ゼロの伝説LOM(ルイズが異世界から帰還後)   作:hobby32

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56話:ルイズ、才人にドラゴンキラー編を語る 前編

さて、キュルケが宝探しを提案してくるまでの間に、ルイズは、ファ・ディールでの冒険で1番話しづらいドラゴンキラー編、すなわち「紅き堕帝」、「群青の守護神」、「紫紺の怨霊」、「白妙の竜姫」、そして、「真紅なる竜帝」について、1日1話、「真紅なる竜帝」に関しては2日にかけて、才人に話しきった。

 

実際には、周りの景色や自分や他の人の言葉をもっと詳細に解説していたが、それは以前書いた通りなので、ここではある程度かいつまんで話すとする。

 

 

ルイズは、グッと声を低くして最初にこう言った。

「これは、わたしの罪と贖罪の話なの。わたしのことをおぞましく思ったり、蔑んだりするのは、当然のこと。でも、前置きしておくけど、幸いにして、すべて贖罪できる範疇の出来事だった。そうでもなければ、わたしは今でも罪悪感の檻に閉じ込められたままだったと思う」

 

才人は、何だか不安がこみ上げてきた。ルイズが、何度も視線をあちこちにさまよわせて、顔色は青ざめ、身体じゅう目に見えて震えていたからである。こんなルイズを見るのは初めてであった。

 

そして、開口一番で度肝を抜かれた。

「わたしは……殺されたの。そして、奈落に引きずり込まれたの」

才人は、開いた口が塞がらなくなった。

 

それから、ルイズは語り続ける。

ラルク、ティアマットという悪いドラゴンに仕えるドラグーンに殺されたこと。

ルイズはパニック状態で何が何やらわからない内に、シャドールという霊的な存在と話をして、自分が死んだと認めざるを得なかったこと。

 

それからラルクとしぶしぶ行動を共にして、洗礼を受けてから、奈落の下層へと下り、ティアマットの設けた戦士の実力を試す試練を乗り越えたこと。

 

そして、人の姿をした悪いドラゴンのティアマットと出会い、自分から魔力を奪った三匹の竜を倒してきてもらいたい、さもなくば、半霊体のまま奈落で消滅することになると脅迫されて、ドラゴン殺しをしなければならなくなったこと。

 

そして、お目付役兼協力者として、ラルクと共に、ドラゴン殺しの旅に出たこと。

 

こういったことを、ルイズは何度も髪を掻きむしりながら、話しきった。

 

才人は圧倒されたが、まず心配そうに訊ねる。

「お前は、生きているのか? その、ゾンビとかじゃなくて」

 

「……ええ。その辺り、ティアマットは約束を守ったみたいね。私は生きているわ。でも、ティアマットがわたしを生き長らえさせたのは、別の意図があったからだと思う」

ルイズは、実に忌々しそうに話した。

 

才人は、愕然とする。自分の恋した相手は、すでに一度、死んでいたのだ。比喩でも何でもなく、本当に。

 

でも、三匹のドラゴンを倒し、何とか蘇ったのだ。つまり、ラルクという協力者がいたとはいえ、ドラゴンを殺せるぐらいの実力はルイズたちにはある、ということになる。

 

しかし、ルイズは、ティアマットを「悪いドラゴン」だと言い切って、実に苦々しい表情でこの事件を語っていた。それは、つまるところ、ルイズは悪事に加担されていたわけである。それも自らの存在を人質にされて。

 

才人は、その時のルイズの心境を考えると、言葉も出なかった。ただ元の世界に帰りたかっただけの少女に、なんという仕打ちが下ったものだろうか。

 

ルイズの、いつものように元気も落ち着きもない様子からしても、相当な出来事だったということは、想像に難くない。まだ、だいぶ尾を引いているような気がする。

 

 

2日目ーー

ノルン山脈でのメガロード戦。

風を司る知恵のドラゴンとの対決。開口一番、ルイズは、「何度死ぬかと思ったかわからない」と淡々と言った。

 

マイホームからチョコボを連れてきての戦いだった。

まず、山脈のふもとで急にシエラという獣人、後にわかったことだが、ラルクの姉が空から降ってきて、ラルクと刃を交えた。すぐに立ち去ったが。

ルイズが正体を訊ねても、ラルクが答えることはなかった。

 

