イムの娘(いむのこ)~番外編~   作:槙 秀人

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ギャンブラー

 ステラはテゾーロに会いたくないと言った。

 

 しかし、それが本心ではないことは誰の目にも明らかであり、そうでなくとも思考の読めるユナにとっては知れたこと。

 理由を掘り下げて聞いてみると、彼女は自分が彼には相応しくないと言った。

 

「彼が聞いたら悲しむわよ?だって彼が今の地位についたのは、あなたを探して救い出す為だったんだもの…」

「えっ!?」

 

 テゾーロが、グラン・テゾーロを造った理由。

 それはステラを救い出そうとした為だ。

 

 天竜人をグラン・テゾーロに招いて…

 ギャンブルで負けさせて…

 借金のカタに奴隷を買い上げ、解放する。

 

 買い上げた奴隷は、形としては船の中で労働に従事してもらっているが、衣食住はもちろん給金もちゃんと支払われている。

 本人たちがそれに気づくのは、借金を返し終えた後ではあるけれど…

 

 テゾーロは、ステラを見つけるまでそれを続けるつもりでいたのだ。

 

 ユナは隠さずに、テゾーロがやってきた事、その全てをステラに話して聞かせた。

 

「!!」

 ステラは両手で口を覆い、瞳を大きく見開いて、その目に涙を溜めていた。

 

 ― 嬉しい!

 

 彼が自分の事をそんなにも想ってくれていたことが、たまらなく嬉しかった。

 

 

「あなたの…本当の気持ちを聞かせて」

「…私は………」

 

 

「わかったわ。あとは私に任せて頂戴。」

 

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

『― お楽しみ頂けましたか。これぞエンターテインメント!引き続きグラン・テゾーロでお楽しみください。では…』

 麦わらのルフィを下した黄金帝ギルド・テゾーロが映像電伝虫の向こうに居る観客達に挨拶すると、放送は終了した。

 

『― するるる…下へ降りて、とどめを刺しますか?』

『― 放っておけ。大金庫…螺旋階段をチェックしろ』

 

 電伝虫から、テゾーロとタナカさんの会話が聞こえた。

 

「まずい…!こっちに来る!」

 受話器を耳に当てたカリーナは焦りの表情に変わった。

 

 このままでは袋のネズミだ。

 計画が失敗した以上、退くしかない。

 

 Bチームの一行は赤目フクロウの廊下に戻った。

 赤い光を無視して走ると、けたたましい泣き声が響き渡る。

 その直後、行く手をガードマン達が塞いだ。

 

「お任せを」

 前に出たのは、サンジだ。

 ジャンプすると、前転宙返りから踵落としをぶちかます。

 

「“粉砕(コンカッセ)”!」

 挨拶代わりの一撃でガードマン達が怯む。回転蹴りで繋ぐとサンジは一気に畳み掛ける。

 

「― “悪魔風脚(ディアブルジャンプ)”!“焼鉄鍋(ポアル・ア・フリール)スペクトル”!」

 着地することなく空中を駆け、連続踏み付け蹴りで敵を文字通り一蹴した。

 

 ドガンッッ!

 

 余勢があまって扉を破壊。一行はスウィートエリアに戻った。

 だが、すぐに増援のガードマンが集まってくる。

 

「切りがない!」

 カリーナの先導で廊下を走った。さらに別のエリアに通じる扉へ。

 

「ここは…?」

「天竜人専用のハイパースイートよ」

 カリーナがナミに答えた。

 天竜人が一般人客と接触しないようにしているのだった。

 

 “動く夢の国”で、夢が醒めるような世界貴族の存在をあからさまにするのは、カネを落とす一般客の興を削いでしまう。

 

「あ」

 ブルックが声を上げた。

 

 通路の向こうから、なんとその天竜人がやってくるではないか…!

 

 天竜人は外出の際、頭に透明な球体をすっぽり被る。

 下々民と同じ空気を吸いたくない ― と言う理由からだ。

 

 パンダみたいな獣に跨っているのがカマエル聖。

 控えて歩く女は第一、第二夫人でこちらも球体を被っていた。

 特に目を引く、鎖につながれた美女はドレイだろうか?

