アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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インハイでアベック優勝を成し遂げて凱旋した雪と千夏。

そこで雪は雛が大喜に告白したと言う話を聞く。

それを聞いた雪が取った行動とは・・・


EP28 ケジメと誕生日

 

「「ただいま!!」」

 

「お帰り、2人とも!まさか本当に優勝しちゃうなんてねー。私達が出来なかった事を成し遂げてくれて、春菜も由紀子も本当に喜んでたわ!」

 

「フッ、これで俺達は母親を超えたと言う訳だな、準優勝おばさん。プッw」

 

スパァーンッ!と尻をひっ叩かれる。

 

「アンタだけご飯抜きにしても良いんだけど?」

 

「ゴメンナサイ_(._.)_」

 

「ま、まぁ優花さん、雪くんの悪ふざけはいつもの事ですから、その辺で」

 

「じゃあ俺は着替えて来るわ」

 

そう言うと雪くんは、シュバッと言う効果音を出しそうな勢いで部屋に戻って行った。

 

 

 

「・・・で、千夏ちゃん、どうだったの?」

 

「え~っと、まぁ保留、と言う事に・・・」

 

「ちょっとあのバカ息子に折檻してくるから、待ってて!」

 

「待って待って優花さん!雪くんはケジメつけたら伝える事があるって言ってましたから!」

 

「あの子まだケジメつけてなかったの?とっくにつけたと思ってたんだけどねぇ」

 

「優花さんは知ってるんですか、ケジメつけなきゃならない相手の事?」

 

「知ってるけど、こればっかりは私が貴女に言っちゃ駄目なのよ。全部終わればあの子がちゃんと話してくれると思うから」

 

「分かりました。それも含めて待ってます・・・待たせ過ぎたら他の人のトコに行っちゃうかも、って脅かしときましたけど」

 

「!千夏ちゃんも言うようになったわねぇ(笑)それくらい脅かしてもバチは当たらないわよ」

 

雪くんが言うケジメをつけなきゃ駄目な人が誰であっても、私はもう迷わない。

 

雪くんを信じて待つだけだ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

雛に告白された翌日、部室から予備のガットを持ち出し体育館へ向かう。

 

次会う時、どんな顔をすれば良いのか分かんない

 

今日新体操部が休みで良かった。今雛と会ったらまともに話せるかどうか・・・

 

そう思いながら体育館に着くと、入り口で雛が不審な動きをしていた。

 

唖然として見ていると雛がこちらに気付く。

 

「何見てるのよ!!」

 

「入り口そこなんだから仕方ないだろ!」

 

「声掛けてくれれば良いじゃん!」

 

「かけにくいだろ!」

 

「なんでよ!」

 

「なんでって・・・」

 

「そうだね、大喜はその調子でいて。私が視界に入る度にドキドキするがよいww」

 

「ドキドキなんてっ」

 

「してなくても。私が大喜を好きだって、思い出してくれれば良いよ・・・はい今ドキドキしたー」

 

「してないから」

 

「よしよし告白の効果抜群のようだね」

 

「おまっ、声デカいって!」

 

 

本当にコイツは雪並みに自由過ぎる。

 

 

ーインハイが終わり夏休みも残りわずか。残った宿題に焦りを感じる頃。本日8月26日ー

 

「千夏!誕生日おめでとう!」

 

「ありがとう」

 

「はいはいどうぞ、これ被ってー」

 

「これプレゼント!」

 

「なになに?」

 

「千夏画伯の鹿Tシャツ!練習試合で来てね!」

 

自撮り棒で集合写真を撮る女バスの面々

 

 

 

「誕生日だって」

 

「知ってるよ!数週間前から情報収集とプレゼント吟味をしてたけど、どれも被りそうだったり重くならないかなって・・・」

 

「用意できてないのか」

 

「まぁ難しいよな、誕プレって。それに、さ。インハイ終わってから千夏先輩、どこかボーッとしてる事がある気がして、パーっとお祝いって感じでもないのかなって」

 

 

ちょいちょいと匡が指す方を見ると、女バスの皆さんがパーっと祝っていた。

 

「けど夜までには何かしらーっ」

 

そう言った所で、新体操のボールが飛んできて頭に当たる。

 

「あ すまんすまん」

 

「お前わざとぶつけてんだろ」

 

「失礼なっ。話しかけるきっかけ作りとかじゃないもん」

 

「雛 ちょっと話あるんだけど良い?」

 

そう言って廊下に出る

 

