鬼畜死に戻リプレーヤー   作:覚め

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豊姫がほぼ何も喋らずに消えたのは、作者が豊姫についてまっったく知らんからです。
未知のものを人は忌避する。今の私にとって豊姫は畏怖と同義である。


月日

「八意〜」

 

「決めたわ。私の名前」

 

「え?」

 

「貴方がわかる言葉を絞り込んで、なんとか決めたの。」

 

「おお」

 

「永琳。八意永琳よ」

 

「呼びやすくなって助かるぞ八意」

 

名前で呼んでみてと言われたので永琳と言ってみる。反応は…なんかこう、やっぱりよくわからない反応だった。これからは永琳と呼んで欲しいらしい。永琳、ね。小さく言って生命維持装置に腰掛ける。もしかして俺、決めた名前を言う為に呼ばれた感じか?…いやまあ、望んだのは俺さ。でもだからって永琳さぁ…ま、良いけど…。どうやらこの名前は姫様と依姫豊姫にはもう言っているらしい。え、同居人が最後なの??

 

「永琳」

 

「じゃあ私仕事だから」

 

「…永琳の布団で寝ちゃえ」

 

最近はこの布団にも少し慣れて来た。生命維持装置さえなければ、と思ったが仕方ない。実際座るだけしか出来ないのだから。座り心地も抜群だ。キングサイズなら生命維持装置と並んで眠れただろう。ただその場合永琳の寝床は端に追いやられる。それは流石に可哀想すぎるので、結局俺は生命維持装置と寝ることが強制されるのだ。ちなみに俺からは脈拍やら何やらが見えない。俺の体にぶっ刺さってるコードが短い。

 

「××から呼ばれて来たのよ」

 

「その永琳はいないっすよ」

 

「?貴方と遊ぶように言われてるんだけど」

 

「姫さん職場の永琳構わなくて良いの?」

 

「今日は法律関係の話。構ってもらえないのよ」

 

「そんな日があるのか」

 

姫様と遊んでいると、俺の生について話せと言われた。生命維持装置があって、何やら記憶力が増大した感覚があるので話してやろうと思ったが、結局前の生の記憶力は増えてないので、質問に答えるしかない。覚えてなかったら記憶にございません、だ。というか、体感で百年以上…前?先?の話なんて覚えていない。つーか覚えてたら精神狂うから無理。

 

「んー…今まで何か心の柱にしてたものとかはある?」

 

「人と妖怪。まだ文明があるうちは人間が主だったけど、文明がなくなった後は妖怪。その妖怪さえいなくなった後の柱がそいつらの記憶かな?」

 

「ふーん…今まで出会った中で、初対面なのに呼びかけられたとかは?」

 

「ない。もしかしたら死に戻るたびに顔が違うのかもしれない。元の顔自体忘れてるし」

 

「そう…じゃあ貴方のことを知ってる妖怪と人間はいないのね」

 

「多分なぁ。色々と偉人やら大妖怪がいたけど、多分俺の死に戻りの話を信じてなかったんだよあいつら。クソが」

 

「妖怪も薄情なのね」

 

「いや、俺を育てたり面倒を見たりした奴は大概病んでたりしてたんだよ。気まぐれだな」

 

詰まるところ、生きる理由を俺に押し付けて、俺が生きている間は生きる理由がある。俺が出会った大妖怪は全員そうだった。一番記憶に残っている妖怪で言えば狐だろうか。大陸から旅行しに来たらしいその妖怪は、俺を一目見て去っていくところを、後ろ歩きで戻って来て拾い上げると言う意味のわからない行動をしていた。次に鬼。まあそんな感じである。

 

「へぇ…人じゃないのに人の子が育てるなんて、変な話」

 

「お前多分それ永琳にも当てはまるぞ」

 

「なんで?私たちなんてそんなに変わらないでしょ」

 

「…多分違うんだよ。俺が知る限りだと、お前らの生き残りが人間じゃない。一度消えてんだよ、生物自体が」

 

「え、餓死したの?」

 

「お前のその着眼点は誇るべきだと思う。褒めはしない」

 

「えー」

 

「次の質問」

 

「私の護衛は今どこにいるでしょう?」

 

え?と間抜けな声。周りを見渡すがいない。な、何?何この、緊迫した状況?何でお前着物脱ごうとしてるんだ??おい待て、これは、あれか。ハニトラって奴か。力で止めるしかないのか…?しかもお前、ここ永琳の家だぞ?下手したら永琳に追い出されたり…するだろうな。法的に。一枚脱いだところで羽織らせる。回れ右させて帰らせようかなこいつ。一応姫様なんだから気にしろ。体裁を!

 

「ちなみにそもそも護衛はいないわ」

 

「えっ」

 

「だって…撒いたから」

 

「撒いた!?」

 

「ちなみにバレたら誘拐ね」

 

「…お、お前何なの…?」

 

「お姫様♡」

 

殴ろうとして抑える。流石に永琳の家でこれはまずいし。永琳に追い出されたら…依姫達を頼るしかない。途方もない覚悟である。抑えろ蒲柳。八意蒲柳…はダメか。まあこいつの相手やだよぉ。永琳早く帰って来てよ〜…と、永琳が帰ってきたのは姫が布団で熟睡している間だった。永琳が帰ってきたときの第一声が『姫様いるの!?』である。珍しく焦った声だった。永琳、残念ながらいます。

 

「言ってくれれば迎えに来たのに…」

 

「どうやって言うのさ」

 

「これ。ほとんどの家具を説明なしに使ってるから使えると思ってたんだけど…」

 

「ごめんこれは知らない」

 

そうして今まで装飾品の類だと思い込んでいた家具の使い方を教えてもらう。そうしている間に姫が起きて、永琳にしなだれかかる。俺の肩に手が置かれているのも少しは気にしておこうか。しかし悲しきかな、永琳が抱き上げてどこかへ連れて行った。しかしこの家具、使い道があったんだな。カチカチと触ってみる。永琳にどうやって送れば良いんだろう…

 

「ごめんなさいね」

 

「あの姫も結構気ままなんだな。ところであいつ護衛撒いたとか言ってたけど」

 

「…一度撒いた時から精鋭よ。普通に撒けてないわよ」

 

「羽織らせてよかった〜」

 

「えっ?」




ちなみに生命維持装置には細胞の老化を鈍化させる薬を分泌する機能があります。長生き、大事!
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