機動戦士ガンダムSEED 虹の向こうから来てしまった男   作:サンバガラス

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PAHSE:27 サイが俺に敵うはず無いだろ!!

 

明けの砂漠との話から少し達アークエンジェルは明けの砂漠の本拠地の高岩に移動していた。ストライク、アストレイはアークエンジェルに迷彩ネットを掛けたりと作業し、マリュー、ナタル、ムウの3名はサイーブの後に着いて行き、司令室らしい部屋に案内される。そこには通信機や情報分析用コンピュータなどの機械類が並び、中央には広いテーブルが据えられていた。ムウが小さく口笛を吹く。

 

「ひゃー、こんな所に暮らしているのか?」

 

「ここは前線基地だ。皆家は街にある。まだ焼かれて無ければな」

 

サイーブは珈琲を飲みながらそう答える。

 

「タッシル、ムーラ、バナディーヤから来ている奴もいる。俺達はそういう街の有志の一団だ」

 

サイーブ達は中央のテーブルに集まる。マリューは改めてサイーブに礼を言う。

 

「艦の事も助かりました」

 

そんな時ムウはコンピュータを扱うカガリの姿が目に入り、サイーブに尋ねる。

 

「彼女は?」

 

「俺達の勝利の女神だ」

 

「女神ね・・・」

 

ムウはカガリをからかいの目で見る。まぁ、女神と呼ぶにはいささか女っ気が薄いのだ。

 

「で、名前は?」

 

「・・・・」

 

答えが返って来ないので、ムウはサイーブに目を向け直し、肩をすくめる。

 

「女神様じゃ、名前を知らなきゃ悪いだろ」

 

サイーブは少し間を取って答えた。

 

「・・・カガリ・ユラだ」

 

そう言ってテーブルに地図を広げる。

 

「アンタらはアラスカに行きてえって事だが、今此処はザフトの勢力圏内なんだが、こんな土地だ。砂漠中に軍隊がいるわけじゃねえ」

 

淡々と情勢を語るサイーブだったが、次の言葉にマリュー達は驚愕の声を上げる。

 

「3日前にビクトリア宇宙港が落とされちまってから、奴等の勢いは強くなった」

 

「ビクトリアが!?」

 

「3日前に!?」

 

「あらら」

 

サイーブは続けて語る。

 

「元々此処アフリカ共同体はプラント寄りだ。頑張ってた南アフリカ統一機構も、ついに地球軍に見捨てられちまったんだろうよ。ラインは日に日に変わっていくぜ」

 

マリュー、ナタルが難しい顔になり悩む。

 

「そんな中で頑張るねぇ、アンタら」

 

ムウが気を取り直して、笑いかけるが、サイーブに睨まれる。

 

「俺から見ればザフトも地球軍も皆一緒さ。どっちも支配し、奪いに来るだけだ」

 

マリューとナタルは目を背けてしまう。だかムウだけは軽く笑う。

 

「なら何で俺達を助けた?」

 

「別に助けた訳では無い。まぁ、アレだ。敵の敵は味方と言う事だ」

 

ムウはニヤリとし、サイーブも少し笑う。

 

「んで、あの艦は、大気圏内ではどうなんだ?」

 

「そう高度は取れない」

 

その質問にナタルが応じる。

 

「山脈が越えられねぇってんなら、後はジブラルタルを突破するか」

 

「この戦力で?無茶言うなよ」

 

ムウが顔をしかめる。ジブラルタルの近くにはザフトの前線基地があり、アークエンジェルで、突破する事は無理である。

 

「なら、頑張って紅海へ抜けて、インド洋から太平洋へ出るきゃないな」

 

サイーブはあっさりと言い放つ。

 

「太平洋・・・」

 

「補給路の確保無しに、一気に行ける距離ではありませんね」

 

「大洋州連合は完全にザフトの勢力圏だろ?赤道連合はまだ中立か?」

 

3人が地図上で話し合っているとサイーブから呆れた声を出す。

 

「おいおい、気が早えな。もうそんな事の心配か?」

 

「「「え?」」」

 

不審げに顔を上げた3人の前でサイーブはアフリカ大陸の1点を指差す。

 

「忘れてねえか?此処、バナディーヤにはレセップスがいるんだぜ?」

 

その言葉にムウは気付いた。

 

「あ・・・頑張って抜けてってそう言う事?」

 

マリューとナタルは深く溜め息をついた。

 

 

 

 

 

時間は経ち、夕方となる。明けの砂漠の本拠地では、レジスタンス達が食事を取っており、トール達もそこに集まっていた。サイは溜め息をつく。

 

「・・・レジスタンスの基地に居るなんて、なんか話がどんどん変な方向に行ってる気がする」

 

その言葉にカズイは嫌そうな顔し、賛同していた。

 

「だよな、それに砂漠だなんて・・・あーあ、こんな事なら、あん時残るなんて言わなきゃよかったよ」

 

「でもあの時、ゴロウがシャトルを助けなかったら今頃死んでるんだぜ」

 

トールは愚痴を言ったカズイにそう言う。

 

「・・・これからどうなるんだろう。私達」

 

不安になるミリアリアをトールを軽く抱き締めて落ち着かせる。そんな時サイは誰かを探しているのかキョロキョロとしているフレイの姿が見えた。それから少ししてキラとゴロウはお互いの機体の整備と砂漠用に合わせたOSの調節が終わり、背筋を伸ばし、息を吐く。

 

「あーー、終わった」

 

「つ、疲れた」

 

2人は機体から出て、食事を取る為に外に出るのだが、

 

「ん?この声は」

 

