指輪の悪魔と持ち腐れの魔法使い   作:ケツアゴ

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スイッチ2の新作ゲーム ソシャゲ周回 スポーツジム

糞 誘惑が多い


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「動き出しておいてなんだけれどさ。多分後で雷落とされるわ、これ。実家に報告だけは勘弁願いたいねえ。俺、家での立場強くないのよ。次期当主なのに酷くね?」

 

「他所の内情を聞かされても困るんだけれど……」

 

 その雷ってのも普通の悪ガキが悪戯を咎められて説教と拳骨の一発でも貰う、その程度の物じゃねえんだよな。学園の生徒としてと一族に所属する一員としての両方で何らかの罰を受けるって事だ。

 

 

 キレースさんに焚き付けられて月下美人を追う最中、ハボックさんの呟きに俺も思うところがあった。今回の一件、多分この人は立場を考えろとか言われるんだろうな。

 何一つ期待されず、家の一員である事を辛うじて許可されている俺は予備ですらねえが、僅かに入って来る情報からしてハボックさんは予備だったのが予定外に本命になっちまった。でも、周囲はそれが気に入らないって所だろうな。

 

 何処も誰しも各々悩みを抱えてるってこった。……今の俺は別の悩みを抱えながら進んでいるけれどな。

 

 

「おい,ベルゼラ。あの女が言っていた異狐(いこ)って確か……強欲の魔王の名前だったよな?」

 

 

 小声で呟く。走ってる音に紛れてハボックさんには聞こえない程度、喋った本人には認識される、そんな小声に返答が来た。

 

 

「おーう、それを見抜くとか流石じゃねえか、相棒。今夜は夢の中で顔を俺様の胸に埋めてやろうか? そうだそうだ。辿り着いたなら一部教えてやると魔王だよ。こわーい魔王だぜ」

 

 マジか……。

 

 否定して欲しかった予想を肯定されて頭を抱えたい気分だわ。なんで魔王の近くに魔王が寄って来るんだ?

 

 

 俺とは反面に使いそうなベルゼラに腹が立ったし終わったら暫くは三食ピーマンを山盛りで食べるとして……。

 

 

 異狐の力と月下美人が口にした際は気が付かなかったが、魔王の一体の名だと記録されている。極東にルーツを持つ悪魔でも異なる狐と書いてイコと呼ぶのだとか。

 あくまで声で聞いただけ、それに魔王を宿した魔道具とは限らないと淡い希望に縋り付く。

 

 だってだ、力なんて殆ど引き出せない俺でも同じベルゼラの力を知っている。制御不能な程の威力と範囲を制御出来る様になったが、あれはコントロールの腕前が上がったんじゃねえ。

 

 食ったんだよ。必要な部分を除いて。まさに暴食って所か?

 

 なら、強欲の力は何なのか。恐らくは独楽が増えたのに関係していそうだが、それなら……。

 

「ハボックさん。月下美人って子供に変身しただろ? もし……」

 

「元々子供だったのが大人になったとしたらどうする? って所だろう? 厄介だね,確かに。山賊見習いなら子供でも切り捨てるんだけれど、あの子はあくまで泥棒。必要なら手を下すべきだけれど、鈍るのはさけrsれないね」

 

 そして鈍った刃で戦える相手じゃないのは俺達が身を持って分かっている。武器とか魔法とかに制限があって、相手に有利な狭い場所で油断もあった。それでも二人揃ってあしらわれたんだからな。

 

 

 

 

 

「ハボックさん。異狐ってのは魔王の名前だった筈。それ相応の警戒をしないと」

 

 待ち受けている相手が厄介だと悩むのなら、同行する相手にも情報共有する必要はある。万が一にでもベルゼラの存在に行き着く可能性があるからと黙秘するんじゃ、それこそレムリス家の一員として相応しくない。

 その名前だけでなく厄介な力を目にしたからこそ相手も納得するだろう問い掛け。今思い出したのは本当だし、確証があるのに隠すのは卑怯だが、それでも立ち止まって考える理由にはなるだろうさ。

 

「あー、何処かで聞いた事があると思ったら魔王の名前か。流石はあの一族だわ」

 

「まあ、逆に覚えていないと……」

 

 初代の功績を把握していないとか何を言われるかだ。逆に何百年も前の事を詳細に記憶する必要は無いと他の家は感じているんだろう。そりゃそうだと思いつつ地下へと向かう階段を一気に駆け降りる。

 

「地図がまた変わってるな」

 

「ほぼ一本蜜じゃないのさ。図書館は随分とご立腹みたいだね。それなら怪盗を足止めしてくれりゃあ良いのに気が利かな、うおっ!?」

 

