なので、原作(映画)とは異なり、万国脱出後のメンバーになります。
出演(?)メンバー
ルフィ、ナミ、サンジ、チョッパー、ブルック
ジンベエ、エル、キャロット
イオリ、ペドロ(声だけ?)
未出演メンバー ※ワノ国にいるのでここには居ない
ゾロ、ウソップ、ロビン、フランキー
プロローグ:”スーちゃんの名は”
ずっと私の一番近くにいて、身の回りの世話を焼いてくれていた女性の奴隷は、とてもきれいな
ただ外見が整っているというだけではなく、どこか儚げで、けれど芯の強さを感じさせる雰囲気をまとっていた。
幼い頃から、彼女は常に一歩後ろに控え、必要な時にはそっと手を差し伸べてくれた。
言葉数は多くないのに、不思議と安心させてくれる存在だった。
私が6歳になり、護衛たちの特訓を始めた頃。
修練場で彼女はいつも興味深そうにこちらを見ていた。
その視線に気づいた私は、CPたちがいない時を見計らって、彼女にも軽く体の動かし方を教えてあげた。
最初はぎこちなかったが、飲み込みが早く、何度か教えるうちに驚くほど滑らかに動けるようになっていった。
彼女が嬉しそうに微笑むたび、私もなぜか誇らしい気持ちになった。
料理にも興味があるようだったので、食事を作るついでに一緒に台所に立つことも増えた。
簡単なスープから始まり、パンを焼いたり、季節の果物でお菓子を作ったり…。
時にはプロの料理人に教えを乞うこともあった。
彼女は新しいことを覚えるたびに目を輝かせ、失敗しても決して諦めず、何度も挑戦した。
そんな姿を見るのが、私は密かに好きだった。
気づけば、彼女は私と一緒に多くのスキルを身につけていた。
戦闘の基礎、料理、礼儀作法、読み書き……。
奴隷として与えられた役割を超えて、彼女は確かに成長していた。
だからというわけではないけれど、私はいつしか彼女には『外の世界も見てほしい』と思うようになっていた。
狭い屋敷の中だけで終わるには、彼女はあまりにも頑張り屋で、あまりにも優しかったからだ。
そこで、友人になった企業の会長に頼み、彼女を外の世界へ連れ出してもらう計画を立てた。
会長は快く引き受けてくれたが、「履歴書がほしい」と言われた。
その瞬間、私ははっとした。
――そういえば、彼女の名前を聞いたことがなかった。
最初から『スーちゃん』と呼んでいた為、気にしていなかったのだ。
ずっと一緒にいたのに。。。
当たり前のように隣にいたのに。。。
私は彼女の名前をちゃんと知らなかった。
胸の奥が少し痛んだ。
そして、いまさらながら問いかけた。
「あなたの名前を、教えてくれる?」
「ステラです」
…え?
ちょっと待って。ステラって、あのステラ!?
「カノン様?」
「ステキな名前ね!」
「ありがとうございます。そういえばカノン様がまだ喋られる前でしたね。私が自分の名前を名乗ったのは…」
― たぶん、その時ちゃんと聞いてなかったんだな、私…。
ずっと『スーちゃん』って呼んでたけど、ステラだったのか。
なるほどねぇ。
……いや、映画見てない私が気づくわけないんだけどさ。
という事は…
彼女、原作(?)と違って死なずに済んでたってこと?
マジか。
詳しく聞いたり調べてみると、実は彼女、殺されそうになっても言う事を聞かず、逃げ出す事ばかりを考えて行動していたらしい。
扱いに困った買い主は、最終的に彼女を”処分”しようとしたそうだ。
しかし運よく(?)私が生まれたことで、パンゲア城で奴隷の需要が生まれた。
彼女の買い主は『これ幸い』とばかりに、彼女を差し出した―というわけらしい。
でも確か……
原作?では、エースが船出した次の年あたりに、グラン・テゾーロ竣工するのよね?
ってことは、テゾーロはもうゴルゴルの実の能力者になってる可能性あるよね?
彼、ステラのこと知らんのかな?
ある意味”処分”されたことになるんだろうし、伝わり方によっては原作通り……なのか?
