アンデッド・アンダー・ダ・ネーション 〜死滅回游永続√after〜 作:砂漠谷
桜島
「ぬぁにぃッ!?」
紙一重で背後から迫るナイフを躱し、返す裏拳で襲撃者の顔面を陥没させる。だが、金槌、斧、バールを持った複数の襲撃者に対しては術式を発動せざるを得なかった。
「おぉっ、"
具現化したのは一本の藁。しかし、その藁で金槌を横からはたくと、金槌と藁が入れ替わる。当然、吾妻吾老の手には金槌が現れた。
更に、金槌でバールを防ぐと、バールと金槌が入れ替わり。
バールで斧を防ぐと、斧とバールが入れ替わった。
不思議なことに、入れ替わり続けるにつれて吾老が持つ武器に宿る呪力が増えていく。三度の交換を経て、斧は二級呪具程度の呪力が宿っていた。
「うむ、十分!」
そのまま、斧で三人の非術師の頭蓋、延髄、胸郭を切り裂いて殺す。
「おのれ、四戦の最後に武器を失ったのが痛いが――」
その言葉は途切れる。現在地は商店街だが、その中には人らしきモノが何体もいた。
そして、そのうちの二体は術師であることを察知し――それと同時に、吾老の存在に、二人の術師を含む人らしきモノたちが気が付いた。
ナニカたちが、武器になりそうなものを周りから拾い、襲い掛かってくる。
「ヨシ、掛かってこ――え゛?」
本戦ではあり得ない状況だが、相性の良い戦場。中国戦役で術師百人切りを達成した自信を胸に斧を構え――六十余のその生涯を終えた。
死因は、首に刺さった太い毒針。透明化していた女
同時に、商店街の内側にいた二体の術師は、まるで残像のように消えた。
透明化を解除した女は、空を見つめてぼそりと呟く。
「
そう、あまりにも機械的に。
中国に七つある結界の一つ、南京
「"
蚕の幼虫のような顔にタツノオトシゴの胴体、それに蚕の成虫の羽根が生えた式神が三匹現れる。式神は口から半透明の帯を吐き出し、バイユーの体を覆い守った。
「ナニ? 本戦でショ? これ」
次々と襲い掛かる人々を帯で絞め殺し、式神に齧り殺させ、その命を奪っていく。
死体の姿が薄くなり、やがて空気に混じるのを見て、バイユーは人々が式神だと気が付いた。
「人間と見分け付かナイ式神、意味ワカランナ」
そう言いながら、式神をもっと喚ぼうと印を結んで――視界に他の人々より強い呪力が映る。
呪力の主は、目を包帯で覆った少年だった。
「あれネ」
式神が吐いた羽衣を全身に纏いながら、呪力の主に式神の一体をけしかける。すでに向こうには気付かれていると悟り、先手を打ったのだ。
式神はそれに近づき――包帯をほどいた少年の目を見て燃えた。少年は、バイユーの方を見る。
羽衣が半透明であったのが悪かったのだろう、少年の術式効果はバイユー本人にも届いた。バイユーの顔も灼いた。
「ギャアッ」
苦痛により、式神のコントロールが鈍る。羽衣の隙間からバイユーを直視した少年は、バイユーを火だるまに変えてしまった。
少年は、血涙を流しながら――見えているのかも怪しいが――空を見て、呟いた。
「
それもまた、ひどく機械的だった。
平壌
台北
名古屋
拉薩
大阪結界の生存者、赤上一香は――――。
広島結界の生存者、長嶋市古は――――。
香港結界の生存者、
――――。
瓦礫の山の上で、一人の男が立っていた。
彼は、式神たちに紛れ、一人、空を見つめている。
「――十九人。これで、全員か。俺の仕事は、終わったな。南路……、幸せに、生きてくれ」
結局、誰も本体には辿り着くことがなく。
仙台