アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~ 作:お面ライダーよっしー
今回は短いです。
合宿から帰ってきた雪と千夏から正式に付き合う事になったと報告を受けた母親たちと、雪から報告を受けた冬樹さんの反応です。
合宿から帰ってきた雪と千夏ちゃんから、正式に付き合う事になったと報告を受けた私は、時差も考慮せずに春菜にメッセージを送っていた。
ー大変大変!雪と千夏ちゃんが正式に付き合うって報告してきたわー
ーえぇっ!本当に!?ー
ー秋合宿最後のキャンプファイヤーの時に、雪から告白したって言ってたわー
ーあのジンクス、まだ伝わってるのかしら?ー
ーそうみたい。でも雪はそれを知らなくて千夏ちゃんの友達に教えて貰ったけど、「ジンクスって縁起が悪いとか不運を招くって意味だぞ」って返したらしいわー
ー雪くんらしいわね。他の子たちがドン引きしてそうー
ーそれでもジンクスどうこうなんて関係無い、千夏を待たせてる以上もう今ここで告白してやる、って決めたって言ってたわー
ー流石の思い切りの良さね。判断が早いわー
ーそこは私たち夫婦が“何事も早く正確に”、って鍛えたからね・・・ってごめん、着信来たからまた後で連絡するわー
ー分かった、じゃあ千夏に連絡してみるわー
そう言って1度春菜とのメッセージを止める。
「もしもし由紀子、どうしたの?」
「いえね、雪くんと千夏ちゃんがあのキャンプファイヤーで告白してOKして付き合う事になったって聞いたから」
「そうなのよー、やっとあの2人がくっついてくれて、私は本当に嬉しくて嬉しくて」
「それなんだけど、実は大喜にも彼女が出来たって言ってきて写真も見せてくれたんだけど、千夏ちゃんとはまたタイプが違う可愛らしい子でね、私も嬉しくなっちゃって!」
「え?大喜くんにも彼女が出来たの!?じゃあ今度はウチでパーティーね!日程調整しなくっちゃ!さぁ忙しくなるわよー!!」
「優花だけに任せるのも何だし、私も何か差し入れするわ。被らない様に当日より少し前に優花の用意するもの教えてね」
「えぇ、分かったわ。それと大喜くんの彼女の写真って雪達持ってないかしらね?私も見てみたいわー」
「私が大喜から送って貰ったのがあるから、後で送るわ」
「ありがとう、お願いするわ由紀子。じゃあ私は春菜にメッセージ送るからそろそろ切るわ。また日程について相談しましょ」
「えぇ、分かったわ。それじゃ」
そう言って通話を終えてから由紀子が送ってきた写真を見て
「あら~、この子も可愛いわねぇ。大喜くんも中々やるじゃないの」
そう思った。
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「それで、初めは合宿が終わってからって言われたみたいなのよ。でもキャンプファイヤーで告白して受け入れてカップルになるのを見た千夏が“いいなぁ”って無意識に呟いてたのを聞いた雪くんが、“ここで良いのか?俺は2人っきりの時に言おうと思ってたんだが”って聞いてきたんですって」
「あの雪がそんな事をねぇ。それで千夏ちゃんは何て?」
「“どんと来い、雪”ですって(笑)それから“本気だよ、もう待てない”だって。もー暑くって仕方なかったわー」
「・・・誰か動画でも撮ってないかしら?息子のそんな姿、見たくて堪らないわ!」
「あの子は?ほら、千夏の親友の・・・渚ちゃん!雪くんが声掛けるまで隣に居たって言ってたし」
「そうね、それとなく千夏ちゃんから連絡先聞いてみるわ。前も雪のジャージを千夏ちゃんが着るのを手伝ってくれたから、もしかしたら撮ってくれてるかも知れないし」
「私が聞くと流石に不審がられるから、優花に任せるしかないわね」
「雪が知ってたらそっちからでも良いのよねぇ。1度聞いてみるわ」
「じゃあ分かったら教えてね」
「えぇ分かったわ、時差考えなくてごめんね」
