機動戦士ガンダムSEED 虹の向こうから来てしまった男   作:サンバガラス

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一年ぶりの更新です。


PAHSE:16 しょうがねぇなぁ

 

モントゴリメが撃墜される少し前。アークエンジェル内では慌ただしくなっていた。そんな時、フレイが艦橋に入ってくる。フレイはスクリーンに映し出された戦闘の様子を見ると、青ざめて立ちすくむ。フレイの姿にいち早く気づいたカズイが声を上げる。

 

「フレイ!?何でここに!!」

 

フレイは震える声で叫び、前へと飛び出す。

 

「パパ・・・パパの船はどれなの!?」

 

「今は戦闘中です!!非戦闘員は艦橋を出て!!」

 

マリューが命じ、サイがフレイを連れ出そうとするが、フレイは激しく暴れ出す。

 

「嫌!!離して!!パパの船は!?どうなってんのよ!!」

 

「フレイ!!さ、行こう!!ここに居ちゃ駄目だ!!」

 

サイは暴れ出すフレイを引きずる様にブリッジから連れ出す。通路に着くとうずくまるように身を縮めたフレイをサイが抱き寄せる。

 

「・・・ラ・・た・・・」

 

「え?」

 

フレイの小さな声が聞こえ、聞き返す。するとフレイは顔を上げ、叫ぶ。

 

「キラ達は?あの子達は何やってるのっ!?」

 

「頑張って戦ってるよ。でも向こうにもイージスがいるから」

 

サイの言葉を遮るように金切り声で言い叫ぶ。

 

「大丈夫って言ったのよ、あの子!!僕達も行くから、大丈夫だって!?」

 

「フレイ落ち着いて・・・さ、早く戻ろう」

 

サイはなだめながら、とにかく居住区へフレイを連れ出そうとするが、通路の向こうから歌声が聞こえる。この戦場に場違いな綺麗な歌が2人の耳に流れ込む。だが今のフレイにとってはその歌は心を逆撫でし、挑発する。憎しみに歪んだ顔したフレイはラクスの居る部屋の扉を開け、ラクスのを連れ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、突如艦橋のドアが開く。カズイがそこを見ると信じられない光景に唖然とする。その反応にクルー達が振り返ると、フレイがラクスを引きたる様にして入って来た。

 

「この子を殺すわ・・・!!」

 

その言葉に艦橋にいたすべての者が戸惑う。

 

「パパの船を撃ったら、この子を殺すってアイツらに言って!!早くそう言って!!!」

 

それは獣の様な叫びだったが既に遅かった。スクリーンにはヴェサリウスの主砲から2本のビームが放たれ、モントゴメリの艦体を貫き、凄まじき爆発が起きた映像を捉えていた。

 

「あ、あ、ああああああ!!!!」

 

フレイの口から悲鳴が上がる。その瞬間ナタルはカズイのインカムを奪い取り、全周波放送で話しかける。

 

『ザフト軍に告ぐ!!こちらは地球連合所属艦アークエンジェル!!当艦は現在プラント最高評議会会長シーゲル・クラインの令嬢。ラクス・クラインを保護している!!』

 

「バジルール少尉!?」

 

マリューが気づくがナタルは無視して続ける。

 

『偶発的にボートを発見し、人道的立場から保護したものであるが、以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志で、この件を処理するつもりである事をお伝えする!!』

 

その言葉を聞くやモビルスーツとヴェサリウスは攻撃を中止し、去って行く。ナタルはインカムを外す。

 

「悪いとは思っております・・・ですが、ストライク、アストレイ、アークエンジェルをここで沈める訳にはいけません」

 

「・・・分かっているわ、ナタル」

 

マリューもナタルの判断は最上の選択肢だった。頭では分かっているが感情はそうでは無かった。無垢な少女を利用しないと生き延びられないその自分自身への不甲斐なさに怒りと無力さを感じていた。一方でキラとアスランも戦闘を中止し、ナタルの放送を聞いていた。キラはその内容に唖然とする。

 

『卑怯な!!』

 

アスランの怒りの声が聞こえた。

 

『救助した民間人を人質に取る。そんな卑怯者と共に戦うのがお前の正義か!?キラ!!』

 

