機動戦士ガンダムSEED 虹の向こうから来てしまった男   作:サンバガラス

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PAHSE:20 うわぁ・・・マジかコイツ

 

アークエンジェルは地球連合軍第八艦隊知将ハルバートンが率いる何十にものぼる戦艦や駆逐艦に囲まれている。その中の旗艦メネラオスから連絡艇が発進し、アークエンジェル内に入って来た。

 

「いや、ヘリオポリスの崩壊の報せを受けた時は、もう駄目かと思ったよ。それがまさか諸君らとここで会えるとは」

 

連絡艇から降りてくるのは月に駐留する第八艦隊の司令官ハルバートン提督である。マリュー達をはじめとするアークエンジェル内のクルー達は一斉に敬礼をする。

 

「ありがとうございます!!お久しぶりです閣下!!」

 

マリューは嬉しそうに挨拶する。

 

「ナタル・バジルールであります」

 

「第七機動艦隊所属ムウ・ラ・フラガであります」

 

「おお、君達がいてくれて幸いだったよ」

 

ハルバートンが労うとムウは苦笑する。

 

「いえ、さして役にも立ちませんで」

 

ハルバートンはマリュー達との挨拶を済むと後ろで整列していたゴロウ達に目を向ける。

 

「おお、彼等が」

 

「はい、彼等が艦を手伝ってくださったヘリオポリスの学生達です」

 

マリューが紹介するとハルバートンはゴロウ達の前に移動する。その中でゴロウ1人が敬礼する。

 

「君達のご家族の消息も確認して来たぞ。皆さんご無事だ」

 

その報告を聴き、キラ達は喜ぶ。

 

「とんでもない状態の中、よく頑張ってくれたな。私からも礼を言う」

 

ハルバートンはゴロウ達に労いの言葉をかけ、マリュー達と元に去って行く。一方その頃ザフトのヴェサリウスではラウ・ル・クルーゼが電子地図を見ていた。

 

「月本部に向かうものだと思っていたが、奴ら、足つきをそのまま地球に降ろすつもりだな」

 

「目標はアラスカですか?」

 

アデスがそう言う。ラウ・ル・クルーゼは少し考える。

 

「何とかこちらの庭にいるうちに沈めたいものだが」

 

「こちらにはツィーグラーにジンが6機、ヴェサリウスにイージスを含め5機、ガモフもバスター、ブリッツは出れますから」

 

アデスが上げる自分達の戦力を考え、ラウ・ル・クルーゼは冷たい笑みを浮かべる。

 

「成程・・・知将ハルバートン・・・彼にはそろそろ退場してもらうおうか」

 

場面はアークエンジェルの艦長室に移る。ハルバートンの副官であるホフマン大佐が口を開く。

 

「しかしまあ、この艦とGとあのアストレイの為に、ヘリオポリスを崩壊させ、アルテミスを壊滅させるとはな・・・」

 

ホフマンの言葉にマリューはムッとなるが黙る。その言葉にハルバートンが擁護する。

 

「だが、彼女等がストライクとこの艦を守ってくれた事は、いずれ必ず我ら地球軍の利となる」

 

「しかし、アラスカはそうは思ってないようですが?」

 

ホフマンは冷ややかに言うが、ハルバートンは毅然な態度で言い返す。

 

「フン!!奴らに宇宙での戦いの何が分かる!!ラミアス大尉は私の意思を理解してくれていたのだ。問題にせねばならぬ事は、何も無い!!」

 

「閣下・・・」

 

その言葉にマリューは安堵の息をつく。するとホフマンは冷ややかに笑いながら、キラの件を伝える。

 

「ではこのコーディネイターの子供の件は?これも不問ですかな?」

 

「・・・キラ・ヤマトは友人達を守りたいその一心でストライクに乗ってくれたのです。ゴロウ・アスカも同様です。2人の力が無ければ、ここまで辿り着く事は出来なかったでしょう・・・誠実で優しい子供達です。2人には信頼で応えるべきと、私は考えます」

 

「しかし、このまま解放するには」

 

マリューの言葉にホフマンは納得しない。それに被せるようにナタルが言う。

 

「僭越でありますが、私はホフマン大佐と同じ考えです」

 

「「え?」」

 

マリューとムウは戸惑いナタルを見る。

 

「彼女達の能力には目を見張るものがあります。Gの機密を知り尽くしたキラ・ヤマト、パイロット能力の高いゴロウ・アスカをこのまま解放するなど」

 

「既にザフトに4機も渡っているのだ。今更、機密もない。それにゴロウ・アスカについてはこちらからは手を出せなくなっている」

 

