【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く 作:風見ひなた(TS団大首領)
突如としてサウザンドリーブズに襲い掛かった魔物の群れ。
一頭ですら街を焼き滅ぼせるというドラゴンが数十頭も大挙して現れ、街の上空を覆い尽くさんばかりに翼を広げる。
一頭一頭の体長は十メートルほど、なかには数十メートルもの大きさを誇る巨大なドラゴンも混じっていた。
平和な田舎町の住民にとってはドラゴンの脅威など遠いものでしかない。
確かに黒竜と赤竜が街に現れたことはあったが、それは街の有力者……おそらくアンゼリカがどうにか追い返したはずである。
だが、その報復なのか、今数十頭もの群れが押し寄せている。いかにアンゼリカといえど、この数を前に勝てるはずもなかった。
そして街を襲った脅威はドラゴンだけではない。
巨大なドラゴンの背中にはあの人類の敵対者、ゴブリンたちを搭載しているのだ。
ゴブリンといえば好色で残忍、好戦的で有名で、街や村を襲っては男性を略奪し、街を焼き払うことで知られる恐るべき山賊である。
いや、懐柔できる可能性があるだけ山賊の方がマシだっただろう。
ゴブリンには人間の言葉は通じず、説得には決して応じない。
出会ってしまったら死を覚悟して戦うしかない、そういった存在であった。
そんなドラゴンとゴブリンが、連帯して今この街を襲っている。
尊大なドラゴンと反骨心に溢れたゴブリンが手を組むなど聞いたこともないが、目の前に事実としてその光景が広がっているのだから受け入れるしかない。
一体何故ドラゴンとゴブリンがこの街を襲う?
こんな人類の重要拠点でも何でもない、ジェントリが支配するただの都市を?
わからないことばかりだが、はっきりしていることが一つだけある。
今日でこの街は終わりだ。街の住民は明日の朝日は拝めない。
そして、
『みんな、ノってるー!? 歌合戦もまだまだ始まったばかり、盛り上がっていこー!!』
町の住民たちは、ただ呆然とゴブリンたちが熱唱するのを見守るしかなかった。
彼女らに降りかかって来たのはドラゴンのブレスではなく、ゴブリンたちの楽し気な歌であったからだ。
ドラゴンの背に乗ったゴブリン楽団がいまだかつて聞いたこともない曲を演奏し、ゴブリンの歌い手たちがドラゴンの背中で楽し気に踊りながら、未知の楽曲を披露している。
しかも人間の言葉で。
ミストドラゴンの吐く濃密なブレスがスクリーンとなってゴブリンたちの姿を映し出し、音魔法によって地上まで演奏を届けているようで、ゴブリンたちのライブは地上からでもはっきりと見ることができた。
だが、どうしてそんなことをするのか、まるで意図がわからない。
とりあえず、ドラゴンにもゴブリンにも敵対の意思はないようだが、いつ彼女らの気が変わってこちらに襲い掛かってくるかもしれない。
街の住民たちはただ固唾を飲んで状況を見守るしかなかった。
頼みの綱の衛兵隊は、どういうわけか魔物の群れに対抗して出撃する気配がない。
もっとも、出撃したところでこの数のドラゴン相手に太刀打ちできるわけがない。魔物を下手に刺激しないために出撃を見合わせているとしても、納得できるところだった。
どうあれ、無力な街の人間たちは、突然始まった謎の歌合戦の観客となるほかなかったのである。
そんな住民たちの耳に、やたらテンションの高い司会者のトークが届く。
『はい、紅組の開幕ソングいかがでしたか! ただ今のナンバーは売り出し中の新グループ“ミス・グリーンアップル”のポップソングでした! いやあ切り込み隊長にふさわしい、楽しそうなナンバーでしたね! 街の人たちもゴブリンちゃんたちの魅力に目が釘付けで、言葉もないようですね!(笑)』
やかましいわ。
『さあ紅白歌合戦はまさに始まったばかり! 続いては白組の逆襲です! 紅組だけにカッコはつけさせないと、闘志に燃える白組たちのロックナンバーをお楽しみください!』
司会の声と共に、巨大な白いタスキをかけたドラゴンが進み出て、濃霧のスクリーンにゴブリンたちの姿が映し出される。
