蒼い空と時計ヅラ   作:月時計

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思ったより早く(書くのに)覚悟してた囚人が来ました。


朋の救出劇

「囚人を一人、発見されたようです」

 

 そう言いながらファウストが渡した写真にはそれなりに賑やかな喫茶店が写っていた。

 

『ここは?』

 

「ポート・ブリーズの島の一つにある喫茶店で撮影された写真です」

 

『もしかして……』

 

 私は目を凝らして(目は無いけれど)写真を観察する。すると奥の方で見た事のある顔が写っていた。

 

『これは……イサン?』

 

 写真にはイサンが給仕をしている姿が写っていた。

 

「はい、団内のメンバーが休憩中に発見したそうです」

 

『それじゃあ、グラン達にお願いしてその喫茶店に────』

 

 するとコンコン、と扉をノックする声が聞こえて来た。

 

「あのーすんません、ダンテさんの部屋ってここで合ってるっすか?」

 

『空いてるよ────っと、今開けるよ』

 

 私は立ち上がり扉を開けるとそこにはグランサイファーの専属料理人、ローアイン、エルセム、トモイの三人が立っていた。

 

「あ、どうも。ダンテさん、ご無沙汰してまっす」

 

『食堂でたまに会うよね?』

 

「おお……食堂だと聞こえなかったけどマジでチクタクなってるんすね」

 

「ダンチョからは驚かないでって言われてっけどちょっと不思議ロマン的な?」

 

「ちょ待てしお前ら、今は話が先だから」

 

 私の頭を見て何故かテンションが上がっている二人をローアインが諫めると

 

「俺ら基本的にダンチョ達が依頼こなしてる間待機してる事が殆どなんですけど、この前トッポブ……じゃなくて喫茶店でだべってたんすよ」

 

「そしたら……」

 

 ~ポート・ブリーズ群島、とある喫茶店~

 

「つー訳で? 今回のトッポブですが~」

 

「お、今回は議題ある感じ?」

 

「議題は、ナシ寄りの有り的な?」

 

「どっちだよ!」

 

「最近入ってきたファウストさんについて、お前らDoよ?」

 

「あ~最近グラサイ入りしてきたかしこなネーチャン?」

 

「あの人よくダンさんと食堂来るけどそれがDoしたよ」

 

「それよそれ、ファウストさん何パクついてもリアクション変わんねぇから美味いのかマズいのか不明的な?」

 

「それな、毎回完食してくれてる辺りマズくはねーんだろうけど……」

 

「コックとしてはちょっとモヤモヤ?」

 

「ま、俺もあの人何度か見かけたけどそもそもクール系みたいだし? 美味くてもビシッとしてそうじゃね?」

 

「たかし、けどぉ、グラサイのコックしてる以上? あの顔笑顔にさせてみたい的な?」

 

「ギャッハ! なんだよそれ!」

 

 中身があるのかないのか、そんな話で盛り上がるローアイン達だったがふと違和感に気づく。

 

「あれ?」

 

「どしたエルっち」

 

「あそこの店員さん、何か見た事ねぇ?」

 

「あ? グラサイメンバーだべ? 俺ら知らねぇ内にグラサイメンツとすれ違ってたって事よくありまくり~の?」

 

「よく話しまくり~の?」

 

「いやぁ──────」

 

 エルセムは記憶のピースを探し出し、今見ている店員をどこで見たのかを思い出そうとする。

 

「つか普通に聞けばよくね? 店長ー!」

 

「どうしたお前ら」

 

「あそこの兄ちゃん、どしたよ、いつの間に新しい人雇ったん?」

 

「ああ、イサンの事か。なんか店の前で倒れててよ、仲間とはぐれてたってんだから雇ってやってんだよ」

 

「イサン──────」

 

 その時、ピースがピタリとはまった。

 

「あぁそうだ!! グラサイだ!!」

 

「やっぱグラサイじゃん」

 

「ちげぇって! 前ダンさんが貼り紙貼ってたべ! そこの写真の一人があの人だって!!」

 

