「勝ちました! 勝ちましたよ達也さん!」
と、感激の涙を流し達也の手を取るほのか。涼しくなった深雪に距離を詰めるマダラ。
「達也さんのおかげです! 私、ここぞというときに何時も勝てなくて!」
「そうだったのか?」
もっと確実な作戦を考えてやるべきだったか、と考える達也。
ふと雫を見ると、唇がパクパク動く。「小学校の頃の話だよ」。達也は嘆息した。そんな達也にマダラが声をかけた。
「達也、この後暇だろ? 屋台巡りしようぜ屋台巡り。夕飯いらなくなるほど食おう」
「全くお前は………」
呆れながらも微笑む達也。まあ、どうせ夕食の時も男子達に(主に森崎)追い出されるのだ。屋台で食っても問題ないだろう。
「私もご一緒してもよろしいですか?」
「深雪、明日は試合もある。ちゃんとしたものを食べなさい。此奴は、好きにさせたほうがやる気が出るからね」
「俺のこと解ってんな」
「もう一つ分かってやろうか? どうせロシアン系や、こういった場所でしか見ないような妙な料理を回る気だろ?」
「ヒヒッ、正解」
仕方ないやつだ、と肩を竦める達也。マダラは行こうぜ、と歩き出す。
「…………達也さんとマダラさんって、やっぱり仲いいよね」
「ね。本当に出会った時に殴り合ってたの? 一緒に遊びに行ったんじゃない?」
「私がマダラさんと会ったのはお兄様の後だけど、初対面の時直ぐにお兄様に殴りかかっていたわ」
『お、あの時の! 遊ぼーぜ!』と現れ、兄と組み手という名の殴り合いを始めた。軍人さえものともしなかった兄と、だ。兄の強さに驚き、突然現れた同世代に驚き、その強さに驚き、拳骨一つで沈めた彼の父に驚いた。
「その後、遊びに来て。話があったのか色々と話してて………」
まあその時でも兄は警戒していたらしいが。
「本当に昔から子供っぽくて、お兄様も釣られて年相応に………少し妬けてしまうわ」
妬けるなど言いながら、ふふ、と微笑む深雪。その美しさに誰もが目を奪われた。
「クソが」
「フッ」
ロシアン系は、達也が4回ハズレを引いてマダラが6回だった。引き分けもあり得た偶数でありながら、勝敗は決した。
「
「こんな事に使うか。お前こそ、
「持ってねーよ」
三系統極めたとはいえ、
達也は使ってないしマダラは使えない。お互いそんな事分かったうえでのからかい。ククッ、とマダラが笑い達也も笑みを浮かべる。
「好きにさせるにも限度はあるぞ? 選手なんだからな。ちゃんと明日に備えろ」
「へいへいおにーちゃん」
「年はお前の方が上だろ?」
「一ヶ月だけな」
「菓子はいいだろ? どうせ小腹が空くし、達也も脳使うだろ」
「そうだな………」
「こんな時間に、罪深いよお」
女子に与えられた部屋の一つ、雫、ほのか、深雪、スバル、エイミィ、奈々美の6名が集まっていた。
ほのかは並べられたキャラメルポップコーン、マカロン、エクレアなどなど甘味に戦慄する。まあ、食べるけどね。
「わっ、深雪。これいい茶葉だよ。本国で見た、ありがと〜!」
エイミィは深雪が持ってきた茶葉に感激していた。
「では、雫の『
「「「かんぱーい!」」」
「雫、ほのか、おめでとう」
「ありがとう! まだこれからが本番だけどね………」
「そうだね。私も気を抜かないようにしないと………」
ほのかは準決勝と決勝が控え、雫はアイス・ピラーズ・ブレイクが残っている。
「私は明日休みだけど、皆は試合だもんね」
深雪、雫、エイミィがアイス・ピラーズ・ブレイク。
スバル、奈々美がクラウド・ボール。
特にクラウド・ボールには
「心配いらないさ。僕が出るからには一高の華麗な勝利を約束するよ」
「「「???」」」
髪をかきあげ福の裾をファサと広げる演技めいたスバルの行動に困惑するA組女子達。
「深雪達はスバルの「これ」見るのは初めてだっけ。『認識阻害』の先天スキルがあるから、わざとこうやって印象に残るような言動をするの」
「そうだったのね」
「……………」
改めて他者から説明されると何とも言えない顔をするスバルとそんなスバルを見つめニヨニヨする奈々美。コホンと誤魔化すように咳払いした。
「クラウドは私もでるから忘れないでね☆」
「そうだね。2人でワンツー目指そうか」
スバルはダンスでも踊るように奈々美の手を取った。奈々美は慣れているのかクルリと回った。
「あ、そういえばピラーズは司波君と篠村さんが担当してるんだっけ?」
「そう。信頼できるよ」
厳密にはエイミィ、雫をマダラが担当し深雪を達也が担当している。男子アイス・ピラーズ・ブレイクに参加するマダラは達也に任せたほうがいいのではという意見もあったがマダラから達也に宣戦布告があったとか。
「雫の『
「名称は達也さんみたいだけど」
「あの二人仲いいねー」
自分で開発した魔法を友人といえ他人に名付けさせるなど、それだけありえない事だ。マダラの事だから「どーせ達也にも作れるし」とか言うのだろう、と困ったような顔をする深雪。
「それにインデックス登録も断ったみたいだし」
「……………」
正式名称『国立魔法大学編纂・魔法大全・固有名称・インデックス』。魔法の固有名称の一覧表である。
インデックスに開発した魔法を登録される事は研究者にとって大変名誉なことであるそれを、マダラは断った。登録するなら開発者の名前を誰か適当に代役を立ててくれ、と。
「だって、俺の師である達也を調べられたら困るだろ?」
ポップコーン・醤油ニンニク味を食いながら女子会を終え部屋に来た深雪の疑問に答えるマダラ。
「一高でもそれなりにしか知られてないだろ?」
服部とか、今回担当した選手でもほのかや雫。真由美など生徒会ぐらいのものだろう。
「俺が俺の腕を褒められて達也の弟子であることを自慢しないとか無理無理」
ははは、と笑うマダラに達也は何処か申し訳なさそうな顔をする。
「家の事情に巻き込んでしまい………」
「勘違いすんな。俺がそっちに向かったんだ。別に四葉に与しちゃいねえよ」
「…………そうか」
「マダラさん………」
「それに四葉と懇意になるのは俺的にはありだ。深夜さんいるし」
「マダラさん?」
室温が下がった。