「・・・」

 

その言葉に何も言い返す事が出来ない。

 

『彼女は助け出す!!必ずな!!』

 

アスランは激しい口調で吐き捨て去って行く。キラは見る事しか出来なかった。その後着艦したキラはムウに詰め寄る。

 

「どう言う事ですか!?」

 

「・・・どうもこうもねえよ。聞いただろ?そう言う事だ」

 

「あの子を人質に取って脅して・・・それが地球軍の軍隊のやり方なんですか!?」

 

ムウはけわしい顔をする。

 

「そういう情け無い事しか出来ねえのは、俺達が弱いからだろ」

 

「こればかりは仕方ないとは言えないが・・・誰も非難する権利は無い」

 

ムウとゴロウはそう答える。その言葉にキラは顔を背けてしまう。その後キラ達は制服に着替え、居住区に向かうが、

 

「嫌、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!パパ・・・パパぁ!!!」

 

「この声はフレイ!?」

 

「キラ行くな!!」

 

フレイの泣き叫ぶ声が聞こえ、キラは向かってしまう。ゴロウが止めようとするが遅かった。部屋では半狂乱となったフレイとなだめようとするサイとミリアリアがいた。フレイはキラを見ると掴み掛かる。

 

「嘘つき!!」

 

その目の凄さにキラは立ちすくんだ。

 

「大丈夫だって言ったじゃない!!僕達も行くから大丈夫って・・・何でパパの船を守ってくれなかったの!?何でアイツらをやっつけてくれなかったのよ!!」

 

「フレイ!!キラだって必死に」

 

金切り声を上げて罵るフレイをミリアリアが止めよるとするが聞く耳を持たない。

 

「あんた、自分もコーディネイターだからって、本気で戦って無いんでしょ!!」

 

「!?」

 

その言葉はキラの胸に突き刺さる。

 

「ふざけんな!!」

 

声を上げたのはゴロウだった。ゴロウはフレイをキラから引き離す。

 

「てめえ、もういっぺん同じ事言ってみろ。本気で戦って無かっただぁ?戦場でそんな事出来るわけねぇだろ!!舐めんな!!」

 

「・・・うるさい・・・うるさい、うるさい、うるさい!!!!」

 

フレイはゴロウに襟元を掴み、怒りを露わにする。

 

「パパを返せ・・・」

 

「・・・」

 

「パパを返して・・・パパを返して・・・うぁぁぁぁぁ!!」

 

フレイは泣き叫ぶ。ゴロウはゆっくりとフレイを引き離しサイに預ける。

 

「キラ、ゴロウ」

 

「・・・後頼む」

 

キラとゴロウは部屋が出て行く。人けの無い通路をある2人。無言が続くなか、ゴロウが口を開く。

 

「・・・すまんキラ」

 

「えっ?」

 

「・・・俺がもっと戦えていたらこんな事にはならなかった・・・クソ!!

 

「・・・」

 

ゴロウは壁を殴り、自分の不甲斐無さを晴らす。その夜キラは部屋から抜け出し、ラクスの居る部屋を開け、連れ出す。通路を静かに走っていると目の前に何故かパイロットスーツを着て壁に佇んでいるゴロウがいた。

 

「ゴロウ!?」

 

「ゴロウ様?」

 

キラは驚き、ラクスはキョトンとしている。

 

「こんな夜にお嬢さん方はどちらへ?・・・その様子だとデートでは無さそうだな?」

 

「・・・お願いゴロウ。そこを退いて」

 

「彼女を逃すつもりか?」

 

ゴロウの凄みのある目にキラは怯むが立ち向かう。

 

「・・・こんな人質を取るやり方は僕は嫌だよ!!」

 

その言葉にゴロウは軽くため息を吐く。

 

「はぁーーー、しょうがねぇなぁ。ほらさっさとパイロットスーツ着て来い」

 

「・・・いいの?」

 

「まあ、こうなるなってのは予想していたからな。ついでにサイとミリアリアにも説得してあるからな。ラクスを返しに行くぞ」

 

3人はパイロットスーツがあるロッカーに向かった。

 

 

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