機動戦士ガンダムSEED 虹の向こうから来てしまった男   作:サンバガラス

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PAHSE:29 あんのブルカス共が!!

 

翌日、ゴロウ達は砂漠の虎の駐屯地であるバナディーヤに来ていた。目的は先日の戦闘で消耗した物資の補給で、現地での日用品の揃えと一般の店舗では手に入らない物を調達に来ていたのだ。

 

「じゃあ、4時間後だな」

 

車から降りたカガリがそう言い、キラ、ゴロウも降りる。

 

「ああ、気をつけろよ」

 

いつもカガリの側に付き従うキサカが念を押す。

 

「分かってる。そっちこそ、アル・ジャイリーってのは気の抜けない奴なんだろ」

 

カガリは少し心配そうな顔でキサカを見る。

 

「ゴロウ少・・・し、少年・・・た、頼んだぞ」

 

車に乗っていたナタルが少尉と呼び掛けたが、顔を少し赤らめながら、少年呼びにごまかし慌ていた。

 

「う、うす」

 

そんな姿にゴロウは戸惑う。サイーブ達の乗るジープは走り去っていく。

 

「しっかし、ずいぶんと賑やかだな」

 

「そうだね」

 

ゴロウとキラは人々が行き交い、物売りの声が響く、活気のある街を見ている。

 

「おい、何ボケっとしている。お前達は一応護衛なんだろ」

 

「すまん、すまん」

 

カガリはゴロウ達に声を掛ける。するとキラは呟いた。

 

「本当にここが虎の本拠地?随分と賑やかで平和そうだけど?」

 

その緊張感がない言葉にカガリは眉間に皺を寄せてゴロウ達を裏路地に案内する。そこにはごっそりと地面を抉り取った様な爆撃の跡があった。

 

「平和そうに見えたって、そんな物はただの見せかけだ」

 

苦い口調で吐き捨てたカガリの目は、遠くに見えるバルトフェルドの艦、レセップスに据えられている。

 

「あれが、この街の本当の支配者だ。逆らう者は容赦なく消される。ここはザフトの砂漠の虎の物なんだ」

 

ゴロウはどうでも良さそうに聞き流す。それから数時間後、ゴロウ達はカフェの椅子に座っているが、

 

「・・・・疲れた・・・」

 

「だ、大丈夫?」

 

ゴロウはカフェの椅子にへたり込んでいた。ゴロウの足元には大きな買い物袋がいくつも並んでおり、買った荷物はゴロウが全部持っていたのだ。一方で荷物を全てゴロウに預け、市場中を引き回したカガリは平気なら顔で、買い物リストを検討している。

 

「これでだいたい揃ったが・・・このフレイって奴の注文は無茶だぞ。エリザリオの乳液だの化粧水だの、こんな所にあるもんか」

 

「・・・そこら辺で売ってる安い乳液や化粧水でも買って、それにエリザリオって書いとけ」

 

ゴロウは面倒くさそうに言うのと同時に店員が料理を運んできた。薄いパンの上に、トマトやレタスと焼いた羊肉のスライスが載っており、ゴロウとキラは珍しそうに尋ねる。

 

「「何これ?」」

 

「ドネル・ケバブさ!!疲れたし、腹も減った。ほらお前らも食えよ。このチリソースをかけて」

 

とカガリがチリソースを持ってケバブにかけようとした時だった。突然、横から陽気な男が割り込んだ。

 

「ちょっと待った!!ケバブにチリソースだなんて、何を言っているんだ!!このヨーグルトソースをかけるのが常識だろ!!」

 

「ああ?」

 

若干イラついた様にカガリは聞き返す。

 

「いや、常識と言うよりも・・・そうヨーグルトソースをかけないなんて、この料理に対する冒涜だよ!!」

 

「何なんだお前は!!見ず知らずの男に私の食べ方にとやかく言われる筋合いは無い!!」

 

カガリはそう言ってチリソースをかけて口に運ぶ。

 

「あああ!?何という事を!?」

 

男は顔を背ける。

 

「やはりコレだな!!ほらお前もケバブにはチリソースだ!!」

 

カガリはキラにチリソースの入った容器を渡そうとするが、男が止めに入る。

 

「待ちたまえ!!彼女まで邪道に堕とすつもりか!?」

 

男はキラにヨーグルトソースが入った容器を渡すが、2人はキラのケバブの上で争いを始めた。

 

「何するんだ!?」

 

「そっちこそ!!彼女を邪道に堕とさせはしない!!」

 

「「・・・・」」

 

ゴロウとキラはしょうもない争いを前に呆れた目をして見ていたが、2人はキラのケバブに2種類のソースをぶっちゃけた。

 

「「あ」」

 

