【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く 作:風見ひなた(TS団大首領)
「ふみゅー、ユージィユージィ。ふふふ~」
結婚式も無事に終わり、僕たちは名実ともに夫婦となった。
といっても、何かが変わるかと言えばそんなことはない。僕たちは実質的にはとっくに夫婦だったわけで、僕たちの関係は外から夫婦と改めて名付けられようがそうでなかろうが、今更変化などない。今まで通りの日々が続いていくだけのことだ。
「ん~。ユージィこっち向いて。えへへ、首筋すりすりしちゃう。ん~♪」
……そのはずなんだけど。
アイリーンの甘えがすごいことになっている。
僕が椅子に座っていると、膝の上に乗っかって正面から抱き着いてくるわ、首筋にすりすりとおでこをなすりつけてくるわ、僕の胸板に頬ずりするわ、やりたい放題だ。
前から事あるごとに体を擦り付けてくる癖はあったんだけど、まだ人目を気にしてるのかちょっと恥ずかしそうなところはあったんだよ。人が通りがかったらぱっと離れたりね。
そのせいか人の足音に敏感でいつも聞き耳を立ててるところはあったんだけど、それがなくなっている。
一体どうしたんだろう?
≪説明しよう!
アイリーンはユージィと結婚したので、もはや遠慮なくこいつはあたしのオス!と主張できると考えており、自分の匂いをつけるのに余念がないのだ!
完全に自然界のオキテの中で生きるアニマルの発想である! お前は本当に王族の落胤なのか?≫
「アイリーン、はしたないぞ? 伯爵令嬢になったんだから、もっとおしとやかにしなきゃ」
「いいの! あたしはこうしたいんだもーん! それにお貴族様になったんだから、もう誰かの目を気にする必要もないよね? 思いっきりユージィとベタベタしちゃうんだもーん♪」
「やれやれ……」
とんだ暴君もいたもんだ。
とはいえ、こうして女の子に甘えられて嬉しくないかと言われると……。
正直めっちゃ嬉しいに決まってる!
こんな可愛いロリっ子をお嫁さんに迎えて、ゴロゴロと甘えかかられるなんて日本にいたら絶対無理だよ! なんらかの法に触れて警察のお縄になるよ!
言っても僕も20歳だし、アイリーンも実年齢は見た目ほど幼いわけではないから許される年の差ではあるかもしれないけど。
「男島さんところのぼっちゃん、女子中学生に手を出したんですって」
「あらぁ~。確か大学生でしょ? 怖いわ~、どんな教育をしてるのかしら」
「だってほら、あそこの御宅っておじいさんが野獣の眼光で道行く女子学生を見てるから……」
「ああ……うん……」
みたいな感じでご近所にヒソヒソ陰口を叩かれて肩身の狭い思いをするかもしれないからね。
あれ? おじいちゃんが満たされぬ性獣だから僕まで変な目で見られてたのか……?
まあともかく、こんな可愛い女の子の方から甘えてこられるなんて、全オタク男性の夢でしょ。
口では「やれやれ」なんて言ってるけど、内心は嬉しくて嬉しくてたまらないよ。
見た目はやれやれ系、頭脳はむっつり系のスケベが僕です。対戦よろしくお願いします。
そんなわけで挑戦者のアイリーンに応戦するべく喉の下をカリカリと掻いてやると、「ふみゅん」なんて甘い声を上げて、嬉しそうにおでこを擦り付けて来た。
はぁ~……可愛い。今の僕は三国一の幸せ者だよ。
いつまでもこうしていたいな……。
≪説明しよう!
貞操逆転的に考えれば、ムチムチセクシーな聖女と結婚までこぎつけたショタが膝の上でごろごろと甘えまくって独占欲を発揮しているなかなか酷い絵面になるわけだが、この際深いことは気にしてはいけない!
