機動戦士ガンダムSEED 虹の向こうから来てしまった男 作:サンバガラス
メネラオスから全艦へ向けて、通信回線が開かれる。
『メネラオスより各艦コントロール。ハルバートンだ!!本艦隊はこれより、大気圏突入限界点までのアークエンジェルの掩護防衛線に移行する!!厳しい戦闘であると思うが、かの艦は明日の戦局の為に、決して失ってはならぬ艦である。陣形を立て直せ!!我らの後ろに敵を倒すな!!地球軍の底力をザフトに見せつけてやれ!!』
その言葉は、第8艦隊の兵士達全員を奮い立たせる。その最中、アークエンジェルは降下シークエンスが進んでいく。
「軌道、降角修正」
「降下開始、機関40%、微速前進、4秒後に姿勢制御」
「降下シークエンス、フェイズワン。大気圏突入限界点まで7分」
降下シークエンスが順調に進むが、チャンドラの驚愕の声が響く。
「デュエル、バスター、先陣隊列を突破!!メネラオスが交戦中!!」
と状況を伝える。その直後ムウから連絡が入る。
『艦長!!俺達をギリギリまで出せ!!後何分ある!?』
「何を馬鹿な・・・俺達?」
続いてゴロウの割り込みが入る。
『カタログ・スペックだとストライクは単体でも降下可能だ』
「ご、ゴロウ君!?ど、どうして」
マリューはゴロウがいる事に呆然となってしまう。
『そんな事は後にしてくれ。ミリアリア、プロトエールストライカーと盾とバズーカを頼む!!』
マリューが戸惑っているとナタルが代わりに声を上げる。
「分かった。ただしフェイズスリーまでに戻れ。スペック上では大丈夫でも、やった人間は居ないんだ。中がどうなるかは知らないぞ!!常に高度とタイムは注意しろ!!」
『了解!!』
返事をし、ゴロウは通信を切る。
「バジルール少尉!!」
マリューは憤怒の声を上げ、ナタルを睨みつけるが
「ここで本艦が落ちたら、第8艦隊の全ての犠牲が無駄になります!!」
ナタルも引く事なく真正面から受け止める。2人はしばし睨み合う。アークエンジェルのカタパルトハッチが開き、青い地球が視界に写る。
「・・・こんな状況で出るなんて、俺だって初めてだぜ!?」
ゼロからいつもより硬いムウの声が聞こえてくる。
「(案外慣れたら何とかなるぞ)ゴロウ・アスカ、ストライク出る!!」
カタパルトから出撃し、方向転換するが、ペダルが重くなる。
「おお、重力に引かれるな・・・ホワイトベース時代を思い出す」
ゴロウは思いっきりペダルを踏み、バーニアを噴かし戦場に向かう。その直後、敵の気配を捉える。
「・・・この感覚、来るか・・・デュエル?武装が増えている」
『ようやく出て来たかストライク!!!』
イザークは憎悪に顔を歪ませながら、デュエルに追加装備アサルトシュラウドを装着している。左肩からミサイルを発射するが、ストライクのバルカンによって爆発される。
『チィィィ!!小癪な真似を何!?』
爆風と共にビームサーベルに持ち替えてデュエルに斬り掛かる。デュエルは盾を使い防御するが、コックピット部分を蹴られ吹き飛ばされる。
『グワァァァ!!こ、このぉ!!』
反撃で右肩のレールガンを放つも軽々と避けられてしまう。その瞬間イザークは気付く。
『この動き、奴じゃ無い・・・貴様か、灰色ォォォォ!!』
デュエルとストライク、ゼロとバスターが戦っている最中、ザフトのローラシア級艦ガモフがメネラオスに向かい直行していた。メネラオスはガモフの接近に気付き、砲撃を放ち、着弾するもガモフは勢いは止まらない。
「あの艦、刺し違えるつもりか!?」
ホフマンが立ち上がる。
「すぐに避難民のシャトルを脱出させろ」
ハルバートンの言葉を聞く。その意味を理解し、ホフマンは恐怖で震え始めた。
「ここまで来て、あれに落とされてたまるか!!」
ハルバートンは覚悟を決める。ガモフとメネラオスは大気との摩擦で灼かれながらも、お互い撃ち合うのやめない。先にガモフが艦内の連鎖的な誘爆が起こり、爆発し、木っ端微塵になる。メネラオスは形こそ残っているが、最早そこから救う手立ては無く、無慈悲に爆発していった。
「・・・ハルバートン提督・・・」
マリューは爆発していくメネラオスに静かに敬礼をする。
「艦長!!フェイズスリー、突入限界点まて残り2分を切ります!!融除剤ジェル、展開用意!!」
「ストライクとゼロを呼び戻せ!!」
ノイマンとナタルの声が響く。その後ゼロがアークエンジェルの後部甲板にアンカーを打ち込み、艦内に滑り込む。だが、まだストライクは戻って来れない。艦橋では降下シークエンスが最終過程を迎える。
「フェイズスリー、融除剤ジェル展開!!大気圏突入!!」
アークエンジェルの底部全体に銀色の液体が広がる。一方でデュエルと戦うストライク。
「もう時間切れだ。あばよ!!」
ストライクはデュエルを蹴り飛ばし、その場から離れようとする。デュエルはストライクをロックオンするが、その間を避難シャトルが入り込んでしまう。ロックオンが外れてしまい、イザークは舌打ちをし、ストライクにビームライフルを放つが当たらず、避難シャトルにビームライフルを向ける。
(マジかアイツ!!間に合わねぇ、こうなったらしかたねぇ!!)
ニュータイプの力を使いイザークの脳に言葉を伝えた。
『よくも邪魔を!!この逃げ出した腰抜け兵がァァ!!』
デュエルがトリガーを引こうとした瞬間。
ーそれには避難民が乗ってんだぞ!!ー
『何!?』
突如頭に響いた声と内容にイザークは握っていたレバーを緩めるその瞬間デュエルのビームライフルに投げ飛ばされたバズーカが当たり、銃口が大きくずれる。
『な、何だ!?』
飛ばされた方を見るとストライクが投げ飛ばした姿が目に入る。デュエルはそのまま地球に落下する。
「よし・・・全然良くは無いけどな!!まあ、モビルスーツでの大気圏突入は初めてだが、相棒も出来たんだ、俺も出来る。やってやんぜ!!」
ゴロウは冷静に行動する。
「こんな事もあろうかと融除剤ジェルを持って来て正解だった」
ゴロウはストライクを操作し、盾に融除剤ジェルを纏わせ、盾を構える。
「ハロ!!胴部のフェイズシフト装甲の電圧を上げろ!!」
『リョウカイ!!』
「更に冷却シフトに排熱システム、全回路接続!!・・・めっちゃキツ!!」
何とか持っている状態だが、死ぬ一歩手前である。するとアークエンジェルがストライクに近づいていく。
「アークエンジェル!?よし!!これなら何とかなる!!」
ストライクのスラスターを噴かしアークエンジェルの後部甲板に降りる。
「・・・何とかなった」
だが、アークエンジェルは本来の軌道を大きくずらし、ザフトの勢力圏に降りてしまう事になる。
次回 歯ァ食いしばれぇ!!