蒼い空と時計ヅラ   作:月時計

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短めです。あとあんまり真面目に読まなくていいです。


りんばすっ!、イサンの船酔い対策

 グランサイファーの甲板、朝早くから一人の男が縁に寄りかかっていた。

 

「うぉぇぇぇ……」

 

「イサン、ずっと吐いてねぇか……?」

 

「一回どっかの島に停まった方が良さそうだな……」

 

「な……ならぬ……私一人の為にグランサイファアを止める必要はあらぬ……」

 

「そうは言うけどよぉ……もう腹の中空っぽじゃねえか?」

 

「あ、ダンテさん!」

 

 ルリアが甲板に登るダンテを見つけると彼の下に駆け寄って来る。

 

『皆おはよう……って、イサン、外に居たの?』

 

「ダンテ……」

 

「なあ、イサンの奴、何とかならねぇかな……オイラ達が起きる前からずっとこうなってたらしいんだよ」

 

『バスと違って自室が安定している訳じゃないからね……あ、そうだ』

 

「その反応……何かいいアイデアがあるんですか?」

 

『一つ船に強い人格があるんだけど……でも都市の人格なんだよね……』

 

 ダンテはイサンを見る、未だに都市の人格は不安定で、人格を被るのが最適解だとは思えなかった。

 

 とはいえこのままイサンの胃酸を吐かせ続けるのもまた酷な話ではあった。

 

「なんだ、ジジイより早起きとは感心だなお前らぁ!!」

 

 突然、ダンテ達の後ろから声がかかってきた。

 

「あ、ソリッズさん! おはようございます!」

 

「おはようございます、ソリッズさん」

 

「よう! グランにルリア! それとそっちの時計と細っこい兄ちゃんは……」

 

「あ、こっちはダンテさんでファウストさん達の管理人さんです!」

 

「こっちはイサンだぜ! ……今はちょっとそっとしておいてやってくれ」

 

「ファウストって確か、あのクールなネェチャンの事か! 羨ましいなアンタ!」

 

『あ、あはは……』

 

 随分と元気なお爺さんだ……と思っているとソリッズはイサンの状態に気が付く。

 

「おいおい、イサンだったか? 大丈夫か」

 

「わ……私は安穏なり……」

 

「イサンさん、グランサイファーに乗ってからずっと船酔いをしているんです……」

 

「そりゃキツそうだな……素直に医者にでも行って酔い止めでも貰った方が良いんじゃねえか?」

 

「それがなぁ、既に酔い止めは貰ってるんだよ」

 

「飲んでてこれか……」

 

 ソリッズはふむと考えると、突然イサンを脇に抱えた。

 

『えっ』

 

「イサン! お前さんは細っこい! 船酔いってのはなんかこう、頭ン中が混乱するから起きるらしいじゃねえか! だったら筋トレして余計な事考えずにいればちょっとは良くなンだろ!」

 

「……わ、私には必要あらねど、ダ、ダンテ──────」

 

 豪快に笑いながらそのままソリッズは行ってしまう。後に残されたのはグラン、ルリア、ビィにダンテだけだった。

 

 ダンテはこの時、さっさと抽出を行い船酔いに強い空の人格を入手した方が良い気がした。

 

 少し後……

 

 ここはグランサイファー内の鍛錬場所、様々な団員がここで日々各々の方法で鍛錬をしていた。

 

 そしてそこの利用者は現在6名。

 

 岩砕快拳、ソリッズ。

 

 壮烈の志士、オイゲン。

 

 成願の武士、ジン。

 

 蒼き迅雷の求道者、フェザー。

 

 古今独歩の大拳豪、ガンダゴウザ。

 

 

 

 

 

 瀕死、イサン。

 

「「「ソイヤ!!! ソイヤ!!! ソイヤッソイヤッソイヤッ!!!!!」」」

 

「うぉおおおおおぉ!!! 全力だああぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

「破ッ!! 破ッ!! 破ッ破ッ!! 破ッ!! 破ッ!! 破ッ破ッ!!」

 

「はっ……はっ……」

 

 

 

 

「うわぁ……ここだけ熱気が凄い事になってんな……」

 

「イサンさん……死んじゃいませんか……?」

 

『時計を回す準備はしておくよ……』

 

 数日後……

 

 流石にイサンがマッチョになる事は無かったが、地獄の数日間を経験したお陰かイサンの船酔いはかなり緩和されていた。

 

「イサンさん、おはようございます!」

 

「ルリア譲、朝はつつながきや?」

 

「イサンさんも大分よくなりましたね!」

 

「うむ……今日は良好なりや、ソリッズ殿らに感謝せり……」

 

 そう言いながら空を眺めるイサンの目は、以前より濁っていたという。




 ヘルメス錬金術学会 錬金術師 イサン
 ──────────────────────―
 真理に興味は湧かねど。ただ、私は翼を求めたり。
 ──────────────────────―

 子供はずっと部屋に籠っていた。

 万象に干渉し、万象を改変する術、錬金術。

 それを理解する為、何時間、何日、何年も休まずに研究しているんだ。

「失礼しま……うわぁ!?」

 学会の仲間が子供の部屋に入って来ると積み重なった本棚が崩れ彼を押し倒してしまった。

「せめて掃除はしてくださいって言ってるじゃないですか!!」

「……む、其方か、如何様なりや」

「パラケルスス様からの招集です……って、まだ()()を研究しているんですか?」

 子供はそれと言われた紙を見る、それは子供が研究している題目に関するメモで、鳥の翼が書かれていた。

「完璧な翼を作るって言いますけど、空を飛びたいならもっと他の方法があるじゃないですか」

「ならぬ」

 子供はとっくに壊れていたのかもね。

 元々は完璧な翼を作るのに理由があった筈なんだけど、体を作り直して、途方もない年月が過ぎていく内にいつの間にか目的を忘れていたんだ。

 だけど、完璧な翼を作るという事だけは覚えていたから……

 それが目的になってしまっているみたい。

「って、そうだ……そうじゃなくて招集ですよ! とうとう開祖を捕らえるみたいです」

 ピタリ、と子供の手が止まる。

「ヘルメスの門が完成したみたいで……イサンさん?」

「退け」

 子供は背中から錬金術でひび割れた翼を生み出すと──────

「は──────え? ──────」

 目の前にいた男の胴体を二つに分けていた。

 今の一撃で砕け散った翼はまた子供の下に集まると、翼になった。

「開祖……其方は如何にして知るや」

 子供はひび割れた翼を背に浮かせたまま、彼らがパラケルススと呼ぶ男へ向かうんだ。

 そうすればきっと、錬金術の開祖に会えて……

 もう一度空を飛ぶ方法を知れる筈だから。

次は誰を探そう……

  • 良秀
  • ムルソー
  • ホンル
  • ヒースクリフ
  • イシュメール
  • ロージャ
  • シンクレア
  • ウーティス
  • グレゴール
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