 さらに全身鎧の警護が付いていた。

 

「ナミ…どうしたらいい?」

 柱の影に隠れてやり過ごしながら、キャロットが小声で問いかける。

 大金庫は警備が固められてしまった。

 何より、もう時間がない。

 ナミは天竜人一行の背中を伺った。

 

「ここは…、勝負に出るわよ…!」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 ドーン!!

 

 ホストルームから奈落に落ちたルフィ達は、黄金の塔の内部を真っ逆さま。

 やっと底にぶつかった。

 輝く砂煙が舞い上がる。

 

 ゴロッと何かが倒れているルフィの傍らに転がってきた。

 ガイコツの頭だ。

 

「えー!?ブルック、どうしたんだ!?」

「ルフィ、そりゃ人違いじゃろ」

 一緒に落ちたジンベエが起き上がり、砂をはらいながら言った。

 

 ガイコツ頭は一つどころではなく、そこらへんに幾つも転がっていた。

 

 地下の大ホール。

 

 ここは<グラン・テゾーロ>の船底辺りのはず。

 足元の砂はみな黄金だ。

 壁の穴からは砂金が滝のように流れ落ちている。

 

 ザッ…

 

 砂を踏む音がした。

 ルフィとジンベは、ワラワラと集まってきた数十人の男達に囲まれてしまった。

 

「水をくれ…」

「頼む…!カネなら、いくらでもやるから!」

 男達は手に、手に金を持って差し出した。

 しかし、ルフィたちが水も食べ物もないと言うと、男達はうなだれ膝を付いた。

 彼らの顔には、乾き切った皺と絶望が刻まれていた。

 

 ― ここじゃ金なんて、何も価値がねェ。

 

 向こうで、ガイコツ頭に足を乗せた男が渋い声で言った。

 テンガロンハットにサングラスのウエスタンスタイル ― 荒野の無頼漢といった風貌だ。

 

「この、忌々しいゴールドプリズンではな」

 

「黄金の牢獄…?」

 ジンベエは思い出した。案内係のバカラが言っていた。

 盗みをした者は、船底の牢獄に落とされるとか…。

 

「ここには金はあるが。他には何もない。ここで、俺達が苦しむ様を見て、テゾーロは楽しんでいるんだ」

 男の言葉を聞いて、ルフィとジンベエは理解した。

 ここは<グラン・テゾーロ号>の廃棄場なのだ。

 様々な黄金の破片はゴミ。流れる砂は下水ということなのだろう。

 

「おっさん、誰だ?」

「おれか…?ただの負け犬さ」

 歩み寄ってきた男を見て、ジンベエが声を上げた。

 

「おぬし…!もしやレイズ・マックスか?」

「?誰だ」

 

「わしも詳しくは知らんのじゃが…」

 ジンベエがルフィに言った。

 

「レイズ・マックス!ただの一度として負けた事のない伝説のギャンブラー!ガキの頃、アラディンが憧れとった大スターじゃ!」

 昔、アラディンの部屋に貼ってあったポスターと同じ顔がそこにあった。

 ジンベエ達が子供の頃と言うと、ルフィは産まれていたかも微妙な頃だ。

 

「確かに、おれはレイズ・マックス。負け知らずのギャンブラー…バツ2だがな」

「人生のギャンブルには負けとったんか…いや、それはギャンブルとは違うかのう…」

 離婚歴2回。

 ジンベエは、つい冷静にツッコミを入れてしまった。

 

「おれはスターの座を捨て、家族に捨てられ、革命軍に身を投じ…」

「革命軍?」

 

「ああ…だが、もう革命軍も関係ねェ」

「関係ないんか?」

 

「おれは、このグラン・テゾーロで大勝負を仕掛けて、惨敗した。ギャンブルに負けた時点でレイズ・マックスは死んだのさ」

 あの褐色プリ尻おねーちゃんめ、とか何とかブチブチ愚痴る。

 かつての大スターのカリスマ性は色あせてしまったらしい。

 要するに…

 カジノで負けた者は借金返済のために働かせるが、拒否したり、従わなかった者は、見せしめとしてこの黄金監獄に落とされる。

 ということらしい。

 

