指輪の悪魔と持ち腐れの魔法使い   作:ケツアゴ

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ボチボチサブタイトル修正しないとな


序盤からレムリスをエムリスと間違えてたのも


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 今回の授業の目的だが、薬草やモンスターに関わる知識を何処まで持っているかと,それを実際に活用出来るかどうかを図る事が目的となっているが、更に一つ付け加えるとすれば……。

 

「おにいちゃん! ここだよ、ここ! ボクがみつけたよ!」

 

 千切れんばかりに尻尾を振り回し、地面に鼻をくっ付けた後でジェイルの元に駆け寄ったジークは彼の周囲をグルグル走り回った後で座りながら彼を見上げる。

 

 褒められ待ちのポーズだ。そのまま抱っこされて撫でる為に添えられた手に自ら頭を擦り付けてセルフ撫で撫でを堪能するジークを抱えたまま地面に指先を突き入れたジェイルが掘り出したのは小石程度の大きさのキノコ。

 

「サファイアトリュフ。これだけで二十ポイントだ。よくやったぞ、ジーク」

 

「えらい? ボク、えらい?」

 

「ああ、凄くな」

 

 これが第三の目的であり,課題。今回の授業だがモンスターとの戦闘も考慮されてか緊急事態用にベアルコのパンダがペア毎に一体ずつ付いており、同時に使い魔を使って採取等を行ったかの見張りも兼ねている。

 

 ジークが褒められた嬉しさでジェイルの顔を三枚の舌全てを使って舐め回す中、見える範囲で少し離れた木の上からズルズルヌルヌルと粘性の液体に包まれた物が幹を這いずって降りて来る音が聞こえた。

 

 それは透明だ。景色に合わせて体色を変化させながら降りて来ているので見え辛くとも何かが居るのは認識出来るのだが、クラウディアがそれに向かって手を伸ばせば飛び掛かって粘液塗れの触手を彼女の腕に絡ませて肩まで這い上がる。

 

「良くやりましたわね、クララ。後程ご褒美をあげますわ」

 

 姿を現した透明の生物の正体は巨大なイカ。頭の先から触手の先までを測れば人間の赤子程の体長で色は砂漠の砂に似ている。

 触手は木の実を幾つか持っており、それを受け取った後で指先で撫でれば指とイカの間を糸が引くもクラウディアに気にする様子も無く、クララと呼ばれたイカは体を緑に

 

「デザートクラーケン、砂に潜むイカとか珍しいのを使い魔にしているな」

 

「可愛さではクララの圧勝ですが、珍しさなら貴方の使い魔の勝ちでしょう? 喋る上に黄金の毛並みだなんて」

 

「最初は普通のケルベロスだったんだがな。クラウディアさんは使い魔の契約の維持をどうやってる?」

 

「それは勿論普通に魔力を注いでいますわ。今ではそれが一般的でしょう?」

 

 契約によって使い魔と主人の間にパスが生まれて意思疎通等が可能になるが、一番の特徴は主人の素質による能力の付与だろう。

 火の魔法を得意とするなら火の耐性や火を吐き出す能力を得るし、単純に属性に関わる以外にも素質によって様々だ。

 

 

「俺が普通に注いでたらジークが痛い思いをしそうだからな。目も開かない頃から血を舐めさせてたらこんな変化が起きたんだ。ウチの家族の使い魔って基本喋るから家系かもな。因みに俺はジークの圧勝だと思うぞ」

 

「馬鹿おっしゃい。クララの方が可愛さが上でしょうに。そして随分と古い手段を選びましたわね。いえ、使い魔に与える変化の大きさでは其方が効果的だったのかしら?」

 

「その代わり未知数だからな。ジークの事を思えば普通にしたかったさ。まあ、その代わり今みたいにお喋りも出来る凄く可愛い使い魔にはならなかっただろうがな。世界一可愛いのは変わらないけれど」

 

 互いに笑顔を相手に向けたまま口調も変わらないものの両者の間には火花が散る。

 ウチの子が一番可愛い、使い魔を持つ魔法使いが陥りがちな心理状態だ。

 

「おにいちゃん、おなかへった!」

 

「うん? そうか。だったら一旦休憩して……」

 

 持ち込んだ弁当でも食べるかと口にする直前、草むらを掻き分けながら何かがやって来る。激しく地面を駆ける四足歩行の足音に荒い鼻息と唸り声。

 鼻に付く獣臭にジェイルが武器に手を伸ばす中、茂みから飛び出した影にクラウディアが咄嗟に手を伸ばす。

 

 

「クララ、やっておしまい!」

 