次の曲が演奏されるようだ。
街の人々の視線は、こぞってスクリーンに注がれる。
果たして、次のステージでゴブリンたちが演奏したのは、テンション高いアゲアゲのロックソング。
巨大ドラゴンの背の特設の観客席で、ヒートアップしたゴブリンたちは大歓声を上げ、足を踏み鳴らすわ口笛を吹くわの大盛り上がりを見せる。
もちろんこんな曲が、街の住民に受け入れられるわけがない。
彼女たちの大半は生まれてこの方音楽とは無縁で、音楽といえばミサの日に教会で奏でられる讃美歌くらいしか知らない。
音楽の素養をまるでもたない人間には、ロックはあまりにも理解の難易度が高すぎる。
事実、街の人々はほぼ全員がまるで理解できずに、ぽかんとライブを見つめるだけであった。
だが、
「……なんか、ゴブリンたち楽しそうだね」
「曲はよくわかんないけど。なんかすごい盛り上がってるよ、部族の歌なのかな?」
「正直騒音にしか聞こえないけど……この太鼓の音はいいかも。お腹に響いてくるよ」
「ゴブリンってあんな綺麗な服を着る魔物だったの!? すっごいキラキラしてる、どこで手に入れたんだろ……まさか自前? いや、そんな……」
「全員ビシッと同じタイミングで同じポーズ決めてる……。すごい」
『いやあ白組、アップチューンの曲で見事に切り返してきた! これはお見事です! バックダンサーのダンスもすごく決まってましたね、100点を上げちゃいます! さあ勝負はまだ始まったばかり、勝つのはどちらの組なのでしょうか!?
……それにしても、この司会の声はどこから聞こえてくるのだろう?
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『さあ! 紅組白組、第一回戦から大迫力のステージを飾ってくれました! 続く第二回戦は紅組の反撃だ! 曲は誰もが知ってるニチアサの魔法少女アニメのOP……失礼、誰も知りませんでしたね! だけどノリノリの良曲です、これは楽しみだ!』
ドラゴン軍団に混じったドラコの背中から、僕は司会としてペラを回し続けていた。
いやあ……楽しいーーー!! すっごい楽しいよ、最高の気分だ!
自分が何かするわけではないけど、場を盛り上げるのは大好きだ。
それにしても高校の文化祭のステージで司会進行した経験があってよかった。おかげで滞りなく司会進行ができてるよ。
自分で言うのもなんだけど、高校時代は便利屋のユウジって言われるくらい広く浅く何でも頼まれてたからね。その代わりスペシャリストは全然敵わないから、僕よりもっと優れた人が出てきたら、その人にポストを取られちゃうんだけど。
僕がスペシャリストだと自信を持って言えるのは、筋トレと種付けくらいのもんだよ。
さて、サウザンドリーブズでコンサートをやりたいけど、誰か演奏してくれないかなーと声を掛けたところ、ゴブリンたちはノリノリで手を挙げてくれた。初代ロックスターが呼びかけてくれたのだから、是非応えなきゃ!と言ってくれたのだ。
私も私もと、あまりに参加したがるグループが多すぎて、緊急でコンペを開いて数を絞る必要があったくらいだ。
それでも結構な数が予選を勝ち抜いてしまい、そのままだとダレてしまうので、ビラを撒いた時はチャリティコンサートの予定だったけど、急遽紅白歌合戦に変更になった。
これがゴブリンに大受けで、めちゃめちゃ闘志が湧いてすさまじい盛り上がりを見せている。根本的に、この子たちすっごい争うことが好きなんだね……。
で、ゴブリンたちの足兼ステージとして、ドラゴンたちも協力を約束してくれた。
里の恩人である先生の頼みだ、ここで応えねば竜の名が廃る!とドラパパが号令を出して、ゴブリンを乗せることを約束してくれたのだ。
それだけでなく、ドラパパは開催にかかる資金として、資産を融通してくれた。おかげで光魔法や音魔法の使い手を、別の街で雇ってこれたってわけだ。
コンサートを開くことはアンゼリカさんとゴールドンのおじいちゃんにも伝えてあるから、そこらへんの手抜かりもないよ。
