【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く   作:風見ひなた(TS団大首領)

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第113話「鋼メンタルで誰もが欲しがる人質を取り抜く」

「ちょっと待ってよ。僕はこうして戻って来たんだし、もう十分でしょ。ゴブリンを皆殺しにする必要なんてないじゃないか」

 

 ゴブリンを根絶やしにするなんて恐ろしいことを言い出したドラパパに、僕は念話で訴えかける。

 僕を助けるための陽動でゴブリンを襲ったはずじゃないの? それならもう目的は達したんだから撤収ってことでよくない?

 

 しかし、念話の向こうからはドラパパがゆっくりと頭を横に振る気配が伝わって来た。

 

「先生、そういう問題ではない。ゴブリンは万民にとっての敵性種族であり、無条件に殲滅すべき存在なのだ。確かに我々はこれまで家畜を盗む程度の悪事なら見逃してきたが、それはわざわざ人手を出して討滅するほどのコストをかけるに見合わなかったから。機会があれば当然滅ぼす、それは当たり前のことなのだよ」

 

「そんな……」

 

 思わず言葉を失っている僕に、この話はここまでとばかりにドラパパが続ける。

 

「さあ、早くそこから退避してくれ! 我が息子よ、先生を連れて上空に上がるのだ。いつまでも地面にへばりついていては巻き添えを食うぞ!」

 

「う、うん。でも先生は何か言いたいことがあるんじゃ……」

 

「急げ! ああそこの、勝手に攻撃をしようとするんじゃない! 息を合わせろ!」

 

 そう言い捨てて、ドラパパは強引に念話を打ち切ってしまった。

 くそっ、どうなってるんだ? 誰も彼も、一刻も早くゴブリンを滅ぼしたくて仕方ないって感じじゃないか。

 無条件に殲滅していいだなんて、そんな無茶苦茶な話があるかよ。

 相手を見つけ次第殺しにかかるなんて、それじゃまるで……。

 

「それじゃまるで、戦争じゃないか……!」

 

 胸のモヤモヤを吐き捨てた瞬間、その場の全員がぽかんとした顔でこっちを見た。

 ……いや、共感性が機能してない僕でも、さすがにわかるよ。自分がとんでもなく空気を読めてないことを言ったってことが。

 

「こいつ何を言ってるんだ? 真性のアホか?」

 

 デアボリカが頭の横で指をクルクルと回しながら、馬鹿にしきった眼でこっちを見た。

 む、ムカつくわぁ……。

 でも多かれ少なかれ、みんな同じことを思ってそうではある……。

 人格者のアミィさんですら何か動揺したような眼をしてるし。

 

 僕が戸惑っていると、ウルスナがひどく真面目な顔で僕の両肩に手を置いた。

 

「ユージーン、外から来たお前は知らなかったんだな。そうだよ、俺たちは戦争をしてるんだ。人類とゴブリンは、大昔から戦争状態にある。親の親のそのまた親の、数え切れないほど昔の先祖の諍いと憎悪を引き継ぎ続けている。少なくとも1300年以上は。だからお互いを無条件に殺すことに、今更誰も違和感を持たない。きっと世界が燃え尽きる日まで、この殺し合いは終わらないだろう。今回の戦いも、その長い長い戦争のほんの一幕に過ぎないんだよ」

 

「……」

 

 ああ、そうか。そういうことだったのか。

 僕はようやく理解した。普段は温厚な僕の奥さんたちや、ドラゴンがゴブリンに見せる強烈な敵意。話し合いの余地もなく殺しにかかる理由を。

 ただ僕を誘拐されたからというだけに留まらない、殺さなければこちらが殺されるという意識。

 それは戦場で敵国の兵士に向ける殺意とまったく同質のものだったのだ。

 

 平和ボケした日本人の僕には、戦争というものがまるでピンと来てなかった。

 相手の領地が欲しいから襲うね、散々相手の兵士をやっつけたら手打ちで握手して仲直りだね。そんな雑な戦略SLGみたいな感覚しか持ってなかった。

 

