【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く 作:風見ひなた(TS団大首領)
「へ、へえー。こういう風になってるんだあ」
僕の部屋に入って来たアイリーンは、どこか気もそぞろな感じで室内を眺めた。
今更だけど、アパルトメントというのはいわゆる賃貸物件のことだ。洋画とかで独身者が住んでるのがときどき描写されるよね。日本のアパートの語源となったものだけど、アパートとは室内に家具が備え付けられているという点が異なる。
日本と違って入居者が家具を購入する必要がないんだけど、反面備え付けの家具を使わざるを得ないというデメリットがあるね。
とはいえこの部屋にある家具といったらシングルベッドに小さなテーブルと椅子2脚、ポットらしきものと木製の食器、あとは壁掛けのブックシェルフと暖炉くらいのものだ。
照明は壁掛けのランプがあるが……はて、これはどうやって明かりをつけるんだろう? まさか電気なわけもないし、ガス灯もまだ発明されていないようだ。
秋の夕闇がいよいよ迫り、手元も暗くなる中で僕が首を傾げていると、アイリーンがランプに手を添えた。途端にパッとランプに火が灯り、部屋の様子が明るくなる。
「え、今何をしたの?」
「火の精霊石を灯しただけだよ。ユージィ、使ったことないの?」
「ああ、うん。宿では獣脂のランプを使ってたから……」
「そっか。まあ粗末な宿とか貧乏な家はそうだよね。あたしも冒険者になる前は、精霊石のランプなんて見たこともなかったから」
「これ、マジックアイテムか何かなの?」
ランプに伸ばした手がアイリーンの指先に軽く触れ、僕はムラムラと湧き上がる欲情を頭から振り払いながら尋ねた。
「そうだよ。精霊石にはエレメンタルの力が封じられていて、魔力で働きかけたら起動するの。このランプの場合は火のエレメンタルだね。もっとも、このランプに使われてるのは最低品質の屑石を潰して砂にしたものだけど。いい精霊石ってすごく高いんだって」
「へえー……」
なんともファンタジーな話だ。たまにこういう科学文明の代替品みたいなアイテムが存在するんだよね、この世界。
便利ではあるんだけど、そのうち科学技術の発明品が出てくる邪魔になるのかもしれないな。
「じゃあもしかしてこのポットも、精霊石とやらでお湯を沸かせるとか?」
「そうだよ。庭に井戸があるから、そこから自由に水を汲んで沸かせばいいよ。水質はそんなに良くないから、水売りから買った方がおいしいけどね」
なんと、中世レベルの世界観かと思いきや、電気ケトルのようなものが一家に一台存在するようだ。
この国の人たちって紅茶をやたら飲むから、そのこだわり故だろうか。単に生水飲んだら腹を壊すからかもしれないが。
「あ、あの、お茶とか飲む? あたしの部屋にお茶っ葉があるから、良かったら持ってこようか?」
「う……いや、待って。さっき買ったレモネードがあるよ」
「そ、そう」
危ない、いつもの流れでうんと頷いてしまうところだった。
ここでアイリーンを部屋に帰してしまったら冷静になられてしまう。
折角自分の部屋に連れ込んだんだから、ここは押しの一手だ。
僕は内心のソワソワを我慢しながら、木製のカップにレモネードを注ぐ。
レモネードというのはレモン果汁を水で薄めて、砂糖水を加えた飲み物だ。日本で一般的なものと違って、炭酸が入ってない。この国では一般的な飲み物として流行っている……いや、今はそんなことはどうでもいいんだよ。
このアイリーンの言動、僕に気があるってことでいいんだよね?
いや、僕のことが好きだってことはもちろん察してはいるんだけど。要するにつまり両想いだって確認しちゃってもいいってことだよね? あわよくばその先にまで関係を進めてしまいたい。がるる。
股間のマイサンもこの子ならママにしてOK! とゴーサインを出しているよ。
娼館で遊んでる女は嫌だというユニコーン気味のワガママボーイだが、純真なアイリーンなら諸手を上げて大歓迎のようだ。気が合うじゃん。
……ん。いや、でもデアボリカがアイリーンとウルスナには手を出すなって言ってたよな。今が成長期の2人に手を出したら、恋愛にかまけて成長が止まってしまうって話で、あのときは僕も納得したわけだけど。
あれってどうも伯爵様に美人局を仕掛けるための口実っぽいし、別に従う必要もないんじゃないかなあ。
しかし、アイリーンの成長を止める可能性があるなら控えるべきか……。
はっ、待てよ? それって恋愛じゃなければいいんじゃないか?
