アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~ 作:お面ライダーよっしー
年末年始は両親と共に父の実家で過ごす事になった千夏。
久し振りに千夏の居ない家に、若干の寂しさを感じる雪だった。
栄明女バスは、ウインターカップ3回戦で敗退した。
相手はその後優勝するチームだったのがせめてもの救いだが、インハイ王者として臨んだだけに生まれた悔しさと、ウインターカップだけ見れば前回より良い成果だったのが尚更複雑な気持ちにさせた。
女バスの悔しさを背負い俺たち男バスはウインターカップ決勝に臨み、これを制して栄明男バス初の夏冬連覇を果たした。
「決勝はインハイと同じ星煌だったけど、インハイ優勝で推薦決まった青木さんが残ってくれてた分、助かったね」
「そうだな。夏で引退した水谷さんの分は松さんが戻って来たから、戦力的には若干夏より上だったのもあるしな」
「と言うか、来年代わりのセンターどうする?って話にもなるんだけど」
「青木さんが卒業する前に、2年の飛田さんと新渡戸さんを鍛えて貰わないとな。
ソーゴもゴリゴリのパワータイプのC相手だとキツいだろ。目処が経つまでは俺がCを兼任して、まっつんにPF兼任して貰うか」
「鳴瀬はワンポイントならともかく、まだレギュラーには厳しいし、SFは誰がやる?」
「現状だと2年なら黒崎さん、1年なら北澤かな」
「じゃあそのセンで進める様に、監督に話してみるか」
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「おめでとう雪、ウインターカップ優勝」
「ありがとな、千夏。・・・惜しかったな」
「うん、凄く悔しい。けど、何が足りないか課題も分かったから、これからはもっと頑張る!」
「俺たちに手伝える事があれば遠慮なく言えよ?いつもと違う顔だからこそ、言える事もあるからな」
「ありがとう、皆にも伝えとくね」
「・・・無理すんなよ」
ウインターカップ終わったばかりでまだ決まってないだろうけど、恐らく女バスの新部長は千夏になるだろう。
上が居なくなって自分達が最上級生になり、その上部員を引っ張る部長と言う立場を背負うとなると、今までより相当なプレッシャーになるだろう。
ナギちゃん先輩やお下げ先輩がフォローしてくれるだろうが、千夏は1人で抱え込むクセがある。
「そこに気付いてやれるか、だな」
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「千夏ちゃん、春菜達20時に日本(こっち)到着するのよね?」
「はい、なので18時には迎えに行こうかと」
「その後、長野のおじいちゃん家行くんだっけ?明日から年始まで。私たちは少し寂しい年越しね」
「そんなそんな」
「おはよーさん」
「あんた寝癖酷いわよ?シャキッとしなさい」
「へいへい」
「雪、今日は体育館の年末大掃除だからね!」
「分かってるよ」
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「さぁ、年末大掃除だぞー。今年1年の感謝を込めてしっかり綺麗にしろよー」
「雪、あっちは終わったから、他手伝ってやって」
「はいよー」
「コラッ、そこー!布巾は丸く拭かない!垂直平行に手を動かすの!角の埃も見逃さないっ!」
「マネージャー意外と掃除とか細かいよな」
「最初は可愛いマネージャーやったーって思ったけど、オカン並みにキビシイ・・・」
「いのたも何突っ立ってんの!作業終わったんなら、備品の数確認行ってきて!ネットの数とか」
守屋さんにそう言われて用具室に行くと、バスケ部の人たちも居てごった返していた。
「おう大喜、お前も備品の確認か?」
「うん、守屋さんにこき使われてる(笑)」
「確かにあいつは、やたらと張り切ってたな」
