東方稀幻伝   作:矢矧乙葉

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どーも、矢矧乙葉です。すみません、投稿予約ミスってました。
以後気を付けますッ

今回は「残虐非道な記憶」の意味が分かるかと思います。

今回、死に関する描写がかなり含まれます。苦手な方はご注意下さい。


残虐非道な記憶(2)

 

 11月に入ってすぐ、遂には殺人事件まで起きた。それを知った俺たちは焦った。この状態でいれば、そう遠くない日に俺たちも殺されてしまうからだ。

 分社に避難する計画は予定よりだいぶ繰り上げる事にした。うちの神社には結界が張ってあるため、人を害する思いを持つ者などは結界内に入れないように、火災などは延焼しないようになっている。

 その為、結婚式場や本殿の空いたスペース、倉庫などを開放して、不安な信者さんを早期に受け入れられるようにした。

 

 かなりの人が集まったため、両親はさらに計画を繰り上げ、開放して3日後を計画の実行日とした。移動用のバスや食糧、生活用品を用意していよいよこの狂気からも逃れられると思った矢先にそれは起きた。

 

<稀穂神社・奥宮>

??「準備は終わったか?」

 

 そう話しかけてくるのは、俺の父親で宮司を務める稀穂(きすい)桧紀(ひのき)だ。

 

和葉「あ、父さん。荷物は完璧だよ」

桧紀「よし、じゃあ、宝物殿の呪具の——」

 

 バリィィィン

 

 父さんと話していたら、ふとガラスが割れるような音がした。俺と父さんはその音の正体に直ぐ様気付き、奥宮の外に出て、空を見上げる。

 

 空には、透明で月光が虹色に反射しているため薄ら(うっすら)と見える膜のようなもの、“結界”が張ってあり、それが麓の方から破られていたのだ。

 

桧紀「な、なん、だと?神福結界(こうふくけっかい)が破られたというのか⁉︎」

和葉「マジ、か・・・」

 

 神福結界は丹葉様、詠葉様が張った結界である。丹葉様、詠葉様とも他の神社に出張中で、結界の防御力が多少弱くなっている。とはいえ、神が張った結界を破くということは、奴らには人間ならざる存在が紛れているということだ。ならば、奴らの神という存在も若しくは———

 

桧紀「和葉、和葉ッ」

和葉「あ、父さん?」

桧紀「本殿の方が騒がしい、さっきの結界と最悪の状況かも、いや、最悪の状況に陥っているとみていい。直ぐさま本殿に降りるぞッ」

和葉「わ、分かった」

 

<稀穂神社・上参道>

巫女「あ、ぐ、宮司様。た、大変なことになっておりますッ」

桧紀「夏目さん、やはりか、状況は?」

巫女「結界が破かれたかと思うと、市民の皆さんが、襲撃してきたんですッ」

桧紀「分かったッ、夏目さんは奥宮の者に裏道から逃げるように伝えてくれッ」

 

 市民が襲撃だと?恐らく世界人類進歩教会の信徒たちだろう。こんなテロ紛いの行動を起こすのか⁉︎

 

信徒1「居たぞッ、宮司だ!」

信徒2「やるぞッ」

 

 本殿に続く道から男が4人向かってきた。奴らは血の付いた包丁やら(はさみ)やら、、、血の付いた包丁、鋏?

 まさか、コイツら、、、

 

桧紀「し、仕方ない。稀穂流神術《榊毬(さかきかさ)》ッ」

 

 桧紀が御札を手にそう唱えると、付近に生えている榊の根が伸びて奴らを球状に囲む。まるで木の幹のように太い根に包まれた男達はその鋭利な刃物を突き立てるも、突き破ることが出来ない。

 

桧紀「すまん。和葉、本殿に急ぐぞッ」

 

<稀穂神社・本殿>

 ガチャ

 

桧紀「だ、大丈、夫、、え、、」

和葉「父さん、皆は?、って、、」

 

 本殿の中に入ると其処には、其処には———

 

 250人余りの惨殺された遺体が無造作に転がっていた

 

 ある者は腹を切り裂かれ、ある者は心臓を刺し突かれ、またある者はよく見ないと人間には見えない程、包丁や鉈で切り裂かれ刺さったまま。正に地獄絵図と呼ぶべき光景が其処には広がっていた。

 

桧紀「な、そ、んな、、、双葉、、」

 

 桧紀は足元にある一人の遺体、殺されて尚、その美しさを遺す、和葉の姉、稀穂双葉(ふたば)を抱えて、泣いていた。

 

??「あ、あなた、あな、た、来てくれ、たの、ね」

桧紀「明菜、明那かッ!」

 

 次に本殿の奥から、桧紀の妻であり和葉の母である稀穂神社の巫女長、稀穂明菜(あきな)が現れる。

 

和葉「か、母さん、そ、その血、は?」

 

 明菜の腹からは途轍もない量の血が現在進行形で流れ出していた。

 