アンゼリカさんは何もない冬の時期に市民を楽しませてくれるのなら、と許可をくれたし、ゴールドンのおじいちゃんに収益が出たらスラムの人たちへの食糧支援に使うと言ったら、泣いて喜んでた。
まあ、街の人々は強制参加だけどね。仕方ないでしょ、街の人たちを無差別に参加させてあげようと思ったら、街ごと巻き込んでしまうのが一番だったんだよ。わざわざ会場を用意できないからね。
それにしても……僕はゴブリンたちのステージに目を遣った。
「ねえ、先生。気のせいか、ゴブリンたちのダンスってめっちゃキレキレじゃない?」
「ああ……あの子たち、進化してる……!」
僕がゴブリンたちに歌とダンスを教えたのは10月。そして今が12月だから、たった2か月しか経っていないはずなんだけど……。
その2か月の間に、ゴブリンたちのライブ能力はとんでもなく洗練されていた。
ロック、ポップス、歌謡曲、アニソン、演歌に至るまで、まったく淀みもなく歌いこなす歌唱力。バックダンサーは一糸の乱れもなくダンスを決めるあたり、毎日研鑽を積んでいることが窺える。このイベントを持ち出す前から、既に彼女たちはダンスを踊りこなしていた。
多彩な楽器も既に自前で生産していたし、楽曲演奏も既にばっちりだ。
そりゃ僕だって【最高のプレゼン体験】を使って、脳内に直接お手本を見せてあげてはいたよ?
ただその完コピに至る精度と期間が短すぎる。
それどころか、既にこんな曲もアリだよね!ってオリジナル曲まで制作していた。
技術泥棒に関しては右に出る者がいないくらい、本当にゴブリンはコピーが上手い。
そしてまた、とんでもなく数が増えてた。
以前ポピーちゃんが、音楽を聞かせて勧誘したら近くのゴブリンの群れを糾合できたって言ってたんだけど……。
100人ほどの群れだったゴブリンが、数百人規模に膨れ上がっている。その肌の色も多種多様で、本当にたくさんのゴブリンが合流しているようだ。
正直以前はゴブリンクイーン(笑)? 100人程度の長なのにクイーンって盛りすぎだろ(笑)ってなってたんだけど……。
これはもう、ポピーちゃんはすべてのゴブリンの女王様と言っていいよ。もしかして、そのうちブリシャブ島のゴブリン全員を傘下に収めてしまうのでは……。
余談だが、彼女たちの抱える人間牧場も、すっごいことになってた。
人間牧場という言い方は悪いけど、要は彼女たちに飼われてる人間の男性たちだね。
昔は僕しかいなかったのに、いつの間にか島中から彼女たちの音楽性やロリロリした魅力に惹かれた男性が集められていた。
ウェズ君あたりが見れば性的搾取だって怒りそうだけど。本人たちはロリっ子にチヤホヤされるロリコンハーレムだ、大好きなアーティストの生演奏も聞かせてくれる、働かなくてもご飯を食べられる、ここはこの世の楽園だ!と大満足しているそうだ。
まあ、そこらへんはね……。
僕も3人の嫁に囲われて精を搾られている可哀想な人間だという言い方もできるし。僕はこの環境に大満足してるんだけど、主観と客観はしばしば食い違うものだから仕方ないよ。
そうして集められた男性の中に、かつて人間の都市で仕立て屋をしていた人がいて、彼がゴブリンたちのステージ衣装を制作したらしい。
大好きなアーティストの衣装を自分の手で作れるなんて、ファンとしてこれ以上の喜びはない!って大ハッスルしてたよ。
お手本になるステージ衣装は、僕がゴブリンたちに既に教えてたからね。僕がゴブリンの巣に顔を出した時には、既に相当数の衣装が作られていた。
ゴブリンたちがキラキラしたアイドル衣装に身を包んで、A○B48や楡○46のダンスを踊りきってるのを見たときは、僕はとんでもない文化汚染をしたんじゃないか?という錯覚を覚えたよ。
『さあ続いては白組の反撃だ! ええと、次のグループは……えっ!? ゴブリンじゃなくてドラゴンの男性グループ!? しかも曲はKPOP!? こ、これはすごいことになってきました! 皆さん、ステージから目を離さないでください! ドラゴン男性アイドルの誕生です!』
続いて繰り広げられた光景に、僕は思わず自分の目を疑った。
ほ、本当にドラゴンの男性ユニットが誕生してる……!!
