アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~ 作:お面ライダーよっしー
あーでもない、こーでもない、と考えてる内に行き詰まってしまい、3連休もダラダラゴロゴロしてたら遅くなってしまいました。
果たして雪たち青組は、勝ってデリシャス焼きそばパンを手に入れる事が出来るのか?
昼休憩になった事で、千夏と共に以前来た体育館2階の倉庫で弁当を食べる。
「「いただきます」」
「ギリだけど何とか青組リードで折り返したな」
「最後のリレーも頑張ろうね!」
「おう、大差つけてバトン渡してやるよ」
「さて、それはそれとして雪?」
「どした?」
「借り物競争のスタートの時、1年生の女の子達にカッコイイーって言われてデレデレしてたよね?」
「ファッ!?、そ、それは折角声掛けてくれたんだから、エンターテイナーとしては応えないとと思って・・・」
「へー、ふーん、私も見てるって分かってるのにねー」
「へいへい、悪うござんした。
でも学園の人気者ってお題の通りに彼女の千夏を選んでお姫様抱っこまでしたんだから、大目に見てくれても良くね?」
「////それは、まぁそうだけど、恥ずかしかったんだからね!」
「だからそれは運営に言ってくれ」
「まぁそれはもう良いんだけど、ウチのクラスの子が彼氏とハチマキ交換しててね」
そう言ってじっと見てくる千夏。
「あー、ウチのクラスにも居たわ。多分、大喜と雛もしてんじゃねーの?交換するか?」
「良いの!?」
「当たり前だろ、彼女のお願いだしな」
そう言うとネクタイ巻きをしていたハチマキを解き差し出してくるので、俺もポケットにしまっていたネクタイを取り出し手渡す。
「ハチマキ交換もしたし、後は・・・はい」
両手を前に付き出してくる。
「ん?」
「午後も頑張る為にハグ」
「はいはい」
ぎゅっと千夏を抱き締める。
「いつも思うんだけどさー」
「なに?」
「洗濯は別々だけど洗剤は同じ訳じゃん?」
「そうだね、それが?」
「なーんで千夏からは良い匂いがすんのかねぇ。シャンプーの違いとかか?」
「えっ!ちょっと、そんな事言われたら凄く自分の匂いが気になるんだけど!?」
「いや、いい匂いだから気にしなくて良いだろ?寧ろ俺が変に匂ってないかが心配になるんだが」
「ゆ、雪だって私にはいい匂いって感じるから、気にしなくて良いよ!」
「そりゃあ良かった、安心したわ。
・・・そういや相手の匂いが気にならないとかいい匂いだと感じるなら、それは相性が良い証拠だって説もあったな」
「!じゃあ私と雪は相性が良いって事!?」
「その説の通りならな。
まぁ俺はそんな事関係無く千夏の事が好きだから、そういう事を気にし過ぎなくてもいいぞ」
「・・・本当に雪って、そういう他の人が照れて言えない様な事をさらっと言うよね////」
「そうか?俺に言わせりゃあ、好きで付き合ってる相手の事を表立って言えねー気持ちが理解出来ん。
もしまだ告白前で付き合ってなかったら、借り物競争でゴールした時に告白してたかもな」
「流石にそれは、秋合宿の時より恥ずかしい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方その頃、大喜と雛は視聴覚室で昼食を摂っていた。
「うーん、やっぱり雪が居る分、青が1歩リードか」
「でもでも、ちーちゃんをお姫様抱っこしてたのには、女子みんなが羨ましがってたんだよねぇ」
「そうなの?」
「そりゃあそうよ、特に1年生から見れば、イケメンで高身長のバスケ部エースで面倒見が良い先輩、って認識だからね」
「雛も?」
「えっ!?ま、まぁ大喜と言う彼氏が居なかったら、って前提ならね・・・」
それを聞いて少し、いや、結構かなり相当雪に対して嫉妬心が湧いてしまった。
勿論、雪も雛も素でそんな事するとは思ってないしIFの話だと理解はしてるけど、感情が納得出来ていない。
「むむむ・・・」
そんな俺の気持ちを感じ取ったのか
「大喜!雪の台詞じゃないけど、幾ら雪が相手だったとしても、私があんた以外の男に靡くと思ってんの!?」
