【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く   作:風見ひなた(TS団大首領)

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第91話「鋼メンタルでドラパパと酒を飲みかわし抜く」

 結局今日はドラコと会えずじまいだったな。

 精霊石を譲ってもらう交渉もできてないけど、これは一体誰に言うべきなんだろうか。

 ドラパパと話すのが一番手っ取り早そうなんだけど、ドラコとも会わせてもらえてないのに権力者やってるドラコの親と会いたいっていうのは無理筋なような気がする。

 とはいえ、話さないことには前に進まないしな……。

 

 とりあえず今日はもう遅いし明日にするか。

 そう思って寝ようとした矢先に、コンコンと客室のドアがノックされた。

 返事を待たずにドアが開き、その隙間からぬっと顔を出したのは……。

 

「よっ。ちょっと一杯やってかない?」

 

 悪戯っぽい笑顔を浮かべながら酒瓶を持ち上げたドラパパだった。

 

 後輩の家に酒持ってきた大学の先輩みたいなことするじゃんこの人……。

 とはいえ向こうから来てくれるとはありがたい。どうやってアポ取ろうかと思ってたからね。

 

「もちろん大歓迎です。どうぞどうぞ」

 

「家族水入らずのところ悪いねどうも。お邪魔するよ」

 

「こっちもお土産を用意してるんですよ。ほらデボ子、アレ出してアレ。あのすっごい強いお酒」

 

「デボ子って言うな! ……さささ、どうぞどうぞ陛下。先日の酒よりももっと強くて純度の高い火酒でございます! これは上物でございますよ!」

 

 デアボリカをせっつくと反射的に噛みついた後、へこへことドラパパに媚びながら酒瓶を取り出してくる。

 ドラパパはそんなデアボリカの媚びる姿をスルーして、差し出された酒瓶にだけ目を向けてほう!と声を上げた。

 

「おお、前に飲んだ銘柄のものか! あれよりうまい酒とは楽しみだ。さすがは先生、我々が何を好むのかよくわかっておられる」

 

 

 先生? 僕はこの人にそんな呼ばれ方されるほど立派な人間じゃないけど。

 ああ、ドラコの先生だからか。なんか学校の先生が自分より一回り以上も年上の立派な大人から先生って呼ばれる気持ちがちょっとわかっちゃったね。すっごい面映ゆいよこれ。

 

「僕も楽しみです。先に味見したいのを必死に我慢して、ドラパパさんと一緒に飲んだ方がうまいと自分に言い聞かせてましたから」

 

「ドラパパ? ハハハ、ドラコのパパだからか。お互い我が息子を基準にして相手を捉えてしまうな。結構結構、ぜひそう呼んでくれ」

 

 鷹揚に頷くドラパパに、ウルスナとアミィさんがふうっと安堵のため息を吐いた。

 なんかドラパパのことすごい警戒してるんだね。いや、そもそもドラコがうちに来たのはあいつの傍若無人な態度が原因なんだったっけ。ドラゴンの里に来てから、どうも友好的なドラゴンに出会ってないから警戒するのも当たり前か。

 

「じゃあ私はドラママだね!」

 

「……ん!?」

 

 ドアの隙間からの声に、僕たちは目を丸くした。

 全身真っ白な少女が顔を出して、こっちを窺っている。

 と思ったら、そのまま無遠慮に部屋に入って来て、しげしげと珍しそうに酒瓶を眺めている。

 

「へえー。これが人間のお酒? なんか茶色いね。ワインとも違うし、新大陸の人たちがよく飲ませてくれる白いお酒とも違うし。ねえ、これなんてお酒?」

 

「ウイスキーと言います」

 

 この白い女の子……さっきの宴の席でドラゴン側の中央に座ってた子だね。

 つまりドラゴンの里の族長で、ドラコのお母さんだ。

 いや、間近で見るとマジで若いな。下手すると僕より若く見えるぞ。まだ十代にしか思えない。

 見た目が若いというだけでなく、行動もなんだか幼い印象を受ける。

 

