機動戦士ガンダムSEED 虹の向こうから来てしまった男   作:サンバガラス

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PAHSE:14 ホいつの間に!?

 

キラが持って来た救命ポットにはプラントの現最高評議会会長のシーゲル・クラインの娘ラクス・クラインが乗っていたのだ。一時は騒ついたが、すぐに積み込み作業に戻った。それから数時間後、アークエンジェルはデブリベルトから発進し、月への航路をとった。ゴロウとキラはモビルスーツの点検を終えて飯を食べようと食堂に訪れるのだが

 

「ん?この声はフレイとミリアリア?」

 

「何だ?」

 

食堂から声が聞こえ、入ると

 

「嫌ったら嫌!!」

 

「もうフレイってば、なんでよ!!」

 

フレイとミリアリアが、食事のトレイの前で言い争っている。ゴロウは近くにいたカズイに話を聞く。

 

「何かあったのか?」

 

「ゴロウか・・・ほら、キラが連れて来た女の子が居ただろ?その子の食事をミリィがフレイに『持っていって』って言ったら、フレイが『嫌』って言ってそれで揉めているんだ」

 

「何くだらない事で言い争ってんだよ」

 

しょうもない事で言い争いになっている事に呆れているとフレイが叫ぶ。

 

「嫌よ!!コーディネイターの子の所に行くなんて、怖くって・・・」

 

「フレイ!!」

 

フレイは失言してしまい慌てて弁解する。

 

「も、勿論キラは別よ!!でもあの子はザフトの子でしょ!?コーディネイターって反射神経とかもすごくいいんだもの。何かあったらどうするのよ!!ねぇ!?」

 

と同情を誘う様に言うが、ゴロウは馬鹿馬鹿しいと否定する。

 

「なわけあるか。あの子を見た感じ、鍛えられてない普通の女の子だ。それにお前にいきなり襲ったりしねぇよ」

 

「そ、そんなのわからないじゃない!!」

 

フレイはゴロウの言葉を聞き入れようとしない。その時だった。

 

「まあ、誰が誰に襲ったりするんですの?」

 

おっとりとした声が後ろから聞こえ、振り向くといつの間にかラクスがニコニコしながらそこにいた。

 

「「「うわああ!?」」」

 

「ホいつの間に!?」

 

いつの間にか後ろにいたラクスに気付き驚いてしまうゴロウ達である。

 

「あら、驚かせてしまったのならすみません。ちょっと喉が渇いてしまって・・・それに、はしたない事を言うようですけど、お腹も空いていたのですの・・・こちらは食堂でよろしいでしょうか?何か頂けると嬉しいのですが」

 

「待って、待って、待って」

 

こののほほんとしたラクスをゴロウが止める。

 

「あのさ、貴方は部屋にいたんじゃ無いのか?」

 

「居ましたけど、私ちゃんとお聞きしたのですよ?出かけてもいいですか?って・・・3回もお聞きして返事が返って来なかったので出てもよろしいかと思いまして」

 

「思っちゃいけねぇよ!!それは勝手に出て行ったって事になるの!!」

 

「そうなのですか?」

 

「そうなんだよ!!何だこの人!?」

 

ラクスの考え方に思わずツッコミを入れてしまう。宇宙世紀でも、会った事の無いタイプの人に戸惑ってしまっている。そしてフリーズしていたキラ達も我に返る。

 

「か、鍵とかして無いの!?」

 

「ちょ、ちょっと何でザフトの子が歩き回ってるのよ!?」

 

するとフレイの言葉にラクスが反応する。

 

「私はザフトではありません。それにザフトは軍の名称で正式には」

 

「そ、そんなのどうだっていいし、一緒よ!!コーディネイターなんだから!!」

 

「一緒ではありませんわ。確かに私はコーディネイターですが、軍の人間ではありませんもの。貴方も軍の人間では無いのでしょう?なら私と同じですわね」

 

雰囲気を和ませるかの様に軽く笑顔を見せてフレイに手を差し伸べる。

 

「やめてよ!!何であんたなんかと握手しなきゃならないのよ!!コーディネイターのくせに馴れ馴れしくしないで!!」

 