「あの人は良くも悪くも真っ直ぐなんだろうね。雪は合宿の件で分かってるだろうけど」
「まぁな。思い付いて即実行の前にちょっと考える事が出来れば、周りへの被害は相当減ると思うんだがなぁ」
「じゃあ俺はこの荷物、教員室まで運んでくる」
そう言って匡は用具室から出ていった。
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大掃除の監督(自称)をしながら周りを見ていると、匡くんがダンボールを運んでいるのが見えた。
彼も私に気付くと近寄ってくる。
「守屋さん、これ運ぶの手伝ってくれない?」
「え?」
「教員室まで。結構重くて」
「いいけど、匡くん力ないねぇ。もっと鍛えなきゃ枠取れないよ?」
「守屋さんって、何気に力あるよね」
「オイ、バド部」
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「さて早目に終わった事だし、帰るか千夏」
「うん、お父さん達の飛行機早くなったみたいって連絡来たし」
「じゃあさっさと帰って、父さんに送って貰うか」
「お帰り!お父さん、お母さん!!」
「ただいま、千夏」
「インハイ優勝おめでとう、よく頑張ったな」
「ありがとう、お父さん!でもウインターカップは3回戦負けだったから、次は優勝する!」
「雪くんも千夏を支えてくれてありがとうね」
「あー、俺は俺に出来る事をやっただけで・・・」
「それが誰にでも出来る事じゃないからこそ、春菜は君にお礼を言ってるんだよ、雪くん」
「冬樹さんもお久し振りです。この前メッセージした通り、千夏さんと正式に付き合う事になりました。
父親として心配もあると思いますが、節度ある交際をすると約束します」
「そうか」
はい、“そうか”いただきましたー。
「雪くん、私たちは貴方を信じています。寧ろ千夏が恋愛にのめり込み過ぎないかの方が心配だわ」
「それ冬樹さんにも言われたんですけど、千夏がそこまでのめり込みますかね?」
冬樹さんと話している千夏を横目に見て、そう問い掛ける。
「・・・ここだけの話、子供の頃に貴方と別れた後なんか“もう雪くんと会えない”って、結構長い間引き摺ってたのよあの子。
それが去年、もう会えないと思っていた貴方が帰って来てくれた、そして秋合宿で想いが通じて恋人関係になった事が重なって障害が無くなったから、暴走しそうで怖いのよ」
「あー、何か分かるかも」
「何かあった?」
「彼女の母親に言う事じゃないかも知れませんが、寝る前におやすみのキスをせがまれました」
「えぇっ!?」
「ちょ、ちょっと、声大きいですよ、春菜さん!」
冬樹さんと千夏が何かあったのか?と、こちらを見ている。
ちょっとしたサプライズだから、気にしないで良いぞー、と言っておいた。
「それで・・・したの?」
「あー、ハイ、軽く触れる程度で。
ただお二人の話を聞いてるとエスカレートして行きそうで怖えーな。自重覚えさせないと」
「そうね、おじいちゃんの家に行く間に冬樹さんとも話して、千夏にも私からクギ刺しとくわね」
「お願いします。冬樹さんには同居解消と部屋探しを盾にしても良いと言われてますから」
「ええ、それじゃあそろそろ行くわ、よいお年を雪くん」
「はい、春菜さんもよいお年を。冬樹さんにも挨拶してきます」
そう言って雪くんは冬樹さんの方へと歩いていった。
「冬樹さん、春菜さんがそろそろ行きましょうって」
「ん?もう時間か。では雪くん、よいお年を。年明けからまた千夏の事を宜しく頼む」
「はい、承りました。それと千夏については春菜さんからもクギ刺してくれるとの事です」
「そうか、分かった。私の方でも注意しておこう」
「お願いします。それでは千夏に挨拶してから、俺もお暇します」
そう言って最後に千夏に挨拶しようと振り返ったら
「雪、年明けまで会えないんだからハグとお別れのキ「言わせねぇよ!」何で!?」
「何でも何もお前、両親の前で何考えてんの!?」
