【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く 作:風見ひなた(TS団大首領)
「え? どういうこと? リイダさんが何でも知ってるのは、千里眼じゃなかったの?」
僕の言葉に、アイリーンが小首を傾げる。
「そうだよ。リイダさんは【千里眼】なんかじゃない。アイリーンが結婚するって知ってたのは、結婚式の招待状が届いてたから知ってて当たり前なんだよ」
僕の言葉に、ウルスナとアミィさんはほほうと感心の声を上げる。
リイダさんは観念したように両手を上げると、小さな溜息を吐いた。
「驚いたな……。そこまでお見通しとは、とんだ名探偵が身近にいたものだ。私の術も見破るし、いったい君は何者なんだ?」
「その質問をする時点で、あなたが【千里眼】じゃないことの証明ですよ」
「確かに。東洋から来た聖者と聞いていたが……やはり君は只者ではなかったようだ。魔女だ何だと言われて調子に乗ってはいたが、私以上の神秘はいるものだね」
リイダさんは薄く笑うと、ゆっくりと首を左右に振った。
うん。
なんか僕を買い被ってるような気がするけど、まあいいか。
ちなみに僕がリイダさんを【千里眼】じゃないと見抜いたのには理由がある。
さっきから千里眼に【】つけてるけど、【千里眼】とか【地獄耳】とかってチートがあるんだよ。カタログに載ってた。
その内容はこの世のすべての情報が無差別に目や耳に流れ込んできて頭がおかしくなるんで、【精神耐性】も同時にとって防御必須というとんでもない地雷能力なんだけど。
最初はリイダさんも実は僕と同じ転生者で、【千里眼】を取得してるのかなと思ったんだけど、【精神耐性】を持ってるにしては共感性を失ってなさそうだったしね。
そもそも、【千里眼】を持ってるなら僕が現代日本から転生してきたって素性がわかるはずなんだよ。だけどリイダさんは僕の素性をさっぱりわかってなさそうだった。
ということは、アイリーンの結婚と同じく、ウルスナの素性を言い当てたのは前から知っていただけということになる。
「じゃあ改めて訊くけど、リイダさんはどうして老婆に化けてアイリーンを教育してたり、ウルスナの素性を知ってたりしたの?」
「……わかったよ。このタイミングで訊かれたのも天の配剤かもしれない。本来はアイリーンが一人前の冒険者となってから伝えようと思ってたが」
諦めたように、リイダさんはさてどこから話したもんかな……と呟いた。
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まず、海を挟んだ隣国のシャルスメル王国にはルイズという名の女王様がいる。
元々名君が多い一族だけど、十四世となる今代は特に太陽王と名高い王様らしい。
彼女の統治の元、シャルスメル王国はかつてない繁栄を迎えているという。今や日の出の勢いで海洋帝国となった大ブリシャブ帝国をもってしても睨み合い続けるしかないという、最強の陸軍国家なのだそうだ。
「え? 何の話? リイダさんの話を訊いてるんだけど」
「話の枕って奴だよ。ちゃんとアイリーンの素性につながるから、黙って聞いててくれ」
ふーん。
この人、多分太陽王と名高いルイ十四世のことだよね? 貞操逆転してるようだけど。こっちの世界でも地球の歴史に似た人っているんだ。
まあ僕はルイ十四世が何をした人なのか知らないんだけど。世界史選択しなかったからなあ。僕みたいな門外漢でも名前は知ってるんだから、すごい人だったんだろうな。
さて、ルイズ十四世はわずか4歳で即位して、王様として君臨すること今年で58年。
「朕は国家なり」という言葉で知られるほど強い王権を持ち、絶対的な君主としてナーロッパ大陸の覇権を握り、国内に未曽有の繁栄をもたらしている。
62歳になっても現役でブイブイ言わせているんだから大したばあちゃんだね。
