小都
小京
全部同じ、ゾネ
「…異変?どんな?」
「何から何まで逆さまに…先ほどてゐが因幡に頭を下げてましたよ」
「…マジで?」
「他にも、空に浮く逆さの城とか」
…スタジオうんちゃらだ…なんてね。まあどーせ今回も巫女が何とかするだろ、と思ったら巫女は八雲紫に対してめっちゃ強く出てるらしく、八雲紫にいつもの鬱憤をぶつけている為出動できないらしい。仕事しろよ巫女。と言うわけで俺が出る…なんてこともなく。鈴仙が行くことに。どうやら鈴仙は波長を弄ることで異変の影響を受けずに済んでいるらしい。じゃあうってつけだな!と。
「怪我したらすぐ戻ってこい。俺が殺しに行く」
「冗談じゃ…ないですよね。わかってました」
「鈴仙が異変解決ねぇ」
「ご心配なく!お二方の支援があれば私に負けはありませんので!」
「あら、じゃあお薬」
「それは結構です」
そう言って鈴仙は飛び立った。てゐは因幡に首を垂れているらしいな。輝夜はどうなっているだろうか?見に行くと、変わらずグータラしていた。永琳にも変化なし、俺にも変化なし。鈴仙が今まで何とかしていたのだろうか?それならあいつすげーぞって話にはなるが。ただ、異変が発生したせいで永琳がおかしくなったように思える。常に俺の後ろをついて回る。こんな雛鳥みたいなやつだっけ。
「…永琳」
「何?」
「お前異変を隠れ蓑にしてついて回るつもりか?」
「何を言ってるのよ。これが普通でしょ」
まずいな。これが本当かどうかなんて俺は判断しかねる。鈴仙が帰った時に聞いてみるか。しかしおかしいな。永琳が俺の周りをついて回るのと、てゐが頭を下げることに共通の何かが見当たらない。何だろ…永琳なら気付きそうなものだが。どうにも気付かないらしい。つーか自分で気付いてなさそうではあるが。ならまあ無理か…いや待て。これは何かを下げる異変ではなかろうか。だってほら、城も逆さまらしいし。
「だと思ったんだが」
「だったら私は何が下がってるのかしら」
「位かな」
「…実感が湧かないわ」
「沸かないだろうな」
「位ねぇ…じゃあ元々蒲柳が私の後ろを歩いてたのよね?」
「いや?」
「…じゃあ、何で私は蒲柳の後ろを?」
「わからん…気でも触れたんじゃないか?」
もしかしたら永琳には、位が低い=位が高い人の後ろを歩くという常識があるのかもしれない。いやまあ、俺にもその意識は一応あるにはあるのだが。いやいや、一応あるだけだ。聖徳王の生で身についた習慣だったが、永琳とは対等だと思ってたから後ろを歩くことはなかったんだが…永琳、嘘だろ…?呆然と立ち尽くすと永琳が何やら困ったように尋ねてきた。あ、でもこいつまだ意識的にやってること否定できねえんだった。
「…さて。お前と俺とで関係を確認しておきたい」
「ええ」
「まず、俺とお前はどんな関係だ」
「夫と妻」
「以上だ」
「え、もっとあるでしょ!?」
「俺とお前は対等か?」
「…貴方の方が上」
よし確定だ。永琳は意識的にやっている。証拠?何となくだ。こいつの嘘は分かりにくいし、鈴仙みたいな判別方法もない。だが何となくわかる。さっきの間は何だ?いつもの永琳なら質問に答えた時口角上がんねえし。お前何嬉しそうにしてんの?笑いそうなの?…成功体験を作らせたらまた同じことをしそうだ。それは避けていくとしよう…よってやることは一つ。
「お前俺のこと舐めてるだろ…」
「…な、何?どういうこと?」
「鈴仙が帰ってくる時までそれだったら仕置きだぞ」
「えっ!?」
「お前やっぱ異変の影響受けてないだろ」
「…さあ…?」
「あっこのてめっ…頭の回転速いんだからこいつ…」
「どうしたのよ」
こいつ…やっぱり。永琳を叩く。何でそんな驚愕って顔するんだよ。わけわかんねーな。あれ、もしかして…こいつの言ってることが本当なら、俺と永琳のお仕置きの立場が変わってたりするのか?じゃあお仕置きってもしかして俺の血液を交換することだったり?まずいな。永琳に治療の知識があるかどうかわからん今、下手なことはせん方が良いな。
「もう一度確認しようか」
「痛いわ…」
「お前、医学薬学の知識は?」
「…何言ってるのよ。それは蒲柳のやることでしょ?」
さて、ダウトだ。こいつは鈴仙が出る時にお薬とか言っていた。つまりテメー異変の影響受けてねえだろ。というわけでチェックメイト。お仕置きなんて考えてなかったが、鈴仙直伝の毒薬とする。神経毒ってやつだな。鈴仙曰く、『一週間以上激痛に悩まされる上、動きづらくなります』そんな薬だ。脊髄にぶち込めば良いんだっけか。おら、苦しめ、この。注射した途端、永琳の顔は激しく歪んだ。
「っぁあ、あ」
「効くんだ…」
「ただいま帰りました〜」
「お、鈴仙。どうだった?」
「どうも何も、結局は巫女も出てきて終わりました。最初から出てればよかったのに…」
「そら残念」
「…で、お師匠様は今…」
「俺に嘘ついた仕置きで、お前から教わった神経毒ぶち込んだ」
「…それ。耐性のある私なら一週間くらいで済むんですけど」
「…えっ」
どうやら鈴仙は薬の効果を自分にどれくらい効くかで話すらしい。知るかよそんなこと。解毒は?難しい?リセットして殺すしかない!?…いやでも今までのお仕置きとしては丁度良いよな…人里に報告しとくか。販売担当者が異変解決だけがしたので二週間くらい休むって。あとで俺が伝えておくから。一週間と5日間くらい後でリセットするわ。よしこれで終わりだな。
「嘘つきやがってこの野郎」
「ご、ごめっ」
「良いよ謝らなくて。俺もこれはやりすぎかなって思うし。世話は俺がするから」
「えっ…お師匠様が要介護に…?」
「かな」
いつまでも苦しむ貴女に救いの手ではなく、介護の手を。