 地下からは次の階段まで離れているって構造が続いているが、さっきから遠目に次の階段の位置が分かる様に本棚が配置され直されている。図書館がさっさと捕まえろって事だろうが、文句が気に入らなかったのかハボックさんの足下に段差が出来て足を引っ掛けられた。

 

 咄嗟の事で躓いて丁度のタイミングで落ちて来た本の角が脳天直撃。……痛そうだな。

 

「味方の足引っ張るとか性格悪、いぃ!?」

 

 それには同意だが俺は黙っておこう。だって凄い勢いで本棚が倒れて来て……あれ? これって俺も巻き込まれるんじゃ……。

 

 階段まで一本道になる様に配置された本棚は俺達の背後に一列に並べられ一番後ろが倒れると次の本棚にぶつかって倒す。それなら背後の本棚から距離を取れば良いんだが、何か床から新たに生えた。倒れた本棚がぜんぽうのをたおし、更にそれが次のを。因みに左右にお本棚が並べられ壁の様に遮る

 

「えっと、こういうのは何て言ったっけ?」

 

「ドミノ倒しだな、ハボック」

 

「あれぇ? 年上への敬意が消えてる!?」

 

 そりゃ、同じポカを連続でして巻き込まれたんだ。そっちもそっちで堅苦しいのは嫌だろうに丁度良かっただろ?

 

 背後から聞こえる音も感じる圧力も徐々に増して行き、倒れる際に分厚い本が飛び出してぶつかりそうになる。月下美人を捕まえさせたいだろうに文句に対して過剰な反応するとか沸点がどれだけ低いんだ?

 

 足下から跳ねて向かって来た本を跳んで躱し、遂に左右の本棚まで倒れて来たのを足を早めて避けて、最後に階段に飛び込めば段差が消えて坂になっていた。

 

 あっ、ヤバ……。

 

 次の階層までは長い螺旋階段を降りる造りだった筈。それが見るからにツルツル滑る坂になっていて、俺達二人は勢い良く飛び込んだ。

 どうなったって? 転がり落ちたよ。

 

 

「わわわわわっ!? なんか普段より長くない!? って言うか明らかに傾斜がキツくなってるよな!?」

 

「糞っ! 床が滑って……」

 

 飛び込んだ勢いが乗っていようが本来なら無理にでも起き上がって止まれるはずなんだ。それが出来ないのは床や壁に手をついても滑るせい。氷か何かみたいに手が触れた瞬間には滑り、掴む所も無い。

 その上、床が徐々に競り上がって傾くもんだから俺とハボックは二人揃って転がり落ちていた。

 

 不幸中の幸いなのは野郎同士で絡み合ってない事だ。むさい中年のハボックだろうが同年代のスロースだろうが男と絡まる趣味は無い。

 それがリリやメルーナだったら思わぬ幸運だったかもだろうな。

 

 ルシア? 彼奴の場合は絡まって転がり落ちるんじゃなくって抱き締めるなりして守ってやらなくちゃいけないし論外だ。

 

 

「それと壁の光る彫刻は何なんだ!? こっちを煽るポーズばっかりしてさ!?」

 

「誰の趣味だろうな……」

 

 暗がりでもこの彫刻なら大丈夫! 綺麗に光るので無様に転がり落ちる姿を嘲笑うパンダの姿がハッキリと見えるぜ! 誰の趣味だよ!?

 

 頭の中でノリツッコミを終えた俺の頭に浮かぶのは年齢不詳見た目少女で最低でも三十路越えの担任の顔。まさか階段のトラップまであの人の仕業じゃないのかと疑っていた時だ。

 坂道を駆け上がる何者かの気配を感じ取ったのは。

 

 ベタベタと慌ただしい音が壁と天井から聞こえ、同時に生臭い臭いも鼻に届いた時、迷わず短剣を取り出した。

 

「ハボック! この際多少は仕方無いだろ!」

 

「勝手な行動と合わせて大目玉は だろうねぇ」

 

 短剣を床に突き刺して無理やり勢いを殺す。反動が腕に掛かるも気にせずに立ち上がります今度は壁に突き刺して体を支えれば下から向かって来る相手の姿が見えて来た。

 

 

「ありゃ何だ? 人間……じゃないな?」

 

 一見すれば基礎となる形は人間に近いが、その二体(・・)は明らかに人間じゃねえ。干からびた果物みたいな色の肌と禿げ上がって左右に僅か残るのみの髪はボサボサで、異常に長い足を持つ方が手が異様に長い手の持ち主を肩車していた。黄ばんだ爪は分厚くてひび割れ、両手を壁に突っ張る様にして体を支えている。

 歯抜けだらけの口から鼻を摘みたくなるレベルの悪臭が漂う中、血走った二体の目が俺達を捉えた。

 

 

通さぬぞぉ

 

通さぬぞぅ

 

 

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