雄士は今の状況に大満足しているので、余計なことを言うのは野暮であろう! 可愛いは正義なのだ!≫
「おーい、アイリーンどこに逃げた? 返事をしろ~!」
と、廊下からウルスナの声がするや否や、アイリーンの耳がぴんと跳ねた。
そのままぶるぶると震え出し、怯えるように僕にしがみついてくる。
大して大きな音は立てていなかったはずだが、微かな衣擦れの音を聞きつけたのか途端にドタドタと廊下を歩く足音が大きくなった。
「ここか! 逃がさねえぞアイリーン!!」
「えっ、マジで? 今ので見つかったの? どんな地獄耳なんだ」
「た、助けてユージィ! 殺される!!」
助けを求められるが、僕に何かができるわけもない。
アイリーンは必死の形相で僕にしがみつき……というか大木にしがみついたセミみたいな姿勢で僕に抱き着いてきた。
その直後、バァンと音を立てて乱暴にドアが開く。
「オラァアイリーン! レッスンの途中で逃げてんじゃねーぞ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! もうお勉強いやああああああ!!!」
多数の本を小脇に抱えたウルスナの登場に、アイリーンは絹を裂くような悲鳴を上げた。
えーと……。
「おうユージーン、アイリーンをこっちに寄越してくれ」
「え、勉強の最中だったの?」
「ああ。アイリーンは伯爵令嬢になったからな。まだ令嬢としての教育の途中なんだ。ほら、教育を始めてからまだ一か月も経ってないんだぞ。こんなもんで音を上げるな」
ウルスナが唇を尖らせながらそんなことを言うと、アイリーンはひぃんと鳴き声をあげた。
「やだあ! お勉強嫌い!」
「嫌いって言ってもやらなきゃダメなんだよ。養子とはいえ、お前は長女なんだぞ。お前がだらしないとロングフィールド伯爵家が軽く見られるんだ。養子に出したホットテイスト家だって恥をかくことになる。アミィに恥ずかしい思いをさせたいのか?」
「うう~~……」
ウルスナの言葉に、アイリーンは不服そうな鳴き声を上げた。
ああ、なるほどね……。なんだかやたら甘えてくると思ったら、勉強のストレスを僕に甘えて発散しようとしてたのか。
正直気持ちはわかる。僕だって受験勉強してたときめちゃめちゃストレスたまったからね。そこにいくらでも甘えてもいい年上のお姉さんなんて与えられたら、ずっぽし沼にはまったことは想像に難くない。
「ちなみに勉強ってどんなことをするの?」
「ええと、そうだなあ。とりあえず今日は経理帳簿の基礎と、伯爵家として恥ずかしくないテーブルマナーと、優雅に見える姿勢の練習と、言葉遣いの復習かな。ゆくゆくは詩歌や楽器の演奏、絵画、歴史とか貴族らしい教養も身に着けてもらうけど、とりあえず外見を取り繕うのと、書類仕事をこなせるようになるのが優先だな」
「やだああああああ!!」
指折り数えてレッスンメニューを挙げるウルスナに、アイリーンが悲鳴を上げた。
そんなアイリーンに、ウルスナは駄々っ子を見るような視線を向ける。
「やだじゃねえだろ。大体お前だって、俺が秘策を仕込む前にはどんな辛いことが待っていても耐えてみせるって言っただろうに」
「想像した辛さと違うよ!? こんな類の辛さは想像してなかったよ! それに、これあたしが思ってた貴族生活と違う! 貴族ってもっと優雅で贅沢な暮らしをしてて、仕事は使用人に任せて毎日暇を持て余してるものじゃないの!?」
「貴族なめんな。貴族ってのは要するに役人の一番上なんだよ。部下から上がってくる報告の書類に目を通して、裁決するのが仕事なの。毎日めちゃくちゃ忙しいんだよ。で、お前は養子とはいえ、実質的には伯爵家の部下なの。あとは伯爵やジャニスがハンコ押せばいい状態まで持ってくのがお前の仕事。それができるように鍛えてやってんだろ」
「ゆ、夢も希望もない……!!」
「言っとくけどまだ研修中なんだぞ。お前が使い物になるようになったら、伯爵家から書類が運ばれてくるんだ。お前はまだ仕事のスタートラインにすら立ってないんだぞ」
ああ……要するに新人研修を受けてる最中に、逃げ出してきたってわけか……。
そりゃまあアイリーンはどう見たって肉体労働が天職だもんなあ。いきなり畑違いのデスクワークを仕込まれてるんだ、そりゃストレスも感じるわな。
「というか、今言ったの全部ウルスナが教えられるんだ」
