アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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ここに来てやっと新入部員と絡みます。

本当に何やってたんだ私。


EP13 バスケ部の新人

 

時は少し遡る。

 

「◯◯中学出身、鷹尾一也(たかおかずや)です。ポジションはPG(ポイントガード)やってました!少しでも早くベンチ入りしてレギュラー取るつもりで頑張ります!」

 

「△△中学出身、陣総悟(じんそうご)です。SG(シューティングガード)をメインに、C(センター)も状況に応じてやってました。身長を活かしたプレイで僕もベンチ入りを目指します!」

 

「✕✕中学出身~」

 

「中等部から来ました~」

 

新入部員の挨拶をしれっと先輩組に混じって見ていた俺に気付いた顧問が

 

「鶴羽、お前も新入生だろうが。何でコッチで先輩面して見てるんだ?」

 

「んあ?

あ、そっか、俺去年から参加してたから新入部員って事忘れてたわ。

えー、アメリカから来たポジションは基本何処でも出来る鶴羽雪(つるばゆき)だ。目標は全国制覇」

 

ー目標は全国制覇ー

 

それを然も当然の事だと言わんばかりの佇まい。

 

まぁ、見学に来た時に見たあの実力なら当然か。

 

しかしそれを聞いた一部の先輩は

 

「出来る訳無いだろw」

 

「ちょっと鹿野さんと仲良いからって調子乗り過ぎだよな」

 

「お前1人でやってんじゃないっての」

 

等々、個人的な嫉妬が多分に入った否定的な言葉を吐いていた。

 

ー何だコイツら?これでスポーツ強豪校の部員かよ、みっともねぇー

 

そう思った時だった。

 

「お前ら少し口を」と、顧問が言い掛けた時、

 

「これは入学式の日に同じクラスの奴らにも言った事だが、子供の頃からの目標で約束だから誰に笑われて馬鹿にされても、それを曲げるつもりは1ミリもねー。

人の目標を馬鹿にする奴なんか相手にするだけ時間の無駄だからな。

もし下手でも一緒にやろうって言ってくれる奴が居るなら、初心者であっても俺は全力で協力するから声掛けてくれ」

 

顧問や先輩が居る前だってのに、鶴羽は堂々と胸を張って言ってのけた。

 

「ハハッ、お前本当に同い年かよ、そこまで言い切るなんてスゲーとしか言えねーわ。面白れー、俺は乗るぜ、鶴羽!」

 

「雪で良いぞ鷹尾」

 

「なら俺も一也でもカズでも好きに呼んでくれや。陣、お前はどうだ?」

 

「うん、そうだね。僕も雪と一緒に全国制覇を目指すよ。僕も総悟で良いよ」

 

「分かった、カズにソーゴ、これから宜しく」

 

「「おう/うん、こちらこそ宜しく」」

 

否定的な事を言っていた先輩達は、バツの悪そうな顔をしていた。

 

しかしそんな先輩達にすら雪の奴は、

 

「俺の実力を知ってる先輩方でも、1年坊がいきなり全国制覇なんて宣ってるから思う所はあるんだろうが、栄明は強豪校と言われてんだから全国出場位して当たり前だと思ってる。

 

それと去年から試合見てて思ったんだが、アンタらはリードしてる時は良いがリードされると焦りでいつも通りのプレーが出来ずに弱気になって、ズルズルと差が開いて行くと途端に雑なプレーになってる。覚えがないとは言わせねーぞ?」

 

 

「勝手な事ばかり言うな!そんないつも思い通りのプレーなんか出来る訳無いだろうが!」

 

「は?だから練習すんじゃねーの?練習で出来ない事が試合で出来る訳がねーんだからさ。じゃなきゃ何の為に練習してんだよ?

試合で限界まで追い込まれた時、身体が勝手に反応するくらいに覚え込ませてこそだろうが」

 

「!?それは・・・」

 

言葉に詰まる先輩たち。勝負あり、だな。

 

「まーまー雪ちゃん、言ってる事は分かるけど皆が皆最初から上手く出来る訳ねーじゃん?」

 

「そうだね、先輩達もそれは分かってると思うし、これからの練習で改善して行けば良いと思うよ?」

 

「そうだな、俺だって最初から全部上手く出来た訳じゃねーし、同じ事やっても成長率は違うのは仕方ないか」

 

「さぁお前ら、口より身体動かせ!ただ動くんじゃなくて、何故そうするのか?を考えながらやれよー!」

 

・・・この顧問の先生、悪くないな。

 

2対2でパス交換しながら攻めるが、雪と組むと本当にやりやすい。

 