つまり恋愛を通り越して結婚を前提としたお付き合いにまで行ってしまえば、もうアイリーンと僕は一蓮托生の関係になるわけで。
それならアイリーンの成長や出世は夫婦の問題なわけだから、2人で背負っていくことができる。つまりアイリーンに手を出してしまっても、彼女の成長を邪魔することにはならないよね。だからエッチし放題、問題解決!
わかってるよ、言葉を言い換えてるだけだってことは。
でも僕は今すぐスケベなことをしたいんだ。抜きたくて頭がおかしくなりそうなんだ。
そして理性はアイリーンとなら一生を共にしても構わないとジャッジしている。
いや、むしろこの子と一生一緒に過ごせるとかご褒美だろ。今の僕は精子が脳まで回って冷静な判断ができていないが、アイリーンは勢いでプロポーズしても絶対後悔しない相手だと断言できる。
この子は
ただ、問題はアイリーンが僕のことをそこまで好きなのかという話だよな……。
ふーむ……よし、試してみよう。
「ねえアイリーン、寒くない?」
両手でレモネードの入ったカップを抱え、所在なさげにちびちびと飲んでいるアイリーンに声を掛けると、小さく頷きを返してきた。
「えっと……うん、少し寒くなってきたね。もう秋も深まってきたし」
「そっか。じゃあこうすると温かくなるかな」
「えっ……ひゃあ!?」
僕は立ち上がってアイリーンの背後に立つと、背中からぎゅっと抱きしめる。そしてそのまま彼女の体を持ち上げると、椅子に腰かけてアイリーンを膝の上に乗せた。人間椅子の出来上がりである。
突然僕の膝の上でぎゅーっと抱きすくめられる形になったアイリーンは、目を白黒させて戸惑っている。腕の中から彼女の温もりが伝わって来て、僕はすごくあったかい。僕を魅了してやまない体臭も、髪や首筋から香ってくる。
「え、何? どうしたのユージィ?」
「アイリーンがすごく可愛くて、思わず抱きしめちゃった」
「やだもう、いきなり何を言うんだよぉ……」
アイリーンの声はごにょごにょと小声になっていき、彼女は真っ赤になりながら顔を伏せた。
「あたしなんて可愛いわけないでしょ。がさつだし、意地悪言うし、胸とかちっさいし、お尻ばっか大きくなってきたし……」
そうかなあ、全然可愛いと思うけど。
確かに胸はあんまり大きくないけど、元気なところはすごく魅力的だし、筋肉がほどよくついてスラッとした体つきも美しいし、肩までの赤い髪をちょこんと結んだポニーテールも愛らしいと思うんだけど。
それに純真な性格がすごく可愛い。たまに恥じらうのもとてもいい。この世界の女には珍しい貴重な成分だ。
あと下品なデカケツ大好き。貧乳なのにケツだけでかいとかすげえいきり立つ。圧迫祭りしてほしい。
「アイリーンは可愛いよ。お前のことが好きだ。お付き合いしたい」
「ふぇ……!?」
アイリーンの体を強く抱きしめ、愛の言葉を低い声で耳元で囁いてやると、彼女の耳や首筋が赤く色づいてみるみる体温が上がっていく。
「あの、あのあの、それって……」
「紛れもない僕の本心だよ。アイリーンのことが好きなんだ。君の元気なところも、目まぐるしく変わる表情も、強いところも、頑張り屋なところも、大好きなんだ。僕と恋人になってくれないかな」
「…………」
言葉を失うアイリーン。
あれ、これOKなの? それとも拒絶しようか迷ってるの? まずいな、共感性が死んでてどっちなのか判断がつかないぞ。ここは押しの一手だ、畳みかけていこう。
僕は固まって動かなくなったアイリーンの耳元で、彼女のどこが好きなのかを低い声でゆっくりと囁いていく。
女の子は後ろから抱きしめて、大好きとか愛してるとかここが好きとか耳元で囁いていけばメロメロになるっておじいちゃんが言ってた。
大前提として既に好意を持たれてないと逆効果らしいけど、そこは多分クリアしてるから問題ないはずだ。……だよね?