「マジ? 店長、ちょ少しあの店員さんと話していい?」

 

「構わねぇが、イサン! ちょっと来てくれ!」

 

「……お呼びかね?」

 

 イサンと呼ばれた男はローアイン達の前に顔を出す。

 

「あの、人違いだったらすんません。ダンテって時計頭の人の事知ってます?」

 

「! 其方ら、ダンテを知りけるや?」

 

「あーはい、俺らグラサイのコックなんすけど、今ダンさんが人探ししてて、そのフォトにイサさんが写ってたんすけど」

 

「ダンテは……息災なりや?」

 

「まあそっすね、俺らはそこまで面識ないんであんま言えないっすけど」

 

 イサンは身に着けていたエプロンを外すと店長に手渡す。

 

「店長……ここまで世話にならねど、朋の為にも私はいかねばならぬ」

 

「元からその約束だったしな、そいつら連れて行ってきな」

 

「……かたじけなし」

 

 そうしてイサンはローアイン達に連れられてグランサイファーに向かったのだが……

 

 ~現在~

 

『……あれ、でも今イサンは……』

 

 見当たらない、ここまでの話でてっきり連れてくれたのかと思ったのだけれど

 

「そ、それなんすけど──────」

 

 ~グランサイファー甲板~

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

「イサさん船駄目だったんすか……」

 

「俺らのミスっすわこれ……」

 

「私は……安穏なり……」

 

「いやいや問題ありまくり―のでしょ!? ダンチョ達まだ戻ってきてないし一回降りましょ!!」

 

 ローアイン達は船を降り、一度離れた位置にあるベンチに座っていた。

 

「しかしDoするよこれ、俺ら仮にも騎空士だし? このままダンさんが戻ってきても船の旅出航でイサさんマジヤババっしょ」

 

「「「うーん……」」」

 

 三人は考える、折角仲間になる(と思う)探し人が見つかったのにまさかの船酔いが酷いとは。出来る事ならなんとかしたいがいまいち案が浮かばない。

 

「とりま今のイサさんを何とかすっぺ」

 

「それな、イサさん! 俺ら一回船戻ってさっぱりしたもん作ってきますんで休んでてください!」

 

「ちょっぱやで戻って来るんで!」

 

「か……かたじけなし……」

 

 ローアイン達は急いで船に戻り、酔いを緩和するための料理を幾つか作りイサンの下へ戻るが、既にそこには誰にもいなかった。

 

「あれ? イサさんいなくね?」

 

「Doゆうこと?」

 

「てかなんか椅子に紙置いてね?」

 

 トモイはイサンが座っていたはずのベンチに置かれた紙を拾うとそれを読み上げる。

 

「『彼は預からせて頂きました、返して欲しければこちらの場所まで』……って」

 

「「「え!?」」」

 

 ~現在~

 

『それじゃあイサンは誘拐されたって事!?』

 

「誘拐されたようですね」

 

「す、すんません。目を離した隙にまさか誘拐されるなんて」

 

「ポート・ブリーズは平和だと思ってたのに……」

 

『それで、その場所ってどこなの?』

 

「手紙に書かれていた場所について聞いています」

 

「あ、ハイ。ここなんすけど……無人島っぽくて、俺らもよく知らないんすよ」

 

「ダンチョ達には言ってるんで準備が出来たら何時でも行けるみたいっす」

 

『……ありがとう、三人とも』

 

「感謝していますね」

 

「いえ、俺ら何もできてないんで……」

 

「あ、でも! 俺らもイサさん取り戻せるよう応援してます!」

 

「めちゃ美味いシーメー用意して待ってるんで!!」

 

 ローアイン達はそう言いながら戻っていった。

 

『ファウスト、グラン達の下へ行こう』

 

「はい、ドンキホーテさんにも声をかけておきます」

 

 暫くして……

 

「お、時計の兄ちゃん達来たな!」

 

「ドンキホーテ! 参上しにまいったぞ!」

 

「話は聞いているよ、イサンさんが誘拐されたみたいだね」

 