「?何よ。はっ!?もしかして変なこと」

 

「ヤメロ、今の関係性で!・・・雛さ、返事はまだ要らないって言ってたよな」

 

「・・・うん」

 

「けど俺は、千夏先輩の事が好きだから、俺は俺で頑張ろうと思うけど、それは良いの?」

 

「え、いいよ。その為にわざわざ?・・・言ったじゃん、先輩の事好きなのは分かってるって。変な遠慮される方が迷惑だから!」

 

 

 

ー良い訳ないだろー

 

 

悪いとは思ったけど、2人の会話をドアの陰から盗み聞きしていた俺はそう思った。

 

端的に言えば大喜のやってる事は、「蝶野さんをキープしながら千夏先輩と良い関係になりたい」って事だ。

 

俺は2人に対して恋愛感情は持ってないけど、1人の男としてそれはどうなんだ?って思う。

 

そんな事を思いながら、序でに用を足そうとトイレに向かうと

 

「お、どうした?匡。何か暗れー顔してんぞ?」

 

と、いつもの飄々とした感じでトイレから出て来た雪に言われる。

 

蝶野さんと大喜。2人の気持ちを知っている雪になら話しても良いのか?いや、でも、と迷った末に1人で抱えていてもどうにもならないと思って相談した。

 

 

 

「実は蝶野さんが大喜に告白したんだよ」

 

「はぁ!?いつの話だよ?」

 

「女バスがインハイで2回戦戦ってた日って言ってた」

 

「そうか。そうかそうか!遂に言ったか雛の奴!!そんで大喜は何て!?」

 

蝶野さんを応援していた雪は喜んでるけど、俺がこれから言う事を聞いたらどう思うんだろうか。

 

「・・・保留した、って。俺は千夏先輩が好きだからそれを頑張るのは良いのか?って聞いてた。で、蝶野さんは良いよって答えてて、そんな事をついさっき話してた」 

 

 

 

「・・・は?」

 

 

 

雪の口から出た一言は、竦み上がる程の冷たさがあった。

 

「あの野郎、告白すんのがどれだけ覚悟が必要で怖い事かって理解してねーな。しかも雛をキープしといてナツ姉に対して頑張るだぁ?何様のつもりだクソが!」

 

ーヤバい、逆鱗に触れてしまった!思った以上にキレてる。このままじゃ暴力沙汰になる!ー

 

そう思って止めようとするが、体格差で止められる気がしない。

 

が、

 

「ふぅーーーっ、落ち着け俺。それもこれも俺にも原因があんじゃねーか」

 

深呼吸して自らを落ち着けていた。

 

「ゆ、雪?落ち着いたのか?」

 

「あぁ、悪いな匡。脅かしちまったか」

 

「いや、それは良いんだけど、雪にも原因があるって言うのは?」

 

「・・・お前には言っとかなきゃな。

俺がナツ姉を幼馴染みじゃなく、1人の女として好きだって事を大喜に話してないって事だ。

俺が態度をハッキリさせて来なかったから、大喜も危機感がなかったんだろうよ」

 

「そう言うことか。大喜にはいつ?」

 

「今日の帰りにでも言うわ。早けりゃ早い程良いし、勇気出した雛にも合わせる顔がないからな」

 

「そうか・・・雪、大喜の顔見ても手出すなよ?」

 

「出さねぇよ!」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「鹿野っ!何してるんだ!ディフェンダーに詰められてるぞ!逆サイドにも振っていけ!」

 

「はいっ」

 

「監督、千夏に厳しいね」

 

「仕方ないよ。主力の先輩も抜けちゃったし、千夏には酷だけど、やっぱり最後は自分で決められる選手になって欲しいんだよ。

インハイの決勝のラストプレー、リードしてたし外しても勝ちは決まってたから部長にパスしたってのもあるんだろうけど、あそこで自分で決めるメンタルの強さを持って欲しいんだと思う」

 

すると隣で

 

ドキャッ!と大きな音がしたので見ると、ディフェンスを吹っ飛ばしてダンクを決めてる雪くんの姿があった。

 

ー悪い、ちょっと力入り過ぎちまったー

 

と言う声が聞こえる。

 

「まぁ、あの人レベルまでは求められてないと思うけど」

 

「と言うか、鶴羽くんは規格外過ぎだと思う」

 

 

 

練習後、部長と共に監督に呼ばれて話していたナツが戻ってきた。

 

「監督何だって?」

 

「吉谷先輩引退したから、副キャプテンとして頑張れって」

 