まぁ、あれはパラレルワールドだから、どうでもいいっちゃいいんだけど。
――なんて思ってたんだけどねぇ……
~ ~ ~ ~ ~
万国のナワバリを抜け、サニー号はワノ国へと向かっていた。
見張り台にいたチョッパーが、同じ進路を取る巨大な船影を発見する。
「大きな船が見えるぞー!」
風呂上がりで休憩室にいたナミが声を聞きつけ、チョッパーの元へ駆け寄った。
そしてその船を見た瞬間、目を見開く。
「うそ……! あれはまさか!!」
この場で唯一、新聞を欠かさず読んでいるナミは知っていた。
あの黄金の巨大船――『グラン・テゾーロ号』を。
「おもしろそうだな!」
ルフィは二つ返事でナミの提案を受け入れた。
進行方向は同じ。多少速度が落ちたとしても、数日程度の寄り道なら問題ない。
一方で、ジンベエは少し複雑な表情を浮かべる。
仲間と合流するためにワノ国へ向かっている最中なのだから当然だ。
だが、自分はまだ新参。
船長が決めた以上、従うのみ――そう腹を括った。
** - ** - **
海賊も海軍も、そして世界政府でさえ手を出すことのできない場所。
“絶対領域”。
法も無法も、正義や悪ですら、ここでは意味をなさない。
天上の権力すら及ばない“動く夢の国”。
まともではないが、だからこそ最も愉快だと言える場所。
黄金船<グラン・テゾーロ号>。
その巨大な双胴船は、島と見間違えるほどの規模を誇る。
カジノ、劇場、遊園地、スタジアム、リゾート施設。
あらゆる娯楽を備えた海上のエンターテインメント・シティは、“富”を求める者たちを飲み込む。
興奮に酔いしれる彼らを待つのは“幸福”か。それとも“絶望”か。
たった一度の
人生とはスリルであり、興奮であり―それを極上の黄金の祝福と共に。
「おー!」
ルフィが目を大きく見開き、歓声を上げた。
「スッゴ~い!」
チョッパーとキャロットのテンションも上がる。
サウザンドサニー号が港に着けば、そこはもう“夢の国”。
目に映るものすべてが
歓迎の旗を掲げたポールも、船を係留する係柱も、桟橋の板までもが純金製。
海面でさえ金粉を浮かべてキラキラと輝いている。
港と言っても、ここは陸地ではない。
巨大船の船首側中央部に設けられた船着き場で、そこには何十隻もの船が停泊していた。
客船、海賊船、そして海軍旗を掲げた軍艦までも。
黄金の魔法がかけられたこの場所では、堅気も賊も公僕も関係ない。
桟橋に降り立つ人々は老若男女問わず、皆が童心に返ったような表情で胸を躍らせていた。
「まるで黄金の世界ね!ここが船の中だなんて、信じられない!」
「これが噂の黄金船〈グラン・テゾーロ号〉……!港からして派手ですね。」
ナミとエルが感嘆の声を上げたその時、桟橋の向こうからヒールの音が近づいてきた。
「ワォ、
「?」
ルフィたちは声の主へと視線を向ける。
褐色の肌。 体のラインを強調するドレス。
堂々とした色気をまとった、大人の女性がそこに居た。
「初めまして」
サングラスを外し、にこりと微笑んだ女性に―
「どうも、マドモアゼル……この船のコック、サンジです」
サンジはものの二秒でひれ伏した。
「― ここであなたに出会えたのは、まさに運命……」
「まぁ、お上手だこと」
ナンパのテンプレなど慣れっこのように、美女は軽く受け流す。
「お会いできて光栄ですわ。私はこのグラン・テゾーロでVIPのお客様をご案内しております、バカラと申します」
案内係 ― コンシェルジュということらしい。
(この人が……)
エルは名前を聞いた瞬間、わずかに目を細めた。
もちろん、相手に気づかれるようなヘマはしない。
「お前、おれ達のこと知ってんのか?」
ルフィが素朴に尋ねる。
「もちろんでございます、モンキー・D・ルフィ様。政府や海軍の幹部、有名海賊の皆様方は、
バカラはファイルを開き、優雅に見せてくる。
二年前 ――。
四皇エドワード・ニューゲート率いる〈白ひげ海賊団〉と、海軍本部十万の精鋭が激突したマリンフォード頂上戦争を経て、〈麦わらの一味〉の冒険は世界を巻き込み、次のステージへ進んだ。
〈赤い土の大陸〉を越えたその先、〈新世界〉へ。
“最悪の世代”の一人、モンキー・D・ルフィは、ドレスローザ王国にて闇の
その結果、船長の懸賞金は八億を超え、一味の
「ルフィ達も随分と有名になったもんじゃな」
ジンベエがまるで他人事のように言う。
万国での一件により、懸賞金はさらに大きく更新されている。
だが、その情報を知る者はまだ少ない。
明日には、バカラの持つファイルも新しい数字に差し替えられるだろう。
彼らはすでに、グラン・テゾーロにふさわしい“客”なのだ。
― ブロン! バロロロロロロロン! ―
爆音を響かせながら、桟橋に一台の車が滑り込んできた。
「何あれ、すごーい!」
見たことのない乗り物に、キャロットが目を輝かせて駆け寄る。
クラシックなデザインのオープンリムジンだ。
奇妙なのは、ボンネットの両脇に四つずつ ―― 計八個の小さな椅子が並んでいること。
そこには、ちょこんと亀が座っていた。
「こちらはカメ車と申しまして」
バカラが優雅に紹介する。
「スゲェ!その車、カメで動くのか?」
「はい。このタートルロイスは、マッスルガメを八匹搭載しています」
チビマッチョのマッスルガメたちは、ボディビルダー顔負けの筋肉を誇らしげに見せつけた。
「うわっ! フッカフカ!」
車に乗り込んだナミが、シートの座り心地に歓声を上げる。
エルとブルックも続いて乗り込んだ。
「なんだこれ、菓子か?」
備え付けの籠に置かれたお菓子を、チョッパーが目ざとく見つける。
「お好きな物をどうぞ」
そう言って、バカラは運転席へと腰を下ろした。
ドルルルルルンッ! ボ・ボ・ボ・ボッ……!
