アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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合宿から帰って数日、菖蒲は雛たちを誘って街に遊びに出掛けたが、そこで思わぬ人物と遭遇してしまい・・・


EP39 息抜き

 

「ひなっち!遊び行こー!」

 

合宿から数日経った部活後に、菖浦ちゃんに遊びに誘われた

 

「え、今から!?」

 

「3泊4日の禁欲生活が終わったから、気持ち切り替える為にもぱぁっと遊ばないと」

 

「じゃあ皆で行かない?」

 

「あらあら、早速いのたとのラブラブっぷりを見せ付けたいのかしらぁ~?」

 

「そ、そんなんじゃないけど、今まで皆で遊びに行くって無かったから」

 

「私とひなっち、いのたと後は?」

 

「雪とちーちゃん、それと匡くんかな?」

 

「え?あの横入りメガネも!?」

 

「匡くん良い人だよ?一歩引いた所から物事を見てるから、知らないと冷たい印象あるかも知れないけど、雪とはまた違う意味で頼りになるって言うか・・・」

 

「ん~ん~、ひなっちがそこまで言うなら、まぁ良いかな・・・」

 

「じゃあ決まりだね!皆に声掛けてくる!」

 

ひなっちはああ言うけど、あのメガネがそんな良い奴だとは思えないんだよね。

 

「ま、ちょっと遊びに行くだけだし、そこまで気にする必要無いか!」

 

この時の私は横入りメガネー笠原匡ーの事をその程度の認識しかしていなかったが、この日を境に彼への印象がガラッと変わる事をまだ知らなかった。

 

「さー、やってきましたゲームセンター!先ずはプ◯クラね!」

 

「暫く別行動で良いだろ?さて、何か良い景品あるかねー」

 

ゆっきーはそう言って、クレーンゲームの方へとさっさと行ってしまった。

 

「ちょっとゆっきー、って行っちゃった・・・あいつ自由過ぎない!?」

 

「「今更だな」」

 

「「今更だね」」

 

「まぁ女子は固まって行動してたら良いと思うし、俺たちは別行動って事で」

 

「そうだな。俺も久し振りに来たから、あちこち見て回りたいし」

 

「あ~、もう分かったわよ!その代わり連絡したら直ぐ来なさいよね!」

 

 

ー分かったー

 

と返事をして、匡と見て回る事にした。

 

「本っ当にあいつらはもう~。こんな美少女3人放っておいて別行動するかな!ナンパされるとか考えなさいよね!!」

 

「あの3人なら大丈夫、その辺ちゃんと考えてると思うよ。特に雪は・・・ほら、見える場所に居てくれてるから」

 

「ふ~ん、ちーちゃん、ゆっきーに愛されてるねぇ」

 

「////そ、それよりどれで撮ろうか?」

 

「じゃあこれで!」

 

そう話しながら3人で色んなプリ◯ラを撮る。

 

「なんか顔ちがくない?」

 

「それを楽しむものでしょ!あ、ひなっち赤リップ似合うじゃん!」

 

「実際は塗ったことない・・・こんなあざやかなの」

 

「ちーちゃんは、やっぱりピンクかな?」

 

「私、メイク自体あんまりしたこと無いからなぁ」

 

「じゃあ今度買いに行こ!」

 

「うん」

 

「そうだね」

 

 

それから色んなゲームをして楽しんだ。

 

クレーンゲームで雛ちゃんがぬいぐるみを取れず、必死になっている時だった

 

「あれ?菖蒲じゃね?」

 

「何、知り合い?可愛いじゃん」

 

「元カノ」

 

「勿体ねぇ、何で別れたんだよ?」

 

「え?いや、それがさぁ基本ワガママって言うかぁ、店員への態度とかいちいちうるさくて。もっとラフな感じで付き合えると思ったのに」

 

ー不器用だけど、良い人そうと思ったんだけどな・・・私の見る目が無かったなー

 

「思ったのと違ったと言うかぁ、俺以外とも長続きしてないんだよな?

お姉さんはイケメンの彼氏が居るんだし、ちょっとは見習って思いやりとかそういうものを・・・」

 

「!あんたっ」

 

「って事にしないと自分を保てないんですよね」

 

「えっ!?」

 

「匡くん!?」

 

「本気で言ってるなら、あなた見る目ないですよ。自分はまともで、振る方がおかしくて、相手が間違ってるって思えば、気が楽ですからね」

 

「何だよお前?横から入って好き放題言いやがって!」

 

「えー、守屋さんが言う所の横入りメガネです、宜しくしなくて良いですよ。

守屋さんは確かにワガママで自分勝手に見える所があるけど、行動の根幹には相手の事を思ってるって事も多いんですよ」

 

・・・そんな風に見てくれてるんだ。

 

「ちっ、鬱陶しいんだよ!」

 

そう言って、元カレが笠原くんに詰め寄ろうとした時

 

「楽しそうじゃねーか、俺も混ぜてくれよ」

 

ゆっきーが元カレと肩を組む形で、ガシッと抑えてくれた。

 

「つ、鶴羽、くん?」

 

「おうよ、皆大好き鶴羽雪くんだ。

ま、全部聞いてたんだけどな。確かに守屋妹はワガママで自分勝手、思い込みが激しくて突っ走って、それで周りに迷惑掛けるのもしょっちゅうよ」

 

「ちょっと、あんたどっちの味方よ!」

 

「な、なら俺の言ってる事は間違ってな「でもな」い?」

 

「それはお前も同じだろ?

自分が勝手に思い描いてた菖蒲のイメージと違ってたからって、フラれた相手を悪く言って自分を正当化してるじゃねーか」

 

「でも、それは」

 

「大方フラれた時に痛い所突かれでもしたんだろ?