「フレイとサイ?」

 

ハッチの近づくとフレイとサイの言い争っているのが聞こえて来た。

 

「ちょっと待てよフレイ!!そんなじゃ分かんないよ!!」

 

「五月蝿いわね!!もういい加減にしてちょうだい!!」

 

「おい!!何だよそれは!!ちょっと待てよ!!」

 

普段のサイから普段は聞かない大きな声が耳に入る。状況がよく分からないが、2人はハッチから出る。フレイは丁度ハッチから出て来たゴロウが目に入り助けを求めるように駆け寄るが、

 

「ゴロウ!!」

 

「あ?」

 

ゴロウに睨まれて、止まってしまう。サイも立ち止まる。改めて周りを見るがやはり分からなかったので、サイに聞く。

 

「・・・何があった?」

 

「・・・ゴロウには関係無い。フレイに用があるんだ」

 

「だ、そうだ。ほら行け」

 

ゴロウは冷たくフレイをあしらう。

 

「関係無く無いわよ!!」

 

フレイは叫び。そしてとんでもない事を言い始めた。

 

「私・・・昨夜はゴロウの部屋に居たんだから!!」

 

その言葉にサイは驚愕の顔をした。

 

「え?」

 

「「はぁ?」」

 

キラとゴロウにポカンとした。少し思考が停止し、2人は顔を見合わせる。言葉を発しはしないが、思っている事は同じであり、意思疎通が出来ていた。

 

(・・・何を言ってるの?昨日部屋いたのは僕だけど?だよねゴロウ)

 

(だよな。何言ってんだコイツ・・・悪意ダダ漏れじゃねえか)

 

ゴロウとキラはフレイを見た。フレイは怯えているフリ顔しているが、ゴロウにはそれはただの演技にしか見えない。

 

「どう言う事だよ・・・フレイ・・・君!!」

 

サイは震える声で言い掛けるが、フレイはその言葉を断ち切る様に叫ぶ。

 

「どうだっていいでしょ!!サイには関係無いわ!!」

 

この修羅場にキラとゴロウは疲れていく。

 

((何でこんな修羅場に巻き込まれているんだろう・・・))

 

更にサイは声を荒げる。

 

「関係無い?関係無いってなんだよフレイ!!・・・ゴロウどう言う事なんだよ!!」

 

サイの怒りはゴロウに向いてしまう。

 

「(何で怒りがこっちに!?)俺は何もしてない。そもそもフレイに興味無えよ。大体昨日は・・・まぁ・・・うん・・・」

 

昨日のキラとのアレコレを思い出し、目を逸らしてまった。因みにキラも昨日の事思い出し、顔を赤くする。だが、ゴロウのその行動はサイの目には裏切りの行為を認めた物として認識する。サイの中の何かがキレてゴロウに殴り掛かる。

 

「ゴロウぅぅっ!!」

 

だが、ゴロウは冷静にサイの拳を掴み、逆手に捻り上げて地面に押さえ付けた。

 

「ぐあっ!?」

 

「やめろサイ!!本気で喧嘩したら、サイが俺に敵うはず無いだろ!!」

 

そもそも、サイはインテリであまり運動はしないのに対し、ゴロウは、日々鍛えており、また前世が軍人であるが故、対人戦の対処も知っているのである。もうサイとゴロウの力の差は圧倒的だ。

 

「あのな、さっきも言ったが、フレイの事は興味が無い!!フレイと一夜を共にするなんてありえん!!」

 

サイを鎮圧するとゴロウはフレイを睨み付ける。

 

「テメェどう言うつもりだ。嘘まで言って何がしたい」

 

「ち、違うのゴロウ。私はただ貴方に」

 

「テメェの事情なんか知るか。お前は完全に俺の敵だ。それを覚えとけ」

 

ゴロウはフレイに殺意を向ける。その殺意にフレイは腰を抜かしてしまう。だが、突如、鋭い笛の音が響いた。

 

「この音は警報?」

 

その直後、慌てた声が聞こえる。

 

「だ、大変だ!!空が・・・空が燃えている!!タッシルの方向だ!!」

 

それから少しして、明けの砂漠の本部では皆が口々に怒鳴りながら行き交い、車を急発進させる音が響く。その中にカガリの姿もあり、アフメドと呼ばれた少年が運転するバギーに乗って走り出していた。そんな彼等の動きを見ながら、マリューは隣にいたムウに声を掛ける。

 

「どう思います?」

 

「砂漠の虎は残虐非道・・・なんて話は聞かないけどなー」

 

「じゃあ、これはどういう?」

 

「さあ?だって俺、知り合いじゃ無いしねえ」

 

「・・・」

 

いつも通りの緊迫感の無い態度に、マリューは一瞬肩を落とす。するとゴロウが近づいた。

 

「マリューさん、取り敢えず行った方がいいか?」

 

「・・・そうね。今はアークエンジェルは動かさない方がいいわ。ゴロウ君と少佐は行っていただけますか?」

 

マリューは少し考えて、ゴロウとムウはタッシルの様子を見に行くとなった。

 

「スカイグラスパーを使えば、早いわ。私達が出来る事はあくまで救援です。バギーでも医師と誰かを行かせますから」

 

「了解。んじゃいっちょ、行って来ますか」

 

「了解」

 

ムウとゴロウはアークエンジェルの方に走り出す。その途中でキラに連絡する。

 

「キラはモビルスーツでいつでも出撃できる様に待機しとけ!!」

 

「分かった」

 

ムウ、ゴロウはスカイグラスパーに乗り込み、発進する。





次回 殴って何故悪いか!!
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