アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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書いて読み直して削って、読み直して書き足しての繰り返し。

趣味でこうなんだから、本業の人たちは本当に凄いし尊敬する。


EP4 同居ってマ?

 

さて、秋に帰国してから早いものでもう12月である。

 

編入手続きしたその日に帰宅してから「ナツ姉に会った、スゲー可愛くなっててビビったわ」と母さんに報告したら、「あらあら、アンタ昔から千夏ちゃんに見惚れてたからねー。春菜(千夏母)に言っとかなきゃw」とからかわれたでござる、解せぬ。

 

さておき、あれから基本的に週に半分くらいのペースでバスケ部に顔出して、それなりに迎え入れて貰えたと言う自覚はある。

 

しかし流石にスポーツ名門校と呼ばれるだけあって、どの部活も総じてレベルが高い。

 

パッと見だが、バド部では県3位の針生さんーハリーさんと呼んでるーが、頭1つ抜けてる。

 

ありゃあバド部で1番全国に近いな。

 

そしてナツ姉を擁する女バスも、今年は全国狙える力はある。

 

ただ、我が男バスがなぁ・・・

 

弱くはないんだよ?うん、本当に県でも上位に食い込めるとは思うよ?

 

でも何と言うか「勝ちに貪欲じゃない」、「勝ち慣れてない」、「諦めが早い」等々、兎に角メンタル面が弱い!(断言)

 

流石に「女バスより弱い」って面と向かって言われてるのにヘラヘラしてるのを見た時はもう、「オイ、テメーら悔しくねーのか!」って、敬語無しで怒鳴りそうになったもんな。

 

グッと堪えた自分を褒めてやりたい。

 

まぁこれは一朝一夕でどうにかなるもんじゃないから、時間掛けて意識を改善して行くしかない。

 

何なら経験者の新入生に期待して、そいつらを徹底的に鍛え上げた方が手っ取り早いかも知れんな、とまで考えてる、マジで。

 

そんな事をアレコレ考えてたら、終了間際にナツ姉に裾を摘ままれて声を掛けられた。

 

「雪くん、今日ちょっと話したい事があるから一緒に帰ろ?」

 

「ん、分かった、校門出た所で良い?」

 

「うん、それじゃ後でね」

 

それだけ言うと小走りで部室に向かって行った。

 

何か追い詰められてると言うか、切羽詰まった様な顔してたし、あんまり良い話じゃなさそうだな。

 

「まぁ話聞かなきゃ始まらんし、俺も着替えて校門行くか」と、いそいそと着替えて校門へ向かう。

 

校門出て待つ事数分、ナツ姉がやって来た。

 

「じゃ、取り敢えず帰るか」

 

「うん・・・」

 

歩き出して数分、沈黙が続く。

公園に差し掛かったので中に入りベンチに座る。

 

イヤ本当にどうした?見た事ないくらいに落ち込んでんだけど!?話の内容聞くのがコエー。

 

はっ!?アレか?

 

可愛くて人気者が故に、ストーカー被害に遭ってるとかか?

 

もしそうならそんな不届き者は、俺がこの手で処すしかあるまい!

 

「ナツ姉、安心しろ!不審者なら俺がこの手で始末してやるからな!」

 

※この男、心配の余り暴走している様に見えるが、これが平常運転である

 

「え?え?何の事?私別に付きまとわれてないよ、落ち着いて、雪くん」

 

「あ、そーなの?なら良かったけど、結局話って何なの?」

 

「・・・実は今度はウチが海外転勤になっちゃった」

 

「はぁ!?え、ちょ、マジで!?」

 

「昔雪くんが居なくなったのに、冗談でこんな事言えないよ・・・折角雪くんが帰ってきてくれて約束果たせると思ったのに、今度は私が!」

 

再会した時とは違い、とても苦しそうな辛い顔で大粒の涙を零すナツ姉。

 

「越境生も居るし寮は?」

 

「今は空きが無いって。仮に空きがあっても生徒に何かあった時に保護者が対応出来ないと入寮も難しいらしくて」

 

確かに遠隔地から越境してる生徒でも、国内に親が居れば遅くとも翌日には来られるからな。

 

んーーー、コレは困った、流石にいち学生でしかない俺では手に余る問題だ。

 

「確認だが、ナツ姉は行きたくないんだよな?」

 

「勿論そうだよ。海外なんて行かずに渚や先輩たちと一緒にバスケしたい!何より雪くんとの約束を果たしたい!!」

 

最早慟哭と言って良いくらいに泣き叫ぶナツ姉。

 

スッと立ち上がり隣に座るナツ姉の前でしゃがみ込み、その華奢な手を俺の両手で包み込む。

 

ハッとして俺を見るナツ姉。

 

「・・・学生でしかない俺たちだけで答えは出せない話だから、家に帰って親と話してみるしかないと思う」

 

「そうだね、ここで泣いててもどうにもならないよね、ごめんね雪くん」

 

その言葉と無理な笑顔を残して、ナツ姉は帰って行った。

 

ーごめんねー

 