「い、いや、それはないと思ってるけど」
「だったら自信持ちなさい!あんたはこの蝶野雛さまの彼氏だって!」
・・・そう堂々と言い切る雛の姿を見て、俺はまだまだ自分に自信が持ててないんだなぁ、と思う。
「うん、そうだ、そうだよな!俺が雛の彼氏なんだから、いちいち自分と雪を比べる必要なんかないんだよな!!」
「そうそう、そもそもスペックだけの話なら、あいつに勝てる人なんてそうそう居ないんだから、他の誰でもおんなじよ!」
「確かにあいつは、下手すりゃ人の枠組みから外れてそうだしな(笑)」
ーん?今どっかで失礼な事を言われた様な気がするー
「それで、さ。クラスの子が彼氏とハチマキ交換してたんだよね」
「俺も見たよ・・・交換しよっか?雛」
「うん!」
満面の笑みでそう答える雛を見て、こんな子と付き合えてる自分の幸運さを噛みしめていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
午後からの競技も恙無く進行していき、遂に最終組対抗リレーを残すのみとなった。
「さぁて、泣いても笑ってもこれが最後だ。どうせなら笑って終わろう、全力振り絞って勝ちに行くぞ!」
「「「「「おーーーーーっ!!」」」」」
『いよいよ最終競技、組対抗リレー!!現在の得点は青組がトップで僅差で赤組が追う展開!』
『他の組もこのリレーに勝てば、順位次第では優勝を狙えますから、頑張ってください!』
ー位置についてー用意・・・パンッ!
『スタートしました!おっとぉ、赤組速いっ!次いで青組が追う展開です!』
「ファイトー!」
「赤組リードで回ってきそうだな」
「陸上部のエース選手が2人いるので」
「ずりぃな。まぁこっちにも2人、プラスで雪がいるけどな」
「そっちの方がずるいですよ。でも絶対負けられないですからね」
ー第3走者ならんでください。
「大喜、インターハイ俺たち2人で行くぞ」
「何で今・・・?」
「このリレー赤組(お前)がリードだけど、油断するなよ、足掬われるぞ」
そう話していると第2走者が近付いて来たので、バトンを受ける体勢になる。
針生先輩との差は約5メートル、この差を守り切る!
『おーっと青組速い、赤組との差が縮まっていきます!怒涛の追い上げ、このまま追い抜くかー!?』
ー抜かれてたまるか、力振り絞れ!
『僅かなリードを保ち赤組、第4走者にバトンを渡したー!直ぐ後ろに青組、これは僅差で決着しそうだーっ!!』
第4走者まで来たか、後は第5走者の俺が抜いて差を付けてアンカーの千夏で差を守り切る!と思ってたんだが
『あーっと!?コーナーで青組が滑って転倒ーっ!隣を走っていた赤組は倒れずに堪えたが、この隙に黄・白・緑に追い付かれてしまったー!!』
おいおいマジかよ。青組の第4走者は怪我はなさそうだけど、泣きそうな表情になっちまってる。
だが、これくらいの差は無いに等しい。
「ごめん、鶴羽くん!最下位になっちゃった・・・」
「後は任せろ!全員ぶち抜いてやっから、そんな泣きそうな顔すんじゃねーよ!!」
今日1番の見せ場が来たぜ!さぁ、アゲてこーかぁ!
『青組鶴羽、最下位でバトンを受け取ったが、先頭までの差は余りない、これは追い付けるかーっ!?』
実況も分かってんじゃねーか、こっからが俺の見せ場だって事をなぁ!
「行くぜ行くぜ行くぜぇーっ!今の俺に前フリはねぇ、最初からクライマックスだぜぇっ!」
『おぉーっと、これは速い、青組鶴羽、あっという間に緑と白を抜いて赤と黄色も射程圏内だーっ!』
「雪の奴、完全に本気モードだな」
「いやいやいや、あれ速すぎるだろ!デリシャス焼きそばパンが・・・」
「アクシデントがあったとは言え、折角出来たリードが直ぐ詰められてる!」
「ゆっきー速すぎだよ、ひなっち知ってた?」
「速いのは知ってたけど、まさかここまでなんて思わなかったよ・・・」
ちっ、少し距離が足らねぇか。もうちょいありゃあ1位でバトン渡せたんだがなぁ。
せめて差が無いくらいにまでしなきゃあ、第4走者に顔向け出来ねぇからな。
残り10メートル、全力全開で追い掛ける!