自分でも気にしてる事を本当の事とは言え、他人に言われたら腹も立つわな」

 

「・・・そうなんだよ、注文する時って親にも昔から声が小さいって言われててさ。でも仕方ないじゃないか、向き不向きもあるし、ちゃんと注文出来てるんだからさぁ」

 

「そりゃそうだ。それに関しちゃあ、菖蒲が短気過ぎだな」

 

「ゆっきー私の事、まだ嫌ってるの?」

 

「いんや?事実を客観的に見てるだけだ。

さておき、そうだとしてもだ。

女の多少のワガママは、ぐっと堪えて笑い飛ばすのが男ってもんよ。

そうすりゃあ、見てくれてる人は居るもんだ。

菖蒲とは恋愛的に縁がなかったと割り切りゃあ、友だちとしては悪くないと思うぞ?」

 

「それは、まぁ」

 

「それに菖蒲は交遊関係も広いから、何なら相性良さそうな子を紹介してくれるかも知れん。無駄に険悪にならない方が賢明だろうよ」

 

「あ、うん、そうかも」

 

「ま、さっきの今でそんな簡単には行かねーだろうが、自分を磨いて見返してやるくらいに思ってりゃあ良いんだよ」

 

そう言って笑顔で元カレの背中を、バンと叩くゆっきー。

 

「・・・菖蒲、突っ掛かって悪かった、ごめん。じゃあな」

 

「あ、うん、じゃあね」

 

そう言って元カレは友だちと帰って行った。

 

「ありがとう。凄いねゆっきー、あんな険悪な雰囲気だったのに円満に終わらせちゃうなんて」

 

「いやいや、礼を言うなら匡にもだろ?コイツが最初に助け船を出したから、元カレの意識がお前から逸れたんだからよ」

 

「助け船と言うか、俺は思った事を言っただけなんだけど」

 

「それを素で出来るお前も大したもんなんだよ。な、守屋妹?」

 

「また守屋妹!?さっき名前で呼んでたじゃない!」

 

「あの元カレに合わせてただけだ」

 

「ぷっ!」

 

「!この横入りメガネ・・・ふぅ、まぁ良いわ。笠原くんもありがとう、助かったわ」

 

「あれ?何か思ったより素直」

 

「私だって助けられたら、感謝くらいするってぇの!」

 

全くもう。素直なのはいのたくらいね。

 

そう思っていると

 

「いつもワガママ放題、自分のやりたい様に自由気儘にやってる雪が言うと説得力が皆無だよね、雛ちゃん?」

 

「そうそう、菖浦ちゃんは知らないだろうけど、私たちも雪に散々迷惑を掛けられてるんだよ」

 

「被害受けてないのって、匡くらいじゃないか?」

 

「え?私にあれだけ言ったくせに、ゆっきーもそうなの?」

 

「何を言ってるんだい、キミタチは?

原因はキミタチにこそあるから、ボクを悪者に仕立て上げようとしているんだろう?

菖浦さん、彼女たちの話を真に受けてはいけませんよ」

 

「成る程、分かったわ」

 

「分かってくれましたか!」

 

「そんなわざとらしい話し方をするアンタが悪いって事がね!」

 

「ちっ、流石にそこまでバカじゃねーか」

 

「あ・ん・た・ね~」

 

「あー、これで菖浦ちゃんもコッチ側だね」

 

「うん、これからはもう私たちと同じ目に遭うんだろうね」

 

「守屋さん、気を強く持ってね」

 

「私は今後も思ったことはハッキリ言わせて頂くんで!それが私なので宜しく!

相手がどうとか知らんわっ。 

どう捉えるかはその人に任せた!これがキラわれるのも分かるけどね」

 

そう言うと笠原くんが

 

「まぁ良いんじゃない?1人くらいそういう人が居ても」

 

「何か上からなんだよなー」

 

「初めて言われた」

 

「え゛」

 

「さぁさぁ、まだまだ時間はあるんだ、楽しむ時は楽しもうぜ!」

 

ゆっきーの言葉で皆でゲームを楽しんだ。

 

だけどエアホッケーのパックって、高校生男子くらいになると凶器に変わるんだね。

 

ゆっきーが打ったパックが浮いてしまい、いのたのお腹に命中して悶絶してたし。

 

 

 

「あー、楽しかったー」

 

「大喜なんか、クレーンゲームのアームが動く度に百面相してたもんな(笑)」

 

「し、仕方ないだろ!掴んで取れそうだったりしたんだから!」

 

「まぁ、結果的に雛のあの顔見られて良かったじゃねーか」

 

そこには大喜が苦労して獲った、大きいヒヨコのぬいぐるみを抱いた笑顔の雛が居た。

 

「良かったね、ひなっち」

 

「うん!」

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

皆と別れて家に向かう途中、笠原くんの言葉を思い出す。

 

ー守屋さんは確かにワガママで自分勝手に見える所があるけど、行動の根幹には相手の事を思ってるって事も多いんですよー

 

ーまぁ良いんじゃない?1人くらいそういう人が居ても」ー

 

私は思い込みで空回りして、他人に迷惑を掛ける事が多い。

 

でも笠原くんはそんな私の事をちゃんと理解してくれていて、その上でそんな人が居ても良いと言ってくれた。

 

遊びに行く前はただの嫌味な人と思っていたけど、今はひなっちが言っていた「1歩引いた位置から物事を見ている」って意味が理解出来る。

 

・・・よし!1回ちゃんと話してみよう!

 





菖蒲が匡に対する認識を改めました。

ですが、まだまだ恋心と呼べるものではありません。
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