アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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今回短いです。

駅前での撮影が終わって学校でのMV撮影が始まる間の話です。


長野から帰って来て、花恋と会う予定の千夏。

そこで自分の気持ちについて打ち明けるのだが・・・

そして女バスも、新たな部長に千夏を据えて始動する事に。



幕間~千夏の本音と葛藤~

 

1月6日午前

 

「ふぁ~、良く寝た。千夏は今日帰ってくるって事だけど、いつ頃来んのかねぇ」

 

そう良いながら階段を降りる途中、足を踏み外して落ちそうになる。

 

ガタタッ、と音を立てるが何とか踏ん張り事なきを得る。

 

「あっぶねぇ、こんな事で怪我したら洒落にならん(汗)」

 

ふと顔を上げると、玄関戸を開けた千夏が驚いた顔で見ていた。

 

「おっ、お帰り」

 

「ただいま、大丈夫?」

 

「あぁ、何とかな」

 

「ふふっ、びっくりした」

 

「お帰り、千夏ちゃん。あんた起きたんなら荷物部屋まで運んでやんなさい」

 

「へーい」

 

そう言って千夏の荷物を持って2階に上がる。

 

後ろでは

 

「優花ー、これお土産」

 

「そんな気を遣わなくて良いのに」

 

「いえ、これからも娘の事、宜しくお願いします」

 

と言うやり取りが聞こえてくる。

 

 

 

「荷物ありがとうね」

 

「ん?当たり前の事だから気にすんな」

 

「それでもお礼は大事」

 

「そりゃそうか。じゃあ荷物置いたら下行くか」

 

「うん・・・雪」

 

どうした?と聞く間もなく抱き付いてくる。

 

「我儘は終わりじゃなかったか?」

 

「ハグくらいなら良いと思うのです」

 

「分かったよ」

 

と軽く抱き締め返す。

 

「お帰り」

 

「ただいま」

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

下に降りてリビングに行くと親同士で盛り上がっている。

 

「でもまさかビデオ通話した翌日に、本当に来るとは思わなかったわ~。千夏も愛されてるわね~」

 

「ワカサギ釣り云々言ってたけど、アレは間違いなく千夏ちゃんに会いに行ったんだと思うわ」

 

「私も雪くんの思い切りの良さと行動力には、驚かされてばかりです」

 

「本当に誰に似たのやら(苦笑)」

 

 

何と言う事でしょう、どうやら俺は親たちからは千夏に会いに行ったとの認識をされている様だ。

 

・・・まぁ、強ち間違いとも言えんけどな。

 

すると千夏に手を引かれる。

 

「どうした?」

 

「本当は私に会いに来てくれたの?」

 

「・・・年明け早々、ビデオ通話で俺が言った事覚えてるか?」

 

「えっ?えーと、確か・・・」

 

ー会えなくて寂しいー

 

「あっ////」

 

「勿論ワカサギ釣りと天ぷらも目的だったけどな。

それでも会う口実が出来てそれを実行出来る手段があるなら、やるに決まってんだろ」

 

俺の答えを聞いて千夏が呆けてる隙に、リビングに入る。

 

「あ、雪、千夏ちゃんは?」

 

「ここに居るぞ」

 

後ろを指差すと、サッとリビングに入ってくる。

 

「優花さん、改めてただいま帰りました、これからも宜しくお願いします」

 

「はい、こちらこそ」

 

「千夏ちゃん、前も言ったけど遠慮しないで何かあったら直ぐ言ってくれて良いんだからね?」

 

「はい、那月さんもありがとうございます」

 

「じゃあ私達はそろそろ行きますか、冬樹さん?」

 

「そうだな、時間には余裕を持って行動した方が何かあった時にも対応出来るからな。それでは皆さん、これからも千夏を宜しくお願いします」

 

「雪くんも困ったら相談してね?」

 

「はい、分かりました。2人もお気を付けて」

 

そう言って2人はまた海外へと旅立って行った。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

新学期が始まったある日の昼

 

ーお昼一緒に食べよ?場所は・・・ー

 

そんな千夏からのメッセージに書かれた、体育館の階段を昇った先にある倉庫に着くと

 

「待ってたよ、雪。ここなら静かで良いでしょ?」

 

「確かに」

 

「でもちょっと寒いね、ブランケット半分使う?」

 

「千夏が寒いだろ?俺の事は気にしなくて大丈夫だよ」

 

「そう?じゃあ食べよっか」

 

「「いただきます」」

 

「あ」

 

「どした?」

 

「卵焼きから食べるの、おんなじだ」

 

「母さんの卵焼き好きなんだよ、シンプルで甘くないトコが」

 

「他に好きな卵料理ある?」

 

「んー、厳密には違うかも知れんけど、オムライスかね。千夏は?」

 

「親子丼好き」

 

「俺はオムライスの玉子はふわとろじゃなく、薄焼きの方が好きだわ」

 