「アクシデントに巻き込まれた赤組、今1位でアンカーにバトンタッチーッ!そして、真後ろの2位は黄ぐ・・・いや、青組です!青組鶴羽、最後尾から電光石火の追い上げで今、2位でアンカーにバトンタッチーッ!!」
「千夏っ!後は頼む!!」
「任せて、雪!」
俺からバトンを受け取った千夏は、全力疾走で赤組を追い掛けて行った。
「ふいー、流石にちかれたー」
「鶴羽くん!」
「お、転けた時に怪我しなかったか?」
「うん、私は大丈夫。それより凄いね鶴羽くん、最下位からほぼ差の無い2位まであがるなんて!」
「んー、全員ぶち抜いてやる!って言っといて2位だったから、いまいち格好つかねーけどなぁ」
「何言ってんだ鶴羽!お前でなけりゃあ、2位まで上がれてないっての!」
「そうそう、この子が責任感じてる所に、“全員ぶち抜いてやるから泣きそうな顔すんな!”なんて普通言えないよ?」
「ホントこれだから天然タラシは・・・」
「オイ待て、最後のは悪口じゃねーか!」
「ソンナコトナイヨー」
「はぁ、まぁ良いけどよ、それより千夏の応援すっぞ!」
「「「「おーーーーーっ!!」」」」
『青組と赤組のアンカー対決は2人とも速いっ!両者譲らずのデッドヒート!流石女子陸上部と女子バスケ部のエースの戦いだーっ!』
ーどっちも頑張れーっ
ー赤組ーっ!
ー青行けーっ!
『さぁ最後の直線を残すのみ、制するのはどっちだー!?』
「千夏っ、行ける行ける!」
「鹿野さんいけーっ」
「ナツっ、頑張れ!もう少し!!」
「窪さん頑張ってーっ!」
「陸上部の強さを見せてやれ、窪ーっ!」
「負けんな、窪ちゃーん!」
こんだけの接戦なんてそうそう無いから、千夏と陸上部の窪さんへのエールが凄い事になってる。
端から見てるだけなら、「どっちも勝ち」にしてやりたい所だ。
が、青組の当事者である以上は千夏の応援するのが当然だ。
「千夏っ!あと少しだ、頑張れ、負けんなーっ!」
そして決着がつく。
『ゴール!!青組っ!!1着でゴールです!!素晴らしい走りでしたっ!』
「よっしゃあーーーっ!よくやった、千夏ーーーっ!!」
「勝ったよ、雪ーっ!」
千夏が駆け寄って来たので、パァンとハイタッチをかわす。
『そして総合優勝は青組ーっ!青組には、デリシャス焼きそばパンが贈呈されます』
「鹿野さんと鶴羽のお陰だ!」
「3年目にして初めて食べられる!」
「え、もしかして1年目で食べられるのって、滅茶苦茶ラッキーなんじゃ?」
「来年も鶴羽先輩と同じ組なら、また食べられるかも!」
まぁ、みんなが喜んでくれた様で何より。
ふと赤組の方を見ると、雛と菖蒲が物凄い顔で俺を睨み付けていた。
こっわ、あいつらそんなに焼きそばパンが食いたかったのかよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
閉会式も済んで片付けも一段落した所で一息つく。
そういや去年は組は負けたけど、MVP獲ったから俺だけ食べたんだったな。
※今年もMVPで都合2個ゲットである。
んー、ま、良いか。
「おーい、雛に菖蒲、これやるから半分こして食べな」
「え!?良いの、雪?」
「やっぱナシってのは駄目だからね、ゆっきー!」
「俺は去年MVP賞で貰ってるからな。ま、応援お疲れさんって事で御褒美だよ。
それと今年のMVPで貰ったもう1個は、大喜と匡で半分に分けろって渡しといてくれ」
「「ありがとう、雪/ゆっきー」」
「おう、じゃあまた後でな」
青組の待機所に戻って来たらハリーさんが食べてる焼きそばパンを見て、西やんが「ひと口、ひと口ぃ~」と縋り付いていた。
千夏はと言えば、恵方巻きが如く黙々と焼きそばパンにかぶりついていた。
「どうよ、美味いか?焼きそばパン」
「うん、凄く美味しい。ってあれ?雪の分は?」
「雛と菖蒲に恨みがましい目で見られたから、半分こしろって渡してきた」
「雪らしいね。半分食べる?」
「いや良いわ、去年食べたし」
「そう?・・・!はい、あーん」
「おい?何やって「あーん」」
「おい馬鹿止めろ、全校生徒の前で告白されたら恥ずかしいって言ってた奴のするこっちゃないだろ」
「もう教室帰ったりしてる人の方が多いから平気。美味しいよ?デリシャス焼きそばパン。はい、あーん」
ー駄目だこりゃ。食べなきゃ終わらん奴だ。
「はぁー、分かったよ」
差し出された焼きそばパンを一口食べる。
「はむっ・・・うん、やっぱ美味いな、この焼きそばパン」
そんな俺を見て、ニコニコと微笑む千夏。
って何か静かだな?
