ゼロの伝説LOM(ルイズが異世界から帰還後)   作:hobby32

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59話:宝探しと『幻の女の子』

「宝探し?」

ルイズが、本を読むのを中断して、椅子に腰かけたまま、立っている才人に鳶色の瞳を向ける。

 

「そう。キュルケが誘ってくれたんだ。色んな店から宝の地図を探し回ったんだと」

「ふ~ん」

たいがいそういうのはまがい物だと思うのだけれど、とルイズは考える。

 

才人は、続ける。

「それで、キュルケ、タバサ、ギーシュ、シエスタで行くことは決まったんだけど、ルイズも来ないか?」

 

ルイズは首をかしげる。

「シエスタ? どうして厨房のメイドまで?」

「料理をつくってくれるって言うから」

才人は、先ほどキュルケとシエスタの間で、腕を引っ張られたことは伏せて、ルイズに言った。

「なるほどね」

ルイズは、納得したあと、しかし首を振った。

 

「残念だけど、今回はわたしは、行けないわ」

「え~、どうして?」

露骨に不満を露わにする才人。

 

「姫さまが、ゲルマニア皇帝との結婚される際の式で、『始祖の祈禱書』を手に、詠みあげる詔(みことのり)を、考えなくちゃいけないのよ。まあ、なかなかと進んでないんだけれど」

ルイズは苦笑する。こういうことは、苦手だと言わんばかりである。

 

そう告げると、才人もしぶしぶ、納得した。

 

ルイズが、でも、と言う。

「あなたの行動範囲が広がるのは、良いことだわ。ひょっとしたら、元の世界に帰れる手がかりが見つかるかもしれないし、わたしもちゃんと文献調査を進めるから、あなたはいってらっしゃい。戦いがあったら、気をつけてね」

 

そう言われると、何だか自分が帰ることをルイズが積極的に望んでいるように聞こえる才人であった。

 

もし帰還する方法とやらが、この世界と行ったり来たりできるものなら、それでもいい。しかし、一方通行で、二度とこの世界に戻れないものだとしたら、どうだろう。この少女は、悲しんでくれるのだろうか。

 

そりゃあ、俺だって元の世界に帰りたいけどさ、でも、この世界にも愛着が湧きつつあるのも事実であった。

だから、そんなにとっとと元の世界に帰そうとか思わないで、もっといて欲しいとか、もう少し帰らないで欲しい、とか思ってほしいと思う才人であった。

 

だから、

「わかったよ」

と、ぶっきらぼうな声で才人は、ルイズの部屋を出て行った。

 

 

 

その後、才人たちは宝探しに出かけた。

 

廃墟となった寺院にて。巨大な門柱は崩れていて、ステンドグラスは無残にバラバラとなっており、庭にはボーボーと雑草が生い茂っていた。

才人とキュルケとタバサとギーシュは、力を合わせてオーク鬼たちを倒していた。いや、ギーシュはさほど役に立っていなかったが。

 

十数匹のオーク鬼たちを、タバサは、『ウィンディ・アイシクル』で、数十本の氷柱の矢を突き刺して、絶命させた。

 

キュルケは、巨大な『フレイム・ボール』でオーク鬼の顔にぶつけて、焼き尽くした。

しかし、タバサたちの魔法は、そう何度も放てるものではない。

 

そこに、才人の大剣デルフリンガーが襲いかかる。タイミングを見計らって、オーク鬼たちの首を落としたり、体を薙ぎ払ったり、次々と倒してゆく。数分足らずでオーク鬼たちを全滅させた。

 

オーク鬼たちを倒し終えると、隠れていたところからシエスタが走ってきた。

「サイトさん、すごいです! オーク鬼たちをあんなにあっという間に倒すなんて!」

 

しかし、才人は苦笑しながら、首を振る。

「別にこれくらい、大したことないよ」

 

才人は、自分の手が震えていることに気がつく。これがルイズの日常だったのだ。こんな2メートルくらいしかない奴らじゃなくて、もっとずっとデカい奴らをルイズは相手にして、ずっと勝ち続けてきたのだ。