「だけど光が強ければ、同時にその陰も強くなるものだ」
シャルスメル王国には、厳重な警備で知られる監獄がある。一度入ったら絶対に出られないと言われる場所だ。
その監獄には、鉄仮面を被せられたひとりの囚人が収監されている。
正体は一切不明、ただ鉄仮面を被せられてその素顔を見ることは誰にも叶わない。囚人でありながら、看守たちはその人物を貴族であるかのように扱うそうだ。
さて、この人物の正体は何者なのか。
彼女を知る人物は、さまざまに噂をした。
が、その人物が妊娠したことまでは誰も知らない。誰の胤なのかもわからない。看守は全員女性だったはずで、男性が近付けたわけもない。
何人たりとも接触できないはずの牢獄内。暗闇の中で、鉄仮面の女性が一人の赤子を産み落とした。
「大体40年ほど前の話だ。私は当時、ルイズ十四世に仕える魔術師だった。まあいわゆる宮廷魔術師というやつだよ。私を呼び出した陛下は、その赤子を殺せと命令した。死体は誰にも見つからぬように処分しろと」
「40年前!? だってリイダさんそんなに若いのに……」
「見た目だけはね。そして冷酷な魔女だった。陛下が命じるなら、どんな汚れ仕事も唯々諾々と従った。暗殺、毒殺、虐殺……。わずか4歳で王位に上がった陛下には、敵が多かった。裏の仕事はなんでも片付ける私は、陛下の信頼できる“手”だった。だが……」
赤子を前にしたリイダさんは、しばらく考え込んだ。
リイダさんはそれまでにも散々罪なき人々を殺してきた。無力な男子供も命令とあらば容赦なく手に掛けた。しかし……。
母親と引き離されて心細かったのだろう。小さな手でリイダさんの手を握り締めながら、母親を求めて泣く赤子。その無垢な命を奪うことが、何度やろうとしてもできなかった。
その日のうちに、リイダさんは赤子と共に姿を消した。
赤子の死体は誰にも見つからぬよう処分せよということならば、殺さなくても永久に誰にも見つからなければいいということ。
「自分でもどうかしてると思うよ。赤子の命なんてどうでもいいじゃないか。宮廷魔術師を続けていれば、今頃いい生活をできてただろうにねえ。だけど私には、どうしてもそれができなかったんだなあ」
宮廷魔術師を辞したリイダさんは、赤子と一緒に辺境の地で暮らし始めた。
慣れぬ子育てに振り回されながら、リイダさんは赤子の育ての母となったのだ。
それから数年。赤子はみるみるうちに大きくなり、美しい少女に成長した。
「そして私はどうして陛下が赤子を殺せと言ったのか。鉄仮面の女性の正体は何者だったのかを悟った。なにせその少女は、幼い頃の陛下にそっくりだったんだからね」
ルイズ十四世には双子の姉妹がいた。だが、その子は死産だったという。
違うのだ。死産ではなかった。
鉄仮面を被せられ、陽の当たらぬ牢獄の奥深くに幽閉されたのだ。わずか4歳で即位した、双子の姉の密命によって。
「シャルスメルに太陽は二つは要らぬ。そういうことだったのだ。殺さずに幽閉したのは、双子の姉妹へのせめてもの情けか。あるいは、もし幼くして王になった自分に何かあったら、というときのスペアだったのか。今となってはわからないことだけど」
だが、双子の姉妹は生かしておいても、その子供まで生かしておく必要はない。だから最も信頼できる腹心であるリイダさんに、その子の抹殺を命令した。
だけどリイダさんがその命令に反して、子供と共に逐電するとまでは読めなかった。
「絶対にこの子の正体を知られてはならないと思った。周囲にも、本人にも。シャルスメルの王宮は伏魔殿だ。陛下の代わりに王にと、この子を担ぎたがる者はいくらでもいる。私は必死に娘を情報から遠ざけ、辺境の地で市井に埋もれるように仕向けた。だけどね。娘には膨大な魔力、才能、容姿、王室に伝わるすべてが遺伝していた。放っておいても、才能ある人物というのは世に出てきてしまうものなんだよ」