フレイはラクスの手を払い嫌な顔をしてそう言う。その発言にゴロウは少し怒りを感じた。

 

「・・・ほら、部屋に戻るぞお嬢さん。キラは水を持って来てくれ」

 

「・・・分かった」

 

ゴロウは飯の入ったトレイを3つ持ってキラと共にラクスを部屋に連れて行く。ゴロウ達がいなくなった食堂では居心地が悪くなる。そんな沈黙の中でカズイがフレイに聞く。

 

「・・・フレイってブルーコスモス?」

 

カズイが言ったブルーコスモスとは遺伝子改変に対抗する団体で『人類よ、自然に還れ』をテーマにした様々な抗議活動をしている団体で中にはテロや海賊行為にまで発展する危険な分派も存在し、コーディネイターの迫害の先頭に立ったのもブルーコスモスである。

 

「違うわよ!!」

 

フレイは声を荒げて否定する。

 

「確かにあの人達が言ってる事は間違っては無いわ。病気でも無いのに遺伝子を操作した人間なんて自然の摂理に逆らった、間違った存在よ!!本当は皆だってそう思ってるでしょ!?」

 

フレイの言葉にカズイは目を逸らしてしまう。実際カズイの心の中ではフレイの意見に同意したい部分があった。

 

「なんかつい忘れちゃうけどさ、キラもコーディネイターなんだよな。あんなモビルスーツ、平気に乗れて戦えちゃうんもんな・・・」

 

カズイは独り言の様に呟く。キラは大事な仲間なのは分かっているのが、つい自分と比べてしまっている。

 

(・・・それじゃあゴロウは何なんだ?コーディネイターじゃ無いのにキラ以上にモビルスーツを扱えて、皆の役に立ってる・・・)

 

またゴロウとも比べてしまう。ゴロウとキラに対抗心や嫉妬心を抱いてもしかたないが、そう思ってしまうたびに自身の心の中で何が腐ってしまうのを感じてしまうのだった。一方でラクスを部屋に戻したゴロウ達。ラクスは悲しそうな表情を浮かべる。

 

「またここに居なくてはいけませんの?」

 

「そうだぜ。すまんな」

 

軽く謝るとラクスはむすっとする。

 

「私もあちらで皆さんとお話しながら頂きたいですわ」

 

「・・・仕方ないですよ。ここは地球軍の艦ですし・・・コーディネイターの事あまり好きじゃ無い人もいますから・・・おそらく僕も嫌われていると思いますけど」

 

「コラ」

 

キラのネガティブな言葉にゴロウはすかさず注意する。

 

「そんな自分を傷付ける様な事を言うな。人の目なんか気にすんな」

 

「・・・うん」

 

その光景にラクスはクスッと笑う。

 

「ふふ、貴方達はお優しいのですね」

 

「そうか?俺はいつも通りと思うけど?」

 

「・・・ゴロウはいつも優しいよ」

 

2人に優しいと言われて少し照れてしまい、顔を背けてしまう。ラクスはほわりと笑う。

 

「面白い人ですわね・・・貴方達のお名前を教えていただけます?」

 

その笑顔にキラは同性でありながらも見入ってしまい、慌てて答える。

 

「キ、キラ・・・です。キラ・ヤマトです」

 

「俺はゴロウ。ゴロウ・アスカだ」

 

「ありがとうございます。キラ様、ゴロウ様」

 

「ああ・・・どうなら俺達と食事でもしないか?ちょうど時間もあるし」

 

そう言ってキラに持って来たトレイを渡す。

 

「まあ、よろしいのですか?」

 

途端にラクスは笑顔になる。

 

「別にいいんだよ。それに寂しいだろ?ほらキラも食べようぜ。腹が減っては戦はできぬって言うしな」

 

「う、うん」

 

ゴロウ達は食事をしながら軽く会話を楽しむ。食堂とは違い、和やかな雰囲気となっていた。

 





次回予告

思った以上にコーディネイター嫌いが激しいな。宇宙世紀でもスペースノイドとアースノイドとの差別とかが激しかったし、分かり合うのは時間が掛かるな・・・

次回 人質を取っている宣言じゃねえか!!

神話の始まりだアストレイ!!
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