『そうなんだ、無人島にいるらしいけど……』

 

「無人島について何か情報はありませんか?」

 

「えっと……少なくとも過去に誰かが居たとか、何か目的があってその島に向かったとか、そう言った記録は無いみたいです」

 

「オイラ達も行った事のねぇ島みたいだ」

 

「何にせよ、急いで助けに行こう」

 

「準備はいいか? 行くぜ!」

 

 私達はビィの掛け声と共に頷くとグランサイファーはイサンを取り戻す為出発した。

 

 暫くして……

 

 イサンが誘拐された無人島に到着すると、そこは密林という表現が似合う程木々が生い茂って私達を阻んでいた。

 

「うっひゃあ……凄い木だぜ……これじゃまともに通れないぞ」

 

「それなら、私が道を開いてあげる」

 

 立往生している私達に、後ろから艶やかな声が聞こえてくる。

 

「ロゼッタさん!」

 

「ダンテさん達は初めましてかしら? 団長さん達にお世話になっているロゼッタよ」

 

『よろしくね……それで、道を開くって?』

 

「ダンテが道を開くという意味を聞いていますね」

 

「簡潔に言うと、私は根を張って森そのものを操れるの。少し時間をくれればイサンさんまでの道を作ってあげる」

 

「おぉ! 本当であるか!!」

 

「任せてちょうだい────それじゃあ行くわね」

 

 そう言うとロゼッタは森に根を張って(いるらしい、私はどうやっているのかわからないけど……)イサンへの道を切り開いてくれる、少なくともイサンへの道はすんなり辿り着きそうだ。

 

 ──────するりと、森を潜り抜けて男が一人降り立ってきた。

 

「おや、思ったより早くいらっしゃいましたね……」

 

「「「「「「「『!?』」」」」」」」

 

 この場に居る全員が気が付かなかった。

 

 まるでどこかの王様が着るような出で立ちと煌びやかなマントは大袈裟と言わざるを得ない、本来顔がある位置には過剰な装飾がされた鏡があり私達の顔を反射している。

 

 荘厳な出で立ちにもかかわらず妙な畏怖感を与えてくる。

 

 この男に、私とファウスト、ドンキホーテは経験からすぐに気付いた。

 

『ねじれだ……』

 

「という事は、イサン君はねじれにさらわれたのでありまするか!?」

 

「おいお前! なんでイサンを攫ったんだ!!」

 

 ビィがねじれている男に問いかけると男は笑って返す。

 

「おっと……私の事は「お前」などではなく「鏡の王」と呼んでください、小さな竜。さて……実の所私は彼に興味がありません、ですが母が求めているので……仕方なく、ですよ」

 

『母……?』

 

「私としてはあの男はどうなろうと構いませんが……母が求める以上仕方がありません。ですが、そんな母の邪魔になるかもしれない貴方達はまとめて消した方が良いと思いましたので……消えてもらいます」

 

 鏡の王はそう言うと手を二度叩く、まるで例のものを、と部下を呼び出すかのように。

 

「はん! 何が出てこようとオイラ達の敵じゃ……え?」

 

 現れたのは、4人。

 

 一人は青いパーカーに片手剣を持った男。

 

 一人はどこかの制服にツヴァイヘンダーを持った女。

 

 一人はツヴァイヘンダーの女と同じ制服に巨大なランスを構えた女。

 

 一人は薔薇をあしらったローブ・デコルテを纏った女。

 

 そして全員は、こちらへの敵意と同時に紫の霧に包まれていた。

 

「グ、グラン達がもう一人います……!?」

 

『ファウスト、あれは……!』

 

「……はい、嫉妬大罪です」

 

「それでは皆さん、さようなら」

 

『ま、待て!』

 

 そう言うと鏡の王は森の奥へ進み姿を消してしまった。

 

「くそぅ! アイツ行っちまったぜ!?」

 

「嫉妬大罪が間もなく来ます。ダンテ、戦闘準備を」

 

『……まずは、あいつらをぶっ飛ばそう』

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