「シグリンデ、あー……聞いていい?」
「ん、どうしたのアーサー?」
「その白髪ポニーテールちゃんは一体何者……?え、待って両目金色だけどまさか……まさかだよね?関係者?」
「私のかわいい妹みたいなものだよ、アーサー」
「ごめんまって色々察した上に今の発言で理解が追いつかなくなった」
現在、【ライブラリ】の来客用の応接室。というよりは、ちょっとした規模の会議室には複数人の姿がある。シグリンデとリューネ、そして連絡をしたペンシルゴンとオイカッツォだ。
現在、ペンシルゴンはシグリンデから色々話を聞いて理解が追いついていなかった。なお、その後ろではリューネとオイカッツォが既に自己紹介を終えておりなにやらのんびりと話し込んでいる。何やら『うっま、なにこの飴。え、本当に人参? ……なんか一定時間ステ上がってるんだけど!?』『知り合いのところの特産品を参考にわたしがつくってみました!』などという会話がペンシルゴンに聞こえてきたがとりあえず置いておくことにした。聞き捨てならないことも聞こえた気がしたが、今それも考え出すと頭がオーバーフローする。
「アーサー……妹って、いいよね」
「いやいや待て待て待ちなさい。あー……何から手を付けるかなあ。まずはとりあえず、私にもその子を紹介してもらってもいい?」
「うん、待ってね。リューネ、アーサーにも自己紹介してもらえる?」
オイカッツォとのり雑談を切り上げて、そのままペンシルゴンの前まで来ると、それはもう人受けのいいような笑顔で元気にリューネは彼女を見ながら挨拶をした。
「はじめまして、リューネといいます!今は【ライブラリ】というところにお世話になっていて、お姉ちゃんと色んなところを旅したりしています。よろしくお願いします!」
「やばい、かわいい。なにこの光属性の子。コホン、私はアーサー。アーサー・ペンシルゴン。シグリンデの姉だよ。よろしくね、リューネちゃん」
「シグリンデお姉ちゃんのお姉さんですか!?ならええと……アーサーお姉ちゃん?」
「こふっ……な、なんとか致命傷で済んだ。 ――シグリンデ吐きなさいこんないい子どこで捕まえてきたの」
ペンシルゴンの理性は一瞬で吹き飛んだ。真面目で健気、それでいて光属性の小さな少女から『お姉ちゃん』と言われればそれはもう一発でノックダウンだった。確かに現実世界でも妹であるシグリンデとの関係もある。そんな妹とは別タイプの妹ができたような感じがしてもう限界だった。『守護らねば』『私がお姉ちゃんだぞ!』、そんな思いがペンシルゴンの中を駆け抜けた。
「ちょっと色々と事情があるんだ、王様が拾ってきたと言うか。なんというか」
「なにやってんの黄金の竜王」
「うーん……間違いではないんだけど、やっぱりそのあたりのことも説明しないと駄目かなあ。えっと、とりあえず色々と説明はあるんだけど凄く長くなるから、先にアーサーの要件聞いてもいい? 」
「あー、そうだね。私のほうから済ませようか。ここにカッツォ君を呼んでる理由も関係してるんだけど、まずは。シグリンデ、あなたウェザエモンの戦利品確認した?」
言われ、暫く沈黙して。そして『あっ』となった。
していない。というのも、ウェザエモン戦直後はとにかく慌ただしかった。シャンフロ内部での騒ぎやクランでの対応、しかもリアルでの仕事のこともあってそれらを優先にしていた。しかも、ウェザエモンの騒動への対応が出来始めた時にリューネの件があったり、ラビッツへでの出来事があった。ここ最近は立て続けに色々ありすぎて、最初こそ確認しなければという思いがあったもののすっかりと失念していたのだ。
「その感じだとやっぱりちゃんと見てなかったのね、なら丁度いいわ。今確認しておきなさい、恐らく共通アイテム2つと固有アイテムが1つあるはずだから」
「そういえば、格納鍵インベントリア?とかいうのを見た記憶があるけどちゃんと説明とかは見てなかったかも……ごめんねアーサー、本当最近色々あって」
「まあウェザエモンのゴタゴタにそのクランでの対応、立場上報告もあっただろうし。それに見た感じ、リューネちゃんとかのこともあったんでしょ?あなた、しかも先週あたりは仕事結構詰め込んでたし忙しくもあったんでしょ。……私もリューネちゃんとお話したいし、カッツォくんと一緒に雑談でもしてるからちゃんと戦利品確認しなさいな、まずはそこから」
そうしてペンシルゴンは『リューネちゃん私ともお話しよう!』と言いながら話し始める。ともあれ、リューネがオイカッツォやペンシルゴンにもかわいがってもらえそうでよかったと思いつつ戦利品を確認する。
まず出てきたのが、『世界の真理書【墓守編】』。アイテムの説明を確認する限り、どうやらウェザエモンに関しての資料のようだ。早速とんでもないものが出てきたと思った。実体化して中身を流し読みしてみると、ウェザエモンについての生い立ちや設定、神代での活躍やどうしてあんなことになったのか、などが記載されている。明らかに超重要な書物だ。こんなものを見落としていたなどとんでもない失念だと思った。
自分も読みたいし、もしかすると神代についての情報などがのっているかもしれない。ともあれこれはキョージュへと謝罪とともに報告しなければならないと決めた。
「でもアーサー、意外だね」
「んー?なにがー? あー……ほっぺぷにぷに、かわいい……」