「ねえあなた、いいお酒をひとりじめなんてずるいわ! 私も飲む! グラスどこ?」

 

「まったく目ざといな……。お客さんの前なのだから、おとなしく飲みなさい」

 

「わかった! ごくごく! これおいしー! 喉が焼けるみたいね! あはは! ブレス吐いたときみたいでおもしろーい! もう一杯ちょーだい! ごくごく! ぷはー! おいしー! あれ、天井がぐるぐる回るわ。あはは、楽しくなってきちゃった! もうグラスとかいいから瓶ごと寄越しなさいよ! ごきゅごきゅ! ぷはー! お酒うまー! 眠くなってきちゃった! おやすみ! ぐかーぐかー」

 

 

 瓶ごとウイスキーをラッパ飲みした挙句、ソファーにひっくり返って寝息を立て始めたドラゴンの族長を名乗る少女を、僕たちは唖然として見つめた。

 大股を開いてお行儀悪く転がりながら、ウイスキーの瓶を抱えてむにゃむにゃと口元を動かしている。

 ドラコも可哀想に……これが母親……。

 

 いや、しかしこの寝姿ドラゴンの威厳もへったくれもねえな。

 あまりにも隙だらけや。今の状態なら誰でもドラゴンスレイヤーになれるんじゃないの?

 ヤマタノオロチに酒飲ませて奇襲を仕掛けたスサノオもこんな気分だったに違いない。

 

「えっと、この人は……」

 

「ごく一般的なドラゴンの成人女性だ」

 

 ドラパパはグラスの酒で唇を湿らせながら、苦虫を噛みしめるような表情で眉間を抑えた。

 いやこれが一般的なドラゴンだと言われても。

 さすがに偏差値高めのアホでしょこれ。ドラゴンがみんなこんなのとか世界の終わりだよ。

 僕がそんなことを思っているのを見て取ったか、ドラパパは大きな溜息を吐く。

 

「いいかね、先生。人間はドラゴンのことを強大で賢明な人知の及ばない高尚な生き物だと思っているが……。実際は脳みそツルッツルなのだ」

 

「ツルッツル」

 

「うむ。脳みそにまったく皺が入っておらぬ。大体が幼児レベルのバカばかりなのだ。いいトシしてどうでもいいことに大はしゃぎするわ、後先のことをまったく考えられないわ。揃いも揃って図体ばかりでかいアホしかおらんのがドラゴンなのだよ」

 

 ぐこーぐこーと寝こけるかみさんを半目で見ながら、ドラパパはそんなことをのたまう。

 

 お、おお……。ドラゴンの長とは思えないこと言うじゃん。

 いや、ドラゴンの長だからこそ一族の欠点がよく見えるのだろうか。

 

「なんでドラゴンというのがバカしかおらん種族なのか、わかるか先生?」

 

 いや、そんなこと僕に訊かれても困る。

 元の世界では「大男、総身に知恵が回りかね」なんて言ったもんだけど。

 でもここでわかりませんって答えるのも嫌だな。この人に情けないところを見せたくない。

 うーん、そうだなあ。

 そもそも頭がよくない種族だから?

 いや、それは違うな。だってドラパパはとても頭が冴えてそうだし、ドラコだって最初はプライドが高い典型的なバカだったけど、一緒に暮らすうちに聡明さを見せ始めた。

 ということは、教育次第ではちゃんと考える力が身につくのだ。

 しかしこの里では族長が子供のような振る舞いをする。それはその振る舞いが当然だからと見なされているからで、つまり。

 

「バカであることが強さの証だと考えられている文化だから?」

 

「さすがは先生。その通りだ」

 

 ドラパパは僕を褒めながら、深い深いため息を吐いた。

 

「ドラゴンは力ある者が正義という常識で生きている。そして力ある者は、他人の顔色を窺わない。自分がやりたいように好き放題する、天衣無縫な……言い換えれば物事を深く考えないバカであることが最強の証だと考えているのだ。だから吾輩の妻のように、種族最強の者は子供がそのまま大きくなったような振る舞いをするのだよ」