 そんなわけがないのだ。戦えば誰かが死に、残された誰かの悲憤は新たな憎悪の種となり、誰かの血を求めて毒々しい深紅の華が開く。

 それをずっとずっと続けていけば、やがて先祖がずっと戦ってきた相手だからというだけで殺し合うことに疑問を抱かなくなる。相手を殺すことが正義だとすら思えるようになる。

 民族紛争とはそういうもので、誰にも止めようがない泥沼だ。高校の頃の歴史の先生がそう言っていた。

 そのときの僕はまるで理解できてなかったけど、今実例を目の前で見てわかったよ。これは本当にどうしようもないものだって。

 

 冒険者ギルドでゴブリンがバカで会話も通じない残虐なモンスターだって言われてた理由もわかる。

 あれはプロパガンダなんだ。人間と同じく知性を持ち、言語さえ通じれば会話だってできる相手を躊躇なく殺せるようにするための。

 ……いや、確かにモンスターではあるんだろう。だが、それは。

 

「なあドラコ、確認するよ」

 

「何?」

 

「ドラゴンやゴブリンって、魔族だよね。大角ウサギが原種のウサギから分岐してモンスターとして進化したように……。魔族というのは、人間がモンスター化した種族……その総称なんじゃないの?」

 

 まっすぐにドラコを見つめて、僕は推論を投げかける。それは僕がこの世界に転移してから半年間、蓄積された情報から導き出された仮説だった。

 

 ドラコはしばらく無言で僕を見つめ返していたが、やがてふうっと小さな溜息を吐いて頷く。

 

「そうだよ、先生。ドラゴンもゴブリンも、大昔に人間から分岐した種族だ」

 

「って、大約定違反ー!?」

 

 僕の仮説を素直に認めたドライグの王子(ドラコ)に、ゴブリンの女王(ポピーちゃん)が目を剥く。

 

「な、な、何を話しとるんじゃ! ガキにはわかっとらんかもしれんが、それは絶対に口にしてはならぬ禁忌じゃぞ! 各種族の王族しか知ってはならぬ情報で……」

 

「わかってるよ。わかったうえで、先生はこの事実を知っているべき人だと思ったから話してるんだ」

 

「む、むう……。ロックスター、そこまでドラゴンの信頼を得ておるのか……。まあ確かに、何でも話しちゃいたくなる人ではあるけどぉ」

 

 なんか前にも出たな、“大約定”ってワード。

 これ庶民は知ってちゃいけない感じの情報なの? いや、確かにモンスターだから殺せと言われてるドラゴンやゴブリンが実は人間の親戚……というかひとつの人種であるって知れ渡っちゃったら、戦いにくくはなる気がするけど。

 でもそれは人間の都合であって、ドラゴンやゴブリンの側も秘密にしてるのは何故だろう?

 

 少なくともウェズ君は魔族なんて見たことないって言ってたから、ジェントリ程度の貴族はこの事実を知らされてないんだろうな。

 アイリーンは口元に手を当ててびっくりしてるし、アミィさんも眉をぴくりと動かしている。

 ウルスナは平然としてるから、高位貴族なら知ってるっぽいね。

 

「あー! あー! 私は何も聞いてないー! 巻き込むなー! 厄ネタに私を巻き込むなー!」

 

 デアボリカは耳に手をあててなんか喚いている。

 この情報をネタにのし上がる野望より、保身が上回ったようだ。まあどうせうまい汁を吸えると見たら掌を返すんだろうけど、確かにこれは知ってた方が損しそうな話だな。

 

「それで、ユウジ。どうして今、その情報を確認したんだ?」

 

 こちらを観察するような視線を向けて来るアミィさんに、僕は頷き返した。

 

「うん、元は同じ人間だっていうのなら、どこかに妥協点があるんじゃないかって思ってね。僕はこの戦争を終わらせたいんだ。ゴブリンにもドラゴンにも、これ以上傷ついてほしくない」