周りを見渡すと、近くにいた生徒全員が俺と千夏を見て唖然呆然としていた。
「ん?どしたん皆?チベットスナギツネみたいな顔して?」
「つ、鶴羽お前、それって鹿野さんと間接キスじゃ・・・」
「え?お前らもしかして付き合ってんの?」
「えーっ!そうだったの千夏ーっ!」
「そ、そんな、鹿野先輩と鶴羽先輩が付き合ってたなんて・・・」
「あれ?体育館組の2・3年は皆知ってんだけど、他の奴らは知らなかったん?」
「いやいやいや、初耳だよ!いつからだよ!?」
「秋合宿から」
「「「「はぁあ~~~!?」」」」
「そんな素振りなかっただろ!」
「そりゃあ付き合ってるとは言っても特にベタベタする訳でもないし、そもそも学年が違うからなー。肩書きが幼馴染みから恋人になったってだけの話だし」
「それを“だけ”って言えるのはお前くらいのもんだよ、こんちくしょうめ!」
「千夏ー、おめでとう!」
「え、あ、ありがとう?」
「話は後でたっぷり聞かせて貰うからね!体育館組の皆もちゃんと話して貰うよ!」
「はいはい、この渚さんが最初から最後まで説明して進ぜよう」
「ちなみに伝統のキャンプファイヤーでの告白だったんだけど、“俺たちの聖女が魔王に奪われたーっ!”って大騒ぎだったぞw」
「西やんは何でそう余計な事を言うのかねぇ」
「ちくしょーっ!魔王を退治出来る勇者は居ないのかーっ!!」
「・・・お前らホントいい加減にしないと流石の俺もキレるぞ、この野郎ども」
「魔王様が激おこでらっしゃる」
「だから魔王は止めろ。
大体ハリーさんのせいで花恋さんにまで伝わってたし、他校生にまで広まったらどうしてくれんの?」
「そん時は、討伐に来た勇者(他校バスケ部)を返り討ちにする魔王(雪)で良いんじゃないか?」
「良かねーよ・・・」
ったく、折角勝ったのにグダグダじゃねーか。
少し離れてその様子を見ていた俺たちは
「ちーちゃんって、たまに雪より凄い事やるよね」
「去年の部活帰りに、山本先生が奢ってくれた日もそうだったよな」
「蝶野さんはアレやんないの?」
「ああなるって分かってるから、やんないよ!」
「でもひなっち、いつかはバレるんだから覚悟だけはしといた方が良いよ」
「今日は雪も巻き込む気が無さそうだから大丈夫だけど、その時が来たら俺がちゃんと説明するよ。
今日も女バドの後輩に付き合ってる人がいるか聞かれたけど、いるって答えたし」
「えっ!そうなの!?」
「うん、雛とは言ってないけど。わざわざ話す事じゃないけど隠してる訳じゃないから、誰なのか聞かれたら答えようと思ってる」
「まぁ大喜がそこまで考えてるなら、俺たちが変に気を遣う必要は無いな」
そう話している所へ
「あー参った、千夏もたまに想定外の事するよな。俺も周り見てなかったから大事になっちまったわ」
「お、ほぼ学校公認になった気分はどうだ?雪」
「うっせーよ、お前らも巻き込んでやっても良かったんだぞ?それをしないでやった俺の優しさに感謝して欲しいもんだね」
へっ、と皮肉っぽい笑みを浮かべる雪。
「それはまぁ、確かにありがたいけど・・・」
「どうせその内お前らが付き合ってんのも体育館組じゃない奴らにもバレんだろうから、今から釈明会見の準備しとけよ?」
「釈明する事なんてないんだけど!?」
「あのなぁ雛。お前も千夏と同じで1年からはかなり人気あるのは部活見学で分かってんだし、そんな奴が新入生だけから人気集めてる訳が無いだろうが。
当然、2~3年からも人気があると見て間違いない」
「あー、確かに」
「ひなっち人気あるもんね。クラスでも可愛いとか付き合いたいとか言ってる男子、よく居るし」
「だろ?だから大喜よ、誰に何を言われても“雛の彼氏は俺だ!”って言い切るくらいの自信を持てよ?
