エヴァとご飯を食べるだけ   作:紫彩

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ツナマヨおにぎり

ここは、連合都市国家(ユナイテッド・シティ)でも、ガルザ帝国でも、エデンでも、東洲でもない、とある国のとある町。

例えるなら、昔に存在していた「日本」という国に似ているらしい、場所。

私はそこに暮らしている一般人。

 

で、今は何をしているかというと。

 

 

「ツバサさん」

 

「なんだ?」

 

「今日のご飯はなんですか」

 

「今日は~……ツナマヨを使ったなんかにするつもりだ」

 

「!ツナマヨですか」

 

 

横の紫色の天使(エヴァ)と、買い出しに出かけていた。

 

 

 

出会いはつい最近。

雨の中、コンビニからつまみを買って帰っている時。

私以外歩いていない道の端に、体育座りで座っているそいつを見つけた。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

最初はそういうやつもいるだろうと通り過ぎようと思ったが、恰好を見て足を止めてしまった。

ぴちぴちでメカメカしいタイツ?スーツ?を着た、顔のいい女性。

独特なヒール……ヒール?のかかとをつけて座っているその姿に何となく察しがついた。

そしてつい、声に出してしまった。

 

 

「……天使か?」

 

「はい、人間からはそう呼称されることが多いです」

 

「あっ」

 

 

つい袋を持った手で口を押さえるが、仕方がないと降ろし、逆の手を彼女の上に掲げた。

 

 

「?何を」

 

「天使が病にかかるか知らんが、少なくとも濡れたままよりはいいだろう」

 

「……感謝、します」

 

「……まあ、ここまでしてほっとくのもあれか。来るか?」

 

 

そう問うと、天使は。

 

 

「当機に付けられた名は、エヴァです」

 

 

と立ち上がって言い、人間は。

 

 

「ツバサだ」

 

 

そう返した。

 

 

 

そうして小さなアパートに連れ帰った後。

服?を脱がし、エヴァの身体を拭き、私の服を着せた。

その時に胸に埋まったものを見て、確かに人ではないんだな、再確認したのは、蛇足だろう。

 

それはともかく、話を聞いてみると。

 

エヴァという存在は複数存在しており、体は活動するための端末に過ぎないらしい。

その大元については話せないらしいが、私も別に興味なかったからいいと返す。

で、なぜあんなところにいたのかというと、エヴァは様々な情報を集めるため、旅をしていたらしい。

のだが、この国に来たこいつは――正確にはこの国の上空を飛んでいると――突然大元との接続が切れたと。

それに驚いていると、なんやかんやあって、飛ぶための装置がどっかに行き、落ちて。

 

 

「どうすればいいか分からず、途方に暮れてあそこにいたと」

 

「はい」

 

「えぇ……頑丈だな……」

 

「高いところから落ちた程度では、当機は傷一つ付きません」

 

 

無表情なのにどこか自慢げに感じるエヴァ。

短パンと白シャツを着せたその姿は、滑稽にも、扇情的にも見えた。

 

そんなことを思いながら、くぅと、お腹が鳴った。

その虫は、私の腹に住んでいた。

 

 

「今の音は……」

 

「私が腹減っただけだ。そういや食うためにも買いに行ったんだったな」

 

「空腹、ということは食事をするのですか?」

 

「そうだが……食事したことないのか?ありえるか」

 

「はい、その……はずです」

 

 

エヴァは戸惑った様子を見せて、言った。

 

 

「接続が切れたせいか、他の端末のデータや、記憶があやふやなんです。少なくとも、当機では行ったことがないのは確かです」

 

「なるほどな……」

 

 

私は少し考えた後、少し待ってろと言って台所に立つ。

 

用意したのは冷凍していたご飯と、買ってきたツナと、マヨネーズと味のり。

ご飯をレンジで解凍しつつ、ツナとマヨネーズを混ぜてツナマヨにする。

アツアツに解凍されたご飯とツナマヨを、ボウルで混ぜ合わせる。

 

完全に混ざったら、それを今回は大きめに、三角に握る。

一人二個握り、のりを二枚巻いて皿に乗っければ完成。

 

 

「ツナマヨおにぎり、完成だ。ほら、食ってみろ」

 

 

そう言ってエヴァの前に置く。

興味深そうにエヴァはじっと見つめ、なかなか手を出さない。

上から、横から、斜めから、じっくり記録するように。

急かすものでもないと、私は缶ビールを冷蔵庫から出し、一足先……一手先に手を合わせた。

 

 

「いただきます……ん、うまっ」

 

 

不味いわけがないが、それでも口から言葉が零れる。

そしてビールを流し込むと、たまらない。

私はつまみはがっつりいきたい。

それはつまみじゃないかもしれないが。

 

ふとエヴァを見ると、じっと私を見ていた。

そしてすぐにおにぎりを見つめ、ゆっくりと手を合わせ。

 

 

「いただきます」

 

 

そう言って、手に取って食べた。

その顔には困惑が、次に驚きが、そして喜色が浮かんだ。

そして、口を動かす速度を上げ、次々と喉へ通していった。

 

たった二つのおにぎりは、早々と彼女の胃……胃?に収められた。

彼女は全て飲み込んだ後、口を開いた。

 

 

「……当機には、これを形容する言葉は記録されていません。ですが……」

 

「ですが?」

 

「もっと食べたいと、思いました」

 

「……教えてやる。そういうのを、『おいしい』と、言うんだ」

 

「……おい、しい」

 

 

私は思った。

こいつの食べる姿は見てて気持ちいい。

もっと見たいと。

 

 

「エヴァ、お前はどこかに行く当てはあるか?」

 

「……いえ、今のところは。このような状況は初めてですから」

 

「じゃあ、ここを拠点にしていい」

 

「……よろしいのですか?なぜ……金銭の類もありませんが」

 

「別に?お前の食っている姿に惚れた。それだけだ」

 

「惚れた……」

 

 

私は食べ終わった二人の食器を流しに置き、最後の一口を飲んで問うた。

 

 

「で、どうする?」

 

 

彼女は悩んだ様子で、そして微笑んで答えた。

 

 

「ええ、あなたがよろしいのなら」

 

 

私も笑みが零れた。

 

 

「そういや、言い忘れていたな。食べ終わった後は、ごちそうさまでした。と言うんだ」

 

「そうなのですか。では――」

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 

二人は手を合わせ、そう言った。

こうして、二人の奇妙な生活が始まった。

 

 

ああ、先に断っておくと。

壮絶な戦いやシリアスなことは起きない。

つまりこれは、ほのぼのな、ただただ二人で食事するだけの、そんな話だ。




エヴァ:エッチな自爆お姉さん。現環境で大暴れしている。自爆しづらいからやめてくれ(懇願)
ツバサ:オリ主。癖の一部一部をぶつけて完成した人間。長身のすらっとし、腰まで伸ばした黒髪に紫色の目。きりっとした姿のお姉さん。

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してくれなかったらあなたの横で自爆します。フルライフで。
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