 

「……東洋人の貴方は何も知らない余所者だから、そんな勝手なことが言えるんです、ロックスター。1000年以上も続いた戦争です。もう誰にも止められない。今更個人がどうにかして終わるものではありません。私たちはここで死ぬしかないのです。さあ、早くお逃げなさい。ここにいてはドラゴンに殺されてしまいますよ。貴方だけでも、どうか……」

 

 僕の言葉に、ポピーちゃんは冷笑を返す。そこには何もかも諦めきったような色が滲んでいた。

 そんな彼女の言葉に、僕は小首を傾げる。

 

「でも、どうして争ってるのか本人たちも忘れてるんでしょ? じゃあ戦争を続ける理由もないじゃないか」

 

「え……いやでも、ドラゴンから家畜を盗んだりとかしてますし……。私たち男が産まれないので、よその種族から奪うしかないので……他種族と相容れないというか」

 

「それは食うに困ってとか、男の身代金払えないからとかでしょ。とりあえず話し合いのテーブルにつこうよ。落ち着いて話し合ったことは一度もないんじゃないの? 話が通じないって諦めるのは、お互いの腹の内を明かしてからでも遅くないと思うよ」

 

「え……えええ……?」

 

 僕の言葉に、ポピーちゃんはぽかんとした顔をした。

 

 うん、確かに僕は何も知らない余所者だよ。東洋人どころか、なんなら異世界人だからね。だけど完全な余所者だからこそ、これはおかしいでしょって指摘できる。岡目八目ってやつだね。

 民族紛争の当事者の全員が今更やめられないって言うんなら、部外者が空気読まずに割って入って仲裁してやりましょう。

 だって僕、人間にもドラゴンにもゴブリンにも、死んでほしくない人がいるからね。

 

「こんなバカげた戦争は、今日で終わりだ! 仲裁しに行くぞ!」

 

「ふふ……私の夫は、本当に面白いな。いいぞ、私はその話に乗った。私にできることがあれば言ってくれ」

 

「マジかよ……」

 

 ウルスナは額に手を置いて瞳を閉じていたが、やがて僕の顔を見て頷いた。

 

「しゃーねえな、夫のワガママを聞いてやるのが妻の甲斐性だ。俺も手伝うぜ」

 

「あたしも! あたしもやる!」

 

「先生……。まったく、頭どうかしてんじゃないの? 仕方ないな、どうせボクがいないとここから移動もできないでしょ。手伝ってやるから、ボクにできることなら何でも言いなよ」

 

 ウルスナとアイリーンに続き、ドラコがいやいやだからなと言わんばかりに協力を申し出てくれた。ん? 今なんでもって。

 

「はー? 好きに殺し合わせときゃいいだろうに、お節介な奴だ。私は一銭の得にもならんことに付き合うつもりはないぞ。私の関わりのないところで勝手にやってろ」

 

「いや、別にデアボリカには頼んでないんだけど……。じゃあお前はここでゆっくりしていっていいよ。ドラゴンのブレスで焼かれないといいね」

 

「わ、私もゴンドラに乗るに決まってるだろ! 見殺しにする気か!? この非人道! 人非人! 血も涙もない奴だ! 恥を知れ!」

 

 お前はとっくに運命共同体なんだぞ。今更(ゴンドラ)を降りられると思うなよ。

 

「そんなわけで、僕はとりあえずドラゴンを止めに行くよ。ポピーちゃん、ここで吉報を待っててね」

 

「ロックスター……。貴方は、どうして私たちの味方を……?」

 

「別にどっちかの味方をするわけじゃないよ。ドラゴンもゴブリンも、同じくらい大事だ。どちらにも傷ついてほしくない。僕はそのワガママを通したいだけなんだ」

 

 ポピーちゃんはそんな僕の顔を、ただ黙って見つめていた。

 

「だけどユージィ、どうやってドラゴンを止めるの? それにもしドラゴンの攻撃を止められても、今度はゴブリンの側がドラゴンを攻撃するんじゃないの?」

 

「うん、それは……ノープランだね……」

 

 僕の返事に、一同ががくっと肩をコケさせる。

 僕にそんな大層な作戦を考え付くような頭があるわけないだろ!