「早くエルを助けにいかねェと…なァ?どっかに出口ないのか」

 ルフィは囚人達に尋ねた。

 

 何処にも出口はない。お前らも死ぬしかない。

 そんな絶望ばかりの返事が聞こえた。

 

「じゃあ壁、壊す!船の中なら、どっかに出るだろ!ゴムゴムのォ~~~」

「やめんかルフィ!」

 ジンベエが慌ててルフィを止めた。

 強い衝撃を与えれば、たちまちテゾーロにばれる。

 脱獄を試みればエルを即処刑すると告げられているのだ。

 

「大体、その腕でどうする気だ」

 マックスが言った。ルフィの両腕は黄金に変えられてしまっていた。

 

「腕がダメなら、頭がある!ゴムゴムのォ~~~~」

「聞け!麦わら坊主!」

 マックスが叫んだ。

 

「…諦めろ!どのみち体に付いた金を取らねェ限り、テゾーロには勝てねェ!」

「じゃあ、この金を取る!何か方法ねーのか!」

 ルフィが言い返すと、囚人達はみな黙り込んでしまった。

 

「…ない!というわけではなさそうじゃな」

 ジンベエは察した。

 ただ、それがとても難しい。恐らく命掛けなのだろう。

 

「…テゾーロは、海水で濡れた金は操れない」

 海水で体を荒い流せば、少なくとも体を金に変えられる事はなくなるはずだ。

 

 マックスが教えた。

 

「そうか、よし!じゃあ海水、取りに行こう!」

 

「あのテゾーロが、自分の弱点をそのままにしておく訳がねェだろ!唯一、可能性があるとすれば、…ポンプ室」

 <グラン・テゾーロ号>の船底に取水口がある。そこで汲み上げた海水を、濾過施設で真水にして街で利用している。

 

「―この監獄は黄金の壁で囲まれている。だが、空気を取り入れる通気口はある。それを伝っていけば…」

 監獄の一角に、直径数十メートルの穴が開いていた。通気口だ。

 

「ポンプ室にたどり着くかも知れねェ!」

 ルフィは、早速穴に向かった。

 

「だから、テゾーロはバカじゃェ…!通気口は黄金コウモリが解き放たれている。凶暴な大コウモリだ。これまで何人も脱獄を試みて…」

 

 バサッ…キィキィ…

 

 不気味な声と羽音が、通気口の奥から響いていた。

 

「―これは勝ち目のない賭けだ。諦めろ、麦わらの坊主」

 マックスは吐き捨てた。黄金コウモリの餌食になるだけだ、と。

 

「いやだ」

 ルフィは、ためらいなく通気口に身を投じた。

 囚人達は唖然とした。

 

 テゾーロに負けて黄金監獄(ゴールドプリズン)に落とされたのに。挫ける間もなく…?

 

 ドカッ!バキバキッ…!

 

 ほどなく骨が砕かれた音が響いてきた。

 通機口で起きていることを想像して、囚人達は顔を伏せていた。

 しかし…

 

 ジンベエは見聞色で何が起こっているのか分かっていた為、笑っていた。

 

 ― キィイイイイイイッ!

 

「やりおったな、ルフィ!!しかし…相手はこんなにデカかったんか!?」

 

「「「え~~~!?」」」

 マックスと囚人達は目を丸くした。

 通気口から吐き出されたのは、ルフィではなく傷だらけになった巨大なコウモリだった。

 

「ジンベエ!早く来いよ!」

 通気口の奥から、けろっとした様子のルフィの声が聞こえた。

 

「ルフィなら、こんな所なんぞすぐに脱出する。あやつは必ずやる男じゃ!」

 ジンベエは囚人達を見まわした。

 あの男(ルフィ)は、挫けるとか、そうゆうのは2年前に全て済ませたのだ。

 

