嫌いなこと:夢を見る 自分の死体を見る
「鈴仙がなんかするのか?」
「何もしないわよ。ただ、そうね…もう一回薬の実験台に」
「なりません!」
「あら、そう」
俺も永琳と同様の反応を示し、彫刻を作り始める。さてここで俺の特技…というよりも、俺がやれることの中に、足音だけで誰かわかるというものがある。最も空を飛ぶ奴も羽音がなければわからないが。因幡のような動物は無理。要は、人限定と言うことだ。さてそこでだ。知らない足音が家の中を歩くのだ。因幡が何も言わないのならば、それこそ俺がいない時に来た客だろうか。
「お、いたいた」
「…誰だ、お前は」
「あー?…あ、自己紹介したことなかったか。私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ」
「俺は八意蒲柳。八意永琳の夫だ」
「なんか前にも聞いた気がするんだが…まあ良いか。私と勝負してくれないか?」
「そりゃまたなんでさ」
自分の実力を確認したいわけではない、やれることを確認したいわけでもない。それに加えて何か目的があるわけでもない。さらに尋ねれば、新しい弾幕のインスピレーションが欲しいのだとか。なるほど、それはお前らからしたらちゃんとしたことだ。だが、俺からすればどうでも良いことだ。拒否しようともしたが、何やら厄介な様子。どうにもやらないと帰らないつもりらしい。
「言っておくけど、俺からは何もしないからな、良いな?」
「何回も確認するもんじゃないさ、じゃ、行くぞ!」
「よし来い!」
「…お前、空は?」
「あ?飛べねえよ」
「はぁ!?じゃあそもそも成立しないじゃん!」
「えぇ…?」
と言うわけで霧雨魔理沙に空を飛ぶ術を教えてもらうことになった。ちょうど良かった、と俺も胸を撫で下ろしていると、俺の手に矢が刺さる。牽制、と言うよりもどうやら戒めの矢。つまりは、手出したらとことんやるぞ、と言う意味である。可愛いだろ俺の嫁さんと霧雨魔理沙に話すと、若干引き気味の顔をされた。何故。それはさておき、まずは魔力というものを知ってからだとか。なんじゃそりゃ、創作か?
「要は私が打ってるマスタースパークだ。フランの奴も使ってはいるぞ」
「ほう、要は魔法か」
「魔法を使うために魔力が必要なんだな、それが」
まずは最初に、マジックアイテムを使って魔力に慣れようと言われた。八卦路とかいうやつに腕力以外の力を込めればビームが出るらしい。八卦路を上に向け、何かを押し出すように念を込めると、わずかながら出た。わずかすぎて霧雨魔理沙に『もう一回やってくんない?』と言われた。許さんぞ、まじで。言われるがままにもう一度。今度はさっきよりも少し出た。
「…前途多難だな、こりゃ」
「マジで?」
「ま、空を高速で動くくらいなら半日でなんとかなる。私もそうだった!」
「…マジックアイテムとかいうやつ込みだろ、それ」
「お、正解だな」
そこから霧雨魔理沙を帰らせ、一人練習に明け暮れる。霧雨魔理沙から貰った八卦路ではないマジックアイテムを使って魔力やらの感覚を掴みながら、なんとか宙を浮く。練習の密度か、はたまた努力の仕方か。一日かけても精々不自然な飛び方をやめることに成功した程度だった。泣くぞ、マジで。結局足りない部分は竹を蹴るという、竹林でしかできない軌道で解決することに。そして翌日
「ずいぶんマシになったな」
「なんとか飛べるようにはな。」
「それじゃあ、やるか!」
双方飛ぶ。俺は竹に足を置き、霧雨魔理沙は箒に足を置いた。あ、箒。そういうのも良いな…なんて思ってると、星がたくさんな弾幕…スペルカード?を放ってきた。全て切り落とす。竹を蹴って場所を移動し、なるべく家に迷惑がかからないようにもする。すると今度は、大量の流れ星。さっきと何が違うんだとは言うが、速さが違う。切り落とすよりも叩き落としたほうが早い感じだ。後俺をついて来るのも嫌い。
「んー…やっぱ、これかなぁ」
「ん?」
「恋符『マスタースパーク』」
ドデカいビームを前に、刀を納刀せずに迎え撃つ。切れば家に飛ぶかもしれない。なら、ここで止める。刀を滑りやすいように握り、ビームに振りかざす。当たったら燕返し。逆手にして反対に切る。やってることは、妖夢やフランドールにやってやった見えない斬撃。本来なら居合で放つのだが、実際あれはカッコつけで、居合でなくとも放てる。ただ傷が浅い。深く斬って骨に当たってつっかえることをなくすためだ。
「だからこう言う時に役立つ」
「…まだまだ!」
「こっちもまだまだ」
「はぁ!?」
刀にかかっていた衝撃が霧散し、ようやく終わったかと安堵。刀を仕舞おうとすると、霧雨魔理沙が何やら変な動作をし始めた。え?どういうこと?と身構えていたら、先ほどのどでかいビームが二つに増えた。そして俺の方を向いた。咄嗟に鬼に化け、刀を握る。緩め、またずらしやすいように。どでかいビームに対して何度も振り、あ、でも待って二つは厳しいっぽいか?うーん…まあ、なんとかなるでしょ!ならんわアホ
「ぃぃいいい!!」
「っ!」
ビームが止む。どうやら霧雨魔理沙は力を使い果たしたらしく、空を飛ぶのがやっとな感じだ。竹を蹴って移動し、霧雨魔理沙を抱える。永琳が観たらなんて言うだろうか。しかし目の前で死なれるのも困るので、まあこれは仕方のないことだ。そのままゆっくり降り、さっさと家へ。今日は疲れた。何もしたくない。
「…永琳、お前の旦那はいつか浮気するぞ」
「そしたら両方とも毒で殺すだけよ」
「ざけんな、俺は永琳一筋だ」
「…妹紅の奴にも言われたな、それ」
妹紅「永遠亭にはな、こう、思わせぶりな奴がいるから、会うのは勧めないぞ」