 

それは「慣れ」の一言で済むのだろうが、とてもとても、まだその領域には、辿り着けそうもない。

 

ついでに言うと、ルイズがいないと心細かった。いたとしても、魔法楽器は、いざとなったときしか使わないだろうが、それでも、戦闘経験が圧倒的に豊富で、落ち着き払った存在がいるといないとでは、相当メンタルの安定に関わってくるものだと思い知らされた。

 

まあ、キュルケたちは、ルイズが来なくて、ホッとしたような表情であった。足手まといが増えなくて良かった、というものであろう。しかし、才人の抱く感情はむしろ真逆であった。

 

ただ、戦いが終わればルイズにわずかでも追いついている気がして、油断大敵ながら、戦闘意欲が燃え上がる才人であった。これは、ルイズにはなかった感情である。

 

さて、肝心の宝探しの方だが、こちらは、めぼしいものは、全くなかった。ホコリかぶった装飾品だの、古い銅貨など、そんなガラクタばかり。

ギーシュは、宝の地図を持ってきたキュルケに大いに文句を垂れたが、キュルケは、どこ吹く風とばかりに爪の手入れをするばかり。

 

シエスタのつくったシチューを食べながら、キュルケは、「これがダメだったら最後にしようじゃないの。この『竜の羽衣』ってやつ」

 

すると、シエスタが吹き出した。

「それは、わたしの故郷ーータルブの村の近くにあるものです。はっきり言ってしまえば、わたしの家のものです」

 

それで、今晩は寺院の中庭でめいめい毛布をかぶって寝ることになった。それでオーク鬼たちに狙われたら危ないと言うことで、五人で交代交代で一人が見張りとして起きることにした。

 

それで、才人が毛布をかぶって地面に横たわり、その隣でシエスタが才人に寄り添うように寝息を立てているのをギーシュが確認すると、同じく毛布に包まって眠ろうとしたキュルケに声をかける。

 

「先日、この平民、サイトに恋愛相談を持ちかけられたんだが……」

すると、キュルケの目は急に輝く。聞こえる距離にいたタバサは、相変わらず、焚き火の残り火を明かりに読書に勤しんでいた。

 

「へえっ! 誰のこと? ヴァリエール? それともこのメイドの娘?」

しかし、ギーシュは首を振った。

「そのどちらでもない。彼曰く、『可愛くて、賢くて、明るくて、圧倒的に強い女の子』だそうだ」

すると、キュルケは、まあ、と思わず言って、頬を両手で覆ってクネクネする。

 

「あたしのことじゃないの。嫌だわ、そこまで思われていたなんて」

しかし、もう一度ギーシュは、首を振る。

「いや、君ではない。この平民はさらにこう付け加えたんだ。四大系統のいずれかも言えない、と。言ったら、その子に迷惑がかかるから、と」

「ええ?」

キュルケは、目を大きく見開く。

「君だったら、隠すことでもないだろう。だけど、彼はしきりに隠したがっていた」

 

すると、キュルケも腕を組む。

「誰かしら? 『可愛くて、賢くて、明るくて、圧倒的に強い女の子』なんていたら、もの凄く目立ちそうなものだけれど」

 

「それなんだよ。僕も気になっていろいろと他の女の子を見るようになったが、たいがいどこかの項目を満たせないんだ」

「……ルイズ以外、好きになることはないと思っていたけど、サイトも凄いじゃない。まだこっちに来て日が浅いのに、そんな子を気に入るなんて」

「しかし、僕でさえ見つけられない子を、彼が見つけているのが癪でね。最近は、本当に誰のことなのかで思い悩んでるんだ」

 

「『幻の女の子』というわけね。面白そうだわ。あたしも探してみる。そして、その子からサイトを奪って悔しがる姿を見てみたいわ」

キュルケもがぜん興味が湧いてきた。そして、学院に帰ったら、この使い魔さんを大いに気に入っているルイズに教えてあげないと、と思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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