「マダラさん、すごかったよ!」
「ん、すごい」
「ありがとなエイミィ、雫」
「マダラ〜! すごかったな、今度俺ともやろうぜ!」
「いいぞ」
カムイも氷結系PSYなので似たような事をする。
「さすがです、マダラさん!」
「相変わらず、大した力だ」
司波兄妹も勝利を祝う。
「予選通過おめでとう」
「お、
そして
方向性は違うが同等の美貌を日常的に見ている達也も大きな反応を示さなかった。
「見かけなかったから療養かと」
「本戦にマダラは出ないからね」
「そうか? 俺以外にもいろんな選手が出てるけどな」
「映像で十分だよ」
何なら新人戦もマダラが参加するもの以外は興味なさそうだ。
そんな会話の間にも工藤チルドレン達がマダラにひっついたり登ったり。
「今日もう試合ないだろ? 屋台回ろうぜ屋台〜!」
「僕が奢るろうか?」
「悪いって」
にこやかな
仲が良いようで、深雪は自分の知らない交友関係に少し寂しくなった。
「…………九島さんは、私達のことを知っていたのに、私達には話してくれなかったのですね」
「? そうだっけ?」
「はい」
「あー……まあお前達とは出会いがあれだったし、CAD制作とか魔法作成とか色々一緒にやってっから話題があるだろ?
「…………………」
技術開発は、なるほど確かに人に自慢したくなる。
「そう、だね………僕と君は、遊ぶだけだからね」
「? そうだな。そろそろ夏休みだし、また遊びに行くぜ」
「! うん!」
嬉しそうだ。光量に変化はないのに眩しく見える。
「お前等も来るか?」
「わ、私そろそろ自分の試合ですので」
「俺はほのかと作戦についての話し合いがある。深雪を頼んだ」
達也とほのかは残念ながら不参加だ。選手控室で行うのでそちらに深雪はいけない。
「オッケー。じゃ、行こうぜ深雪。お前等は?」
「行く行く〜!」
「試合開始までには向かうね」
エイミィと雫も来るようだ。
客が多いだけあり屋台も多い。因みにこのご時世、屋台でも現金で払うほうが珍しい。マダラも電子で払った。
乃愛はマダラの肩に乗り炒り豆をポリポリ食べて、凛は冷凍チョコバナナ、リュウは飴細工、エンリは綿飴のポッピングキャンディまぶした奴、カムイはロシアンたこ焼きを食っていた。
「私達まで、良かったの?」
「まあ、アイス・ピラーズ・ブレイクの時はあまり見てやれないからな。そのお詫び」
遠慮がちのエイミィの言葉にマダラはそう返す。もちろん会場はすぐ近く。時間ギリギリまで調整はするつもりだが。
「決勝戦、無理しなくていいよ」
「お、いいな。やる気だ」
アイス・ピラーズ・ブレイクの決勝戦は女子、男子の順。雫としてはマダラに自分自身に集中してもらおうとしたのだろうが、それは言外に決勝まで勝ち進むと言う事。
「私だって決勝までいくからね〜!」
「それが本気なら言うことないんだけどな」
エイミィがふふん、と胸を張る。雫は自分より背の低い彼女の張られた胸を見て己の胸に視線をおろし、安堵した。
「本気って、どういう今よマダラ君」
ムッと拗ねたように唇を尖らされるエイミィ。マダラはそうだろ? と返す。
「お前、勝ち気に見えて勝負事あまり好きじゃないし」
「そんなこと………」
「…………そうだな。負けん気はあるか? でも身内に働かないからなあ」
ふむ、と考え込むマダラにエイミィはそうかな、と小首を傾げる。
「…………魔法に重要なのは保有する
指を立てるマダラ。
「次に魔法式……は、まあそれなりか。厳密には世界を改変するための演算」
魔法式はあくまで演算の補助だ。
「で、これは俺が個人的に一番重要だと思ってる………『確信』」
「確信?」
「魔法師が脳に異常がなくとも、
特に10代の少年少女が、魔法の失敗経験から魔法を失うことは珍しくない。その為の二科生制度だ。
「勝つ気がない奴が勝つつもりで戦う奴に勝てることはない。エイミィ、本気でやれ。自分を騙すな……自分を騙した先に待つのは、真実になった嘘の自分だ」
「…………本当に、
「さぞいい女だったんだろうな」
「マダラさん?」
深雪がニコリと笑顔を向ける。
「年上好きなのは知っていますが」
「勘違いすんな。さすがに老女は対象外だ」
「マダラさん、年上好きなの?」
と、雫が訪ねる。
「ああ」
マダラは肯定した。雫と深雪はむぅ、と唸る。
「へぇ、じゃあ七草会長とかは?」
エリカが面白そうに訪ねる。
「つっても高校生だしな」
「アンタもでしょ」
「一高の中で一番好みに合ってんのは、りんちゃんだな」
りんちゃん? と誰もが首を傾げる。
深雪だけは何処かで聞いたような、と思い出そうとする。しかし知り合いの中でりんちゃんなどという可愛らしいあだ名が似合う女子がいただろうか?
「!!」
「お前じゃないよ」
ハッと反応した凛はマダラに否定されションボリ落ち込んだ。
「待たせたか?」
「いや………」
女子バトルボード予選、第3レース会場に着くと達也が既に観客席に移っていた。
「ほら」
と、達也はマダラ達に何かを渡す。
「サングラス………中々性格の悪い」
「すぐに気付けるお前もな」
ニヤニヤ笑うマダラに達也がフッと笑う。
「それに、水上レースを氷上レースに変えるお前に言われたくないな」
「ええー、達也の方が性格悪いよな、深雪?」
「深雪、素直に言ってやれ。性格が悪いとな」
「え、えっと…………」
敬愛する兄と想い人たるマダラ。どちらの性格も悪いなんて思ってないが、どちらの言葉も否定なんて………。と、オロオロしているとマダラが歯を見せ笑い達也も唇を薄く弧を描かせている事に気付く。
「もう、お二人共意地悪です!」
「悪かった。機嫌を直してくれ」
「可愛いからつい」
「そんな言葉に騙されてあげません」
プイッとそっぽを剥く深雪。と、選手が入場を始めたのを見て深雪とマダラもサングラスを掛ける。
「3人とも仲いいよね」
「中学からの付き合いらしいですけど、仲のいい兄妹みたいですよね」
なんて会話している間に、スタートの合図が切られる。選手達が魔法を発動し進もうとする中、水面が輝いた。
ほのかの閃光魔法だ。サングラスをしていない選手達はバランスを崩したり落ちたり。その間に加速したほのかは、そのまま距離を詰まらせる事なくゴールした。