「だって、彼氏に1週間以上会えないんだよ?それくらいしてくれても・・・」
「冬樹さん、春菜さん、何か言ってやって下さいよー、この駄々っ子に」
「千夏、貴女は少し我慢を覚えなさい!雪くんも困ってるでしょ」
「そんな事を続けるなら同居は無しにして、年明けから私の用意した部屋に引っ越して貰う事になるが、それでも良いのか?」
「えっ!?・・・それはヤダ」
「なら、我慢覚えるこったな」
「む~、雪は彼女と離れ離れになるのに平気なんだ?ハッ!?まさかうわk「してねーからな!」」
いや、本当に千夏がここまでポンコツになるとは思ってなかったわ・・・
「はぁ~、仕方ない。お2人とも、ちょっと千夏お借りします。ほら、こっち来い千夏」
そう言って千夏の手を取り、2人から見えない少し人気の少い柱の陰に移動する。
「どうしたの雪?んっ・・・」
周りを確認して軽く口づける。
「ほら、これで良いだろ?戻るぞ」
「うんっ!」
はぁ~、何だかんだ俺も甘いよなぁ。
2人の元に戻ったは良いが、ニコニコ顔の千夏を見たら察するよなぁ。
「ホンっと申し訳ない!俺にはもうこれしか手がありませんでした!!」
勢いよく頭を下げる俺。
「・・・本当は宜しくないんだが、まぁ仕方あるまい」
「雪くんごめんなさいね、向こうに居る間にちゃんとO・HA・NA・SHIしとくから」
「いや、本当にお願いします。下手すりゃ学校でもやりかねませんし、そうなると大事になっちゃうんで」
「分かった、私からもキツく言っておく。ではそろそろ向かうので失礼するよ」
「はい、今度こそよいお年を」
「雪!」
ん?と思う間も無く千夏が抱き付いてきた。
「ハグはしてなかったなって」
「はいはい、いい加減にしないと本当に怒られるから、もう行きなさいな」
「じゃあよいお年を!またビデオ通話するね!」
そう言ってご両親と共に長野へ向かって行った。
・・・疲れた。
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大晦日になり、これと言って見たい番組がある訳でもないテレビを点けっぱなしにしてご飯を食べてゴロゴロダラダラとしていると、ピロンとスマホが鳴った。
見ると大喜から初詣のお誘いだった。
・・・年越してるから2年参りとは言えないが、正直この時間だと人だらけだから行きたくないんだよなぁ。
なので
ー折角誘ってくれたのに悪りぃけど、人だらけなの分かってるから、そんなトコ行きたかねーわー
と返しておいた。
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「鶴羽来るって?」
「いえ、人だらけなのが分かってるから来たくないそうです」
「あー、雪なら言いそう。ちーちゃんも居ないから尚更ね」
「全くもう、ちーちゃん居ないからって部活仲間は揃ってるんだから来なさいってのよ!そうじゃないの!?親友たち!」
「そりゃそうだけど、強制は出来ないでしょ」
「まぁまぁ折角の初詣なんだ、早く詣るぞ!」
西田先輩がそう言って詣りに向かう。
「あ、待って。飲み物買いたい!」
「奢るよ」
「え?笠原君、何で?」
「クリスマスの時のクッキー、弟たち喜んでたから。お礼しようと思ってたんだ」
「私にもー」
「俺にもー」
「彼氏持ちと先輩が何言ってんですか・・・まぁ良いですけど」
そう言って2人にも奢ってあげる匡君。
ホントお人好し過ぎるよ。
「しかし凄い人だね」
「全然進まないじゃーん。これじゃあゆっきーが来たくないってのも分かるわー・・・っ!」
「菖蒲ちゃん?どうかした?」
「ううん、何でも無い、大丈夫。それよりひなっち、あそこ」
そう菖浦ちゃんが指差す方を見ると大喜が居た。
「ほら、彼氏1人にしないで行ってきなさいよ」
「でもそれじゃあ、菖浦ちゃんが1人に・・・」
「大丈夫だよ、ほらお姉たちも近くに居るし」
