期末試験に向けて勉強をする雫。
旭に言われ、 彼女の勉強を見ることになったマダラは、現在雫が誘ったほのかとエイミィの勉強も見ることに。
「マダラさん、本当に勉強出来るのね」
「エイミィ、どういう意味?」
ジトッと雫が睨む。二科生だから馬鹿にしているの? と言いたげだ。
「あ、違う違う! その、ほら………マダラさんってなんか不良っぽいっていうか」
「「ああ………」」
ほのかと雫は納得した。確かにマダラは、なんというか不良っぽい。
「不良だって勉強ぐらいするっての。それに、俺は2度目だしな」
「ああ、それもそうか」
「うう、私は1年前のテストでも勉強しないで良い点取れる気がしません」
と、ほのか。
「コツとかあるの?」
「あるぞ」
「あるの!?」
「PSIは脳を100%使うつったろ? 100%じゃなくても一部機能を底上げして記憶力とか計算力とか増したり」
つまりこの中では雫にしか出来ない裏技というわけだ。雫は自分の実力で、と裏技を使う気はないようだ。
「でも、今回重要なのは実技だよ」
むん、と何やら気合いを入れる雫。
「このテストの点数は九校戦のメンバー選抜に考慮される! 試験結果は大事なんだよ!」
雫が燃えている。無意識なPSI波動でカタカタと机の上の小物が揺れていた。
「あんなに燃えてる雫初めてみるよ」
「普段クールなのにな」
「雫は九校戦の事になると目の色が変わるから」
「そうなんだ………」
九校戦。
正式名称は全国魔法科高校親善魔法競技大会。その名が示す通り、全国に存在する9つの国立魔法大学付属高校の生徒達のスポーツ系魔法競技である。
因みに一高は2年連続優勝を果たしている。今回も優勝すれば三連覇である。
「因みにこれがここ十年のデータ」
と、雫は十年分の選手データを写す。選手の高校は勿論参加した競技、成績、使用した魔法についてなど細かく載っている。
公式の記録から、個人的に調べたであろう情報までビッシリ。相当九校戦が好きなのだろう。
「今年はここに雫が名を連ねる事になるのね」
「うん。そうなりたい。ほのかとエイミィも、絶対一緒に出よう」
「雫………」
2人は雫の言葉にやる気を出す。
実技で選ばれるなら深雪もだろう。
「マダラさんも、出れないかな?」
「俺のこれはPSIだからな。去年は十師族に選手として出ることを止められてるし」
そもそも魔法師としての試合じゃなくなるし。
「でもさぁ、マダラさんの力だって、別に何の練習もしなくて使える力でもないのにさあ」
「努力して使いこなすってところは、魔法と同じ筈ですよね」
「頭、すごく痛くなるし」
最後の雫には実感が籠もっていた。
「まあ去年はエンジニアとして参加してたからな。サポートぐらいはしてやるよ」
「マダラさん………」
「ほのかは達也にして欲しいだろうが」
「ええ!? そ、そんなこと…………」
わかりやすい、と誰もが思った。
「と、とにかく頑張ろう!」
「「おー!」」
誤魔化したが、雫もエイミィも乗ってやる。
「実は今年の1年は客観的に見ても最強世代と謳われた七草先輩達に匹敵するんじゃないかと思ってる」
「ん〜、まあ……そうだな」
去年を知るマダラは雫の言葉に肯定する。十師族の七草、十文字を初め、渡辺摩利や
今年は七草達に匹敵する深雪に、魔法研究が始まったばかりの頃とは言え調整体エレメンツの末裔に、現代魔法の名門ゴールディ家のエイミィ、元Aランク魔法師の娘雫。確かに層は厚い。
「うちのクラスのスバルも凄いし、多分かなりハイレベルだと思う!」
「今年は新人戦と総合のW優勝できちゃうかも!」
「それが………」
と、雫は難しい顔をする。
「『クリムゾン・プリンス』こと一条将輝を擁する三高がいるから、油断はできない」
一条将輝………名前が示す通り一条家………十師族の御曹司。『爆裂』という対象内部の液体を気化させる魔法を使い、戦場を血に染めたまさに
「あ、知ってる。すっごいイケメンらしいよね!」
「え、エイミィまさか狙っているとか?」
「違うよ〜まさか。つまり顔が整っているってことはさ、強い魔法力の証みたいなもんじゃん。十師族の成り立ちからいって。血が濃いんだろうな〜って思ったわけ」
かつて各国がこぞって魔法師を作り出そうとした時代の名残。数字を冠する研究所に合わせて数字を含む名字を名乗る