お前は自分が思ってるより、しっかりした良い男なんだからよ」
ーっ!
久し振りに聞いた雪の真っ直ぐな言葉が、俺の胸に響く。
「・・・分かってる、さっきも雛に同じ様な事言われてさ。インハイ行けなかった俺は、どこか引け目みたいのものを勝手に感じていたのかも知れない。だけど2人の言葉を聞いて、俺は自分にもっと自信を持って良いんだって気付いた」
「大喜・・・」
「ふーん、いのたも少しはイイ顔する様になったじゃん!」
「本当にそうだな。大喜はバドにも恋愛にも一所懸命なんだから、もっと自信持って良いと思う」
「ありがとう、みんな」
「しっかしお前(大喜)は良い友達に恵まれてんなぁ。匡みたいに、ちゃんと内面まで見てくれてる奴と昔から一緒なんだからよ」
「それを言うなら雪だって同じだろ?」
「んー、まぁ勝手にお前ら2人を親友認定してっけど、やっぱり付き合いの長さで一日の長があるのは確かだからな」
「え、俺の事もそんな風に思ってくれてたのか?」
「当たり前だろ。大喜みたいな猪突猛進の名は体を表す奴と違って、匡みたいに冷静に周りを見て判断出来る奴が居てくれると安心できるし、ストッパーやバランサーとしても周りが助かるからな」
「ちょっと待て!それだと俺が考え無しに突っ込んでくみたいじゃないか!!」
「え?実際そうだろ?」
何言ってんだこいつ?って感じで言われてしまう。
「確かに大喜は良くも悪くも、思い込んだら一直線って感じだよね」
「そうそう。思い切りは良いんだけど、それで周りが迷惑被る事もある事に気付いてないよね、いのたは」
「守屋さんも人の事は言えないけど、それはその通りだと思う」
「匡くん、酷くない!?」
そうか、俺ってそんな風に見られてるのか・・・
少しヘコんでしまう。
「ま、それがお前の良い所でもあるんだから、考え過ぎないこったな。雛、さっきのパン渡してやれよ」
「あ、そうだった、はいこれ」
「こ、これって栄明体育祭限定デリシャス焼きそばパン!何で!?」
「青組勝利とMVPの分で2個貰ったからな。
雛達には応援お疲れさん、お前らには敢闘賞って事で俺からのプレゼントだ。半分こして食べてくれや」
「え、でも良いのか?雪の分が無くなるだろ?」
「俺は去年食ったし、さっきも千夏のひと口食べたからな。遠慮しなくて良いぞ」
本当にこういうトコだよな、雪が天然人たらしって言われる理由は。
「さて、もうそろそろ帰るとするか、お前らもあんま遅くならないうちに帰れよ、じゃあな」
そう言って雪は帰って行った。
「俺たちも帰るか」
「そうだな、気持ち切り替えて明日からまた部活頑張るか」
「私も今年はもっと上目指すからね!」
「あ~あ、もう1人くらいマネージャー欲しいなぁ」
そんな事を口にしながら、俺たちも帰路に着いた。
後半はリレーで軽く済ますつもりが焼きそばパンを頬張る千夏を見たら、つい「あーん」を書きたくなってしまったのが運のツキ。
原作で大喜と千夏が付き合ってるのがバレるのが夏祭りだったのに対して、拙作では体育祭で体育館組じゃない生徒にもバレました。
が、元々秋合宿で大勢の前で告白してるので、雪自身はバレた所で全く気にしていませんが(笑)