欲しい所にパスが来るし、出したい所に顔を出して来る。

 

しかもポジショニングだけじゃなく基礎スキルが高いせいもあって、パスが通りさえすればほぼ得点になるってのはPGとしては堪らねーな。

 

頭の中でシミュレートすると、雪を止める為に人を割けば外の陣がドフリーになるからスリー狙いでも良いし、どちらにもマークが付く様なら俺がドライブで突っ込んでも良いし、残りの2人に回しても良い。

 

選択肢があり過ぎて取捨選択に困るってのも、考えもんだぜ全くよ。

 

まぁ、そもそも全国大会の優勝候補校でも無い限り、2~3人で掛かっても雪を止められる奴なんてそうそう居ないだろうけどな。

 

俺と陣はまだ微妙なラインだが、雪はレギュラー確定だろうし取り敢えず春季大会でどれだけやるか見たいもんだ。

 

そう思っていた所に

 

「カズ、ちょっと良いか?やってみたい事があるんだが」

 

と雪が言うので聞いてみると

 

「ぶはっw、マジかお前!?試合開始直後にそんな事やろうっての?」

 

「あぁ。初っ端で“コイツらには勝てない”って刻み込む為にな。今日の2対2でお前なら俺の欲しい所にパスが出せると確信した」

 

「そうか、俺はお前のお眼鏡に適ったって事か。そりゃ嬉しいねぇ」

 

「?お前俺の事知ってたのか?日本ではまともにプレーしてないんだが」

 

「あー、部活見学の時に学園のマドンナ様との1ON1を見てたんだよ、陣と一緒にな。それを見て2人とも入部を決めたって訳」

 

「成る程な。つってもあん時全力でやったのは最初のドライブと最後の一本だけだぞ。後はナツ姉が対応出来る限界ギリギリの線を攻めたんだからな」

 

「それであの大差かよ、マジでバケモンだな。まぁそれは良いとして、もう直ぐ終わるし居残りでやってくか?」

 

「カズが時間あるんなら、幾つかのパターンでやっときたいんだが大丈夫か?」

 

「あぁ、帰ってやる事なんか宿題くらいのもんだし、最悪鍵閉めまででも良いぞ」

 

「じゃあ頼む「ちょっと良いかな?」わ、ってソーゴ?」

 

「2人で何かやるにしてもボール出し係は必要じゃない?僕も一緒にやって良いかな?」

 

「そりゃ勿論良いに決まってるよな、雪ちゃん?」

 

「あぁ、俺の見立てじゃあ今後はソーゴがSGのレギュラー候補だし、場合によっちゃあCも任される事になると思うからな」

 

「そ、そうなのかな?そうなったら嬉しいけど」

 

「当然カズも同じ立場になるだろうよ。だからこそ今から連携深めときたい」

 

「へっ、お前にそう言われたらそうなるとしか思えねーな、やる気が漲って来たぜ!」

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

男バスに目をやると雪くんが2人の新入部員と何やら話し込んでいる。

 

「良かったね、やっと同い年の子たちと一緒に部活出来る様になって」

 

「どうしたの、ナツ?」

 

「あ、渚。雪くんにもやっと同学年の仲間が出来たんだなーって見てたんだ」

 

「あ、あの子達か。結構上手いって話だよ。

小さい方の鷹尾くんは視野の広さで思わない所にパスを出したり、そこを警戒してくるとドライブで抜いて来るし、

大きい方の陣くんはスリーが得意で、練習でなら成功率8割くらいあるんだって。ゴール下でも背の高さとウイングスパンを活かしたフックシュートが得意って話だよ」

 

「今年は男子が強くなると思うし、私達も負けてられないね!」

 

「全国制覇、が2人の目標で約束だもんね。あ、何か始めるみたいだよ」

 

そう言う渚の言葉で3人を見る。

 

試合開始のジャンプボールを陣くんが取った設定で鷹尾くんにパスを出す。

 

その時点で雪くんは走り出していてそれを見た鷹尾くんが高めのロングパス。

 

それをジャンプして空中で受け取った雪くんは、右手で股下を通して左手に持ち代えてダンクを決める。

 

次は位置を変えてリングに向かってパスを受け、両手でボールを持って空中で180度ターンして後ろ向きのままダンクを決めた。

 

アリウープを連続で決めるだけでも凄いのに、納得が行ってないのか鷹尾くんと何やら話している。

 

今まではこんな派手なプレーをしてなかったから、彼とは余程相性が良いんだろう。

 

そして次はジャンプシュートを撃つ時、陣くんにディフェンスに入って貰ってフェイダウェイの体勢に入る・・・て、え?何それ?そんな身体寝かせてシュートなんて撃てるの?