明菜「あ、はは。ミスしちゃ、って、刀で裂かれ、ちゃった」

桧紀「そんな、そんな。明菜、もう喋るな、今直ぐ奥宮に連れて手当てする」

 

 俺は分かった、理解してしまった。母さんの腹は、よく見ると紅黑く(あかぐろく)照るモノ、腸がはみ出しており、切り裂かれている。出血量といいもう助からない、この場の医療ではどうやったって間に合わない。それを理解(わか)ってしまったのだ。

 

明菜「ご、めん、ね。あな、たと死ぬま、で一緒、って約束、ま、もれな、かった、わ。で、も、ゴフッ、あな、たも、和葉も、双葉、もみんな、あ、いして、い、た、わ———

 

 明菜はそれだけ言うと、眼の光を失い、心臓の拍動も止まり、息を引きとった。

 

桧紀「あ、明菜、明菜ぁぁ」

和葉「母、さん」

 

信徒3「居たぞッ、死ねェッ」

 

 グサッ

 

 桧紀が放った呪術によって、突然現れた信徒は落ちていた鉈に刺され、死んだ。

 

桧紀「あああアアアァァァァッ!」

和葉「と、父さん⁈」

桧紀「和葉、お前は逃げろッ」

 

 桧紀は御札と斧を手に持ち、近づいてくる集団に最期の役目を果たしに吶喊(とっかん)する。

 十数名を巻き添えにした後、集団に囲まれ、嬲り殺しにされ、殺された。

 

 和葉は、本殿内を歩み、その遺体を見つけてしまう。身体は切り刻まれ、首は顔が分からなくなる程グチャグチャになった親友、松嶋奏多の遺体と、全裸にされ弄ばれて殺されたであろう幼馴染で初恋相手、花巻椿の遺体を。そして、友人、商店街のおやっさん、おばちゃんたち、可愛がってくれた神主たち、遊んでくれた巫女さんたち。

 

 何処を見ても、

死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体、死体

 

 和葉の脳は、其れ等を受け付けられなくなり、どんどん、思考を奪い、狂気を滲ませていく。

 眼から光を亡くして覚束無い足で立ち上がった和葉は、堰を切ったように口にする。

 

殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ怨ム怨ム怨ム怨ム怨ム怨ム怨ム怨ム怨ム怨ム呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ呪ウ殺ス殺ス殺ス殺ス殺スコロスコロスコロスコロスコロス

 

 和葉は持っていた妖刀“怨赫嗟灼(エンカクサシャク)”の五重に掛かっている封印を解いていく。

 

 そして、自身の血を吸わせ、刀を抜刀する。その美しい刃は和葉の血を纏い、緋ヒ刀身へと移り変えていく。

 

 緋ヒ妖気が和葉が放つ黒い呪気と合わさりドス黒いナニカへと変わる。

 

 そして、刹那———

 

 サッ

 

 グチャッ ボトボトボトボト

 

 本殿前で桧紀の遺体を今尚切り裂き、切り刻む テキ を一太刀で肉片へと変えた。ニンゲンの肉片が辺りに散らばり、血液が豪雨の様に、マンホールから吹き出す様に参道を血色に染め上げていく。

 

 其処で和葉は我に返る。

 

和葉「あ」

 

 だが和葉は何にも感じる事は無かった。ただ、テキを殺しただけだ。それだけだ。それ以上も以下も可も不可もない。

 

和葉「ありゃ、“怨赫嗟灼”の封印を解いてしまった。血を拭いて、再封印と」

 

 其処で和葉は気付く、煙臭く辺りが異様に明るく熱いことに。そう、燃えているのだ。本殿も舞殿も社務所も遺体も。

 更に、階段の向こうから更なる怒号が聞こえてくる。

和葉「ごめん、みんな。また、骨は埋めにくるから」

 

 そう言って、和葉は奥宮へ走って行った。

 

<稀穂神社・奥宮>

和葉「皆、本殿はもう駄目だ。直ぐ其処まで奴らが迫ってきてる。今直ぐ脱出するぞ」

神主「は、は。分かりました。行くぞ皆。プランDだ」

巫女「分かりました」

 

 そうして、ザックと近くにあった複数本の妖刀と聖具“奉納刀”を持ち、裏道を進み、脱出した。

 

 それから、バレない様に着替えて、市民に紛れ、皆でバラバラに隣街を目指す。

 

===============

 

 そして今に至るという訳だ。

 

 ふぅーーー。ヤバい、思い出したら腹が煮え切るくらい、何も考えられなくなるくない殺意が沸いてきた。今日はもう寝よう。

 




三話も読んでいただきありがとうございます!
次話から、ストーリーは幻想郷へと移り変わっていきますので是非とも楽しみにしていただきたいです!

基本的に二週間ごと日曜日に投稿すると伝えましたが、書きだめにかなり余裕が出来そうなので、来週も投稿しようと思います。

次回は3月30日の23時に投稿します。
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