確かにKPOPも歌もダンスもゴブリンたちには伝えていたが、それをドラゴンの男性が演じるとは……!
しかもあの先頭に立ってる青髪の人、見覚えがあるぞ。
確かブルーさんって人だよね、ドラゴンの男性きってのイケメンの。まあ例によってドラゴンカーオナニーにハマってる人ではあったんだけど。
「男性!? 男性が歌ってる!」
「ホントだ! しかもめちゃめちゃイケメン!!」
「歌もカッコいいし、ダンスもキレッキレだよ!」
「お……推せるッ!!」
街のあちこちからどよめきが上がっている。
そ、そうか……! この世界の住民の80%が女性だから、食いつきがめちゃめちゃいいんだ!
あれ? 遠目だけど、スクリーンに向けて先頭で白く輝く精霊石を振り回しているの錬金術師のアルシェさんじゃない? うん、間違いないよ。貴重な精霊石を持ってる人ってそんな多くないし。
あの人、サイリウムでの応援を発明している……!
「きゃあああああああああ! こっち向いてえええええええええ!!」
「あ、アルシェ先生……何をなさってるんですか!?」
「応援です! あ、みなさんの分の精霊石もアトリエにあるだけ持ってきました、私と一緒に振って白組を応援しましょう! ね!!」
「えっ……!? い、いいんですか!? 精霊石って高価なものでは!?」
「いいんです! 同じ人たちを推せる喜びをみんなで分かち合う! こんな幸せなことが他にありますか!?」
「じゃあお言葉に甘えて……きゃあああああああ! 結婚してええええええええ!!」
この世界で初めての推し活文化が誕生している……!!
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「手応えアリ……!!」
ステージで一曲歌いきったブルーは、眼下や他のドラゴンのどよめきを感じ取って会心の笑みを浮かべた。
元々このコンサートはゴブリンにと話が来ていたが、KPOP枠で出場したゴブリンのグループに頼み込み、彼とドラゴン男性の同志たちに出番を譲ってもらったのだ。
そして今日までの期間、毎日ゴブリンたちから厳しい指導を受けつつ、どうにかKPOPを一曲マスターするまでになっていたのである。
彼らの存在は白組の秘密兵器と目されており、事実そのインパクトはどよめきが語る通り。まるで爆弾のごとき破壊力を見せていた。
そしてブルーがこうして人前で歌い踊ったのには、ある目的があった。
「これだ……! 音楽の世界でなら、俺たちはのし上がるチャンスがある……!」
ブルーはドラゴンでのイケメンのオスであり、交尾相手のメスに困ったことはない。
だが、それはドラゴンの里にあって、常に強いメスに交尾を強いられているという意味でもある。
力こそすべてのドラゴン種にあって、ブルーは生きたトロフィーにすぎないのだ。
オスドラゴンはどうあってもメスに勝つことはできず、絶世の美形であるブルーは常に誰かの所有物でしかなかった。
「もうメスに交尾を強いられるのはこりごりだ! 俺は、音楽の世界での強者になる! この恵まれた容姿を武器にして、成り上がって見せる! 黒王様や王子もゴブリンとの連帯を重視しているし、音楽の世界はこれからますます強くなるはず。この機会に思い切り名を売って、メスどもにそう易々と手の届かない存在になるんだ!」
「その通りだ、ブルー!」