「次期キャプテンは千夏だよね」

 

「実力的にも申し分ないし、後輩からの信頼も厚い!」

 

「けど大丈夫?千夏そう言うの苦手じゃない?」

 

「これでも前期クラス委員だよ!」

 

「じゃんけんで負けただけでしょ」

 

「確かにプレッシャーはあるけど、このチーム好きだもん」

 

「よく言った!」

 

「ついていきます、副キャプテン!」

 

「かっこいい!」

 

そう言うナツの顔を見ていると、無理をしているのが分かる。

 

本当に何でこの子は、こんなに背負い込んじゃうんだろうか。

 

ーこんな時は、やっぱり雪くんに頼った方が良いよねー

 

そう思って片付けをしている雪くんの方へ向かう。

 

「雪くん、ちょっと良い?」

 

「お?ナギちゃん先輩どうした?」

 

「ナツがね、また色々と背負い込んじゃってるみたいだから、雪くんが話聞いてあげられないかな?」

 

おーっと、これはまたタイミングが悪いな。

 

こないだの話以降、ナツ姉がちょっとよそよそしいんだよな。

 

まぁ、ナギちゃん先輩が俺に言ってくるって事は、それなりに深刻そうだし、自主練後にでも話してみるか。

 

「分かった。帰りにでも聞いてみるわ」

 

「ありがとう、雪くん。何か都合よく使ってるみたいでごめんね?」

 

「ナギちゃん先輩が俺んトコ来るくらいの話なんだろ?そんな気にしなくて良いよ」

 

「じゃあお願いね」

 

 

ふーむ、まだ自信持ててないのかね?

優勝したのをさっ引いても、全国でも上澄みだと思うんだがなぁ。

 

 

さて、その前に大喜と話しとかねーとな。

 

「バド部は~、と。お、終わったみたいだな、ちょうど良い。おーい大喜ぃ!ちょっと付き合え」

 

「え、どうした、雪?」

 

「あんま他人に聞かれたくない話なんでな。体育館裏まで行こうぜ」

 

「う、うん、分かった」

 

 

 

「それで話って?」

 

「単刀直入に言う。俺はナツ姉が好きだ」

 

「え?それって、どんな意味で?」

 

「鶴羽雪は鹿野千夏を幼馴染みじゃなく、1人の女として好きだって意味だ」

 

「そう、なのか・・・やっぱり」

 

「やっぱり?そんな風に見えるトコあったか?」

 

「うん。雪はよく千夏先輩をからかって怒らせたりしてたけど、何だかんだ言って最後は自分から折れて仲直りしてたし、千夏先輩が笑顔になったのを見て雪も凄く優しい表情になってた事が何度もあったから」

 

「そんな分かりやすく表情に出したつもりは無いんだがなぁ」

 

「俺が千夏先輩の事が好きだから気付いたんだと思う。多分、千夏先輩も雪の事が・・・」

 

「で、それを聞いてお前はどうすんだ?

俺はお前にナツ姉が好きだと明かす事でケジメをつけたつもりだから、これからは遠慮しねぇぞ?」

 

「正直、戸惑ってる。雪の気持ちは分かったけど、だからっていきなり告白するには覚悟が足りてない」

 

「そうか、分かった。取り敢えずお前がどんな答えを出すかまでは待ってやる。覚悟が決まったなら俺に言う必要もないから、そのまま告白しても構わねぇよ。もしそれでナツ姉がお前を選んだってんなら、諦めるだけだ」

 

ーまぁ、気持ちは伝えるけどなー

 

そう言って雪は帰って行った。

 

千夏先輩に関して、最大最強のライバル(恋敵)が出来てしまった。

 

「どうしよう、千夏先輩を諦めて雛の告白を受けるべきか?

でも俺は千夏先輩が好きだし、でも告白して断られたら・・・

でもそれで雛を受け入れたら、それはそれで“あっちが駄目だったからこっちにした最低野郎”になるんじゃないか?