「ん? ああ、実家が厳しかったからな。俺は全部叩きこまれてる。ほら、立てアイリーン。俺にもできたんだ、お前にもできるって。安心しろよ」
「うう~!! だって伯爵様はできなくてもいいって言ってたもん! 名前だけの養子でもいいって!」
アイリーンはがるると噛みつくが、ウルスナはそれに小さく溜息を返す。
「だからって本当にできなくてもいいわけないだろ。伯爵はああ言ったけど、予想よりできればそりゃ嬉しいしめっけもんだと思ってくれるよ。お前だって養子にしてもらった恩を返したいと思うだろ」
「それは……そうだけど」
「だろう?」
語気を弱めるアイリーンに、ウルスナは頷く。
アイリーンは恩って単語に弱いからね。人から何かをしてもらったら、自分も何かを返さないといけないと思っている。それは貴族としては欠点なのかもしれないけど、人としては大きな美徳だと思うな。僕はそんなアイリーンが大好きだ。
貴族令嬢になっても、アイリーンの根っこにある美点は損なわれていない。成り上がっても貧しい頃の心を忘れないことにはとても好感がもてる。
もっとも、ウルスナもかなり盛ってると思うけどね。
伯爵様がスラム育ちのアイリーンに大きな期待をしてないのは確かだろう。幼い頃からエリート教育を受けた貴族に、ロクに教育も受けていない貧民が追い付くのは並大抵のことじゃない。
単に貴族という看板を貸すだけ、贅沢をしないなら遊んで暮らしてもらっても構わないと割り切っていることは僕にだって予想できる。
そもそもこの世界、貴族って相当な権力者だから、大抵の我儘は通るはず。仕事を部下に丸投げして、遊んで暮らしている貴族もいるんだろう。だってあのデアボリカが貴族でございってチョーシくれてる世界だぜ?
でもウルスナはそれを良しとしない。
ウルスナが清流派というか、“まっとうな貴族”だったこともあるだろうけど、それ以上に妹分のアイリーンに堕落した人間になってほしくないんだろう。
アイリーンが可愛いからこそ、どこに出しても恥ずかしくない教育を施してやりたい……そう思っているんじゃないかな。
まあ教育ママによくある心理だけど、それが教育を受ける側に通じるとは限らないのが難しいところだね。子供の側には教育を押し付けられているとしか思えないこともあるからな。
と、いうことが共感性が欠落しているなりに岡目八目で見て取れるんだけど……。
どうやらウルスナが伯爵への恩義を持ち出したことで、アイリーンはしぶしぶ教育を受ける気になったようだ。
うんうん、これで一件落着かな。
と、そこにカチャリとドアが開く音がした。
「おお、こんなところにいたのかアイリーン。ウルスナに勉強を教えてもらっているのか? 座学もいいが、貴族たるものいざという時に槍働きもできないと困るぞ。我流の格闘術は身に着けているようだが、貴族らしい武術というのも必要だ。ウルスナの教育がひと段落したら、私が一手指南してやろうじゃないか!」
「…………」
「…………」
部屋に入るなり紡がれたアミィさんの言葉に、間の悪い沈黙が居室に満ちた。
それをどう受け取ったのか、アミィさんはわたわたと手を振る。
「あ、こんな田舎のジェントリの次女にまっとうな武術が教えられるわけないと思っているのか? 安心してくれ、私は生前の父から貴族の戦い方の手ほどきを受けている。確かにこれまで使い道こそなかったが、ビシバシ鍛えてやるから大船に乗ったつもりでいてくれ!」
「……やだああああああああああああ!!!!」
またしてもアイリーンミンミンゼミとなって僕にしがみついて泣き出す妹分に、ウルスナは深いため息を吐いた。
「あーあ、また振り出しだよ……」
「え? え? 私は何かしてしまったのか? 良かれと思ったのだが……」
「いや、アミィが悪いわけじゃねえけどな」
ウルスナがバンダナ越しに頭を掻きかきそう呟いたとき、ドアがキイ……と小さく開いた。
「……僕がウルスナ先生やアミィ先生にしごかれてるときは頑張ろうって言ってたのに、自分の番が回ってきたら逃げ出すんだ?」
「ド、ドラコッ!」
わずかに開いたドアの隙間から瞳だけを覗かせ、ドラコがアイリーンを見ていた。
「僕にはお姉ちゃんぶってた癖に、自分は先生に甘えるんだ?」
「そ、それは……!」
ドラコの指摘に、アイリーンが口ごもる。
新しい芸風を身に着けている……! ドラコ、恐ろしい子……!!