 本物の聖者ならここでぴかーっと光って神秘のパゥワーで戦争が止まったりするのかもしれないけど、僕はなんちゃって聖者だからね。

 自分のワガママを口にすることしかできないのだ。自分で言っててすっごく無能!

 

 そんなだらしない僕をフォローしようと、お嫁さんズが顔を見合わせて案を口にしてくれる。

 

「あたしがドラゴンの攻撃をバリアで防御するとか……さすがに自信ないけど……」

 

「しゃーねえ、俺が大魔術ぶっぱして注意を引く。その隙に黒王に話しかけてだな」

 

「ううむ……。どちらもさすがに無茶が過ぎるだろう。個人でどうにかできる範囲の問題を越えているぞ。白旗を掲げて黒王閣下と直談判する方がまだマシではないか? 使者はホウキに乗った私が引き受けよう」

 

 そんな喧々諤々の議論を交わすお嫁さんズに、横からプフーッと笑みを浴びせる影がひとつ。

 

「やれやれ……所詮平民の考えなどこの程度か。アミィ姉様も頭がお固いようで」

 

「んだよ、横からしゃしゃり出てきて偉そうに……。じゃあお前に考えがあるってのか?」

 

「あるとも、何せ私はココの出来が庶民どもとは違うからねぇ」

 

 デアボリカはコツコツと人差し指で額を叩いて、不敵に眼鏡を光らせる。

 

「世の中には人質という概念があるのだよ諸君! こちらにはドラゴンの王子がいるじゃあないか! 彼を盾にすればドラゴンはこちらに指一本、ブレス一息触れることもかなわないだろうさ!」

 

「ま……」

 

『マジかよ……!!』

 

 その場の全員が一斉に声を上げる。

 

 こいつマジか。よりにもよってドラゴンの王子本人の前で、こいつ盾にしようぜとか言い出しやがった!!

 ドラコは僕たちの家族なんだが? というかお前仮にも一か月同じ屋根の下で暮らして、よくもそんなこと言えるな。本当に人間の血が通っていらっしゃる方なの?

 

 アイリーンがドラコをぎゅっと抱きしめ、無言で庇った。

 ウルスナは軽蔑し切った視線を向け、アミィさんは無表情に底冷えのする殺気を漂わせている。

 ポピーちゃんですらドン引きしてるじゃねーか。

 

 そんな空気を察する様子もなく、自分のアイデアに酔ったデアボリカはぺらぺらと舌を回している。

 

「そしてさらに、こちらにはゴブリンの女王までいる! これでゴブリンの攻撃も封じられるぞ! どうだ、これで平和的に交渉のテーブルに就かせられるだろう? ここまで効果的な取引材料が揃っているとは、まさに僥倖。天の配剤というものだな!」

 

 両陣営の首脳とその家族を人質に取っておいて、何が平和的な交渉やねん。

 というかポピーちゃんの毒そろそろ抜けてるけど、お前殺されない? 大丈夫?

 

「いや……わらわを人質にしたところで、ゴブリンは攻撃をやめたりはせんぞ。わらわが捕虜になったら容赦なく殺して次のクィーンを選ぶように、普段から言っておる」

 

 ポピーちゃんの言葉に、えっ……と眼鏡をずり落としながらデボ子が間抜けな声を上げる。

 

「ドラコを盾になんて絶対させないから!」

 

「それで平和な交渉になるわけねーだろ、この血も涙もない人非人が! 貴族の誇りの欠片すらもない外道の発想ですわ! 恥を知りなさい!」

 

「戦争にも作法というものがあるぞ。やはり今からでも衛兵隊に入れて教育すべきか?」

 

