ラヴォスが目覚めたことで魔神器は機能しておらずテレポートスポットは利用できない。
ラヴォスによる世界を破壊する攻撃が海底神殿を貫こうとしていた。サラはペンダントの力を使い内部にバリアを張り、神殿の破壊を阻止しつつ、クロノ達にもバリアを張った。ラヴォスの攻撃は全て内側に跳ね返りクロノ達に世界を破壊するダメージが集中する。クロノ達を守る為にサラはペンダントの力を使いきっていた。
メンバーを地上にテレポートさせる頃にはサラの魔力もペンダントの力も枯渇していて、サラは居残りした。
魔王は預言者として王宮に入った際、ペンダントを魔神器にかざしエネルギーを充填していた。魔王はサラを諦めることはなく、サラと一緒に神殿から逃げ遅れた人々を脱出させた。
サラは不思議に思っていた。ペンダントが2つ存在する事もだが、テレポート技が使える人間は王家の血筋を除くと殆どいなかった。預言者の気配色が王家の者に似ている事も不思議だった。王家の血筋だとして、なぜ顔を隠す必要があるのだろうかと。
海底神殿はジールの求める要塞(黒の夢)に変身してく。
【要塞内に存在する生命はラヴォス神を守る為にあるべき。】そう願ったジールにラヴォスが力を貸していた。職員達は次々と細胞の形が変わり、モンスターに変容していた。ラヴォスを守る兵器として
神殿内部の壁からプラズマが生まれ、四方に飛び交っていた。それに触れた職員は一瞬で熔けた。溶けた肉片はモンスターに形成される。
魔王は身体強化の魔法で限界まで能力を引き上げた。サラを抱え、飛び交うプラズマの中を避け、職員らを外に逃がしていく。
サラはジールを助ける事はもう無理だと諦めていた。ラヴォスの色に染まったジールのまがまがしい気配色。神殿と一体化しているジールの気配はもう人の気配とは思えなかった。
~ラヴォスの間~
ラヴォスのエネルギーがジールに集まり、膨大なオーラが出ている。人を化け物に変えるプラズマとは異なった危険性を帯びている。触れた瞬間にジールの道具として取り込まれる様な気分になる。
ジャキにとってのクソバアア。サラとってもクソババア。だが母(クソババア)にとっては、どちらも可愛い子供だった。
ジールから出るまがまがしいオーラが安全なものに変わる。永遠の命の願望が叶ったジールはご機嫌だった。
『その力で国の民を…たすけてください』
サラは悲しかった。
神殿内の人々の悲惨な状況。ジールがそれらを知らないでやっているのだとするなら悔しかった。信じた相手がこんなにも愚かな者だったこと。こうなる予兆がなかった訳ではない。母を信じる事に逃げていた自分の弱さがどうしょうもなく悲しく悔しかった。
『なぜ、泣いておるのじゃ? ほらみよ!ラヴォス神様がわらわを称えておるぞ!』
もしかしたら、外の惨状を本当に理解していないのかもしれない。
ラヴォスエネルギーは巨大過ぎてその気配を身に纏うという事は、それ以外の人間の気配はとてつもなく小さくなり、まるで存在が消えたかの様に感知できなくなる。
ジールは人々の気配が消えている(死んでいる)事に気付いていなかった。
サラは民の犠牲を言葉で説明した。ラヴォスの影響で外で何が起きているのかを
だがジールにサラの言葉を理解することはできなかった。
魔神器が造られ、ラヴォスエネルギーが国を潤わせて以降、ラヴォスへの信仰心が人一倍強くなっていたジール。ジールにはアザーラのようなテレパシー能力はないけれど、不完全ながらその素養があり、ラヴォスに対して意識を繋げていた。意識が繋がったことでラヴォスはジールの理性を破壊し、自身の駒となるように洗脳していた。
この現象について知っている者はいない。仮説としてありえる可能性だと推測した者が一部にいるにせよ、真実を確認する術はなかった。更に知らない事があるとすれば、ジールの理性は破壊されてはおらず、心の奥底に眠っているだけだった。