気になって顔を覗き込んでみると、何やらぽーっとした顔になっている。
はむっ。
「んっ……♥」
隙だらけの唇を奪ってみると、アイリーンは素直になすがままにされていた。そのまま舌を入れて彼女の口の中で暴れさせると、ぎこちなくベロを絡めさせてくる。
ファーストキスにしては強烈だと思うけど、これがキスの作法だと思い込んでいるのだろうか。調子に乗ってそのまま舌を絡めさせたり、ちゅーっと彼女の唾液を吸ったり、僕の唾液を送り込んだりしてやると、アイリーンは咥内から粘り気のある音を出しながら必死にお口遊びに応えてくれる。
可愛い。やっぱアイリーンは子犬系だなぁ。
本人は気付いているのかどうか、僕の腰の上でもじもじとお尻が揺れている。やっぱケツでかいな、この子。
幼い顔立ちと慎ましいバストからまだ手を出すには早いかもと思ってたけど、みっしりと実りつつあるデカケツはもう子供だって産めるんだと主張しているかのようだった。
ショートパンツで包んだむっちりとしたお尻がマイサンの上で踊って、すっごいムラムラする。誘ってんのかお前、本当に食うぞ。
……告白したばかりだからキスまでで止めるつもりだったけど、このままいけるところまで行っちゃおうか。
「ぷぁ……♥ はぁ、はぁ……♥」
僕が唇を離してやると、アイリーンは可愛い舌をしまい忘れたまま荒い息を吐いた。
僕とアイリーンの舌先からつながった唾液の糸が、ランプの光に照らされて暖色に染まっている。
「アイリーンはどう? 僕のこと好き? お付き合いしてくれる?」
そう耳元で囁くと、アイリーンはこくこくと小さく頷く。
「付き合ぅ……。あたしもユージィ好きぃ……♥」
よっし!
ありがとう、おじいちゃん! 貴方がおばあちゃんの目を盗んで教えてくれた恋愛テクニックのおかげで、僕は異世界で可愛い彼女ができました!
えっと、あとはなんだったっけな。ああ、そうそう。
ぐんにゃりと茹でタコのように赤くなって脱力するアイリーンを抱きかかえながら、僕はやわやわと彼女の下腹部を揉みしだいた。薄い脂肪と腹筋の上から、くにゅくにゅとその下にある臓器を軽く圧迫していく。
「……? ユージィ、くすぐったいよぉ」
「軽いマッサージだから気にしなくていいよ」
そう言って彼女の頬に軽くキスしてやると、アイリーンはふにゅうと甘えるように鼻を鳴らした。
そんな彼女の耳元で、僕はさらに囁き声を聞かせてやる。
「じゃあさ……僕と結婚しちゃおうか?」
「ふえっ……!?」
アイリーンはにわかに目を丸くして、僕に視線を送ってくる。
そんな彼女の視線を受け止めながら、僕はにこりと笑顔を返した。
「僕は本気だよ。何しろ聖者を自称してるからには、誰彼構わず抱かれるわけにはいかないし。僕を抱いていいのは結婚相手だけって決めてるんだ。でも、僕と結婚するからにはアイリーンも他の男を抱いちゃダメだよ。生涯僕とだけエッチすると誓うなら、僕の体を好きにさせてあげる。どう? 僕と結婚する?」
≪説明しよう!
聖女の部屋に入ったもののヘタレてしまったショタっ子が、突然スケベさを剥き出しにした聖女に背後から抱きしめられ、豊満な巨乳の感触を背中に感じながら濃厚なベロチューで脳までトロトロにされたシーンである!
しかも「私は聖女だから、誰彼構わず抱かれるわけにはいかないんです。私を好きにしていいのは旦那様だけですよ。生涯私とだけエッチするって誓えるなら、私の体はアイ君だけのものです♥ ね? お姉さんと結婚して、い~っぱい子作りエッチしよ♥」と熱烈プロポーズまでされ、こんなうまい話があっていいのか? もしかしてこれは夢なんじゃないか? と思わず疑っているため返事が遅れているのだ!≫
これがおじいちゃん直伝の必殺恋愛テクニック、その奥義だ。
かつて聞かされた言葉が脳裏に甦る。
「いいかい、雄坊。明らかに自分に気がある女の子とエッチに持ち込みたいときの最後の一手は、結婚をほのめかすことだよ。
女というのは男と違って現実的なところがあるから、どうしても一線を越えるときにこの男とくっついて本当にいいのかなとためらうものなんだ。そこで結婚して一生面倒を見ると約束してやると、安心して身を委ねてくれるものなんだよ。おじいちゃん直伝のマッサージテクで子宮からトロトロにしてやると効果倍増だ。
大丈夫だ、実証データもある。おばあちゃんもこの手でコロリと落ちた」
あのとき、おじいちゃんは音もなく現れたおばあちゃんにコトリと絞め落とされていたね。慌てて脈をとったら、しっかり生きててほっとしたよ。
そんなおじいちゃん直伝テクニックを、僕はアイリーンに惜しみなく投入していた。
やわやわと子宮をマッサージしながら、僕は彼女の耳に囁きを送り続ける。
「ほら、僕が触ってるところ、少しずつ温かくなってきたでしょ?