あーあ、もう滅茶苦茶だよ。
このままではアイリーンの説得だけで一日が終わってしまうし、ドラコに対する姉の威厳もずたぼろだ。
アイリーンにはどうにかやる気を出してもらう必要がある。僕個人は別に貴族らしいことが何もできなくてもアイリーンはアイリーンだしそれで構わないと思うけど、このままではアイリーンの家庭内のメンツがボロボロだからね。
しかしやる気を出させる方法か……。どうしたもんかな。
僕はしばし悩んだ末に、口を開いた。
「よしわかった。何かご褒美があれば頑張り甲斐もあるだろ。アイリーンが勉強を終わらせたら、僕が何でもひとつ言うことを聞いてあげるよ」
『!!!!』
僕の言葉に、電撃を受けたように4人の間に沈黙が走った。
え、何これは。僕何か変なこと言った?
僕が目をぱちくりとさせていると、アイリーンが顔を染めてもじもじと上目遣いをしながら口を開いた。
「あ、あの~。それってエッチなことでもいいの……?」
「え? あ、うん。別にいいけど」
ちょっと面喰いながらも、僕は頷く。
てっきりアイスクリームをお腹いっぱい食べたい!とかの色気より食い気な要求が飛んでくるというイメージだったんだけどな。まあいいけど。
「アイリーンが望むならどんなエッチなお願いも聞くよ」
「そ、それってどのくらいまでいいの……?」
「どのくらいって……。まあご褒美だし、普段しないこともしてあげるよ。エッチな恰好をしてほしけりゃするし。なんなら全裸にエプロン1枚とか、全裸に靴下だけとかでも見せてやろうか?」
まあ筋肉男のそんな恰好なんか目の毒になるだけだが。
冗談めかして僕が言った途端、アイリーンがブシャアアア!と鼻血を噴き出した。
「そ、そんな……!? エッチすぎりゅ……!! そんなエッチな恰好がこの世にあったなんて、ユージィの引出しどうなってるの……!?」
「ええ……?」
見たいのか、そんなもん……!? アイリーンがしてくれるならともかく、僕がするんだぞ!? 想像するだけで胸が悪くなるんだが……?
≪説明しよう!
ムチムチ聖女が自分のためだけに裸エプロンを披露してくれるのだ、これが嬉しくないエロガキがこの世にいるだろうか!?
加えて言えば、この世界の文化は18世紀のヨーロッパに相当する! つまりオタク文化が蔓延した現代日本より性文化が全然未発達であり、雄士の提案はとんでもなく衝撃的に聞こえるのだ! エロの黒船逆来航である!! ペリーもびっくりだ!!≫
「ゆ、ユージーン! お前そんなスケベな恰好をするってのか……!?」
「は、破廉恥な……!」
「先生……自分を売り物にするなんて……」
ウルスナとアミィさんは鼻の頭を押さえたり、首筋をとんとんと叩いてるし。ドラコはなんだか白い目でこちらを見ている。
「えーい何だその目は。そもそもアイリーンと僕は夫婦なんだぞ、夫婦間でどんなことをしようが僕の勝手じゃないか。なんならもっと変なことをしてやってもいいぞ。お風呂で湯船に浸かったまま潜水艦~なんて言いながらイチモツだけ出してしゃぶってもらったり、胸板にワックスを塗って自分の体をスポンジ代わりに体を洗ったりしてやってもいいんだ」
あ、これは僕のしてほしいことか。いけないいけない、ワハハ。
そう言って下ネタで笑いを取ろうとした瞬間、ウルスナとアミィさんの鼻血が宙を舞った。
ええ……?