確かに針生先輩と一緒に、お姉さんである花恋さんも直ぐ近くに居る。
「・・・じゃあ行くね」
「うん、また後でね」
いのたの方へと向かうひなっちを見送る。
皆が1通りお詣りが済むと西田先輩が
「ドキドキッ、おみくじターイム!!」
と言い出した。
「そう言うノリじゃなくね?」
「この1年の運勢を占うんだぞ!気合い入れて・・・」
引いたおみくじは“凶”だった。
「前途多難だな」
「大吉出るまで引いてやる!!」
「良いのかそれ」
「意外と良いらしいよ・・・」
そう言うお姉の横でプルプルと震えている、いのた。
引いていたのは、まさかの“大凶”だった。
「本当に入ってる事あるんだ」
「逆にレア」
「大吉引いてやるぅ!!」
それを尻目に
「ひなっちはどうだった?」
「ジャジャーン!大吉!!」
「おぉっ!」
「菖浦ちゃんは?」
「私は恋愛面しか興味ないから・・・」
恋愛ー茨の道です
「引き直しだぁ!」
「信じなきゃ良いのに」
その後、結局皆が満足する結果が出るまで引き続けた。
「ワクワク屋台ターイム!!甘酒ぇ!!」
「迷子になるなよー」
そう言って走り去る西田先輩を見送る。
「つっ!」
「どうかした?守屋さん。足少し引きずってる感じしたけど」
「笠原君。実はさっき人混みで足を後ろの人の靴で踏まれて、擦りむけてて・・・」
「うわっ、それは痛そう。取り敢えず絆創膏持ってるから、あっちで貼ろう」
「え、でも皆が・・・」
「ごめん蝶野さん、後で合流するって伝えておいて」
それを聞いた蝶野さんは、いつもの“にしし”って感じのイタズラ好きな笑顔を浮かべて
「うん、分かった」
と言って皆の元に向かって行った。
・・・不安だ。
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「あっ、ちー!あけおめー!」
「いきなりビデオ通話かけてこないでよ」
「えー、やっぱり新年の挨拶は顔見てしないと思ってぇ。今皆で初詣来ててさ。ほらー」
「「「ちーちゃん/千夏先輩、明けましておめでとー/ございます!」」」
「皆、明けましておめでとう!おみくじとかは引いたの?」
「それがさぁ!皆悪いと大吉が出るまで、何回も引き直してたの(苦笑)」
「あははっ、皆らしいー」
ピロン!
ちーのスマホが鳴る。
「なに?メッセージ?忙しいなら掛け直ー・・・」
その時のちーの顔を見て、送り主が誰かを察する。
「1番大事な人からのメッセージみたいだね?私はまた後から掛け直すから、彼に宜しくね!」
そう言って通話を終えた。
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「お、大喜、遅刻に迷子とは良い度胸だな。4・5日のスキーは遅れんなよ」
「大喜たちスキー行くの?」
「男子だけで行くんだって」
「あれ?匡と守屋さんは?」
「お待たせしました」
「お前らも迷子?」
「いや、ただの個人行動」
「これだから個人競技集団は」
「「「それは確かに」」」
「類は友を呼ぶですね」
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「あんな自由なメンバーのマネージャーなんて、よくやってるね」
「偉いでしょ!」
「菖蒲意外と世話焼きだから」
「意外とは何よ」
「雪くんがバド部じゃなくて良かったわね」
「あの面子にゆっきーが居たら、もうどうしようもないよ」
「ともかく、あんたはダメ男に尽くすタイプだから気を付けなよ」
「それは自分でも分かるー」
「まぁあのメガネ君なら大丈夫そうだけど」
「笠原くん!?」
「気になってるんでしょ?2人で行動してたの見てたし」
ナイナイナイ
「私のタイプはもっとイケメンでイケメンなイケメン・・・」
笠原くんは、多分・・・
「いやー、ないない!」
「そ。菖蒲がそれで良いなら」
お姉の言葉を聞いて「ナイ」と思ったけど・・・ナイ、筈だよね?