え、あれ?もしかして俺、詰んでる?」

 

色んな事がぐるぐると頭を巡って考えが纏まらないまま、俺は帰途に着いた。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おーい、そろそろ閉めるぞー」

 

「はい」

 

ヴーッヴーッとスマホが鳴る、お母さんだ。

 

「もしもし」

 

『千夏、誕生日とインハイ優勝おめでとうー!!』

 

「お母さん・・・びっくりした。けど、ありがと」

 

『そりゃ日本まで届かせないといけないからね。プレゼント送っといたから。どう?何か変わった事はない?』

 

「何もないよ」

 

『そう?何か元気のないように感じるけど』

 

「電波乗るとテンション下がって聞こえるんだよ・・・何かあった訳じゃないんどけどね。部活で副キャプテンに選ばれて」

 

『凄いじゃない』

 

「選んで貰ったからにはしっかりやりたい、って思うんだけど、自分の事だけでも色々成長しなきゃいけないのに、チームのこと考えられるかな、私で大丈夫かなって・・・」

 

『千夏。それはやってみて上手くいかなかった時に考えても遅くないのよ。そしてその時、自分だから上手く出来なかったじゃなく、どうやったら上手く出来るのかを考えるの。

貴女は1人で抱え込み過ぎる所があるから、そういう辛い時に誰かに頼ることね。人に頼られるって、結構嬉しいものよ。それに千夏の1番近くに居るでしょ?頼ることが出来る人が。

・・・あ、そろそろ切るね』

 

「うん」

 

ー私が頼れる人ー

 

真っ先に思い浮かぶのはやっぱり・・・会いたいな。

 

そう思ってスマホの連絡先を見てタップしようとした瞬間

 

「お、居た居た、ナツ姉ー。ん?どした?」

 

ー本当に私の欲しい言葉をくれたり、会いたいと思った時に来てくれるねー

 

「どこかに行きたい」

 

「・・・ちょっと待ってくれな」

 

そう言って何処かに電話する雪くん。

 

ーもしもし母さん?ほら、昔行ったあの海岸って何処だっけ?え、何でかって?ナツ姉がちょっとヘコんでっからあそこ行って気分転換して貰おうかなって。うん、うん、あぁ分かった。

あん?余り遅くなるな?まぁ日は沈むかも知れんけど大丈夫だろー

 

「ナツ姉、ちょっと電車乗ることになるけど良いか?」

 

 

ー優花さんに聞いてくれた場所へ行くのに、電車に乗って1時間弱ー

 

「もう直ぐ着くぞ」

 

「うん・・・あっ、海だー!」

 

「ここ、アメリカ行く前はよく来てたんだよ。もう夕方だから泳げねーけどな、ってオイ!」

 

裸足になって波打ち際で遊ぶナツ姉。

 

あーあー、ガキみたいにはしゃいじゃってまぁ。

 

「ま、ちったぁ元気出たみてぇだな」

 

「雪くんも来なよーっ」

 

「はいはい、今行きますよ」

 

「はやくはやく」

 

「そういや願い事叶ったから、ミサンガ無くなっちまったな」

 

「そうだね」

 

そう言って微笑むナツ姉に見惚れてしまった・・・のがいけなかった。

 

パシャっと水を掛けられてしまった。

 

「何しやがる、海水はベタつくんだぞ!」

 

「何か雪くんらしくもなく、ぼーっとしてたから」

 

「ほーん、俺に対してそんな事したらどうなるか分かってやってんだろうな?」

 

それからお互い水を掛け合った。

 

流石にずぶ濡れになる訳にもいかないので、本気ではないが。

 

 

「今日日あんな青春してる子いるんだな」

 

「真夏の日差し並みに眩しいなぁ。けど、これから天気の方は悪くなるみたいだぞ」

 

 

「ナツ姉、待て待て!ここら辺、砂が沈む!」

 

「そんな事ある?」

 

「いやマジだって!気ぃつけねぇとー」

 

「わっ」

 

言ったそばから足をとられて、バランスを崩すナツ姉の手を取る。

 

「っぶね、だから言ったろ、気ぃつけろって」

 

手を離したが、スッと俺の腕を掴んでくるナツ姉

 

「転んで濡れたら大変だから」

 

「確かに透け透けになったら大変だしな。主に俺の理性がw」

 

「もう、またそんな事言うー。でも連れてきてくれてありがとう。日が沈んだら帰ろっか」

 

「ナツ姉、今日誕生日だろ」

 

「うん」

 

「出先だから小さいのだけど買っといた」

 

「ケーキ!」

 

「ちゃんとろうそくもあるからな」

 

「もう17歳かぁ、誕生日って大事だね。大人に近づいていくのを感じられる。雪くんは1月だよね?」

 

「おう、1月29日な」

 

「あー、だから皮肉屋なんだ」

 

「ん?喧嘩売ってんのか、あん?」

 

「ごめんごめん、今雪くんは15歳だから2つ差だね」

 

「もっと歳取りゃカンケーねーよ」

 

「確かにっ」

 