「そ、そんな! そんなスケベなことが許されるのか!?」
「なんて発想力だ……! まさにエロのマエストロ……! 発明品だけでなく、エロの分野においてもこれほどの先進性を……!?」
「先生……ドン引きだよ……」
「僕がドン引きだよ。女性陣の反応どうなってんだ……?」
僕が唖然としていると、アイリーンがぼたぼたと鼻血を垂らしながら勢い込んで迫って来た。
「ほ、本当に!? 勉強したらそんなエッチなことしてくれるの!?」
「あ、うん……。本当だよ、やってあげる」
「あたし頑張る!! ウルスナ、さあ早く勉強教えて!!!」
こんなことが嬉しいのか……?
僕は内心突っ込まずにいられなかったが、ともかくアイリーンはやる気を出してくれたようだ。
ならそれでいいや。僕が変態的なコスプレしないといけないことくらい我慢するさ。
≪説明しよう!
現代日本で言えば、お色気ムンムンの巨乳で美人の家庭教師に、テストで100点取ったらエッチなことしてあげる♥と言われたような状況である!
アイリーンは見た目は美少女、脳味噌はエロでいっぱいのエロ猿中学生なので、やる気が出ないわけがなかった!!≫
やれやれ、これで一件落着だね。
ん? なんか視線を感じるような……。
「アイリーンばかりいいな……。勉強を教えてやるのはこっちなのに」
「教える側にも何らかの報酬があって然るべきでは……? いや、いいけど。私たちは大人だし、ワガママは言わないが」
「…………」
ウルスナとアミィさんがしきりにジロジロとこちらを見て来る……!
「……わかったよ。じゃあアイリーンが課題をこなすたびに、先生役のウルスナとアミィさんのお願いも聞いてあげるから」
「ウッヒョー!! さすがユージーンだ、気前がいいぜ!!」
「そうか!! ……いや、エロい報酬を強請ったわけではないぞ。私は大人だからな。だがユウジがしてくれるというなら、受け取らないわけにはいかんからな」
快哉を叫ぶウルスナとアミィさん。
まあ……お嫁さんたちが喜んでくれるなら何でもいいか。
別に減るもんじゃなし。おじいちゃんとおばあちゃんをずっと見て来た僕には、そういった味変のストックが大量にあるからね。祖父母の薫陶だな。
そもそも夫婦間でなら本来なんでもありなのに、それが報酬になるのは変な感じだけど……。それで話が丸く収まるのならよしとしよう。
≪説明しよう!
この世界では夫婦間ならなんでもありではない! 男性より女性の性欲が圧倒的に強いこの世界において、妻が変態的なプレイを提案して夫にドン引かれ、それがきっかけで夫婦仲が醒めるというのは珍しい話ではないのだ! 男性は女性の所有物扱いではあるが、性の提案においては非常に気を遣わねばならないのがこの世界なのである!
そこへいくと、どんな変態的なプレイもオールオッケーだし、むしろ向こうから提案してくるこのド変態聖者は、性の特異点であった!!≫
あれ? まだ視線を感じるような……?
視線の元を探ると、ドラコがもじもじと指を組み合わせながらこちらを見上げていた。
「あの……先生、僕もご褒美いい?」
お前もかよ!
「……わかってると思うが、お前はアイスやプリンで我慢しろよ」
「プリン? 何それ?」
「あー……この国で言うところのカスタードプティングのことで……。ああもういいや、実際に作ってやるから楽しみにしてろ」
「うん!」
ドラコはちょっとだけ残念そうな顔を浮かべながら、僕の言葉に笑顔を見せたのだった。
ま、今日も家族円満で良しとすべきかな……。
下ネタはしんみりした話の後に持ってくると一番破壊力を増すのです。
これだけは真実を伝えたかった。