 

「なるほど、すごい文化だ……」

 

 なんともコメントに困る文化の有様だね。

 でもまあ、初対面の時のドラコがなんでああいう感じだったのかはわかったよ。

 この種族の常識でエリート教育されたから、あんな高慢なバカだったんだね。

 下手をすると強者は難しいことを考えてはならないみたいな考えを擦り込まれてる可能性すらあるよ。

 

 しかしこれ、よく今まで滅びずに生き残ってこれたね。

 それだけドラゴンっていう種族の強さが圧倒的ってことか。

 種族のポテンシャルだけで生き残れるくらいに、ドラゴンは強大なんだね。

 でもそれは……。

 

「その顔からすると、先生はお気づきだろう。そうだ。ドラゴンは滅びの道を歩んでいる種族なのだ。あと100年先に、我々は生き残ってはおるまい。じきに滅亡するだろう」

 

「えっ!?」

 

 デアボリカがショックを受けたように声を上げる。

 そんな商品売り込もうとした町工場の社長に「せっかく来てもらってなんなんですけど、ウチもうすぐ倒産するんですよね」って言われたセールスマンみたいな顔してんじゃないよ。

 ちょっと黙っててくれる? ウルスナもアミィさんも空気読んで僕とドラパパ2人きりで話させてくれてるでしょ。ここは男2人で語り合う席なんだよ。

 

「先生は、大ブリシャブ帝国がどういう国か知っているだろう。海を越え、他国を武力と経済で従え、世界を自国の旗の元に統一する。世界征服などという覇業を大真面目にやろうとしている国だ。我々の里はよりにもよって、その国が本拠地とする島に位置している。大海によって阻まれた別大陸に侵攻して植民地を作ろうなどと考える連中が、ドラゴンを見逃そうなどと考えるか? ありえんだろう」

 

 確かに。

 ドラコはドラゴンの里は幾度となく人間に武力侵攻されたことがあると言っていた。

 だがこの里は険しい山に阻まれており、空を飛びブレスを吐く巨大な怪獣の群れに人間は太刀打ちできなかったという。

 これまではそうだった。だがそれは山を越える手段がなく、ドラゴンを効果的に攻撃する手段を持っていなかっただけ。

 飛行機や飛行船といった山を越える手段が開発され、戦闘機や爆撃機といった航空戦力を手にすれば、ドラゴンのアドバンテージは失われる。

 

「何らかの山を越える手段を開発すれば、自国の領土内で強大な戦闘力を持つ生物の群れがのさばることを、人間たちは決して許しはしないだろう……ということですね」

 

「そうだ。吾輩は人間というものがどれほど技術に貪欲なのかを知っておる。確かに人間は弱い種族だ。魔力も大したことはないし、図体も小さい。すべての人類種の中で人間は最弱の存在と言っていい。だからこそ、人間は賢くなった。ほんの60年の短い生涯で培った技術を社会全体で共有し、積み重ね、集合知へと昇華する。その積み重ねた叡智はどんな強大な個の力をも凌駕し、やがて世界を制するだろう。その恐ろしさを……どれだけ説明しても、とうとうドラゴンは誰も理解してくれなかったよ」

 

 そう言って、ドラパパは自嘲するような笑みを浮かべた。

 

「故にドラゴンは滅びるのだ。どれだけの力を生まれ持った強者であろうとも、愚者はいつの日か必ず脆弱な賢者に敗れる。世の流れについていけない者が淘汰されるのは当然のことなのだ。ドラゴンは生まれ持っての強さに拘り、世界から取り残された。仕方のないことだよ」

 

「でも、貴方は必死に世界に追いすがっている。貴方がそうそう簡単に滅びを受け入れるほど諦めがいいようには、僕には思えませんけど」

 

 僕の言葉に、ドラパパは微かに眉を動かした。

 それを続けたまえという意志表示と受け取って、僕は言葉を紡ぐ。

 