 クララが吐き出したのは飛び出した相手を包み込む程に大量の墨。タコの物とは違い粘度の高いイカの更に高いソレは頭から被った相手がどれだけのたうち回り地面に体を擦り付けても体から離れず、刺激臭と共に煙が上がっていた。

 

「くさーい」

 

「毒か? えげつねえ」

 

「ケルベロスだって唾液に猛毒を持っているでしょう?」

 

 漂う刺激臭にジークは鼻をジェイルに押し付け、倒れて痙攣するだけの姿を見たジェイルは顔を引き攣らせる。

 

 デザートクラーケンには本来此処迄の毒は無かった筈なのでクラウディアとの契約で付与された特性なのだとかの字を恐ろしく思うのだが、指摘された彼女はしれっとした態度でジークを指差した。

 

「ジークの毒は自分の意思で出し入れ可能だし、薬草を育てる時に水に混ぜると凄いんだぜ? 草が持つ毒性も増すけれど」

 

「何方にせよ毒を含むんじゃありませんの。さて、一瞬だったので何かは分かりませんでしたがポイントを貰える相手だと助かるのですが……」

 

 粘性の高い墨に包まれた事で小柄な四足歩行の生物とまでしか分からない相手にクラウディアは魔法で大量の水をかける。

 水に溶けた墨と勢いの強さで直ぐに何かは分からないものの、周囲に有毒の炭を含む水が広がった頃に姿がハッキリと見えた。

 

「これは少し拙い事になりましたわね。一旦離れましょうか」

 

「ばにくだー!」

 

 包んでいた墨が流れ落ちて現れた姿は純白の毛を持っていたであろう仔馬。その額には小指程度の短く頼りない角が生えている。

 ユニコーン、それも幼い子供だという事に二人は顔を引き攣らせた。

 

 角が万能薬となるとさえ称されるユニコーンだが、目の前の乙女が穢れなき存在ではないと察すると極めて凶暴化する側面を持ち、時に憤怒の象徴とさえなる程に気性の荒さに差がある。

 

 そしてユニコーンでなくともその様なケースは多いだろうが、特に親となった個体が我が子に害をなす存在だと認識した相手に見せる獰猛さは穢れなき乙女では無かった時の比では無い。

 

 我が身を顧みず,残った子供の事さえ考えられぬ程に怒り狂い、記録によれば腹を裂かれはみ出した内臓を引き摺りながらも敵に襲い掛かり続けたとも伝わっている。

 

「首を切り落とされても頭だけで飛び掛かって来るってのは流石に大袈裟だろうが,相手しないに越した事はねえな。親が近くにいるだろうし、悲鳴だって聞こえた筈だ」

 

 直ぐにこの場を離れようとする中、二人は一瞬体を硬直させる。例え言葉が通じずとも相手が何を伝えたいか分かる程の圧力が後方から襲って来たのだ。

 

 殺す

 

 唯それだけの想いを瞳に宿した二頭のユニコーンが嘶く事さえせず角を突き出した姿勢で突進して来た。

 

「っ! 下がれっ!!」

 

 クラウディアを庇い前に出たジェイルに目掛け先頭を走るやや大きめのユニコーン、恐らくは父親であろう方の角が突進と共に突き出される。

 それに遅れて母ユニコーンらしき方も頭を激しく振って襲いかかる中、ブルーローズの刃の腹が父ユニコーンの角を受け,そのまま勢いを殺さず受け流す。

 

 突進の勢いが乗ったままの父ユニコーンはジェイルの真横を通り過ぎ、続け様に激しく振るわれる角を全て捌きながら母ユニコーンの真横をすれ違えば頭がそれを追うも、方向転換を無理やりしようとして晒された横っ腹に子供の頭程の大きさを持つ岩が撃ち込まれた。

 

「直撃したのに……」

 

 骨が折れ肉が潰れる音はした。吐血もしているので内臓にダメージはあるのだろう。

 それでも止まらない、この程度では止められない。怒りと殺意に狂った親ユニコーンを止めるには至らない。

 

 反転し再び角を突き出し突進する母ユニコーンに父ユニコーンが動きを合わせ、鼻を動かして向かう先はクラウディア。

 彼女にへばりついたクララの毒墨の臭いが我が子に染み付く臭いと同じだと狂いながら理解して,目先のジェイルよりも真っ先に狙う相手と定めた。

 

 

 

 

 

 

 

「えっちたらほっちらえっほっほ!」

 

 そんな状況の中、二人に付いていたパンダは何処かへと走り去って行く。何やら企む様な笑みを浮かべながら……。

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