そこでリイダさんは当時を思い返したのか、少し微笑んだ。
「口喧嘩もした。王都で冒険者として一旗挙げるんだと主張する娘と、絶対に失敗するから田舎で静かに暮らしていろと主張する私。反抗期になると、娘の魔力もすごくてね。うっかり手が出て、家の中で魔術合戦になってさ。部屋がぐちゃぐちゃになったもんだ」
そしてとうとうリイダさんは諦めて、冒険者になりたいという娘の希望に同意した。
ただしシャルスメルのさらに隣国で活動し、自分も仲間としてついていくという条件で。
どうあっても娘がシャルスメルに近付くことだけは避けねばならなかったし、そのためにそばについて全力でシャルスメル行きを阻んだ。
「そんなお邪魔虫がついてきたというのに、娘は喜んでね。『母さんが一緒なら何も怖くないよ!』なんていうんだ。愚かだよねえ、何も知らずに。だけど、それを聞いて嬉しくなってしまった私は、もっと救いようがないな」
そして旅の果て。
その数年間のうちに紆余曲折の冒険があったはずだけど、その詳細はリイダさんは語らなかった。
娘はある男性の胤を孕み……そしてその子を産んで亡くなった。産褥熱だったという。
「『母さん、この子のことをお願いね』。それが娘の最期の言葉だった。……もうわかっただろう、アイリーン。そのとき産み落とされたのが、お前なんだ」
「え……! だ、だって! 私は孤児院育ちで……!」
「また子育て? ガラにもない、そもそも私は魔女だよ? それがそこらの母親みたいに……ちゃんちゃらおかしいね。だから、信頼できる牧師が経営してる孤児院に押し付けたのさ。この人ならちゃんと育ててくれると思ったからね。私の娘は……たった一人、あの子だけなんだ」
想像する。共感性を失った僕だけど、想像力をフル活動させる。
もしリイダさんの手元でアイリーンが育ったら。きっと可愛いだろう。ちょっとしたことにも喜んだり、笑ったり、賑やかな日々が待っているだろう。
そしてその表情のすべてから、愛する娘の面影を読み取ってしまう。それはきっと、リイダさんには耐えられないことでもあったのだろう。
「私は老女に身を変え、ひっそりとスラムに住んで薬師をやりながら、お前を物陰から見守るつもりだった。だから驚いたよ。『おばあちゃん、物知りなんだって! あたしに魔術を教えてよ!』幼いお前はそこのドアを乱暴に開いて、開口一番そんなことを言ったんだ」
「あれは……まだ小さかったから、怖いもの知らずで……」
アイリーンは頬を染めて、もじもじと俯く。
ああ……言いそう……。
「なるほど。宮廷に勤めてたっていうなら、アイリーンのテーブルマナーがちゃんとしてるのも道理だな」
「魔術以外にも、いろいろ仕込んだからね。この子が将来何になるにしても、教えて損はないと思ったし」
「そして、アイリーンが冒険者になると決めたら、今度は冒険者としてアイリーンの導き手になったわけか」
「まあね。こんなスラム育ちの無垢なガキが、冒険者なんて危険な仕事をやってけるのか疑問だったしね。まあからかうのも面白かったさ」
そう、リイダさんは冷笑した。
うん。
過保護だ……!
本人はいたって飄々とした態度だけど、めちゃめちゃアイリーンのことを心配してるのがわかる。子供の頃から老婆の姿で教育したり、正体を隠してパーティメンバーに加わったり、すさまじい執着っぷりだ。
「リイダさん……」
アイリーンは複雑そうな顔でリイダさんを見つめている。意地悪なパーティリーダーだと思ってた人が、実は師匠でもあり、亡き母の育ての親でもあった。感情の整理が追い付いていないのだろう。
そんなアイリーンを心配そうにちらりと横目で見てから、ウルスナはリイダさんに向き直った。
「で……。なんでアンタは俺の素性を知ってるんだ?」