「俺たちも同じ気持ちだ。この世界はメスだけのもんじゃないってわからせてやる!」
「みんな……!」
ブルーの元に集ったグループメイトが、熱のこもった声を掛ける。
みんなドラゴン種きってのイケメン揃いであり、そのせいでメスドラゴンに所有され続けて来た過去を持つオスドラゴンたちであった。
不細工にしてみたらこいつら何贅沢なこと言って盛り上がってんだよケッというところだが、美形には美形の悩みがあるのだ。
「俺たちは、ここで竜生を自分の手に買い戻すんだ……!」
「それはどうかのう!!」
「お前……いや、あなたは……!」
振り返ったブルーの目の前にいたのは、ステージ衣装に身を包んだゴブリンクイーン……ポピーであった。
その衣装は故フレディ・マーキュリーがライブで来ていたタンクトップとジーンズ。つまりゴブリンQueen.にとっての完全武装であった。初代ロックスターの雄士がこれが衣装だと言っていたのだから、彼女にとってはこれこそ最強装備なのだ。
「ゴブリンクイーン……!」
「いいステージだった。女性受けを考えたセールスだ。お前たちの境遇にも同情する」
パチパチと拍手しながら、そこでゴブリンクイーンは目を見開く。
そこで叩きつけられる圧倒的な魔力に、ブルーは戦慄した。人間よりもさらに小柄な少女を相手にしながら、ブルーはドラゴンの姿よりもさらに巨大な者を目の前にしているような錯覚を覚える。
これがゴブリンクイーン。今や7つの支族を傘下に収める、ゴブリン種の女王……!
「だが、男性であることを武器にしたところで、私には勝てぬ。所詮は顔だけを売りにした、一か月程度に過ぎない付け焼刃よ……!」
付け焼刃はお前もだろ、教わってから2か月だぞ。
だが気圧されているブルーは、圧倒的な前に背中の鱗がヒリつくような感覚を覚えた。
「ご、ごくり……!」
「さあ、見せてやろう……。本物のスター性というものをな!」
途端にゴブリンクイーンの背後が真っ白な光に包まれ、マイクを掲げた彼女のシルエットが浮かび上がる。眩いほどの光量に負けないほど、彼女自身もまた“光”を宿す存在なのだ。
爆発的な勢いで、周囲のドラゴンに乗ったゴブリンたちからコールが放たれる。
「オサ! オサ! オサ!!」
「オサ! オサ! オサ!!」
「我らが女王! 偉大なるロックスター、ゴブリンクイーン!!!」
白組も紅組も問わず、すべてのゴブリンが熱狂的な声援を送っている。
ブルーは息を呑み、自分を取り囲むゴブリンたちを見返した。
これが、ゴブリンの女王。ゴブリンクイーン……!!
『いよいよ満を持して紅組のリーダー、ポピ……いや、ゴブリンクイーンが入場だ!! イケメンが女性を魅了したからなんだ、本当にカッコいい人は同性をも惹きつける! 女性をも魅了する最高のカリスマ、ゴブリンクイーンのステージをしかと見よ!!!』
「褒めすぎじゃろ、あやつ……」
ゴブリンクイーンは照れたように笑うと、マイクスタンドを左手に掴んで高々と右手を宙に突き上げた。
「じゃが! そのトークに見合うステージを魅せてやらねばのう!!」
なお、このやりとりの全ては人間語で行われており、一部始終がスクリーンに映し出されている。その方がいいと、雄士が提案したためだ。
街の人間たちもこのやり取りに興味をそそられ、どんな凄まじいライブが行われるのかと食い入るようにスクリーンを見つめた。
この世界初のマイクパフォーマンスの誕生である……!!