その一言が、子供の俺がナツ姉に言った言葉を想起させた。

 

言った俺があれだけ苦しかったんだ、言われたナツ姉も理不尽に対して叫びたかった筈なのに、笑顔で新しい約束までしてくれた。

 

それがどれだけ無理をしていたのかが、今同じ立場になった俺には良く分かるし、心底尊敬出来た。

 

しかしとは言えどうしたもんかと、ウンウンと唸りながら俺も帰途に着いた。

 

「たでーまー」

 

「お帰り、あらアンタどうしたの?珍しくそんな難しい顔して?」

 

「人の顔見るなり失敬な。あーいや、それはどうでも良いんだけど、マジで重大事件があってね」

 

「重大事件って、まさかアンタ先輩にイジメられ・・・る筈がないし、逆にイジメたのがバレたとか?だからやるならパレないようにってあれ程・・・」

 

※この息子にしてこの母アリである。

 

「んな訳あるかい!今度はナツ姉んちが海外転勤になるからどうしようって言われたんだよ!」

 

「え?いつ!?」

 

「あー、海外転勤って聞いて俺もパニくってたし、ナツ姉も落ち込んでたから聞くの忘れた」

 

「分かった、春菜に聞いてみるからアンタは取り敢えず風呂入ってご飯食べなさい。腹減ってると悪い方悪い方へ引っ張られて、良い考えも浮かばないからね」

 

「うん、有難う。大人に任せなきゃどうにもならんと思うし、何か解決法があれば良いんだけどね」

 

そう言って風呂に入る。

 

何だかんだ言っても母さんは面倒見が良く顔も広いから、何かしらの対応策はあると信じたい。

 

何なら父さんの伝手を頼るのも1つの手か?

 

「折角6年ぶりに帰ってきて約束果たせると思ったのに、コレは無いよなぁ」と、運命のイタズラを呪いたくなった。

 

何の進展も無いまま2週間が過ぎた土曜日の朝

 

「おはよ~」と、寝惚け眼でリビングに入る。

 

すると

「おはよう雪くん。朝食はご飯?パン?そ、それとも・・・わ、私?」

 

「あ~、じゃあナツ姉で」

 

「くぁ~っ」と欠伸をして寝惚けた頭で言うと、「・・・/////」と、これでもかと顔を真っ赤にするナツ姉。

 

は?いやいや待て待て待て、何でこんな朝っぱらからナツ姉がウチに居んの?俺まだ夢見てんの? 

 

と言うか、絶対母さんに言わされただろ!

 

そんなに恥ずかしがるくらいなら、何で素直に言う事聞くかねぇ・・・

 

そう思い周りを見ると、母さんとナツ姉の母親である春菜さんがヒソヒソと何かを話しながら、こちらを生暖かい目で見ていた。

 

「え、どう言う事?」

 

「千夏ちゃん、ウチで預かる事になったから。変な事しちゃダメよ!」

 

「マ?」

 

と少し前の流行り言葉が口から出た。

 

「そうそう、そう言うのはまだ早いからね~。でも相手が雪くんで千夏が良いなr「ちょっと、お母さん!」あらあら、この子ったら照れちゃって」

 

・・・何、このカオス。

 

 

「ごほん。改めまして鶴羽家でお世話になる事になりました鹿野千夏です、宜しくね雪くん!」

 

「お、おぅ鶴羽雪です、こちらこそ宜しくお願いします?」

 

まだ頭が上手く回らず、つい疑問系で答えてしまう。

 

「取り敢えず慣れて貰う為に、週末はウチに泊まる事になったからね」

 

「雪くん、さっきの冗談は置いといて本当に宜しくお願いね。2人で約束守るんでしょ?」

 

そう言われたら返す言葉は1つだけ。

 

「ハイ!目標はナツ姉と一緒にバスケで全国制覇!」

 

これしかない。

 

「それとナツ姉に悪い虫がつかない様に、しっかりと目を光らせときます!」

 

胸を張って答える。

 

するとママーズが、「コイツ本当に何言ってんだ(蔑)」ってゴミを見る様な目で見てくる。

 

あるぇ~?と思いナツ姉を見ると、こっちも「まぁ雪くんならそうだよね」って呆れてた。

 

「千夏ちゃん、この馬鹿の手綱任せるから好きに使って良いからね」

 

相変わらず酷い扱いである。

 

「ハイ、新入部員として馬車馬の様にこき使ってあげます!」

 

オイちょっと待て、ナツ姉もかよ!?

 

「千夏も苦労するわねぇ」

 

「お、お母さん、何言ってるの!」

 

女三人寄れば姦しいとはよく言ったもんだ、と思いながらふと気付く。

 

 

「・・・俺の朝飯は?」

 

 




雪くんは男バスのレベルを見て合わせているので、全く本気でやってません。

マジで入学後に新入生を抱き込んで、使えない上級生をレギュラー落ちさせる腹積もりで居ます。

そしてママーズの本音は「2人がくっついてくれたら良いのになぁ」と思っているので、雪くんの発言を聞いて半ギレしてます。
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