「ハッピーバースデー、ナツ姉」

 

「ろうそくの火、風に消されちゃった」

 

「外だからなぁ」

 

「食べよっか」

 

「ミサンガな。またお揃いで作ってくんねーか?今度は違う色で。次の願い事は、ウインターカップ優勝かインハイ連覇にするか」

 

「ふふっ、うん、分かった」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ザァアアアーーー

 

「こっちだ、ナツ姉」

 

突然の土砂降りに遭い駅まで走ってきた俺たちを待っていたのは、“土砂崩れの為運休(復旧のめど立たず)”の掲示だった。

 

「「え~っ!?」」

 

 

 

「あぁ、だからごめんって。

海で遊んでたら急な豪雨のせいで土砂崩れが起きて、路線運休になったんだよ。

うん、たまたま1部屋だけ空いてて助かったわ。

あん?変なことすんなって?当たり前だろ、こんな状況で手ぇ出す訳無いだろ!冬樹さんにも春菜さんにも合わせる顔がねぇよ!

え?代われ?あーハイハイ、ナツ姉、母さんが代われって」

 

「はい千夏です、優花さん。

え?襲われそうになったらどんな手を使っても良いから撃退しろ?

あはは、分かりました、そうします。

雪くんに代わりますか?代わらなくて良い?はい、はい、おやすみなさい」

 

「ちったぁ自分の息子を信じろってんだよ」

 

「・・・私そんなに魅力無い?」

 

「そうじゃねーけど、今はマジで止めろ下さい、そう言うのは」

 

「今じゃなければ良いの?」

 

「・・・何かグイグイ来るな」

 

と言った時にナツ姉のスマホが鳴る

 

「あ、渚から着信・・・出ても良い?」

 

「勿論」

 

 

「えっ、ビデオ通話ー」

 

「はっ!?」

 

『ハッピーバースデー!Part2ー!』

 

「ありがと。祝うために電話を?」

 

『あと改めて千夏に言っておきたい事があって』

 

「何?」

 

『今日と言うか、ここ最近やっぱりどっか上の空な感じだったから。プレッシャーもあるだろうけど、千夏のことサポートするし、雪くんも助けてくれると思う。私たちはこれから絶対上手くなるから、チームで強くなろう』

 

「うん、ありがと」

 

『ってのを伝えたかったんだけど、何か既にスッキリした顔してるな』

 

「うん、もう吹っ切れたからね」

 

『てかあれぇ?浴衣着てんじゃーん!旅館とかの奴?』

 

「そう、今家の人と泊まりに来てて」

 

『それでかぁ、元気そうなの。花火大会の時、浴衣着れなくて残念そうな顔してたじゃない?雪くんに浴衣姿見せたかったって感じで』

 

「渚だってそうだったでしょ」

 

 

 

 

『じゃあそろそろ切るね』

 

「うん」

 

そう言ってナツ姉が通話を切ろうとした瞬間、テーブルに置かれたコップが落ちそうになるのが見えた。

 

「っぶね!」

 

コップは無事つかんだが、タイミング的に声が聞こえたかも知れない。

 

「声、入ったか?」

 

「多分切れてたから大丈夫だと思う」

 

 

ナツとの通話を切る瞬間、男の人の声が聞こえたような・・・おじさんかお兄さんかな?

 

 

「そう信じるしか無いか。しかしまぁ、本当に良い友達だな」

 

 

「でしょう?私の周りにはいい人しか居ないよ」

 

「ふーん、俺も入ってんの?」

 

「・・・分かってて言ってるでしょ?」

 

「さぁな。さて、そろそろ寝るか。明日はどうやって帰るか考えなきゃならんし」

 

「そうだね。晴れると良いなぁ」

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

朝、目が覚める。

 

隣の布団にはまだ眠ったままの雪くんの顔がある。

 

同居して半年以上経つけど、朝に寝顔見るのは初めてだ。

 

もし、け、結婚したら、毎朝こんな感じなのかな?

 

改めて見ると、サラサラの髪に綺麗な肌をしてる。

 

ー静かにしてたら格好いいのになぁ。でも、いつもの調子だからこその雪くんだよねー

 

そう思いながら彼を見ると、夢を見ているのか色々と表情を変えている。それを見て笑みが浮かぶ。

 

ーそしてー

 

「おはよう、17歳の私」

 

 





ちょっと詰め込み過ぎたかな。

そしてついに大喜に対して、千夏に対する気持ちを明かした雪。

大喜も焦り始めた事で、これからどうなるのか。
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