つまりどう言うことかって?知らん。
「んー…死なないってのはいいね。事故を恐れずに済む」
「だからって火傷しても良いわけじゃないのよ」
「すごい音したわよ…?」
「痛みを感じないからな。ほぼどうでも良い」
そうして完成された自宅を見る。どこか見たことのあるその日本家屋は、久しぶりに俺に安心感を与えるものだった。ただ、それだけだった。意外と何も思わなくて俺自身首を傾げた。何処か、浮いている。とか思ってたら腹を食い破られた。一体何が起こった?そう考える間もなく顔を食われる。ので刀を持って首ごと切る。体が治った後でその正体を見る。
「…妖の類か」
とうの昔、俺は一時期こんな奴に殺され続けてた。精神主体の妖なので、精一杯の痛めつけを行い自滅させる。そのまま知らんぷりをして刀を見る。意外と扱えたものだな。肩に刺してしまう。何をするにしても俺はこの妖から逃れられないらしい。永遠に生きると言うのはまあそう言うことではあるんだが、こうなると昔の知り合いを見るのも早そうだ。
「…この刀、結構振りやすいな。」
「地上にはこんなものが存在するのね」
「こいつらは腐るほどいるぞ。絶滅は諦めろ」
「気持ち悪いわねぇ」
「済まんが、地上に住むならこいつらは避けられん。なんならこれから増えるはずだ。自衛設備でも増やす?」
「私と蒲柳がいれば安心よ。結界の方が先ね」
永琳は月の奴らを若干恐れている。多分だが永琳は輝夜を連れて行かれることを恐れてるらしい。馬鹿なことだ、連れて行かれそうならば体の半分以上を奪えば良いのに。そうすれば恐らく、でかい体の方から再生するだろう。死んでもやれる、と言うのは利点だ。まあそれはどうでも良いんだ。もっと重要なのは、過去の俺を知る妖怪にあった場合。ここにきた時に見た俺の死体がそれが起こることを示しやがった。
「永琳って運命とか信じる?」
「何よ…そうね、不確定なものは信じない腹積り。変えた運命と変えなかった運命、比較のできない時点で変えられたとは言えないからね」
「同感だ」
「私は信じてるわよ?輪廻転生とか、そういうのは好きだし」
「輪廻の輪は巡るものじゃない、回して選ぶ物だ」
「輪廻の輪を逆に歩んできた男の言うことは違うわね」
輪廻の輪なんかクソ喰らえだ。ちなみに俺は死後の世界信じない人。閻魔も天使も神も悪魔も、皆等しく存在しないだろう。見たことがないから。死んで戻ってる俺が言うのだ、そこに間違いはない。もしいたら俺がそいつを殺す。そうして俺が閻魔になれば、まあ、あれだ。何もわからんが、俺のクソみたいな状態は消えるだろう。あークソクソ死ね死ね。
「…少し遠出する。じゃな〜」
「えっ!?」
「ちょっと!?」
「一年くらいで戻るのさ〜」
「服の替えは!?」
「食べ物も!」
「そっち!?」
「当たり前でしょ!?」
「帰ってくるのは何年先でも良いわよ。なんせ無限の命なんだから♪」
と言うわけでさっさと行く。刀を持っての遊び歩き。と言うよりも、切り試し。勿論どの時代も御法度。勿論それも人が相手であればの話。人の形をした妖怪は何体もいる。それこそ殺しても殺しても減らない。むしろ殺すことすらできない。だから切り試しに丁度良い。この時代、と言うよりも日本では古来から妖が多い。絶滅危惧種に認定されてないくらいには。
「だからやりやすいんだけど」
「…っ!」
遠出をするとは言ったが、なかなかに強そうな妖怪を見つけたのでこいつ切ったら帰ろ。何をしてもどうをしても、切れば勝ち。妖怪が逃げ出したので俺も追いかける。肩から刺した刀を切り出して、片足を切る。人型の妖怪はやりやすい。転んだ拍子に背中を切る。うーん、多分だが傷が浅い。まあ良い、さっさと逃す。また後ろに変な妖怪が出た。
「…帰ろっ!」
「待て。私の縄張りで私の手下に手を出して、無事で済むと思ってるのかい?」
「無事で済むんだったら命は要らねえんだわな」
「へぇ。覚悟の上かい」
堂々とした鬼だ。一本の立派な角を頭に持っていて、金髪でロングで。とりあえずで腹を切ったんだが、どうだろうか。まあ効果があってもなくても逃げるだけだがな。と言うわけで走って逃げる。後ろから爆音で鬼が迫り来る。途中で止まって振り返り際に腹を思いっきり切り落とす。妖怪なんだからこれくらい大丈夫と思って無理やり振ったのだが、どうやら俺の握力が足りなかったらしい。
「一発!!」
「っあ!?」
そうして死んで、また蘇った。と言うわけでまた落とした刀を持つ。背中がガラ空きなのでそこに刀を押し込む。どうやらまだ当たらないらしい。後頭部に強い衝撃。また死ぬ。あ、これやばいな。多分だけど、連続で死ぬ。起き上がって、土下座でもしようかなとか考えるも、まあ良いかと思い悩まない。刀で全力一閃。振り下ろす。
「おっと!今のは良いね!」
「振り返んなよ」
そのまま地面を切って飛ぶ。一回転してまた全力一閃。これが本命。だがどうやら感触からして鬼は切れなかったらしい。回って鬼と向き直した時に記憶が飛んだ。なんなら結構飛ばされた。気持ちの悪い鬼だ。刀は手放してない。よし。逃げよう!長年積み重ねれば戻れる!鬼の力で日本列島横断しても、十年くらいあれば帰って来れる!
「よっ」
「待て待て待て。ここはもうお前のナワバリじゃないだろ」
「ああそうだ。だからお前の死体も私が食べなくても良いのさ!」
「よっと」
「えっ!?」
「帰る」
俺の前にあった地面の跡から飛んできた方角はわかった。後はその方向に歩いて帰って、そのまま記憶にある道を辿れば良い。と言うわけで今度こそ全力で逃げる!!あー怖いわ。逃げましょう逃げましょう。と、ブツブツに切れる意識で考える。右手を出して起きた後の道標を作る。戻らないんだったら、死んでも別に構わない。
「っと。そろそろやめろ。鬼」
「ふっ…ぁ…はぁ…」
鬼=勇儀。
死んでも生き返るなら死んでOK。
不老不死は罪だからね。