ハルバートンに指摘される。それとゴロウに手を出せなくなっている事に聞き返す。

 

「・・・と言いますと」

 

「あのアストレイは連合の機体となる。それに伴いこの短期間の戦闘データとそのOSとの交換でゴロウ・アスカをオーブに返す事をサハク家との条件にされたのだ」

 

「・・・彼についてはわかりました。しかし彼女の力は貴重です!!出来ればこのまま我が軍の力とすべきです」

 

「だが、ラミアス大尉の話だと本人にその意思は無さそうだが?」

 

ハルバートンに睨まれるがナタルは怯えずに続ける。

 

「彼女の両親はナチュラルで、ヘリオポリスの崩壊後に脱出し、今では地球にいます。彼女等を我々が保護する事が出来るのでは」

 

それは保護と言う名の人質を取ると言う事だった。だが、ナタルの言葉はハルバートンの拳が机に叩きつけられた音で中断し、一喝する。

 

「ふざけた事を言うな!!そんな兵士が何の役に立つ!!」

 

「も、申し訳ありません!!」

 

一喝されたナタルは引き下がった。ハルバートンは厳粛な声になる。

 

「過去の事はもういい。問題はこれからだ。・・・この後、アークエンジェルは現在の人員編成のまま、アラスカ本部に降りてもらう」

 

その言葉にマリュー達は驚く。それに補足するようにホフマンが伝える。

 

「補充要員を乗せた先遣隊は沈んだ。今の我々にはアークエンジェルに割ける人員がいないのだ」

 

「・・・ヘリオポリスが壊滅してしまった今、アークエンジェルとGはその全てのデータを持って、何としてでもアラスカに降りねばならん」

 

その内容にマリュー達は難しい顔になった。

 

「Gの開発を軌道に乗せねばならん。ザフトは次々と新たな機体を投入してくるというのに、あの馬鹿な連中は利権絡みで役に立たん事ばかりに予算を注ぎ込んでいる!!奴らは戦場でどれ程の兵が死んでいるか、数字でしか知らん!!」

 

ハルバートンの憤りがマリュー達に伝わる。

 

「わかりました。閣下のお心、しかとアラスカへ届けます!!」

 

その言葉にハルバートンは頭を下げ、感謝を伝えた。それから数十分後、居住区にいたゴロウ達にナタルとホフマンが除隊許可証を渡していた。不思議に思ったトールが尋ねる。

 

「俺達軍人だったんですか?」

 

それについてホフマンが説明する。 

 

「例え、非常事態でも、民間人が戦闘行為を行えば、それは犯罪となる。それを回避する為の処置として、日付を遡り、君達があの日以前に志願兵として入隊した事にしている」

 

(ややこしい)

 

ホフマンが説明を続けようとした時、それを止める者がいた。それはフレイである。ナタルが止めようとするが

 

「君は戦って無いだろう。彼等と同じ措置は必要ないぞ」

 

「いえ、そうではなくて・・・私、軍に志願したいんです!!」

 

その言葉に皆がええっと声を上げ、サイまで驚いた顔をしている。ゴロウも()()()()()()()()()()

 

「何を馬鹿な事を」

 

「いい加減な気持ちで言ってるじゃありません!!」

 

(・・・確かにいい加減な気持ちでは無いな・・・)

 

フレイは必死に食い下がる。

 

「父が殺されてから、色々と考えたんです・・・討たれた時はショックで・・・もうこんなのは嫌だ。こんな所にいたく無い、そんな思いばかりでした。でも艦隊と合流できて、やっと地球に降りられると思った時、何かとてもおかしい気がしたんです」

 

「おかしい?」

 

(今俺はお前の感情と言っている事が合ってないことにおかしいと思ってるぞ)

 

ナタルがそう聞き返すとフレイは潤んだ目で続ける。

 

「これで安心でしょうか?これでもう平和でしょうか?そんな事全然無い!!世界は依然として戦争のままなんです」

 

(・・・ええ・・・)

 

皆は黙ってフレイの言葉を聞く。

 

「私・・・中立の国にいて全然気付いていなかっただけなんです。父は戦争を終わらせようと必死に働いていたのに・・・本当の安心が、本当の平和が戦う事でしか得られないのなら、私も・・・父の遺志を継いで戦いと・・・私の力など・・・何の役にも立たないかもしれませんが・・・」

 

泣きじゃくるフレイをサイがそっと肩を抱いた。その様子をゴロウは信じられない様な目をしながらドン引きしていた。

 

(・・・うわぁ・・・マジかコイツ・・・ある意味すげぇわ。俺達を留まらせる為にここまでする?)

 

 

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