「今日振る舞っていただいた料理、ご馳走様でした。随分と奮発した料理でしたね。コショウにトウガラシといった貴重なスパイスを贅沢に使った料理は、貴族でもそう食べられません。特にトマトを丸ごと潰して煮詰めたスープは絶品でした。あれはまさしく王侯であっても食べられない味です。だってまだこの国ではトマトを食用とする文化が根付いていないはずだから」

 

「…………」

 

 確かトマトはロングフィールド家でも栽培されていたね。観葉植物として。

 トマトは栄養価が高いのに、みんな毒があると思って食べてくれないとジャニスが残念がっていたことを、僕は覚えている。

 そしてあの香辛料。コショウはインディスパイス、トウガラシは新大陸が原産だ。それをドラゴンはどうやって手に入れたのか。

 今夜振る舞われたあの料理は、ドラゴンの財力を自慢するためのものではない。僕がどれだけの知識を持っているかという問いかけだったのだ。

 

 思えば、ドラコの教育を託しに来たドラパパがぽいっと3000万円分の賠償金を出してくれたときから、その問いかけは始まっていたのかもしれない。

 その財産はどこからきたのか。

 

 まさかおとぎ話のように、ドラゴンがどこかの城を襲って財宝を奪い去ったとでも? まさか。そんな強奪が許される時代ではない。そんなことが起きれば、大ブリシャブ帝国は怒り心頭でドラゴンの里に報復として攻め入るはず。

 だから略奪ではない。それ以外の方法で巨万の富を得ているとすれば、それは。

 

「貿易」

 

「ほう?」

 

「貴方の正体は貿易商です、ドラパパ。貴方は新大陸とインディスパイスを結ぶ貿易路を築き、巨万の富を得た。なにしろドラゴンはその巨体と怪力、そして空を行く翼を持っている。おそらくドラゴンこそは、この世で唯一の空路ルートでの輸出入ができる種族だ」

 

「ふふふ……ハハハハハ!」

 

 ドラパパは僕の言葉を受けて手を叩き、愉快そうな高笑いを上げた。

 

「先生の知識は想像以上だ。コショウやトウガラシで貴方を試したのはその通り。だが、まさか新大陸の食物までご存じとは思わなかった。いや、まったく……。行き掛かりとはいえ、これほどまでの賢者を師に迎えられるとは。我が息子はまったく幸運に恵まれている。まるで幼き日の覇王アレクサンドラのようだ……これで女に生まれていればな」

 

 いや、賢者なんて呼ばれるようなもんじゃないけどね僕は。

 ただ知ってるだけの異世界人なんで……。

 

「それで、僕を試したのはどういう意味があったんですか?」

 

「いや。別にないよ?」

 

 しれっとそんなことを言うドラパパに、緊迫した面持ちで話を聞いていたウルスナとアミィさんがずるっとずっこけた。

 

 ドラパパさんはお茶目な顔で軽くベロを出してから、グラスの酒にその舌先を浸した。

 

「ただ、我が息子をずっと託してもいい相手なのかなということが気になっただけさ」

 

「ああ、やっぱり僕にドラコを預けたのってその場のノリだったんだ……」

 

「そりゃそうだろう。吾輩に先生の人となりを前もって知る術なんてあるわけないんだから」

 

「じゃああのとき、僕を見て『吾輩はこの短い時間からこの人から学ぶべきものを見出したぞ』というのは……」

 

 あれ、ずっと気になってたんだよ。

 僕も自分に学ぶようなところがあるなんてまるで思ってなかったし。

 僕自身にもわからない美点を見出すなんてこの人ただものじゃないぞって思ったんだけど。

 

「ああ、ありゃ口から出まかせだよ? いくら吾輩に人物眼があるからって、そんな一言二言話した程度でどんな相手かなんてわかるわけないじゃん。しかもこっちはアリと象どころじゃなく力量差があるドラゴンだし、誰だって己を偽るさ。あれは我が息子を説得するためのハッタリさ」

 

「は、はあ……」

 