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1月1日朝
お爺ちゃんの家で目覚めた私は、枕元のスマホを手に取る。
そこには
ー明けましておめでとうございます、今年も宜しくお願いしますー
と、雪からテンプレ通りと言うか、いっそ他人行儀とも呼べる新年の挨拶メールが届いていた。
ー明けましておめでとう。こちらこそ今年も宜しくね、ってなんてそんな丁寧なの?ー
ーいや、新年の挨拶くらいは真面目にやろうと思ってなー
ー成る程、いつもは真面目じゃないって自覚はあるんだ?ー
ー酷い言われようだ。帰ってきても塩対応決定だなー
ーえぇっ!?そっちの方が酷いよ・・・顔見て話したいからビデオ通話して良い?ー
ー良いよー
「明けましておめでとう、雪。今年も宜しくね」
「明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします、千夏先輩」
「何で彼女に対してそんな他人行儀なの!?」
「んー、面白いから?w」
「もう、新年最初の会話がこれってどうなの?」
そう言ってちょっと不機嫌さを装う。
「千夏」
「・・・何?」
そっぽを向いて答えると
「会えなくて寂しい」
その一言で顔がボッと熱くなる。
慌てて画面を見ると、いつも通りの優しい笑顔でこちらを見ている。
「私も会いたいよ、雪」
千夏ー!ご飯の用意出来たわよー!
とお母さんの呼ぶ声が聞こえる。
「ん?春菜さんが呼んでるな。挨拶はこれくらいにして家族に挨拶して朝メシ食いな」
ーじゃあまたな
そう言って通話を切る雪。
ー会えなくて寂しいー
雪もそう思ってくれてるんだ、と思うと知らず知らず顔がにやけてくる。
顔を洗って皆に新年の挨拶をする。
「おはようー」
「おはよう!ちーちゃん!もちは何味が良い?あんこか?醤油か?きなこもあるぞ」
「座る前から急かさないの」
「お雑煮も食べなさい。じいちゃんの作った野菜、沢山入ってるから」
「うん」
「ちーちゃんはよく食べるねぇ」
「美味しいから。そう言えばお父さんは?」
「挨拶回りに行ったわよ」
「帰ってくるの久々だからなぁ」
「本当に、もっと帰ってくれば良いのにねぇ」
「ちーちゃんの話も色々聞かせてくれっ。部活の方はどうだ?勉強は?」
「しっかりやってるよ」
「恋人は出来たのか?」
「あなた・・・最近の子は、そういう質問嫌がるものよ」
「でも心配じゃないかっ」
「おじいちゃんたちは、おばあちゃんの仕事先で出会ったんだよね?」
「旅館ね。そこにおじいちゃんが毎朝お野菜を卸しに来てたのよ」
「・・・いつおばあちゃんの事、好きになったの?」
「まぁ、ちーちゃんったら」
「最近のおじいちゃんは、そういう質問嫌がるものなんだ」
「あら、都合の良い」
「忘れた、そんな昔の事」
「おじいちゃん、照れ屋さんだから」
「千夏、食べたら雪かきね」
「はーい・・・おじいちゃん、出来たよ」
「ん?何がだい、ちーちゃん?」
「・・・恋人」
「な!?本当に?」
「うん」
「本当ですよ。私の親友の息子さんで本当に良い子ですから、私は大歓迎です」
「あらあら、春菜さんがそう言うなら良い子なんでしょうね」
「おじいちゃんはこの目で見て、納得するまで認めんぞ!」
「何だかんだ冬樹さんも認めてますよ?」
「っ!冬樹までがか!?」
「千夏がお世話になってるお宅がその子の家ですし、同居に際しての話し合いも冬樹さんが関わらなさ過ぎる事を疑問に思った雪くんからの提案でした。
その時に冬樹さんが雪くんを認めたフシがありましたから」
「あの冬樹がそうなら、私も会ってみたいねぇ」
「わしも会って見定めてやる!」
お義母さんは楽しそうだけど、お義父さんは冬樹さんより面倒臭い事になりそう。
雪くん、今度はおじいちゃんを攻略しなきゃ駄目みたいよ。
千夏の暴走が目につきますが、菖蒲も何だかんだ匡の事が気になり出してる様で・・・
そして雪は、おじいちゃんを攻略出来るのか!?