想像してみて、ここに僕の熱い子種がいっぱい注ぎ込まれて、アイリーンのタマゴを我先に食べちゃうんだよ。それでアイリーンそっくりの、とっても可愛い赤ちゃんになっちゃうんだ。元気でママ大好きな、すっごくいい子になるよ。それも1人や2人じゃないよ。
アイリーンが『もうやだぁ、これ以上子供産みたくないよぉ♥』って泣いちゃうまで、何回でも何十回でも何百回でも、毎晩溢れるくらい子種を注いじゃうからね。僕と結婚したら、もうここを休ませてあげないぞ。アイリーンみたいに可愛いお嫁さん、孕ませないでいられるわけがないんだから」
……いや、これ大丈夫? キモくない?
おじいちゃん、本当にこれが殺し文句なの? ちょっと鳥肌立つんだけど。
≪説明しよう!
聖女に心のショタちんを半ズボンの上からやわやわと刺激されつつ、「ほら、私が触ってるところ、すごく立派でカッコよくなってきましたよ♪ 想像してみて、ここからびゅ~♥ってアイ君の熱い子種が私のお腹に注ぎ込まれて、私のタマゴを我先に食べちゃうんですよ。それでアイ君そっくりの、とっても可愛い赤ちゃん産んじゃうんです。元気でパパ大好きな、すっごくいい子になりますよ。それも1人や2人じゃないです。私が『もうやだぁ、これ以上子供産みたくないよぉ♥』って泣いちゃうまで、何回でも何十回でも何百回でも、毎晩た~くさんお射精していいんですよ。私と結婚したら、毎晩エッチし放題です。アイ君の好きなだけ、何人だって孕ませてください♥」と耳元で囁かれるショタっ子の図である!
もちろん憧れのお姉さんからこんなことを言われて、心のショタチンがピンコ立ちしないショタっ子がいるわけがないのだ!≫
「う、産むぅ♥ お兄さんの赤ちゃん、たくさん産むから結婚してくだしゃい……♥」
アイリーンは口元をだらしなく緩ませながら、僕のプロポーズを受け入れてくれた。
……え、マジで? あの口説き文句で本当に落ちたの?
体全体が桜色に上気し、瞳はハートマークが浮かんでいるかのように目元がトロトロに蕩けきっている。既に意識は子供を抱っこしている未来図に飛んでいるんじゃないかというトリップ具合だった。
顔を寄せて唇の涎を舐め取ってやると、もどかしげに舌を突き出してきてベロチューの続きをせがんでくる。あまりにも可愛いので頭を撫でると、目を細めながらくぅんと鼻を鳴らして甘えてきた。
くそっ、なんというあざとさだ。1000点。
ともあれ、こうしてアイリーンは僕の婚約者になった。
この世界の法律に詳しくないのでどうすれば結婚になるのかはわからないが、婚約者となればもはや夫婦も同然だ。
つまりこのまま合体まで至ってもなんら問題ないということ……!
「アイリーン!」
「やぁん♪」
アイリーンの体をひっくり返し、椅子の上で対面する形で改めて抱きしめると、アイリーンは僕を濡れた瞳で見上げてきた。口ではやぁんとは言うものの、その瞳には期待の色が浮かんでいる。よしっ、このまま合体までいける……!
僕は右腕を彼女の腰の下に回してお姫様抱っこしようとすると、アイリーンは感極まったかのように首っ玉にしがみついてきた。期待で熱く茹だった吐息が、僕の首筋にかかる。
そのまま彼女をベッドまで運ぼうと立ち上がった、そのとき……。
バァン!
「おーっすユージーン! 引っ越し祝いにすっげえいいワイン持ってきてやったぞ! 今日は朝まで飲み明か……そ……」
ワイン瓶を片手に部屋に突入してきたウルスナの視線の温度が、みるみるうちに氷点下まで下がる。
「ふぅーん……?」
そんなウルスナに、僕の腕の中のアイリーンが幸せそうな笑顔を向けた。
「ごめんねウルスナ。ユージィの赤ちゃんはあたしが産むね」