山道に入ると、地面のあちこちはひび割れており、人が来ないところだから柵などあるはずもなく、転落の危険が常につきまとうところであった。

 

ラルクは戦闘意欲が高くとも、こちらは全くと言っていいほどない、せいぜい戦わなきゃ死ぬという動機から、何度も死線をくぐり抜けてきた。

 

風読み士の魔法楽器による風の魔法で吹き飛ばされて硬い地面に叩きつけられる、彼らの飛ばしてくる針が左肩を貫通してものすごく痛かったのを今でも覚えている。

 

純粋に彼らは主たるメガロードを守ろうと必死になって戦っているぶん、本当に恐ろしかった。土の魔法を駆使してどうにかこうにか撃破した。

 

さらに、そこまで強くない青色の風読み士の集団が、命がけで道を塞いできたところを、ラルクが瞬殺した。

 

それから山頂に着いての知恵のドラゴンたるメガロード戦、先制の一撃を食らわせたはいいものの、メガロードが羽ばたいてあっさりと戦況が変わってしまい、立つことはおろか岩の地面に這いつくばっても、猛烈な突風でジワジワと体が後退してゆく中、何とかふくろからハープを取り出して、暗黒魔球ダークスフィアでメガロードの体を丸ごと吸い込んでから、岩の地面に叩きつけて、なんとか隙をつくった。

 

すると、メガロードは前衛のラルクとチョコボを魔法で吹き飛ばしてから、自分の元へと飛来し、ヘビのように長い首を伸ばして、岩をも砕く頭突きを放つわ、巨大な尻尾で吹き飛ばされて岩の地面に叩きつけられるわ、で本当に、ギリギリ背後からのラルクとチョコボの攻撃が間に合わなかったら、確実に死んでいた。

 

なおも魔法を使える自分をメガロードは狙い続けたが、背後からのラルクとチョコボの攻撃に耐えきれなくなり、とうとう距離をとったところで、魔法楽器による集中攻撃を食らわせることができたことで、どうにか勝つことができた。

 

それから、ラルクがマナストーンの位置を示して、ティアマットが回収した。それから、重傷を押して辛うじて生き残った風読み士の1体がフラフラとした足取りでやってきて、

「なぜだ……なぜこんな恐ろしいことを……」と自分たちは、呻くような声で、しかし確かに非難された。

 

この時、ようやく自分の行為に疑問を抱き始めた、と、ルイズはため息をついて締めた。

 

聞き遂げた才人は、それから後悔の念に沈んで、机に突っ伏した少女を見た。命からがらの戦いで、相当痛い思いをたくさんして勝ったというのに、それに喜びどころか、風読み士とメガロードを殺した後悔の念の方が、よほど大きいことに気がついた。

 

頑張ったのに、報われるどころか非難されることがある、ということを少女を通して、才人は思い知る。

語ったことで再び罪悪感を思い出して沈む少女に、才人は何の言葉もかけてやることができなかった。

 

 

3日目ーー

ルイズは、不気味な怨霊たちの守護する骨の城を探索したことを話した。

 

骨の城に入る前に、虚空からガイコツ戦士が現れて、撃退した。城に入ることをものすごく牽制していた。

 

骨の城の中に入るとワナにハマってしまい、ルイズたちはバラバラとなった。

ルイズは寂しく思いながらもまずチョコボを再会できた。

 

その後、ラルクを探している最中にシエラが、ティアマットの目的について知っているのかと訊ねてきた。射殺さんばかりのもの凄く鋭利な視線だった。

 

それから、ティアマットから聞いた目的を話したら、「何も知らないようだな」と言われた。そして、「死んでくれ」と言われて、シエラは襲いかかってきた。

 

チョコボがとっさに守ってくれなかったら、死んでいただろう。何とかチョコボが距離を開けてくれたから、魔法楽器の連発で倒すことができたが。

 

ラルクの眠っている部屋を見つけると、寝言で「姉さん……」と言っていた。後に思えば、シエラのことである。大切な存在ということがうかがい知れた。

 