「ん? じゃあ、深雪は?」
「優秀な魔法師は容姿がいい場合は多いけど、その逆は関係ないよ」
魔法師として優れるので顔立ちが良いのは多いが、顔立ちが良いので魔法師として優れる、ということはない。
それならテレビのアイドルなども魔法師として優れることになる。深雪の容姿の良さと魔法師としての資質は関係ない筈だ。
「ただ…………」
「ん? どうかした、雫」
「ううん、なんでもない」
「………………」
サイコメトリーを使うまでもなく解る。続く言葉は、深雪が本当に十師族と関わりのないただの美少女とは限らない、だろう。
「それより、エイミィだったらどれにでたい?」
「ん〜、やっぱりピラーズ・ブレイクかな」
「うん。それなら」
何やら楽しそうに話し始める女子達を見ながら、マダラはチューとコーラを啜る。
「……………勉強は?」
「「「あ……」」」
さて、勉強を終え試験を終え、結果発表。
成績上位者は学内ネットで確認できる。
例えば実技、理論の総合成績ならば………
1位司波深雪
2位光井ほのか
3位十三束鋼
雫は4位。しかしPSI訓練をしながらこの順位なのを考えれば十分凄いだろう。
なにせ実技は4位だし。ちなみに3位は森崎駿。でかい口たたくだけはあったようだ。
そして、学内を騒然とさせたのは理論……ペーパーテスト。
1位司波達也
2位司波深雪
3位篠村マダラ
と、まさかの二科生2名が上位3人の中に居た。そして4位吉田幹比古も二科生である。ついでに17位は美月で20位はエリカである。
2人に挟まれご満悦な深雪は、こういうところが残念だが可愛いと雫とほのかは呟いた。
実技の感覚がわからないのに理論が理解できるわけがない、どんなズルをしたんだと貶めようとするA組の生徒達に、
雫の「自分よりいい成績のものを貶めるより自分を含めて努力の足りなさを恥じるべき」という正論がなければ、その直ぐ後A組には氷河期が訪れていただろう。
後、マダラが女子3人と勉強会していたことをこれまでにない点が取れたとエイミィがマダラにお礼を言って知られたので、4人のお疲れ様会を深雪、達也総合&理論1位のお祝い会も一緒に行わなければ氷河期が(以下略
その後達也は理論がここまで出来るなら実技で手を抜いているのではと指導室に呼び出された。マダラは去年同じ状況になったが普通に呼び出しを無視していた。
今回は教師からの呼び出しはなかった。
教師からは………。
「良く来た」
十文字克人、七草真由美………部活連会頭と生徒会長。三巨頭の内2名…………その共通点は『十師族』。
「篠村。お前には九校戦に、アイス・ピラーズ・ブレイクの選手として参加してもらう」
「……………はい?」
選手? エンジニアではなく?
「上の方で色々話し合ったみたいでね………前回の九校戦や、今回のブランシュの件もあって、もうサイキッカーを隠していられないんじゃないかって思い始めたみたい」
確かに、BS魔法師ではないサイキッカー達は少しずつ数を増やしているらしい。
旭は
「つまりPSIを使って良いと……………でもなんでアイス・ピラーズ・ブレイク…………ああ、一条か」
液体を気化させ爆発させる『爆裂』の使い手である一条はアイス・ピラーズ・ブレイクの優勝候補。なんなら魔法師としての実力は兎も角、試合でなら三巨頭にすら勝るかもしれない。
「つまりPSIつー魔法よりも滅茶苦茶な力を見せつつも、十師族にはかないませんよ〜って証明しろってわけだ」
「無論、上の狙いはそうだろうな」
「上の?」
「あくまで参加させろとしか言われていない。つまり、別に優勝してしまっても、構わんのだろう?」
フッと笑う克人。真由美もニコニコ笑っている。
「了解、やってみるよ」
「それと、もう一つ別の競技にも参加してほしいそうだ」
サイキッカーの強さをある程度は知らしめておきたいのだろう。十師族より下であって欲しいが、それはそれとして舐めてかかれる相手ではないと証明して欲しい。面倒くさいな………。
「クラウド・ボール、バトル・ボード、スピード・シューティング…………どれにする?」
モノリス・コードは無しらしい。一条とぶつかるからだろうか?
「……………バトル・ボード」
「あら、理由は?」
「涼しそう」
夏だしね。