「おぬしはギャンブラーなんじゃろう?どうせなら、あの男に賭けてみたらどうじゃ!」

 かつての大スターを一瞥すると、ジンベエは通気口に身を投じた。

 囚人達は顔を見合わせた。

 

「…フッ。未来は自らの行動次第…必ずやる…か。言いやがる」

 レイズ・マックスはサングラスの下でたぎらせた。

 生粋の、ギャンブラーの血を。

 

 

 ***

 

 

 劇場。

 ステージから一段高くなった階段上に、黄金の磔台が設けられている。

 星型の磔台に、エルは首から下を金に変えられて、塗り込められていた。

 

「感謝するよ、”堕天使”エル」

 テゾーロは今宵の主賓を仰いだ。

 

「キミの公開処刑のチケットは過去最高の売上げを記録した。どうだね、今の気分は」

「この前、初頭手配されたばかりなのに、過去最高とはすごいわね。イオリ様もさぞ鼻が高いことでしょう!」

 

「強がりは大歓迎だ。盛り上がる」

 本番も、その調子で頼むよ。

 

 興行主は笑いながら言った。

 

「<麦わら>は5億のカネを用意できない。仲間をまだ信じているかね?」

「彼は、仲間の為なら何でも可能にするヤツよ。」

 エルはテゾーロに笑みを返した。仲間に絶対の信頼を寄せているのだ。

 

「フフ…実に!楽しみだ!」

 

 開園を前に、テゾーロは劇場に笑い声を響かせた。

 もうじき客席は超満席になる。

 

 そして、もうじき幕が上がる。

 自身の…

 この劇場(ステージ)からの退場劇の幕が…

 