「ああ。私がシャルスメルの宮廷魔術師だったってことはさっき言っただろう? だから私にはシャルスメル王国内に、まだツテがある。それ経由で噂話を聞いたんだよ、20年ほど前、陛下の御子が庶子を産んだってね」
あれ? また全然関係ない話をしてるような。
ウルスナも何の話?という顔をしているけど……まあ黙って聞こうか。
ルイズ十四世には、娘のルイズ王女という人がいる。
ルイズ十四世が年老いても全然退位する様子を見せないから、王女と言ってももう中年だそうだけど、皇太子はその人ってことになるね。
で、その皇太子は若い頃妊娠したが、そのことは周囲には伏せられており、大病を患ってみんなの前に姿を見せられないとされた。
その理由が、相手の男性の身分が一介の平民であったから。
どういう経緯で王族が平民と恋に落ちたのかわからないけど、ともかくルイズ王女は平民との間に子を為した。
これがルイズ十四世の激怒を買った。
孫なんだしおめでたくらい祝福してやれよ……と思うんだけど、ともかく相手の男性は処刑されたし、赤子は殺されこそしなかったけど、王宮から追放された。ルイズ王女は我が子に会うこともできず、今は別の貴族と再婚させられているという。
さて、ルイズ十四世には信頼する家臣がいる。王家に忠実に仕え、外敵から王国を守り抜いているゴルディエ辺境伯家だ。
件の赤子は、本人にも正体を知らされないまま、その家の末子として育てられた。
「まさか」
「そうだよ、もうわかっただろ? その赤子がウルスナ、君なんだ」
アイリーンの素性を明かしたときに比べれば幾分そっけなく、リイダさんは語った。
「君が流れの冒険者として酒場に姿を現したときは目を疑ったよ。ルイズ王女の若い頃のお忍び姿を見たことがあるが、あれとそっくりな女が、よりにもよってアイリーンのいるこの街に流れ着いたんだからね。こんな数奇な運命があるのかと思ったものだ。……私の話を疑うかね?」
「いや……」
ウルスナは首を横に振り、神妙な顔つきで自分の手を見下ろした。
「思い当たることが多すぎます。お母さまがわたくしに冷たかったのも、わたくしが幼い頃からしっかり教育を受けさせられたのも、赤子を産むことが務めだと言い聞かされたことも。王家に何かあったとき、王家の傍系として血脈を紡ぐためといえば、すべて納得がいきますわ」
「そうか。さて、ユージィ君。ここで君に訊きたいのだが」
リイダさんは打って変わって真面目な顔つきになると、おもむろに僕の方へ向き直った。
「私はすべてを話した。アイリーンもウルスナも、かつてシャルスメル王宮から弾き出された赤子だ。その上で問うが……君は本当に明日の結婚式でこの二人に夫として迎えられるのか? 王位継承権こそないが、だが明らかな厄ネタだぞ。きっと君が想像もつかないほどの苦難に巻き込まれるかもしれない。本当にそれでいいのか?」
リイダさんはずいっと僕に近づくと、鬼気迫る顔つきで問うた。
「破談にするなら今だ。誰も君を責めたりはすまい。シャルスメル王家の威光とは、太陽の下に隠れた闇とは、それほどまでに深いものなのだから」
アイリーンもウルスナも、沈痛な面持ちで顔を伏せる。
思ってもいなかった自分の素性の秘密、そしてそれがもたらす害に怯えているのだ。
僕は……。
「いいよ? 世が世ならお姫様様扱いされるような女の子がお嫁に来てくれるんだよね。男性としてこれ以上の冥利はない、最高にラッキーだよ!」
あっけらかんと笑う僕に、リイダさんは信じがたいものを見るように目を剥いた。
≪説明しよう!
ちなみにこの情報はアイリーンが自分の出生の秘密を受け入れられるほどの力を身に着けたとリイダが判断したときに告げられ、少年冒険漫画のような王道ストーリーが始まるはずだった!
だがこのド淫乱聖者が挟まって来たせいで、完全に別ルートに入ってしまったのだ!≫
お姫様が嫁に来てくれるなんて、最高にボッキもんだぜ!!
