97回目の死亡遊戯   作:覚絵テネ

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『バンド・オブ・キャタピラー』はこんな感じで幕を閉じた。

 

参加者150人中、生存者4人。幽鬼、白士、御城、狸狐。

浄火は30の壁を乗り越えられない、凡俗なプレイヤーの一人に過ぎなかった。

試合自体は初心者敗退率が異様に高かった試合として、運営の記録に残された。今後、『7割生存かつ見せ場のあるゲーム』を提供していくための参考にされていく。

その際の運営スタッフが敗退者名簿にある『夢乃真愛』を見たとしても、きっと二束三文の初心者の一人としか思わなかっただろう。彼女の不器用で文字通り血のにじむ努力は運営はもちろんプレイヤー間でも伝承されることはなく、書類の向こうへ遅れていく。

 

 

 

しばらくときが過ぎて、白士はいつものマジックバーで飲んでいた。この前襲撃してきた連中には公序良俗から最も離れた手段で対応したので、またしばらくは安心だ。もう引退する、と決めた身なので、不可抗力でゲームに参加する気などはさらさらなかった。

 

気に触ることがあるとすれば、隣に座っているバカ弟子の文句だった。最近55回目のゲームをクリアしたのだという。労いの一つも欠けてやろうかと思っていたのに、あれこれ調子に乗ったことを言ってくるのでとうにその気をなくしていた。

 

白士はこれはそのうち痛い目に会うな、なんて思う。

この弟子も正真正銘の狂人で、『なんとなく』でゲームに参加してしまう人間だ。

でも、最近は人間臭い部分が増えてきた。

 

「正直、師匠を超えてしまったかもしれません」

 

はにかむ面を横目に、次のカクテルを注文。すぐに飲み干すことを見越して、待っている間さらにメニュー一覧が乗った木版に目を滑らせる。こんなに飲んだのは、97回目に無理やり参加させられたあの日以来だった。

 

「フン。あのゲームで私に助けられなきゃ2回死んでたぞ。」

「……なんの話です?」

 

白士は額を擦る。彼女の体は一見して不死者同然だが、それでもダメージは蓄積し続ける。ある少女が額にナイフを突き立てた挙句、それをさらに奥深くねじ込んで頭を四散させるという蛮行をやってくれたおかげだ。

 

『私を認めろ、白津川真実ィィッ!』

 

あの叫び。

白士は人生であれだけ何かに本気になったことがあっただろうか。

あの情熱を死亡遊戯以外に向けていれば、もしかしたら大成したのかもしれない。

......なんて、希望的観測か。

大したゆかりもない後進に「こうあってほしい」なんて老化の現れだ、やめやめ。

 

「……馬鹿弟子よりよっぽど一生懸命なプレイヤーが居た。それだけの話だよ。」

 

それはきっと、道化を演じた少女にとって最高の報いだった。

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