 

 ~~~~

 

 

 ストリートエリア。

 

 テゾーロの命令で、大金庫に続く破壊された扉の警備に当たっていたガードマンの前に現れたのは、思いがけない相手だった。

 

「カ…カマエル聖!」

 

「・・・」

 獣に跨った天竜人 ― カマエル聖が詰め寄った。

 

「どうゆう事アマス!主人のカネを狙って賊が入ったと言うのは事実アマスか?何をやっているアマス!」

「これだから下々民は!」

 夫人達が問い詰める。

 

 カジノの黒服であれば荒事には慣れている。しかし天竜人となれば話が別だ。

 世界貴族は、どんな金持ちでもドレイに落とす事が出来てしまう。機嫌を損ねるわけにはいかない。

 

 身分の差とは、この世に生まれた時から定められているのだ。

 

「申し訳ありません!賊…侵入者は、今捜索中でして」

「大金庫には指一本、触れさせておりません!どうかご安心を」

 ガードマン達はタジタジになりながらも弁明した。

 

「だめアマス!」

 カマエル聖の隣にならぶ夫人が奇声を上げた。

 

「お前達は信用できないアマス!今すぐ大金庫から離れるアマス!」

「従わぬとは…さては、お前達も賊の仲間アマスね?それとも、わちき達が間違っているとでも?」

 

 焦れた夫人達が責めたてると、ガードマン達は顔を青くした。

 テゾーロの命令は絶対だが、天竜人に逆らえば、ここで無礼討ちにされてしまう。

 

「お前達、カマエル聖に逆らう気か?」

 全身鎧の衛兵が武器を向けた。

 

「そんなことをしたら、どうなるか…」

 幸薄そうな首輪ドレイの美女が、チカラなく呟いた。

 

「おわかりですか~?ヨホ!ヨホホホ!」

 ダメ押しで、ケバケしい邪神ごとき衣装をまとったガイコツの、エキセントリックな声が響き渡る。

 ガードマン達はいよいよ顔色をなくして、逃げるように持ち場を離れていった。

 

 さて―…

 

 この天竜人の一行は、もちろん<麦わら一味>の変装だ。

 カマエル聖は人形。夫人はナミとカリーナ、人形が乗っていた獣はチョッパーで、全身鎧の衛兵はサンジ。

 ドレイ美女はキャロット。そしてブルックは・・・。

 

「私、誰なんですか?一体……」

 誰に変装したのか分からないが、とにかくガードマンを追い払った。

 本物の天竜人達はハイパーススイートで気を失っている。

 

「やるしかない…!エルの処刑まで時間がないわ!」

 時計を確認し、ナミたちは螺旋階段を駆け上がった。

 

 

 

 

 ~ おまけ ~

 

 昨日、エルが捕まった日の夜の事…

 

 首から下が黄金の像になったように見えるエルは、テゾーロの執務室に置かれていた。

 彼女は慌てない。抵抗もしない。

 

「ずいぶん落ち着いていルものだな」

 テゾーロはエルに声をかけた。仲間を信頼しているのだろうが、それだけではない気がしたからだ。

 

「演技だってわかってるからね。」

「!!?」

 

「仲間たち(うちのメンバー)は気づいてないだろうから今ごろ必死になって動いてるだろうけど?」

 

「なぜ…演技だと思った?」

「殺気も何も感じない。うちらを試してる感じ?」

 

「フッ…さすがは10億の大物だな。」

「そうでもないわ。余裕があるのはいつでも逃げられるからよ。」

 

「ほう?その拘束を簡単に抜けれると?甘く見られたものだ。」

「そうかしら?」

「!!?」

 

 次の瞬間、エルはテゾーロの隣に座っていた。

 そもそもエル自身にはテゾーロの金粉は付いていない。

 この船に乗ってからずっと体の周りに風の精霊によって膜を張っていたからだ。

 

 テゾーロが操った黄金はエルに取り付こう纏わりついていた金粉だ。

 当然、彼女を縛る拘束具(黄金)も彼女に触れていない。

 抜け出そうと思えばいつでも抜け出すことができたのだ。

 

 さらに、エルは(イオリ)からゴルゴルの実の弱点を聞いている。

 エルは自身をずぶ濡れにする程度の海水ならば、いつでも呼び出すことが出来る。

 濡れた程度ならば、弱体化することもない。

 

 驚いた顔を見せたテゾーロだが、彼女の(あるじ)を思いだして納得した。

 

「そういえば、お前は大参謀の従虎だとか。どう言う意味だ?」

「えっ?そのままの意味だけど」

 

「いや、意味がわからんからきいてるんだが?」

「あー…ごめんなさいね。種明かし禁止なの。」

 

「そうか、わかった。仕方ない。機会があったら今度お前の主に聞いてみるか」

「そうしてくれると助かるわ」

 

 

 

「ね!その子は賢いでしょ?」

 突然、女性の声がした。

 

「イオリ様!?」

 エルが驚き声をあげる。しかし、テゾーロは静かにため息を吐いただけだった。

 

「驚かないのね?」

「さすがに慣れたよ」

「慣れた?って…」

 エルはイオリから話を聞いて、さらに驚く事になる。

 

 やっぱり…

 この人が関わると、こんなこと(・・・・・)になっちゃうわけね…

 テゾーロたちも、さぞや災難だった事でしょう…。

 

「失礼ね!これはユナの計画だから!私は彼女に頼まれただけよ!!」

「…そうですね!」

「むぅ~…!!」

 思考を読まれた事には文句も言わず、エルはイオリの言葉を肯定してみせた。

 イオリはそれが気に入らない。

 

「これが、主従の会話か?」

 テゾーロが静かにツッコミを入れていた。

 

 

 

 

「エルはこのまま捕まっててちょうだい。必ず救い出してくれるはずだから」

「わかりました」

 

「しかし、麦わらたちがこの船を無視してワノ国に向かっていたらどうするつもりだったんだ?」

「そしたらこのチラシをサニー号に届けたわ。」

 テゾーロがそのチラシを見てニヤリとした。

 

「見たかったな。」

「ゲリラライブ?」

 エルがそのチラシを見て目を丸くする。

 

「ユナには苦労をかけるけど、もともと彼女の計画だからね」

「これを知ったらカリーナやバカラがあの航海士に文句を言いそうだ。」

 

「ユナは人気者だね」

 

 

 テゾーロは、『従虎』が何かを知った。

 

 

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