 

普通のフェイダウェイは少し後ろに下がりながらシュートするんだけど、雪くんは本当に寝かせる位に上体を反らしている。

 

相当な筋力と体幹の強さにボディバランスが無いと、シュートを撃つ処か体勢すら保てない。

 

「ナツ!雪くんが凄いのはあんたとの1ON1で知ってたけど、あれでもまだ本気じゃ無かったの?もう高校生のレベル超えてるよ、あれは」

 

「うん、私もあそこまで凄いとは知らなかった。1ON1の時は手加減されてたんだね。それでもあれだけ大差つけられてたんだ・・・」

 

余りに開いてしまった彼との差にちょっと、いやかなりヘコんでしまう。

 

でも、これからも一緒に練習すればちょっとでも追い付けると信じてやるしかない。

 

そして当の本人は、セオリー無視の出鱈目と言える動きでシュートを決めまくっていた。

 

「ねぇナツ、あれって止められる高校生って居るのかな?」

 

「・・・分かんない」

 

「あれ?何かもう1人来たよ」

 

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あの、鶴羽くん」

 

3人で居残り練習をしていた時、おずおずと言った感じで声を掛けられた。

 

「ん?お前は確か新入部員の」

 

「は、はい、鳴瀬轍(なるせてつ)です」

 

「おいおい、タメ年なんだから敬語なんか使うなよテツ」

 

「!う、うん。それで挨拶の時に言っていた初心者でも協力してくれるって話なんだけど」

 

「何だ何だ、鳴瀬も全国制覇を目指してくれんのか?」

 

「もしそうなら嬉しいよね、雪」

 

「おう、あん時も言ったが最初から上手い奴なんて居ねえ。やる気さえあるなら基礎からトコトン教えてやるよ!」

 

「ただ、俺ってバスケは好きだけど体育くらいでしか経験なくて、基礎もまともに出来てないんだ」

 

「何だそんな事か。あぁいや、テツにとっちゃあ大した事なんだろうから、そんな事って言い方は失礼だな、うん。さておきだ、つまり“バスケは好きだが体育くらいでしかやった事が無いから自信も無くて不安だ”って事だな?」

 

「うん。えと、一応授業でやるくらいのドリブルしてシュートとか、両手でボール持ってチェスト?パスするとかを熟せるくらいなんだけど」

 

「おいおい、初心者なんだから授業でやる事をちゃんと出来りゃあ大したもんだろ!なぁ陣」

 

「そうだよ、鳴瀬くん。言い方は悪くなっちゃうけど本当に出来ない人って、先ず体育の授業でやる事だって出来ないんだからね」

 

「だな。なぁテツ、お前自分の運動神経についてはどう思ってる?自己診断で構わねぇから言ってみろよ」

 

「そうだね・・・良くも悪くも無く、体育の授業レベルなら他の人の足を引っ張らないで済む、くらいに思ってる、かな?」

 

「なる程な。それともう1つ聞きてぇ。

ここがスポーツ強豪校だと知った上で入学してバスケ部を選んだってのは、最悪3年間レギュラーはおろかベンチ入りすら出来ない事も覚悟の上で来たのか?」

 

「うん。も、勿論背番号貰ってベンチ入り入りやレギュラーになれたら良いなぁ、とは思ってるけどね」

 

「へぇ~、言うじゃん鳴瀬!初心者でそこまで言える奴も中々居ないっての、な、雪ちゃん?」

 

「そうだな。

・・・スポーツ強豪校でバスケ部に入部した初心者がキツい練習に耐え、周りの協力も得て上手くなってベンチ入りやレギュラー入りを果たす、なんてのは中高生男子なら燃える展開だと思わねーか?」

 

「確かに少年漫画あるあるだね。ってまさか雪、鳴瀬くんをそこまで鍛え上げるつもり?そうなったら確かに凄いと思うけど、流石に今からインハイ予選には間に合わないと思うけど・・・」

 

「俺だって流石に今年のインハイに間に合わせようなんて思っちゃいねーよ。ただ来年、いや、秋以降を考えたら1人でも上手い奴が居てくれた方がチームとしても助かるからな。で、どーするテツ?多分お前が思ってるよりキツいと思うが」

 

「はい!僕を鍛えてください、お願いします!」

 

へっ、自分のスキルアップとカズたちとの連携だけじゃなく、テツを鍛え上げるのも楽しみの1つになったぜ。

 





新入生もう1人は、ハーレムビートの成瀬がモデルです。
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