リューネを抱きしめながら頬をつんつん、としておりご満悦なペンシルゴンは【真理書】を確認しながら言われたことになんのことだろうか、と返した。
「【ライブラリ】も対応に追われたりしたけど、リューネすごい人気なんだよ。うちのクランでもかわいがられてるけど、図書館の手伝いとかよくしてくれてて。そこで見た他のプレイヤーからの人気がすごいんだよ。キョージュさんから聞いた話だけど、一部のトップランカーと突然PK辞めたPKランカー達がファンクラブみたいなもの作ったとかって聞いてね」
「【ライブラリ】がかわいいNPCを専属で仲間にしてる、って話は知ってた。それで人気のあるNPCのために結構名のある奴等が変なことしてる、ってくらいだったけど。そのNPCがリューネちゃんだとは思わなかったけど。 ……ん?なにリューネちゃん。飴くれるの?はむっ ――え、なにこれおいしい。ってさっきちょっと聞こえたけど時限制でステ上がってるぅ!?」
色々聞きたいが、それは後にしようと思いつつペンシルゴンは飴を味わいつつ話を進めた。
「実はアーサーとかオイカッツォにも頼みたいことがあってね。ほら、私仕事の関係で居ない時もあるでしょ?でもリューネはこっちにずっと居るわけで、そのまま活動してるんだよね。だから、【ライブラリ】の人達とか、その伝手であるクランの人に居ない時にリューネのこと見て欲しいって頼んではいるんだけど、二人にもそれをお願いしたくて。本当はサンラクにも頼みたかったんだけど、なんか最近あまり会えなくて」
「オーケー、全然いいよ。ね、カッツォくん」
「んー?おお、いいよー?それにさっきちらっと話したけど、遠距離スカウト型の高火力ビルドなんでしょ?しかも相当レベルも高いみたいだし。一応マージン取って、連れ歩く時は複数人で行動するようにはするよ。俺とペンシルゴン、最近あんまり反応ねーけどサンラクの内二人以上いれば大抵なんとかなるだろ」
「うんうん。ちなみにシグリンデ、その伝手のクランって何処?」
「えーっと……【午後十時軍】だったかな?」
「トップクランじゃない……。なんで動いたのあそこ」
「私もよくわからないんだけど、カローシスさんとヤシロバードさん?って人がなんかあったらしくて、それで凄い協力的だったとは聞いたよ」
「気になるけどだいぶ凄いボディガード集団というか、なんというか」
「でもリューネ凄く強いんだよ。正直私も有利取られた状態で相手にしたくないレベル」
「そこまで!?まって、シグリンデにそこまで言わせるって相当だよ!?」
「私も【ライブラリ】メンバーでの調整兼ねた模擬戦で戦ったけど、軌道が読めない射撃を混ぜた不規則な射撃に強制ノックバックと高威力狙撃の副産物ののけぞりと体幹削りは鬼だと思う。近づいたら大矢を散弾撃ちされるし。100メートルとかそれぐらいの距離だからまだ詰めれたけど、リューネの最長レンジ相手にするなら正直詰めるの相当骨が折れると思う」
「……ちなみに、最大距離どれぐらい?」
「2000メートル」
「その距離で精密射撃するとか何処ぞのスナイパーかな?」
「そこに遮蔽物に隠れても狙撃してくる跳弾も入ってくるよ。しかも大矢だから高威力だしちょっとした障害物なら破壊される」
「うーん戦略兵器。ちょっとした衛星砲かな?」
「アーサー多分なんとなく察してると思うけど、王様の関係者だから王様の加護とか権能の一部も持ってるよ。その他諸々もまだある」
「こんなちっちゃくてかわいい戦略兵器娘に歴戦のプレイヤーが護衛でついてるって無理では?」
「でもリューネ、近接武器は本当ダメなんだよ。サブで護身用の短剣持ってるけど、振り回すくらいしかできない」
「なんかそれもかわいさポイントとしてのアピールにしかなってないのよねー……。実質近づかせなければ超高火力の射手兼砲台じゃない」
そんな話をしている間に、ある程度の【真理書】の確認を終えた。内容はやはり気になる点が幾つもあり、キョージュのところに持ち帰って見てもらったほうがいいとシグリンデは判断した。
続けて次の戦利品の確認に移る。出てきたのは、以前名前だけは確認していた『格納鍵インベントリア』だった。
■ペンシルゴン
『いやいや待て待て待ちなさい』(CV:日笠陽子)
これで何かわかったあなた、さては適合者だなオメー。
実質的に妹が増えた。実妹のシグリンデは元々出来た妹で手がかからなく、愚弟もなんだかんだ有能で一人でなんでもやってしまうので同様に手がかからなかったのだがそこに庇護欲を掻き立てる系健気妹の出現で姉を名乗る不審者になった。
■リューネ
実は作者の設定鍵の中では大人になると某グランドオーダーの妹を名乗る不審者の眼の色を金色にしたような見た目になる。多分その頃にはトンデモ存在になっている。
遠距離に対する超適正以外だと、実は探索系や探知系などのスカウトスキルの適性も極めて高い。加えて、料理スキル持ちの上かなり上手い。身内以外に公開されていないことではあるが、オイカッツォとペンシルゴンが尋常じゃなく驚いていたが料理にバフがつく。しかも料理毎に内容が違っており、食べてから数値にすれば僅かだが一定時間ステータスがブーストされるというとんでもスキルを持っている。
■あとがき
ウィンプちゃんと遭遇イベントはあります。結構早い段階からあの子も出るかもしれない。
原作でいうとこの時点でクラン連盟会議前くらい。