まあそれはともかく、ウルスナって気品ある顔立ちしてるけど、アイリーンも負けず劣らずの美少女だなーと思ってたが……。どっちも王族出身だったんだね。
もちろんいいとも、お姫様を嫁にするなんて最高に異世界転生してるじゃん! やっぱり異世界転生はこうでなきゃ! お姫様との結婚はオタクの悲願だよ! その夢のためなら
「どんな災難が降りかかって来ても、全部跳ね返してやるよ。こっちはドラゴンの里やゴブリンの巣からでも生還した実績持ちだよ? 王宮の闇なんかどうってことないね」
「ユージィ……!」
「ユージーン……!」
アイリーンとウルスナは涙を浮かべながら僕を見つめている。
そんな二人を見て、アミィさんも鼻を鳴らした。
「私も力になるさ。一度妹とみなした相手を見捨てられるほど、私は不義理じゃない。一家団結して乗り切っていこうじゃないか」
『アミィさん……!!』
はぁ……アミィさんってやっぱカッコいいなあ。僕が女性なら惚れるわ。いや、男性の今でもメロメロだな。つまりアミィさんは最高ってことだ。
「ふぅ……忠告したつもりなんだけどね。君がそう言うなら、それでいいさ。警告はしたよ、後は君たちの好きにしたまえ」
リイダさんは肩を竦め、アイリーンに向き直った。
「アイリーン。君の想い人の決意は固いようだ。……良い人を見つけたね。その手を離さないようにしたまえ」
「うん……えっと」
アイリーンは言おうか言うまいか迷った後、口にした。
「ありがとう……おばあちゃん」
リイダさんはしばらく面食らったように黙った後、おずおずと差し出されたアイリーンの手を握り返す。
「……うん」
そして小さく呟いた。
「……あの子の顔が浮かんでこない。結婚を祝福するなんて、あの子のときはなかったからね。……結婚おめでとう、アイリーン」
「うん!!」
そしてアイリーンは、祖母の手を強く握り返しながら、満面の笑みを浮かべたのだった。
「ところで、リイダさんが20代に見えるのはどういう魔術なの?」
「ああ、これ? 単にアンチエイジングを頑張ってるだけだよ」
「アンチエイジング」
オウム返しする僕に、リイダさんは何でもないことのように答えた。
「そうだよ。基礎魔術ってのがあってね。強い魔力を持ってる人間が、ああいう感じになりたいって強く願えば、自然と体がそう近づいていくのさ。私は死にたくなーい! 老いたくなーい! ずっと若いままがいいー! ……といつも強く願いながらアンチエイジングしてるから、100歳を超えてもこの美貌を維持できてるってわけ」
「とんでもない妖怪ババアだな……意志力だけで老化を止めるなんて普通無理だぞ」
「師匠、実はいつもそんなこと思ってたんだ……」
ウルスナとアイリーンは呆れたように呟くが……。
ああ、そういうことだったのか……!
思い当たることがある。僕の筋トレ指導を受けた男性たちが、ほんの一週間程度でムキムキのマッチョになってた理由……。
こうなりたいっていう完成予想図を意識していたからなのか!
逆にアンドレイ氏とか、ロングフィールド家のジャニスとか、ウェズ君とか、ドラコとか、一部の男性が同じ筋トレしてるはずなのにムキムキにならないのは、別にマッチョになりたいとは思っていないから……!
ん? アンドレイ氏が乗り気じゃないのはともかく、残りの3人がマッチョになりたがってないのはなんでだ……?
まあいいか。そうか、基礎魔術っていう普段意識すらしてない魔術を、この世界の人間たちは常に発動させてるんだな。
いいなあ、魔力ゼロの僕には羨ましい限りだ。
あ、あれ? もしかしてこの世界の人間って妙に美形ばかりだと思ってたけど……。
ひょっとして基礎魔術のせいで美形の遺伝子ばかりになったの……?
「そのアンチエンジング、今度教えてくれよ。俺も旦那にずっと愛してほしいし……」
「あ! あたしもあたしも! ねーおばあちゃん、お願ーい」
「私もご教授いただけないだろうか、魔女殿」
「仕方ないなあ。特別だよ?」
一人この世界の真実に気付いてハラハラする僕をよそに、女性陣はリイダさんの淹れてくれた紅茶を囲んで話に花を咲かせるのだった。
そんなわけで、結婚式前日は静かに幕を下ろしたのだ。
アイリーンがこの世界における熱血冒険活劇の主人公だとすると、本来は刺客からアイリーンをかばって瀕死の重傷を負ったリイダが死に際に明かすような内容で、
それをシナリオフックにアイリーンがシャルスメル王宮の闇に立ち向かったり、同じ血の源流を持つライバルキャラのウルスナと切磋琢磨したりという展開が待ち受けているはずだったが、
どこぞのド淫乱聖女が乱入したせいで物語自体が始まらなくなった状況。
前にもお伝えしましたが、作者が脳梗塞で再入院したので、退院するまで続きは保留です。
再開したらまた読んでね!
8/8追記
10日に退院が決まったのでこれを投稿するときはもう家に帰ってるはずなんですが、リハビリのため再開までちょっとお時間ください。
右腕をちゃんと動かせるようにならんといかんのじゃ……。
私は生きてるので、心配してくださった人ありがとうございます。