「そうなんだ、まぁ親子丼は大体ふわふわだからなぁ。あ、思うんだけどオムライスも親子丼じゃない?卵と鶏の親子だし」

 

「いや、丼じゃねーだろ」

 

「ぬー、イジワルを言う」

 

「丼に入ってないんだから、イジワルでも何でもない事実だろ」

 

「じゃあ今度オムライス食べに行こ?改めて食べたら親子丼って思わなくなるかも」

 

「そうだな、行くか。リサーチしとくわ」

 

「ふふっ楽しみだなぁ・・・」

 

そう言いながら、うとうとし出す千夏。

 

「眠いのか?時間来たら起こしてやるから寝てて良いぞ」

 

「じゃあ、お言葉に、甘えt・・・」

 

言い切る前に電池が切れた様に寝入ってしまう。

 

「疲れてんだな、俺の前だと気を張らなくて良いんだからな?」

 

と、カクンと頭が揺れて倒れそうになる。

 

「おっと危ねぇ」

 

慌てて頭を支える。

 

「んー、これは手で支え続けんのは俺もキツいな。じゃあ」

 

隣に座って寄り掛からせる。

 

「ま、これで予鈴まで寝かせてやりゃあ良いだろ」

 

 

予鈴が鳴ったので千夏を起こすと、俺が隣で支えていたのに驚いて真っ赤になってキョドっていた。

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後、とあるファミレス

 

 

「あけおめ!」

 

「学校始まると新年って感じあんまりしないね」

 

「冬休み短すぎなのよね」

 

「これお土産」

 

「長野土産、健吾に続いて2つ目だわ。どう?楽しめた?年末年始は」

 

「うん、知ってると思うけど雪が会いに来てくれたの」

 

「私は嬉しいよ!ちーに恋人が出来て!

私はちーは恋愛に慎重だし興味持つのはもっと後だと思ってたから、正直驚いた。

でもそんな慎重なちーが選んだんだから、凄く良い奴なんだろうね、彼は」

 

「・・・うん。雪のふざけてる様でいつも周りをよく見て自分より誰かを気に掛けてる所を見てると、大切にしたいな、って思うの」

 

「大切に“されたい”じゃなくて大切に“したい”なのが、ちーらしい恋だね」

 

「恋・・・そっか、うん、恋だね」

 

「鶴羽くんなら大丈夫だと思うけど、こんな天然たらしが彼女だと理性がー・・・って、あんたたち一緒に住んでるんだよね!?!?」

 

「うん」

 

「平気なの?付き合ってるとは言え、その、いや、寧ろ付き合ってるからこそ」

 

そこまで言ってちーを見ると、真っ赤な顔で目を逸らしている。

 

「まさか・・・もう?」

 

「え、いやっ、違くてっ!・・・私が雪に触りたくなってるの」

 

「はぁ!?

 

「ハグしたり、その、キスしたり・・・恋人ならおねだりしても良いのかな、って・・・私、変態みたいだ」

 

真っ赤になって頬を押さえるちー。

 

「あっはっ、いいじゃん!変態ちー誕生!

安心したわっ、ちーにもそんな感情があって。

ちーとは長い付き合いだけど、そんな顔は初めて見たよ」

 

「楽しんでる?」

 

「楽しいでしょー。恋愛って新しい出会いでもあるからね!どんどん変態なりなさーい」

 

「怪しい発言だ」

 

 

 

花恋と別れて鶴羽家に帰る。

 

「おっ、帰りー」

 

「ただいま」

 

そう言うなり、じっと俺を見てくる。

 

「どうした?」

 

「何でもないっ」

 

  

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、放課後

 

 

「千夏ー、部活行こーってメッセ?誰と?」

 

「ライバル」

 

ナツに見せて貰うとそこには

 

ーこっちもこれから部活ー

 

と、笑顔で手を振る夢佳が居た。

 

 

 

「話し合いの結果、新部長は鹿野に頼もうと思う」

 

パチパチと部員から拍手が起きる。

 

「部長って責任のある役職だけど、皆にも同じくらい責任はのしかかって来ると思う。

コートに立つということ、そのプレッシャーに負けない様に練習する。そういう環境作りに努めたい。

そして今年の夏、インターハイ優勝しよう!」

 

「おおおーーーー!!」

 

 

ふむ、やっぱり女バスの新部長は千夏になったか。

 

あいつの事だから変に背負い込まなきゃ良いけど、ナギちゃん先輩達と連携してフォローしてやんねーとな。

 

そう心に決めた。

 





千夏は花恋に素直な気持ちを打ち明けて幾分、気持ちが楽になりました。

新部長になった事で今まで以上にプレッシャーも掛かってきますが、そこは周りがうまくフォローしてくれるでしょう。

ちなみに雪がオムライスの卵は薄焼きの方が好きと言うのは、作者の好みを反映してます。
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