「「あああ!!」」

 

キラのケバブには白と赤のソースが大量にかかって大変な事になっている。ソースをぶっちゃけた2人は申し訳なさそうに顔を背ける。それを見てゴロウはキラと自分のケバブを交換する。

 

「ほら、キラは好きなソースをかけて食べな」

 

「・・・ありがとう」

 

一方でそんな光景を見ていた一団がいた。

 

「チッ!!いい気なもんだぜ」

 

「あのテーブルにいる子供。どうせ虎とヘラヘラ話す奴らだ。殺っても変わらんだろ」

 

その傍らにはマシンガンやロケットランチャーが置かれている。

 

「さあ、開始の花火を上げよう。宇宙に帰れコーディネイター共!!」

 

再びゴロウ達の方に戻る。男はいつのまにかゴロウ達の椅子に座って落ち着いていた。

 

「いやー悪かったね」

 

「どうゴロウ?」

 

キラがゴロウに味を聞く。

 

「凄いな。チリソースとヨーグルトソースが喧嘩している。まるで殴り合い宇宙だ」

 

3人にはゴロウの『殴り合い宇宙』と言う感想に困惑する。

 

「そ、そうかい・・・しかし凄い買い物だねぇ、パーティでもやるの?」

 

男が買い物袋の中を覗き込み、カガリが噛みつこうとした瞬間だ。

 

キュピーーーン!!!

 

「全員避けろ!!」

 

ロケット弾が店内に撃ち込まれ炸裂する。悲鳴が上がり、キラ達は襲って来た爆風や破片をテーブルの陰に身を縮めでやり過ごす。

 

「無事か、君達!?」

 

「無事だ!!ってか街中で撃って来るとか、誰だ!!こんな頭おかしい奴は!?」

 

ゴロウがイラついていると銃撃戦が始まる。店の外からマシンガンを連射しながら、男達が突入して来る。

 

「死ね!!コーディネイター!!宇宙の化け物め!!」

 

「青き清浄なる世界の為に!!」

 

銃撃者達が怒号を聞き、ゴロウは襲ってきた者達に気づく。

 

「ブルーコスモスか・・・後先考えずに撃ちやがって!!あんのブルカス共が!!そんなだから野蛮なんて言われるんだぞ!!」

 

「全くだな!!」

 

男は銃を取り出し、応戦する。更に他にいた客というか客に偽装していた者達も銃を取り出していた。

 

「構わん!!全て排除しろ!!」

 

男の命令に客に偽装していた者達は応戦し始める。

 

(戦い慣れてるな)

 

そう思っているとゴロウの足元に敵の拳銃が転がって来る。ゴロウは迷わず手に取り辺りを警戒し、近くの物陰に隠れている敵に気づく。

 

(いるな・・・今!!)

 

ゴロウは拳銃を構え放つ。放ったと同時に敵が物陰から出て銃口を向けるが、眉間を撃ち抜かれ、そのまま倒れる。

 

「よし」

 

いつのまにか銃音がやみ、排除は終わったらしい。

 

「ゴロウ大丈夫?」

 

「問題無し。そっちは・・・ソース塗れか」

 

キラとカガリは頭からケバブのソースや飲み物をかぶっていた。

 

「うん・・・服が・・・」

 

すると店内にいた仲間らしき者達が男に駆け寄って来る。

 

「隊長!!ご無事で!?」

 

「ああ、私は平気だよ。彼のおかげでな」

 

その会話にカガリは男の正体に気づいた。

 

「アンドリュー・バルトフェルド・・・」

 

その言葉にキラとゴロウは男の顔を見る。

 

(へぇ、この男が砂漠の虎か)

 

それから少ししてアークエンジェルでは

 

「何ですって!?ゴロウくん達が戻らない!?」

 

マリューの声がアークエンジェルの艦橋に響き、クルー達が顔を上げた。サイもピクリと体を硬直させる。モニターには、ゴロウ達を迎えに街へ戻ったキサカの顔が映る。

 

『ああ・・・時間を過ぎても現れない。サイーブ達はそちらに戻ったか?』

 

「いいえ、まだよ」

 

『電波状態が悪くて彼等とは連絡が取れない。そちらで呼び出せたら、何人か街へ戻る様に言ってくれ。市街ではブルーコスモスのテロがあった様だ』

 

キサカの話を聞き、マリューはパルに命令する。

 

「分かったわ。パル伍長!!バジルール中尉を呼び出して!!」

 

「はい!!」

 

クルー達が慌ただしくなり、不安が広まる。だがそんな中、サイは艦橋から、気づかれない様に抜け出し、格納庫に向かた。

 

 





次回 祈りが呪いに変わるのはよくある事
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