「良いのよ、こんな嬉しい事なら気にしないわ」
またね、と言って通話を切る。
「さて、雪と千夏ちゃんどちらに聞こうかしら」
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ー今お時間ありますか?ー
俺は今、千夏の父である冬樹さんにメッセージを送った。
千夏に告白して了承を貰い、正式に付き合う事になった事を報告する為だ。
ー何かあったのかね?ー
ー千夏さんに告白して了承を貰い、正式に付き合う事になりましたー
ーそうかー
うん、知ってた。もうツッコまない。
ー勿論、高校生として節度のある交際をするつもりですー
ーその点に関しては君を信じている。
が、寧ろ千夏の方がのめり込まないかが心配になるー
ーと言うと?ー
ーあの子は良くも悪くも真っ直ぐな性根をしているから、君と想いが通じ合った事で恋愛に傾倒し過ぎないかが心配でねー
ーその辺は行き過ぎる様なら、俺の方でブレーキ掛けますー
ー千夏も君の言う事なら素直に聞くとは思うが、暴走しそうなら同居の件を盾にしてくれても良い。
私が卒業までの部屋を用意すると言っていた、と言ってくれて構わんよー
ーそこまで、ですか。
分かりました、暴走しそうなら冬樹さんが同居はナシで部屋を借りる手筈になってる、って話しますー
ー私も君を信じているとは言え、やはり心配は心配だと言う事も忘れないで欲しいー
ー肝に銘じますー
ーでは、失礼するよー
ーはい、失礼しますー
・・・はぁ~~~、流石に緊張した~。
結婚の挨拶ならともかく、交際の報告を相手の父親にするってのは、そんなに無いだろ。
まぁ別に疚しい事はしてないし、今後もちゃんと報連相はしていくつもりだ。
しかし冬樹さんの言葉が少し引っ掛かる。
「千夏がそこまでのめり込む、かねぇ?」
この時点ではそう思っていた俺だったが、後々冬樹さんの言葉が間違いじゃなかったと思い知る事になる。
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ーあ、渚ちゃん?ごめんね急に、雪の母の優花ですー
ーいえ、いつもナツや雪くんからお名前は伺ってます。それで何か聞きたい事があるって話ですけど?ー
ー秋合宿の告白についてなんだけど、雪の告白の動画って撮ってないかなぁ~?って思ってねー
ーえ?あ、まぁ2人には悪いと思いましたけど、友達であると同時に栄明の超有名人達の告白ですから最初から最後まで、あ、優花さんは大喜くんも知ってますよね?彼とその彼女も巻き込まれてる所まで撮ってありますけどー
ー本当に!?良かったら送ってもらえないかしら!
あの子達に何か言われても、私が全部責任取るからお願い!!ー
雪くんの母親である優花さんとメッセージのやり取りをして思ったのが
“やっぱりあの雪くんのお母さんだけあるな”
って事だった。
ーはい、分かりました。ただフォローはお願いしますねー
ーそこは任せなさい、伊達に雪の母親やってないわよ。あ、いずれ千夏ちゃんも娘になるのかしら?あー楽しみだわーー
本当に雪くんがあんな性格になるのも頷けるわ、このお母さんなら。
うん、余り深入りしない方が良さそうだ、と思った私は動画を送って挨拶してやり取りを終えた。
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渚ちゃんからの動画を観た私は、驚きと感激とニヨニヨが止まらなかった。
一通り観終わった後に春菜と由紀子にも送って、母親トークで長時間盛り上がったのは言うまでもなかった。
息子たちに彼女が出来た事を単純に喜ぶママーズと、それを当事者から聞いて内心は複雑なダディでした。
そして雪の告白動画を観たマザーズ達は、余りの堂々っぷりに若干引いてますが、同時に頼もしさも感じてます。
由紀子さんは巻き込まれた大喜のキョドりっぷりを見て、雛ちゃんウチの子選んで大丈夫かしら?と心配になってます。