席についたマッスルガメたちが、一斉にペダルを漕ぎ始める。
八気筒〈V8〉エンジンのような迫力だ。
「では、グラン・テゾーロの街へ……!」
バカラはギアを入れ、アクセルを踏み込んだ。
~ ~ ~ ~ ~
港エリアを後に、リムジンはパワフルなエンジン音を響かせて疾走した。
「ハハ……おっと!」
対向車とすれ違い、助手席のルフィは風で飛ばされそうになった麦わら帽子を押さえる。
港からは空中を横切るフリーウェイへ。
そこから船内へと続く道を、バカラが案内する。
「本来は入国管理局のゲートを通るのですが……VIPは顔パスで」
「いやっほー!」
― WELCOME! ―
ゲートをくぐった瞬間、一味を迎えたのは強烈な陽気な音楽だった。
ダッ! ダッ! ダッ!
ギラギラと輝くネオンサイン。
ド派手な立体看板。
「紙吹雪……じゃない、これ金粉よ!」
ナミが目を丸くする。
金の紙吹雪が舞う目抜き通りのアーケードでは、きわどい衣装の踊り子たちが汗を散らしながら腰をくねらせ、華やかなパレードを繰り広げていた。
観光客たちは皆、伸び伸びと笑顔を浮かべている。
「ハァ~……なんだか夢の国みたい……」
キャロットが惚けたように呟いた。
これこそ歓楽街――人を楽しませるためだけに作られた街だ。
「ご冗談を。こちらはリーズナブルにお楽しみいただけるダウンタウンエリアですよ」
ハンドルを握るバカラが小さく笑う。
「―この〈グラン・テゾーロ号〉の全長は、およそ十キロあります」
「十キロぉ~~~~~!」
数字を聞かされ、改めてその規模に驚愕する一味。
「カジノ、劇場、水族館、プール、サーキット、ゴルフ場……。この巨大な船は、まさに一つの“国”。世界政府に認められた独立国家なのでございます」
独立カジノ国家グラン・テゾーロ。
その国土は全長十キロの巨大双胴船。
動力は帆でも風でもない。
バカラの説明によれば、二頭の巨大なギガントタートルが船を引いているのだという。
「さぁ、ここから高級エリアに入ります」
ダウンタウンのアーケードを抜けると、壮大なアーチ門が姿を現した。
空から見下ろせば、後部甲板は円形。
直径数キロ ―― まるで巨大なカジノのルーレット盤を模した船尾楼だ。
アーチ門をくぐった一味の前に広がったのは ――
「!!」
城壁のようにそびえる船尾楼に囲まれた高級エリア。
ダウンタウンよりもさらに豪奢で背の高い建物が立ち並び、
街を飾るオブジェ看板もぐっと上品なセンスに変わっている。
そして放射状に広がる街路の中心には、七色のサーチライトに照らされ、夜空へ届かんばかりにそびえる黄金の塔。
「すごっ!」
「街中が黄金……!」
チョッパーとキャロットは言葉を失った。
「このグラン・テゾーロの主、ギルド・テゾーロ様は黄金をこよなく愛しており……世界中から金を集め、このような“夢の国”を築き上げたのです」
「本当に金づくしって感じよね!」
「スゲェ金持ちってことか?」
「はい、ルフィ様。テゾーロ様は世界が認める最強のカジノ王!一流のエンターテイナーとしてステージにも立ち、さらに一国の王でもあります!
夜風にさえ、金粉が舞っていた。
〈麦わらの一味〉を乗せたカメ車は、ゆっくりと通りを進む。
「あれ一個、いくらくらいするんでしょう?」
ブルックが道路脇の金無垢のオブジェを指した。
一抱えもある純金の塊が、そこらじゅうに置かれている。
「私も……さっきから元・泥棒の血が騒いで……」
ナミはソワソワが止まらない。
「
バカラがぴしゃりと制した。
「あちらを」
街路樹の上を指し示す。
「あ……! 映像電伝虫!」
街のいたる所に電伝虫が配置され、周囲を監視している。
「盗みや破壊行為をした者は、この街のルールに則り、船底の牢獄へ落ちていただきますので。くれぐれも、ご注意を」
そう言ったバカラの横顔には、どこか危険な香りが漂っていた。
***
無数のスクリーンが、グラン・テゾーロの各所を映し出していた。
映像電伝虫による監視システムだ。
街中に設置された子供の「カメコ」が見た映像を送信し、
ここにいる大人の「プロコ」が受信してスクリーンに出力する。
ここは警備司令室。
カメ車で黄金の塔に乗り付けた〈麦わらの一味〉の姿が映し出される。
黒頭巾に蝶ネクタイ、軍服風のジャケットを着た男が、じっと彼らを監視していた。
「するるるる~……」
奇妙な息を吐きながら、男はニャンコのような口元を二ィッと緩ませた。