「やーめーてー」
「だーめー」
輝夜に服を引っ張られて、動けない。輝夜が謎の力で自身の足を動かないようにしているらしく、俺は精々輝夜の周りを足元滑らせて回る程度。うーん、全然離れられない。俺が進もうとする先に永琳が待機して、滑った先に永琳が移動することの繰り返し。テイと鈴仙は竹林の中を歩いているらしく、この状況からの脱却は認められないらしい。永琳は何かを期待する顔だ。
「っ…」
「わっ」
「っあ!?」
「来たっ」
輝夜が手を離したのか、急に解放されてそのまま倒れる。永琳に捕えられ、抱きしめられる。勘弁してくれ…俺は彫刻でもっと遊びたいんだ…頼む…と、願っていても解放はされず。活発な姉妹に囲まれるとこう言う感じなのだろうか?今一瞬で違うなと思ったのは多分、経験則なのだろうか。もう本当に覚えてないので完全に知らないのだ。永琳に抱きつかれながら…いやこの場合抱きつかれてるのは永琳になったりするのか?ん?よくわかんない。
「永琳、ちょっ、離せっ!」
「あら」
「はぁ…なーんでこんなことになってんだよー」
「私の盆栽の処理を手伝いなさい」
「え、嫌」
そのあと輝夜にまた同じことをやられて、永琳の胸に飛び込み、離れて、を繰り返す。仕方ないさっさと切るか。輝夜に渡された失敗作なのかわからない過去作を切り伏せていく。永琳が焚き火をしており、そこに流す。ねえこれ俺が切る必要なくない?いや切るけどさ…刀いらないよ。ナイフだけで終わりだよ。だからさ、ちょ、俺の彫刻返して…
「蒲柳さーん」
「お、鈴仙」
「服着たらご飯ですよー」
「…うい」
永琳の焚き火が俺の体にまで引火して、そのまま汗だくの状態である。肌が焼けて中身も温かくなり、その分を汗で流そうとしている。まだ少し焦げ臭いか…?焼けた部分はもう再生し終わったから良いんだが…もしかしてこれ、再生させた方が早い?いやそう言うのは良いか。まずは飯だな。テイはどこかへ行ったらしく、四方で卓を囲む。そして常々気になっていたとあることを聞いてみた。
「夫婦ってどう言うことすれば夫婦らしいんだ?」
「…ちょっと、席離しましょうか?」
「いやそう言う意味じゃないんだけど…まあ、良いか。こう、永琳と結婚してから何年かは経ったわけだ。夫婦らしいことしてないんだわ」
「離婚の危機…!?」
「えっ」
「ま、子供が夫婦の証ってわけでもないし。」
そうしてご飯を食べていると、突然空が紅く染まる。上を見れば中々に濃い霧で、永琳の結界がなければ俺の気は狂ってたと言われるくらいのでかい天変地異のようなものだ。ちなみに鈴仙はさっきからこの空の影響を波長で調べている。俺?何もできないからぼーっとしていると、永琳に屋内へと避難させられた。鈴仙の調査が終わるまではここで待機らしい。どんな影響が出るのか楽しみである。
「…不味いですね」
「何が?」
「この結界内なら分かりませんけど、蒲柳さんは外ならまず30分も保ちません」
「…こーわ」
「体調を崩したウサギも何人か…」
「お師匠!」
「兎の治療は任せて」
「それじゃ、俺と輝夜はどうする?」
テイも兎の治療を頼み来たようで、永琳を連れてどこかへ行った。まあよくよく考えればにはなるが、俺が死に戻って人類が誕生する前まで戻った後に出て来たのがこいつらだ。俺と身体の作りが違うかもしれんというのはわかる。だが俺限定で30分も保たないって、何?嫌がらせか?まったく。この赤い空も、そこら辺考えて欲しかったぜ。まあ、なんだ。輝夜は何する?遊ぶ?
「赤い空も風情があるわね」
「風情か?」
「私は私で影響を緩和できるし」
「ほぅ…」
「貴方、なんか異様に脆いのよ」
「お前、言い方って知らんか?」
赤い空を見上げる。うん、赤い。しかしあれだな。流石に死に戻る前の俺でも、これくらいの異常気象は覚えてそうなものだが。一体ここはどこなんだろうか?もしかして異世界にあたるのか?赤い空なんて、印象に残り過ぎると思うんだがなぁ。海外の超常現象だったりして。残念ながら日本語しか知らないので、海外のことなんか一切知らないわけで。
「…輝夜は死に戻りとか楽しみそうだよな」
「嫌よ。永琳がまずいないし」
「そう言う感じっすか」
と言うことで、輝夜とお話。何を言うわけでもないんだが、赤い空を背景に座ると、こう…天候も操るやんごとなきお方になる。ま、それも俺視点の話にはなるが。そう言うわけで謁見みたいなことをしていると、空が晴れ始めた。どうにもこの異常気象は一瞬で終わりを迎えたようだ。うーん、永琳に薬を打たれただけの空だった。何を注射したのかは教えてもらえなかった。鈴仙とテイが何やら知っていそうな顔だったが、誰も教えてもらえなかった。
「…鈴仙」
「はい?」
「お前知ってるだろ絶対」
「あー…ちょっと」
「後妹紅さんところ行ってくれ。あの人も一応元人間だから…死ねば元通りだけど」
「あ、はいわかりました!」
「テイは無理だなぁ」
「薬よ。ちゃんとした薬」
「ねえお前教えてよひどいよ?」
「酷くない」
そう言われてしょんぼり。どうにも永琳は俺に打った薬を言わないらしい。多分赤い空に対する薬だろうが、それでも俺は知りたい。変な薬だったら承知しない。もしも変な薬であったのならば、俺の血液永琳にぶち込んで心臓発作起こしてやる。
「え、じゃあ私の血液入れただけよ」
「えっあっ…輝夜!?」
「知らない…何それ怖い…」
月の民の血って健康に良さそう