閻魔様がなぁ!!
…閻魔視点で見れば、普通に死に戻りは大罪も大罪ですからね、普通。でも殺してもこっち来ないから死神軍団も送れない。悩みの種ってやつですね。
「というかそれやって何になるウサ?」
「…分かってないな、テイは。輝夜!木投げてくれ!」
「はーい!永琳〜」
「あ、はい」
あ、何今の下請けに頼んだらまた下請けが出てくる感覚。お前仲介してんの?そう思いながらも構える。投げられて来た木を居合でスババッと斬る。正直言おう。こういうのは感覚だ。理屈じゃねえ。圧倒的速さ、圧倒的空間把握能力、圧倒的な技術。それらを含めてようやく完成するのが、この空中居合彫刻だ。名前?今俺がつけた。なんかダサッとか思ってそうな顔だな。顎ごと切り落とすぞ?
「なんて直球な名前」
「お母さん見過ごせません」
「永琳が母親名乗ったりするのは良いけど輝夜は違うだろ!?」
「アレが母親はかなりの修羅ウサ」
「今お前輝夜のことアレっつったか?」
「お師匠!?目が怖いウサ!?」
「たってもこれも十分すげーだろ!こいつは動いてる奴相手に精密な動作で狙った部位を切れるってことなんだからな!」
「そう?じゃあ…この子の毛を切って!」
「ちょっ!?」
「了解!」
テイが永琳によって投げられた。さて、毛というのは髪の毛でいいのだろうな。頭を撫でるように刀を滑らせる。一周、2周、あと後頭部。耳は注意して、これで良し。これが空中居合彫刻…すげーぜ。あ、輝夜、この言い方だと俺が空中で居合やってるみたいとか言うな。お前こちとらこれ習得するのに結構頑張ってんだからな!?お前の盆栽と同じくらい!お前の盆栽も空中で整えてやろうか!?
「盆栽を投げたら土が出ちゃうでしょ」
「なんでお前こう言う時だけ正気になるのなんで?」
「さて。蒲柳、ご飯にしましょう」
「待て。この空中居合彫刻、名前どうにかしたい」
「自分でも変って分かってたのね」
「…居合彫刻・空!」
「輝夜…お前センスいいな」
「待って。それじゃあ相手が空にいない時はどうなるの?」
「居合彫刻・陸」
「わ、私が…おかしい…??」
なーに言ってだこいつ。テイはどうやら参ったらしく、寝込んだ。食卓を囲んで飯を食う。ちなみにここでの食事は意外と少ない。祝い事は確かに量が増えるが、普通は少ないのだ。なんでかって?知らん。ちなみに永琳は俺に告白した日はみんなのおかずが二品増えていた。まあ最も蓬莱の薬で不老不死に変化を嫌う月の民がなったんだから、そういう変化があったら祝うべきではある。輝夜にその祝いはなさそうだが。
「たまには私と輝夜も彫ってみない?」
「永琳と輝夜か…ちょっと構えてくれ」
「こう?」
腕を組んで何やら気品の溢れるポーズをとった。俺はてっきり弓を構えるのかと思ったのだが…まあ良い。それを周りから見渡して、大体を頭のイメージに入れる。いきなり居合彫刻・空は難しいので、陸で行こうか。息を吸って、吐いて。吸って、胸に力を入れる。これでダメなら、永琳と輝夜と…あと一応テイの彫刻をナイフで彫るところからだ。アレ結構きついからやりたくないんだがな。刀を抜いて一気に形造り、髪の毛もなるべく再現。浅く切ったり深く切ったり。
「どう?」
「わぁ、小さい永琳じゃない!よく作れたわね?」
「永琳に言われてな。意外と出来が良いだろ?」
「じゃあ今度はナイフで!刀より早く終わりそうだし!」
「…へ?」
いつのまにか永琳はいなくなっていた。ので、仕方ない。輝夜の小さい像を作るか。こちらも輝夜にポーズを取らせて、周りを見渡し、頭に大体を入れる。そのままナイフを持って切り削る。大体ここはこういう感じだった、ここはこんなんだった。ケツはそんなに出てなかったはず。足はもう少し服がゆとりを持って存在しているような…と、出来た。確かにナイフのほうが早い。近くに寺ができたら土産品の量産をまかしてもらいたいくらいの速さだ。
「…私、もう少しお尻絞まってると思うのよ」
「永琳に聞け、永琳に。俺は居合彫刻・空で永琳と輝夜を斬れるようにしてくる。」
「はーい」
「あ、あのぅ…私は…」
「…ウサギの姿なら良いぞ」
「ウサッ…面倒?」
「耳がな…」
「耳かぁ」
とにかく精神が疲れた。さっさと寝て集中力を回復させよう。永琳邪魔すんな。飯じゃないだろ。添い寝する?あ、じゃあ起きます。で、何。像に何か問題あった?例えば…そう、例えば尻がデカかったり。した?してない?じゃあなんだってんだ?
「切り取る形ごとに名前変えれば良いんじゃないかしら」
「…例えば」
「例えば、ウサギの形に彫る時は居合彫刻・兎とか」
「つまり永琳の時は居合彫刻・永か?」
「てゐなら居合彫刻・てゐね」
「なるほどな。輝夜の場合は姫にしてやろ」
「あと一つ話があるの。」
「何?」
「妖怪が来たわ」
「お前そっち先に言えよ!!」
刀を持って妖怪のもとへ。出て来た妖怪はどうやら鬼ではなかったので安心。居合の構えを取り、相手の様子を伺う。相手はどうやら人型ではない、人と何かのキメラ。切り株の上に人が刺さっているとしか思えないその妖怪は、俺を見るなりに動きを止めた。言葉は発さない…ならばこちらから。抜刀して猛スピードで切り株を彫る。今回彫る形は兎。妖怪相手に初めてだから慣れてたほうがいい。
「居合彫刻・兎」
「うわぁウサギの彫刻が消えた」
「殺したら消えるんだったなそう言えば」
「ええ!?」
「まあ仕方ない」
「でも一瞬しか見えなかった兎も中々に綺麗だったわね。儚いわ〜」
「儚さの対極にいるからな俺たち」
閻魔からしてみた場合、蓬莱人ってのを認識してなさそうなので(月の民は管轄外かもしれんが)、永遠亭の中でも標的になるのは蒲柳のみ。