その後、ラルクを起こして、知恵のドラゴン・ジャジャラのドラグーン、不死皇帝と戦った。幸い、遠距離攻撃を持っていなかったので、余裕で勝つことができた。倒しても死んでなさそうであったが。

 

そして、とうとうジャジャラと相対した。戦闘前に、ジャジャラはこう述べた。『ティアマット……私と刺し違え、奈落に落ちても、いまだ私欲のためにマナを求めるとは……愚か! 愚かなり!』

全く以てその通りであった。

 

ジャジャラは、黄金の骨しか残っていないドラゴンであった。しかし、その執念は凄まじかった。

電撃のようなドラゴンブレスを浴びせてきたり、一度体をバラバラにしても、人の丈よりも大きい2体の石膏像を核に体を再び繋ぎ合わせて、襲いかかってきたりと、ルイズたちを何が何でも阻止してやろうという執念は凄まじかった。

 

メチャクチャな状態のジャジャラは、天井から落盤を降らせてきてルイズに直撃させ、その後、眩しい光線でルイズを貫いて気絶させた。

 

どうにか回復して、まず突風魔法サイクロンニードルで、倒れているラルクとチョコボから、ジャジャラを吹き飛ばして、壁に叩きつけた。それから杖による失敗魔法でジャジャラの石膏像一つを破壊した。

その後、ラルクも続いてジャジャラの骨をオノで、どんどんバラバラにしていった。ルイズはさらにもう一つの石膏像を破壊した。

 

これで、ジャジャラは、形を保てなくなり、最後にラルクが目玉にオノを叩きつけて、とどめを刺した。

 

バラバラになってもなお、ジャジャラは怨念のこもった声を上げた。

『おのれ……ティアマットめ……そこまでして世界を……』と。

 

その後、またラルクがジャジャラの守っていたマナストーンの力をティアマットに指し示して、ティアマットが吸収したが、わたしの心は疑念と不安でいっぱいだった。

 

メガロードにしたって、ジャジャラにしたって、積極的に人に害をなしたわけじゃない。むしろ、わたしたちの方が強盗のごとく彼らのテリトリーを荒らし回り、主を、マナストーンを必死に守ろうとしている存在を蹴散らしているのだから。

 

ろくに戦う動機を持たないわたしにとっては、こんなこと、もうやめてほしい、と思っていた。それでも、自分が消滅するのが嫌だから、あと1体、狩らなければいけないことを思って、ため息をついた。

 

才人は、話の最中、何度も頭を掻きむしり、顔をしかめ、ため息をつくルイズの姿に、本当にあまりにも辛かっんだな、ということを思った。

 

自らの存在の消滅を人質に、決死になって守ろうとしているドラゴンたちを殺す業の深さに、ルイズはいまだ未だ苦しんでいるようであった。

 

それでも、才人は、ルイズの語るかぎり、止めようとは思わなかった。

 

4日目――

ルイズは、少し落ち着いた調子で、「白の森」を冒険したことを話した。ラルクを先頭に、モンスターを退けながら、森の奥深くへと向かう。

 

そうして、まず、巨木の台座の脇にいるシエラと、ラルクが言い争いとなった。ここで、初めてシエラがラルクの姉だと知って、ルイズは大いに驚愕した。

 

そして、ティアマットと共に地上に蘇ろうと言うオノを構える弟ラルクと、ティアマットの復活を阻止せんとする姉シエラの間で、今まさに戦いが起こらんとしたとき、白い毛並みが美しいドラゴン、ヴァディスが現れた。

 

ラルクがマナストーンの場所を教えるように脅すと、ヴァディスは、あっさりとマナストーンの場所を告げた。

 

そこへ向かうラルクの背中に『行きなさい、ラルク。そして、過ちに気付きなさい』という言葉をぶつけて。

 

それから、マナストーンの力を回収したラルクは、ルイズに別れを告げて、走って去って行った。

 

それからヴァディスは、誤った道に進んだことを確信してしまったルイズに、ティアマットを止めて欲しいということと、後悔に沈むより今できることをやるように、と告げた。

 

それから、ヴァディスとシエラは、ルイズとチョコボの腕試しをしたあと、良い力を持っていると告げた。

 

それからルイズは急いで奈落へと戻っていった。

 

 

 

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