 まあそりゃそうか。この人の威厳にすっかり騙されてしまった。

 というかこの人、すごい勢いでお茶目な感じになってるんだけど。

 

 ドラパパはグラスを揺らして波紋ができるのを眺めながら、ふふっと笑って見せた。

 

「やっぱり相手のことを知るには、こうして酒を酌み交わすに限る。腹を割って話し、肝胆相照らしてこそ信頼すべき相手かわかるというものだよ」

 

「そうっすね。今まさに僕も貴方にそう思ってますよ」

 

「ただまあ、以前に酒を飲んだ時の情報と合わせて先生から美点を読み取るとすれば……」

 

 ドラパパはぐいっとグラスの酒を飲み干しながら、言葉を続けた。

 

「先生は鏡のような人間だな。それはいろいろな国を巡った吾輩をして、珍しい資質だと言える」

 

「鏡……」

 

「そう。虚心坦懐、明鏡止水。君の心は曇りのない鏡のように澄んでいる。もちろんその鏡面の下にも欲はあるのだろう。欲望のない者などおらんからな。しかしその欲もあくまでも性欲や食欲といった素直なものであって、邪ではない」

 

 グラスを机に置き、ドラパパは腕組みをして続ける。

 

「君は他人から好感を集めやすい人柄だと言われないか? それは、君という鏡に他人が自分の理想を投影するからだよ。たとえば自己犠牲を美徳と考える者は、君を殉教者のような人間ととらえるだろう。高潔さを誇りとする者は、君を守るべき無垢と見るかもしれん。博愛精神溢れる者は、君に無窮の愛を見出すであろうな」

 

 うんうんうん!とウルスナとアミィさんが力強く頷いている。

 興味なさそうだったアイリーンも、身を乗り出して瞳をキラキラさせてるね。

 

 あ、みんなから僕ってそう見えてるんだ……。

 それはとりもなおさず、3人がそういう思考をする人間だということでもあるんだけど。

 

「嘘だ! 私はこいつに散々迷惑をかけられているんだぞ! こいつは欲深く嘘つきで見栄っ張りでその場しのぎに適当なホラを吹くどうしようもない人間なんだ!!」

 

 デボ子が身を乗り出して僕を糾弾するも、

 

「それはお前自身が欲深く嘘つきで見栄っ張りでその場しのぎに適当なホラを吹くどうしようもない人間だということだな」

 

「グギィーーーーッ!!」

 

 どうでもよさそうな顔をしたドラパパの言葉の刃にあっさりと斬り殺されて骸を晒した。

 なんて愚かな人間なんだ……。

 

 まあでも、デボ子の人物評も僕の一面を評しているとは思うよ。

 僕は自分のことをすごく適当で考えなしだと思ってもいるし。

 

 ただ、だからってドラパパが適当なこと言ってるとは思わないな。

 だって「日本人は鏡のようだ」って、海外に行った日本人が現地の人からよく言われることなんだよね。

 どうしてそうなるのかはよくわからないけど、海外に行った日本人は現地の人から自分たちの鏡写しのようだと言われることが多いらしい。

 和の精神ってやつのせいかな? 多分あまり自分を出さず、現地の社会に溶け込もうとする社会性を重視する習性が、現地の人から見ればそう見えるのかもしれない。

 

 それにしても……ドラパパは何者なんだろうか。

 力を至上とするドラゴンにあって、この観察眼と広い視座。

 ドラゴンの社会に生まれ育って、こう育つものなのか。

 

 いや、違う。

 僕はその答えをもう既に持っているはず。

 そう……ドラパパの秘密。それは……。

 

 僕は姿勢を糺すと、ドラパパにニヤリと笑いかけた。

 

「貴方の正体は……日本人。ドラパパ、貴方はドラゴンに転生した日本人だ、そうですね?」

 

 するとドラパパは瞳をぱちくりとさせて、口を開いた。

 

「……ニホン……? なんだそれ?」

 

 

 ぎゃあああああああああ外したァァァァァーーーーーッ!!

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