「せーのっ!」
「キレが悪くなったわねぇ」
「うっせ」
確かにキレが悪い。永琳の薬を打たれたからか、それともあの赤い霧のせいか。切っても切っても戻らない。俺の感触としては、何やら詰まりがあるような。うーん、よくわからない。どうしてこんなことになっているのか。永琳に相談して薬のせいだと発覚したらまずはその言葉を疑うからなぁ。つーか血液ってまだ信じてないし。流石に医者が他人に直で血を入れないでしょ。え?入れる?嘘だろ?
「はぁ…まあ困らん限りだが」
「綺麗に削れてるわね」
「ちゃーんと切れてる。だからこそのこの感触がざわつく。」
「私の血もちゃんと貴方の血と比べて馴染みやすくしてるのよ。その症状にはならないと思うわよ」
「だよなぁ」
確かに血液を入れたとはいえ永琳のやったことだ、多少問題のないようにはしてあるだろう。してなきゃおかしい。しててくれ。流石に。さてそんなわけで休息を入れる目的で竹林を散歩する。歩いて歩き回って、穴に落ちかけたり滑りかけたり、脚を吊られてみたり。足を切ったりしてことなきを得たが、これってテイの仕業なのかな。流石に注意した方がいいのかな?それとも…
「ん、妹紅」
「た、助けてくれ…」
「あれ…鈴仙伝で炎が出せるとか聞いたけど」
「竹が周りにありすぎて燃やせないんだよ分かってくれ」
「はいよ」
刀で紐を斬る。普通に痛覚は生きてるから、足を斬るのはやめとく。俺も痛いけど我慢できてるってだけだし。頭をぶつけた?おかしいことを言う。落ちたら頭をぶつけるのは当たり前だろう。何を当然なことを疑問に思っているのか。さっさと帰れ。あ、ちょ、燃やすな。あつっ!?思わず手首を切り落とす。痛覚シャットダウンってやつだ、燃えるよりマシと思ったんだが、どうやらそもそも燃えてなかったらしい。なんともまあ悲しい勘違いである。
「…どうした?」
「いや、どこで暮らしてんのかなって」
「竹林の中の屋敷だ。どっかで分かるだろ。」
「招いてはくれないのか?」
「俺の後を尾けてみたらわかるかもなぁ」
「…はぁ。お前はそう言うやつだな。性格が悪い」
「何年も生きててそうなんだから仕方ない、割り切って行け」
そういって散歩を続ける。先ほどの言葉をどう受け取ったのかはわからないが妹紅は後ろについてくる。竹林の中を進むとやはり罠に引っかかる。落とし穴やら竹槍やら吊るされたりした。妹紅が。足元をよく見てればわかる。あいつはどうやら俺の通った道ならと思ってるらしい。バカめ。考えのほぼ全てが浅はかだぜ?あ、また引っかかった。あいつマジかよ…ちなみに裏技として竹を蹴って飛びながら進めば罠にはかからない。
「よっ」
「えっ!?」
「じゃあな妹紅!そろそろ全速で行くわ!」
「ちょっ!?」
竹を蹴って進む。空中にいれば問題はなく、目の前に竹が来ても鞘を当てて進む方向自体を変える。さてかなり蹴ったりして進んだはずなので、降りる。なんなら竹林を抜けてしまいそうだった。それはそうと周りを見渡した後に少し怖いことがわかったので教えよう。妹紅、着いてきてる。どうやったかは知らんが、と言うか絶対罠にかかりながら来ただろ、身体中泥だらけだぞ。
「はぁ…あの言い方で尾行させないとかあるかよ!?」
「アリだ。俺がやってるからな」
「マジかよ…あ、そういえばさ、赤い霧はどうだった?」
「知らん。普段から結界の中に住んでるから影響もないし」
「それは引きこもりってだけか?」
「結界を作った奴に信頼を置いてるんだよ」
「…随分と信頼してるんだな」
血液の話は信じたくないのが本音ではあるんだが、まあ、うん、そこは…な。アレだ、アレ。なんとか誤魔化させろ。無理か。だって血液入れたこと白状した後に注射器持ってきてじゃあ輸血ねとか言い出したんだもん。戻ってきたテイがいなかったら完全に血入れてたね。ハニトラですか?いいえ、妻です。告白してきた時はこんな狂気見せなかったのに。どうしてああなった?
「妹紅〜いつまで着いてくるんだよ〜」
「お前が帰るまで」
「なんだよそれ〜」
「つーかそろそろ竹林抜けるぞ?」
「お、ほんとだ。抜けた抜けた。」
さて本当にこいつどうしよう。眼下に広がるのはただただ広い原野。妖怪が見えて、妖精もいて。俺が一人で死に戻り続けてた原野とは程遠い場所だ。と言うわけで竹林の中に戻ろう。俺は原野とかのだだっ広い場所よりも竹林が好きだ。暮らした年数で言ってるだけかもしれないがな。仕方ねえだろ誰もいない原野は怖いんだから。トラウマになっちゃってんの。一人が。
「…え、ほんとに家まで着いてくるの?」
「逆に聞くがあの言い方でそれはあり得るのか?」
「…あ、まじ?」
「えっ、私変なこと言ったか?」
「仕方ない…この岩で兎彫ってやるからそれで帰ってくれ」
「嫌だ」
最後の手だ、逃げる。まず初手で妹紅の足を切り落として、片腕も斬る。デカい声で別れを告げ、竹を蹴り去る。うーん、屋敷は見えるかな…見えた。永琳にこんなことしてるのバレたらなんて言われるか。胸の小さい子が〜って騒ぐんだろうか。胸のデカさは関係ないんだって…違うそうじゃねえ。こんな考えは被害妄想に等しい。さっさと行くか。まあ多分バレてないしな。
「…」
「あ、永琳」
意識が途切れた。急すぎてよくわからないが、うーん。再生したのか同じ場所で起き上がる。
「あのねぇ。私だって嫉妬はするのよ。知ってるでしょ?」
「そりゃあ、まあ」
「全く。どこでどの女性と歩こうが、私は嫉妬するのよ。それを理解した上で歩きなさい」
「…相手も蓬莱の薬飲んだっぽいんだよな」
「え?」
鈴仙「妹紅さんのことを報告していたのは私がやりました!」
だから永琳は相手がどんな感じなのか全然知らない。