはありませんから」

 

 なんとも眩しい笑顔である。

 

(こういう思いを守っていけたら、どれだけ幸福なんだろうなぁ)

 

 遠い心情に思いを馳せる草薙。思うだけならタダである。

 

 さて、昨日と同じように草原へとやってきた草薙たち。

 

「それじゃあ、配置は昨日と同じで問題ないかな?」

「俺は大丈夫だ」

「私も大丈夫、です」

「自分も問題ないです」

「分かった。それじゃあ行動開始と行こう」

 

 そういってミゲルが足を動かした瞬間だった。

 

 突如として、草原の地面から巨大な火柱が上がる。

 

「な、なんだ!?」

 

 突然のことで、全員その場を動けなかった。

 

『バリアン・ヘキサゴ!』

 

 アリシアを除いては。火柱の前に立ち、防御魔法を展開する。球体状の半透明なバリアが展開され、火柱から全員を守る。

 

 少しして、火柱は消え去った。火柱が上がった周辺は焼け焦げ、草一本も残っていない。

 

「皆、大丈夫ですか!?」

 

 アリシアが確認する。

 

「こっちは大丈夫。タケルたちの方は?」

「こっちもなんとか……」

 

 草薙は驚きすぎて、声を上げずに半分ほど腰を抜かしていた。何とか力を入れ直し、草薙は立ち上がる。

 

「今のは一体……?」

「それはワシの攻撃じゃ」

 

 火柱の上がった方から声が聞こえてくる。草薙たちは臨戦態勢になった。

 

 まだ熱が残っている地面を歩いてくるのは、ガリガリにやせ細った長身の男性だ。

 

「おどれら、あん攻撃でよう生き残っとったな」

「誰だ貴様は」

 

 ミゲルが剣を抜く構えをしつつ、男性に聞く。

 

「あぁん? せやなぁ……、ワシはガンモ。しいて言うなら、暗殺者やのぉ」

「暗殺者? にしてはやることが大々的で悪目立ちしているが?」

「暗殺するにゃあ手段なんぞ選んでられん。ちゃうか?」

 

 そういってガンモは草薙たちに接近する。

 

「誰を暗殺するつもりだ? ナターシャ嬢か? 僕か?」

 

 ミゲルが質問する。

 

「おどれらには興味ない。ワシが興味あるんは……」

 

 次の瞬間、ガンモの姿が消える。と思えば、草薙の前に現れた。

 

「おどれじゃ」

 

 直後、草薙の腹に拳が入る。それにより、草薙の体は後方に吹き飛ばされる。地面を転がり、倒れこんでしまった。

 

「「タケル!」」

「タケルさん!」

 

 ナターシャとミゲル、ミーナの声が重なる。

 

「おぉ、腹に穴開けるつもりで殴ったんじゃが……。それを耐えるとは、ばり頑丈やのぉ」

 

 ガンモは関心するように言う。

 

 それを見たミゲルは問答無用で剣を抜き、ガンモに振りかざす。

 

「ふん!」

「甘いわ」

 

 ミゲルの剣を片腕で受け止めるガンモ。特に防具など付けていないのに、剣を受け止めている。

 

「何っ!?」

「おどれらには興味なか。ワシはアイツさ殺すんじゃ」

 

 ミゲルの剣を振り払うと、ガンモは一目散に草薙の方へ走る。その草薙は、まだ地面に伏していた。

 

「タケル! 危ないっ!」

 

 ミゲルが叫ぶも、もはや草薙との距離は近い。だがそれを阻止した人がいる。

 

『デトネーション!』

 

 ガンモの後ろから指向性の爆轟が、ガンモ目掛けて飛んでくる。爆轟はガンモの背中に命中し、そのまま草薙のいる場所の向こうまで吹き飛ばす。

 

 ミーナの魔法により、草薙はなんとか助かった。ミゲルたちが草薙の元に駆け寄る。

 

「タケル! 大丈夫か!?」

「何とか腹パンで済んだ……」

「出血はしていないが、念のため回復魔法をかけてくれ」

「了解です。『リライブ・ヒール』」

 

 アリシアの魔法によって、草薙の治癒が行われた。

 

 治癒が終わった時、遠くの方でガンモがのっそりと立ち上がる。ガンモの背中には、確かにデトネーションの命中した跡が残っているが、服の一部が焼けているのみであった。

 

「そんな……。デトネーションを受けて生きているなんて……」

 

 ガンモの様子を見たミーナが驚いている。

 

「いてぇなぁ……。ワシにそんな魔法をぶつけんなや」

 

 ガンモはこちらに体を向け、草薙たちを見る。その目は赤くギラついていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。