 被せるようにお嫁さんズにガンガンに叱られ、デアボリカはううっと涙目になった。

 

「ち、ちくしょー! 人が案を出してやったら否定ばっかりしやがってよぉ!」

 

「いや……だけど、悪くはない案だと思う」

 

 僕の言葉に、えっとその場の全員の視線が集まる。

 正攻法でなんとかなる状況じゃないんだ、絡め手は絶対に必要となる。

 人質を取るというのは決して悪くはない考えだ。

 問題は人質を取られた側の心中が穏やかではないこと。人質にされても誰の心も痛まず、しかしみんなが価値を認めている人物こそ盾として最良なのだ。そんな都合のいい人物とは……?

 

「ユウジ、お前にしては珍しく話がわかるじゃないか。言ってやれ言ってやれ、このデアボリカのすばらしい神算鬼謀の価値を!」

 

「うん。デアボリカの言う通り、人質を盾にして両陣営を交渉のテーブルにつけよう。人質にするのは……この僕だ」

 

「は?」

 

 なんだ、聞こえなかったの? じゃあもう一度言うね。

 僕は満面の笑顔で、デアボリカの肩をがっちり掴んだ。

 

「僕を盾にすれば、ドラゴンもゴブリンも攻撃できないよね? 犯人も人質も僕なんだから、相手陣営へのヘイトもたまらない。僕こそが最良の盾なんだ! ……さあ、というわけで今からドラゴンの一斉射撃の前に割って入るぞ! もちろんデアボリカにも手伝ってもらうから、ヨロシクね!」

 

「……い……いやああああああああああああああああああああ!!! 降ろしてえええええええええ!!!」

 

 

 

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「よし……カウントダウン開始。10……9……8……7……」

 

 黒王がゆっくりと秒読みするのを、ドラゴンたちはすうっと息を吸いながら聞いた。

 下からはゴブリンたちの氷の槍が散発的に飛んできているが、もはやここまで来れば勝利は目前。避けるまでもない。

 

 小癪な小鬼どもめ。よくも我らドライグに立てついてくれた。

 精霊石を採掘するときもちょこまか妨害してくれやがって、実に目障りだった。

 本来ならば精霊石など自然の産物、勝手に生えてくるものだ。それを我が物顔で独占しようなどと、身の程知らずにも程がある。

 ここで貴様らに引導を渡し、長年の因縁に決着をつけてくれよう……!

 

 さあ、これで終わりだ……!

 

 ドラゴンがブレスを吐こうとしたその瞬間。

 巨大な赤い影がさっと彼女たちの目の前に舞い降りた。

 

「な……なんだ!?」

 

「わ、若様! どうしてこんなところに! そこは射線上です、お退きください!」

 

 ドラゴンたちが悲鳴を上げるが、彼らの若君であるドラコはまるで意に介していない。

 それどころか彼は堂々とした素振りで、手にしたゴンドラを見せつけるように掲げた。

 

 その瞬間、ゴンドラから青い光線が上空に向かって何本も発射される。

 すわ、ゴブリンの氷魔法か! ドラゴンたちは慌てて身構えるが、そのビカビカとした光線はドラゴンたちの方向には向けられることなく、それどころか一切の攻撃性能を持たないようだった。

 ただ光らせるだけの光線に一体何の意味が……?

 生まれて初めて見るハイビームに、ドラゴンたちはただ呆気にとられた。

 ドラゴンだけでなく、地表から見上げるゴブリンたちも、赤いドラゴンの謎の行動を唖然と見上げている。

 

 両陣営の注目が集まるなか、ドラコは沈黙を保ったまま光線を放ち続けるゴンドラを掲げ続ける。

 やがてその沈黙が限界に達したとき、ゴンドラから凄まじい大音声が響き渡った。

 

『今日は僕のゲリラライブに集まってくれてありがとう! ドラゴンもゴブリンも区別なく、今宵は楽しんでいってほしい! それじゃいくぜ、僕の歌を聴けえええええええええ!!』




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