その尊みを知るただ一人であれ
「…えっ、な、何?」
「…まあまあ」
「良いじゃない別に。ほら、まだ寝てなさい」
言われてまあそれもそうかとならねえ。明るさ的に言えばまだ夜。家が完成して少しの日が経ち、部屋を分けて眠ろうと言っていたはずだが、輝夜と永琳が俺の周りを囲い、俺をねかせようとしてくる。えーなに、俺が一人で可哀想だから来たわけではなさそうなんだけど、なに。寝たふりしてみるか?いやでも永琳にはバレるか。えー、どうしよ。
「…」
「寝てないわね」
「まあそのままでも良いでしょ」
「そうね。でも布団小さいわ」
「…あっちに運ぶ?」
「それが良いわね」
担架のような運ばれ方をして、どこかに降ろされる。隣から音が聞こえて、静まる。もしかして添い寝されてる?隣から寝息が聞こえてきたらさっさと出よ。何言われるか分かったもんじゃない。永琳あたりはそういうこと言わないが、輝夜は知らん。さてこのまま寝るのはまずいので目を開けているんだが、何やら横から視線が。やっべもしかしてやることバレてる…?
「…厠」
「待って」
「輝夜の方かよ」
「酷いわぁ。こんなに美しい子が一緒に寝たいって言ってるのよ?寝ないの?」
「寝ないの。」
逃げ出す。いつも食事をしている机に向かう。今日はここで寝るとしよう。しかしこういう感じの記憶は頭にないので、やっぱり寝ない。体験は貴重。また文明なくなるかもしれないからね、仕方ない。さて何もすることなくそこに居続けるのは嫌なので、なんか食うか。なんもねえわ。くっそ寝るか。
「…んぁっ!?」
「あ、起きた」
「結局こっちで寝ちゃってたのよ。酷くない?」
「あの後起きてたのね」
「そりゃあな。着替えてくる」
「そうはさせないわ」
「えっ」
「私たち三人だけで今後暮らすんだから、別に着替えなくても良いのよ」
「悪い何言ってんのかわからん。だとしても発言がおかしい」
「それはそう」
つまりは、家族同然だし不老不死だから着替えずに暮らしても良いよということだ。俺は着替える。刀を持って今日も竹を切るのだ。輝夜の暇を潰したいという謎の言葉を無視してさあ切ろう。鬼?多分もう来ないだろ。多分。切り進めていくと、また妖怪に出会った。今度の妖怪はどうやら襲う気がないようで、交渉を試みてきた。ごめん無理。じゃあ竹切ろっか。
「ちょっ、ちょっと!?ここは私たちの住処でもあるんだから、無闇に竹を斬られたら困るウサ!」
「取ってつけたような語尾やめろ気持ち悪い」
「ウサッ!?」
「ていうかお前らの住処ならなんだ。俺たちは外来生物とでも言いたいのか?」
「そうだ!外来生物め、出て行った方が身のためウサ」
「おー怖。最後に切れるだけ竹切っとくわ」
「あいや、違いますから、斬らないで」
無理なキャラ付けは辞めたのか、なにやら身の上話をし始めた。まあ要約すれば先住民に思いやり持ちません?ということだ。更にはその気になれば俺たちの住処に入れるらしい。永琳に言えということでその妖怪を連れていく。と、大量のウサギが集まってきた。無視して進むと落とし穴。思わず持ってた妖怪を踏み台に飛んでしまったが、大丈夫だろうか。いやぁ怖いな…誰だよ落とし穴設置した奴。
「あ、私です」
「お前かよ…」
「よいしょっ。それで、ここ?」
「そそ、ここ。ほら入れ」
「ぐぬっ…」
驚いたことに本当に入った。ちなみに俺は顔パス。そうして俺は妖怪を連れて永琳と面会させる。ほれ三人だけじゃないから着替えろとも言った。永琳はまだ着替えてなかったらしく、一瞬で着替えよったぞこいつ。さて会談が始まった訳だが、それを横目に刀を振りに行く。が、外へ出るとウサギが群がって来る。ので大人しく家で待つとしようか。
「輝夜」
「な〜に?」
「遊ぼう」
「え、何してくれるの!?」
「より死に近い方が勝ち、生き死にチキンレース」
「倫理観とかって知ってる?」
「刀で相手を突き刺します。その傷でどれだけ死に近付くのか。死んだやつの報告制だけど、まあなんとかなるでしょ」
「…。まあ、良いけど」
「じゃあまず一回」
「待って。やるなら汚れても良い服でやりましょ」
「…この話は無かったことに」
「なんでぇ!?」
いや流石に死人の服ではちょっと。流石に…な?まあ、ちょっとな。輝夜とダラけながらウサギと永琳の会談の終わりを待つ。ダラけすぎて輝夜の身体が乗る。少しの圧迫感を感じつつも終わりを待つ。完全に身体を覆われるように輝夜が体勢を変えたところで会談が終わりを迎えたらしく、永琳が俺たちを目撃。愕然というよりも多分、永琳自体が死んだように止まった。俺たちも止まった。
「…その、そういうことは、せめて夜に…ね?」
「違う違う違う。違うから」
「そうそうそう、違うの。暇だから二人で遊んでたのよ」
「あ、そう…まあ、うん。あの妖怪達とは、ここに住む代わりにウサギに知恵を与えることになったから」
「はーい」
「うい」
「じゃあ続きはそのまま」
「ねえだから違うんだって言ってんじゃん!」
「永琳!?」
そう言って永琳はどこかへと行った。ので俺たちも追いかける。うお、ちょい、あの、え!?勘違い、勘違いだから!と、かなりの速度で追う。そうして見つけて、ようやく捕まえて、永琳に事情を話す。全部。違うんだってば。だいたいお前の思い描くことならなんで俺が下向いてんだよおかしいだろ!?
「そ、そう…分かった、分かったわよ。だからちょっと騒がないで」
「はーっ…はーっ…」
「あっぶな…」
輝夜「付き合うなら蒲柳は嫌よ。結婚も。」
永琳「…子供としてなら」